C05犬種・猫種別ケア
マルチーズのシルキーコート|涙やけを毎日のケアで防ぐ
マルチーズの顔を正面から見ていて、口の横あたりの毛がうっすら黄色いことに気づく日があります。目のふちはきれいなのに、そこから何センチも離れた場所だけ色が変わっている。涙やけは、涙が出た場所ではなく、涙が止まった場所に出ます。涙の量が急に増えたわけではありません。白く細くまっすぐな絹毛が、涙を遠くまで運んだ結果です。この記事は、その距離の話から始めます。
目のふちから離れた場所が色づく理由|マルチーズの毛の作り
マルチーズの被毛は、シルキーコートと呼ばれます。白く、細く、まっすぐで、途中で抜け落ちずに伸び続ける一枚の毛です。下毛がほとんどなく、上毛だけが床に届くまで伸びていきます。切らずにいると体の高さを超えて伸びる子もいて、その長さのぶんだけ、毛は「道」として長くなります。
この作りは、涙にとって都合がよすぎます。まっすぐな毛は、細い管のようにふるまいます。目のまわりからあふれた涙は、毛の根元から毛先へ、毛の表面をつたって移動していきます。巻いている毛なら曲がりのところで止まる涙が、まっすぐな毛では止まりません。目のまわりが濡れて、そのまま先へ先へと送られていきます。
| 毛の作り | 涙がどう動くか |
|---|---|
| まっすぐで長い(マルチーズ) | 毛の表面をつたい、毛先の方向まで運ばれる |
| 巻いている | 曲がりのところで止まり、根元の近くに留まる |
| 短く伸びが止まる毛 | 運ばれる距離そのものが短い |
| 白い・色が薄い毛 | 運ばれた先の色が、そのまま外から見える |
マルチーズの涙やけは、出る量ではなく、運ばれる距離で決まります。目のふちから1センチのところで止まる子と、4センチ先まで届く子がいて、その差は涙の量ではなく、毛の長さと向きで説明がつきます。同じ量の涙でも、届く先が違えば、色がつく面積はまるで変わります。
そしてもうひとつ、白い毛は運ばれた先まで全部見せてしまいます。色の濃い毛なら同じことが起きていても分かりません。マルチーズの涙やけが「ひどく見える」ことの半分は、この毛の色の話です。目のふちを見て「今日はきれいだ」と思っても、色は少し離れた場所に出ています。見る場所を、目のふちから外へずらしてください。
鼻が短めで、目が大きく前に出ている子は、涙の通り道が短く曲がっているぶん、涙があふれやすくなります。ただし、あふれやすさと、色が遠くまで広がることは別の条件です。マルチーズの場合、あふれやすさは他の小型犬と大きく変わらなくても、運ばれる距離が長いために、目のまわりから離れたところまで変色が届きます。この2つを分けて見ておくと、どこに手を入れればいいかが決まります。
運ばれた距離で考える、マルチーズの涙やけの考え方
考え方をここで切り替えます。量を減らそうとするのをやめて、距離を短くするほうに手を使ってください。涙の量は家では変えられません。距離と、濡れている時間は変えられます。手を入れられるのは、変えられるほうだけです。
涙やけを毎日のケアで防ぐというのは、ついてしまった色を落とすことではありません。運ばれた先が濡れている時間を短くする、という意味です。乾いていれば、そこで色は進みません。濡れたままの時間が長いほど、同じ量の涙でも色は濃くなり、面積も広がります。防ぐためにできることは、この一点に集まります。
だから最初に、変えられるものと変えられないものを分けておきます。
| 条件 | 家で変えられるか |
|---|---|
| 涙の量 | 変えられません |
| 顔の作り | 変えられません |
| 毛の色 | 変えられません |
| 毛の長さと向き | トリミングで変えられます |
| 濡れている時間 | 毎日のケアで変えられます |
手を入れられるのは下の2行だけです。上の3行を変えようとする道具や手つきは、たいてい皮膚のほうを傷めます。色を消そうとしてこする、色を抜くものを使う、人用のものを目の近くで使う。どれも避けてください。目のすぐ下は皮膚が薄く、犬は自分でも顔をこすります。目に入る前提で考えたほうが安全です。
距離で考えると、日々やることの優先順位も変わります。いちばん濡れている時間が長いのは、目のふちではなく、運ばれた先です。目のふちは涙が通過していく場所で、そこから先へ送られていきます。行き止まりになっているのは、毛が下を向いて、そこで水分が留まる場所のほうです。マルチーズなら、多くは口の横から頬にかけての一帯になります。
拭き取りは目の下より先へ|涙やけを毎日のケアで防ぐ順番
拭き取りは、たいてい目の下から始めます。ですが、色が濃くなるのは運ばれた先のほうです。順番を逆にしてください。これがこの記事で伝えたい、いちばん実務的なところです。
-
色がついている、いちばん遠い場所から拭く
口の横、頬、あごの上。目から遠い場所を先に、乾いた布で押さえます。そこがその日いちばん長く濡れていた場所です。こすらず、布に水分を移すだけにしてください。汚れを落とそうとしなくて構いません。
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そこから目のほうへ、戻る向きで進める
遠い場所から目のふちへ向かって、順に押さえていきます。逆向きにやると、目のふちの湿りを毛づたいに先へ広げることになります。拭き取りの向きは、涙が運ばれた向きと逆にとります。1回に使う布の面も、途中で替えてください。
