C05犬種・猫種別ケア

マルチーズのシルキーコート|涙やけを毎日のケアで防ぐ

公開日 2020年10月6日|文=mofuwa編集部

明るい室内で休んでいる、白く長い毛の小型犬
白くてまっすぐな毛は、涙を目から遠くまで運びます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

マルチーズの顔を正面から見ていて、口の横あたりの毛がうっすら黄色いことに気づく日があります。目のふちはきれいなのに、そこから何センチも離れた場所だけ色が変わっている。涙やけは、涙が出た場所ではなく、涙が止まった場所に出ます。涙の量が急に増えたわけではありません。白く細くまっすぐな絹毛が、涙を遠くまで運んだ結果です。この記事は、その距離の話から始めます。

目のふちから離れた場所が色づく理由|マルチーズの毛の作り

マルチーズの被毛は、シルキーコートと呼ばれます。白く、細く、まっすぐで、途中で抜け落ちずに伸び続ける一枚の毛です。下毛がほとんどなく、上毛だけが床に届くまで伸びていきます。切らずにいると体の高さを超えて伸びる子もいて、その長さのぶんだけ、毛は「道」として長くなります。

この作りは、涙にとって都合がよすぎます。まっすぐな毛は、細い管のようにふるまいます。目のまわりからあふれた涙は、毛の根元から毛先へ、毛の表面をつたって移動していきます。巻いている毛なら曲がりのところで止まる涙が、まっすぐな毛では止まりません。目のまわりが濡れて、そのまま先へ先へと送られていきます。

毛の作りと、涙の動きの関係
毛の作り涙がどう動くか
まっすぐで長い(マルチーズ)毛の表面をつたい、毛先の方向まで運ばれる
巻いている曲がりのところで止まり、根元の近くに留まる
短く伸びが止まる毛運ばれる距離そのものが短い
白い・色が薄い毛運ばれた先の色が、そのまま外から見える

マルチーズの涙やけは、出る量ではなく、運ばれる距離で決まります。目のふちから1センチのところで止まる子と、4センチ先まで届く子がいて、その差は涙の量ではなく、毛の長さと向きで説明がつきます。同じ量の涙でも、届く先が違えば、色がつく面積はまるで変わります。

そしてもうひとつ、白い毛は運ばれた先まで全部見せてしまいます。色の濃い毛なら同じことが起きていても分かりません。マルチーズの涙やけが「ひどく見える」ことの半分は、この毛の色の話です。目のふちを見て「今日はきれいだ」と思っても、色は少し離れた場所に出ています。見る場所を、目のふちから外へずらしてください。

Note顔の作りは、あふれやすさのほうに効きます

鼻が短めで、目が大きく前に出ている子は、涙の通り道が短く曲がっているぶん、涙があふれやすくなります。ただし、あふれやすさと、色が遠くまで広がることは別の条件です。マルチーズの場合、あふれやすさは他の小型犬と大きく変わらなくても、運ばれる距離が長いために、目のまわりから離れたところまで変色が届きます。この2つを分けて見ておくと、どこに手を入れればいいかが決まります。

運ばれた距離で考える、マルチーズの涙やけの考え方

考え方をここで切り替えます。量を減らそうとするのをやめて、距離を短くするほうに手を使ってください。涙の量は家では変えられません。距離と、濡れている時間は変えられます。手を入れられるのは、変えられるほうだけです。

涙が色に変わるまでの経路 目からあふれた涙が毛をつたって運ばれ、運ばれた先で乾かないまま留まって色に変わるまでの流れです。色が出るのは3番目の場所で、1番目ではありません。 目のふち あふれる 毛の道 つたう 止まる先 色が出る まっすぐな毛 乾かないまま 目の下だけを拭いた場合 運ばれた先はそのまま 色は先で広がり続ける 止まる先から拭いた場合 濡れている時間が短い 色の広がりが止まる
色が出るのは3番目の場所です。目のふちを見ていても分かりません。

涙やけを毎日のケアで防ぐというのは、ついてしまった色を落とすことではありません。運ばれた先が濡れている時間を短くする、という意味です。乾いていれば、そこで色は進みません。濡れたままの時間が長いほど、同じ量の涙でも色は濃くなり、面積も広がります。防ぐためにできることは、この一点に集まります。

だから最初に、変えられるものと変えられないものを分けておきます。

変えられるもの、変えられないもの
条件家で変えられるか
涙の量変えられません
顔の作り変えられません
毛の色変えられません
毛の長さと向きトリミングで変えられます
濡れている時間毎日のケアで変えられます