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目のふちは最後に、いちばん軽く
目のすぐ下は皮膚が薄く、犬は自分で前足を使って顔をこすります。力を入れず、当てて離すだけにしてください。目のまわりに何かを直接吹きかけるのも避けます。使うものがあるなら、布やコットンに含ませてから当ててください。
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食後に一度、口の横だけを見る
マルチーズの口の横は、涙が運ばれてくる場所であると同時に、食事や水で湿る場所でもあります。1日のうちに2つの理由で濡れる場所です。朝晩の拭き取りに加えて、食後に一度だけ見ておくと、変色の進み方がはっきり変わります。ここを見る習慣がつくと、涙やけの話は毎日の流れの中に収まります。
拭くときに何を布に含ませるかも、場所で決まります。口の横とあごの下は、マルチーズが自分で舐める場所です。水を飲んだあとにあごが濡れ、食べたあとに口のまわりをなめる。そこに残るものは、口に入る前提で選ぶことになります。mofuwa グルーミングスプレーは清涼飲料水と同じ水質の規格で検査されているので、舐める場所に残っても差し支えありません。グルーミングスプレーは布に出してから、口の横からあごの下へ順に押さえていきます。乾いた布だけで毎日押さえていると、色を落としたくなってこすってしまう日が来ます。含ませた布なら、力を入れずに水分だけ移せます。
毛の長さと向きは、トリミングで変えられる数少ない条件です。目に毛が当たっていること自体が、涙を増やす理由になります。また、口の横の毛が長く垂れていると、そこが行き止まりになって水分が留まります。ただし、目の近くにハサミを入れるのはご自身でやらないでください。動いた拍子に目を傷つける事故が起きます。サロンで、目に毛が当たらない長さと、顔まわりの毛が流れる向きを整えてもらってください。
毛についてしまった色は、その毛が伸びて切られるまで残ります。色を抜くもので白く戻すという考え方は、目のすぐ下では危険です。いま色がついている毛を白くすることはできませんが、これから伸びてくる毛に色をつけないことはできます。毎日のケアで防ぐというのは、そちらの話です。手をかける先を、いまの色から、これから伸びる毛へ移してください。
続けていると、変化は色の濃さではなく境目の位置に出ます。いちばん外側の色が先に薄くなり、新しく伸びた根元の側が白いまま保たれる。この形が見えたら、順番が合っています。数日では分かりません。同じ場所を同じ明るさで週に一度撮っておくと、記憶ではなく記録として積み上がり、その子ごとの変わり方が経験として残ります。マルチーズは毛が白いぶん、この経験がいちばん早く目に見える犬種でもあります。
白い毛だから初日に見える変化|目だけは数日で線を引く
白い被毛は、涙やけを目立たせる一方で、変化にいちばん早く気づける条件でもあります。色の濃い子なら見えないものが、マルチーズでは初日から見えます。この見えやすさを、心配の種ではなく記録に使ってください。ただし、次の変化は毎日のケアで様子を見る対象ではありません。
- 片側だけ濃くなった:顔の作りは左右でほぼ同じです。片方だけの変化は、毛や距離では説明がつきません
- 数日で急に増えた:毛の長さは数日では変わりません。運ばれる距離が同じなのに量が増えたときです
- 色ではなく質が変わった:さらさらだった涙に粘り気が出た、目やにの色が変わった
- 目を気にしている:前足でこする、床に顔をこすりつける、まばたきが増えた、まぶしそうにしている
- 目のまわりの皮膚が赤い、においがある:濡れた状態が長く続いたあとに起きることがあります
目は、家で様子を見てよい期間がとくに短い場所です。皮膚の変化なら2週間ほど記録してから判断することもありますが、目については数日で判断してください。上の5つのうち1つでも見えているなら、毎日のケアを続ける前に動物病院で診てもらってください。目は半日で状態が変わることがある場所なので、週明けを待たずに電話してかまいません。
動物病院へ行くときは、いつから、どちらの目か、家で使っているものはあるかをメモしていってください。週に一度撮っていた写真があれば、それがそのまま経過の記録になります。診察の前に目のまわりをきれいに拭いてしまうと、目やにの状態が分からなくなることがあります。その日は拭かずに連れて行ってください。
診てもらったあとも、家でやることは変わりません。運ばれた先を濡れたままにしない、これだけです。朝と夜、グルーミングスプレーを含ませた布で、口の横からあごの下へ順に押さえていきます。目のまわりに直接吹きかけないでください。布に出してから当てる、という順番だけは崩さないでください。白い毛は、続けたぶんがそのまま境目の位置に出てきます。
最後にもう一度だけ。マルチーズの涙やけで見るところは、目のふちではありません。そこから離れた、涙が止まる場所です。白くまっすぐな毛が涙を運ぶという作りは変えられませんが、運ばれた先が濡れている時間は、今日から短くできます。毎日のケアで防ぐというのは、その1日ぶんを積み重ねていくことです。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