手を入れられるのは下の2行だけです。上の3行を変えようとする道具や手つきは、たいてい皮膚のほうを傷めます。色を消そうとしてこする、色を抜くものを使う、人用のものを目の近くで使う。どれも避けてください。目のすぐ下は皮膚が薄く、犬は自分でも顔をこすります。目に入る前提で考えたほうが安全です。

距離で考えると、日々やることの優先順位も変わります。いちばん濡れている時間が長いのは、目のふちではなく、運ばれた先です。目のふちは涙が通過していく場所で、そこから先へ送られていきます。行き止まりになっているのは、毛が下を向いて、そこで水分が留まる場所のほうです。マルチーズなら、多くは口の横から頬にかけての一帯になります。

拭き取りは目の下より先へ|涙やけを毎日のケアで防ぐ順番

拭き取りは、たいてい目の下から始めます。ですが、色が濃くなるのは運ばれた先のほうです。順番を逆にしてください。これがこの記事で伝えたい、いちばん実務的なところです。

  1. 色がついている、いちばん遠い場所から拭く

    口の横、頬、あごの上。目から遠い場所を先に、乾いた布で押さえます。そこがその日いちばん長く濡れていた場所です。こすらず、布に水分を移すだけにしてください。汚れを落とそうとしなくて構いません。

  2. そこから目のほうへ、戻る向きで進める

    遠い場所から目のふちへ向かって、順に押さえていきます。逆向きにやると、目のふちの湿りを毛づたいに先へ広げることになります。拭き取りの向きは、涙が運ばれた向きと逆にとります。1回に使う布の面も、途中で替えてください。

  3. 目のふちは最後に、いちばん軽く

    目のすぐ下は皮膚が薄く、犬は自分で前足を使って顔をこすります。力を入れず、当てて離すだけにしてください。目のまわりに何かを直接吹きかけるのも避けます。使うものがあるなら、布やコットンに含ませてから当ててください。

  4. 食後に一度、口の横だけを見る

    マルチーズの口の横は、涙が運ばれてくる場所であると同時に、食事や水で湿る場所でもあります。1日のうちに2つの理由で濡れる場所です。朝晩の拭き取りに加えて、食後に一度だけ見ておくと、変色の進み方がはっきり変わります。ここを見る習慣がつくと、涙やけの話は毎日の流れの中に収まります。

拭くときに何を布に含ませるかも、場所で決まります。口の横とあごの下は、マルチーズが自分で舐める場所です。水を飲んだあとにあごが濡れ、食べたあとに口のまわりをなめる。そこに残るものは、口に入る前提で選ぶことになります。mofuwa グルーミングスプレーは清涼飲料水と同じ水質の規格で検査されているので、舐める場所に残っても差し支えありません。グルーミングスプレーは布に出してから、口の横からあごの下へ順に押さえていきます。乾いた布だけで毎日押さえていると、色を落としたくなってこすってしまう日が来ます。含ませた布なら、力を入れずに水分だけ移せます。

毛の長さと向きは、トリミングで変えられる数少ない条件です。目に毛が当たっていること自体が、涙を増やす理由になります。また、口の横の毛が長く垂れていると、そこが行き止まりになって水分が留まります。ただし、目の近くにハサミを入れるのはご自身でやらないでください。動いた拍子に目を傷つける事故が起きます。サロンで、目に毛が当たらない長さと、顔まわりの毛が流れる向きを整えてもらってください。

Caution色を落とそうとしないでください

毛についてしまった色は、その毛が伸びて切られるまで残ります。色を抜くもので白く戻すという考え方は、目のすぐ下では危険です。いま色がついている毛を白くすることはできませんが、これから伸びてくる毛に色をつけないことはできます。毎日のケアで防ぐというのは、そちらの話です。手をかける先を、いまの色から、これから伸びる毛へ移してください。

続けていると、変化は色の濃さではなく境目の位置に出ます。いちばん外側の色が先に薄くなり、新しく伸びた根元の側が白いまま保たれる。この形が見えたら、順番が合っています。数日では分かりません。同じ場所を同じ明るさで週に一度撮っておくと、記憶ではなく記録として積み上がり、その子ごとの変わり方が経験として残ります。マルチーズは毛が白いぶん、この経験がいちばん早く目に見える犬種でもあります。

白い毛だから初日に見える変化|目だけは数日で線を引く

白い被毛は、涙やけを目立たせる一方で、変化にいちばん早く気づける条件でもあります。色の濃い子なら見えないものが、マルチーズでは初日から見えます。この見えやすさを、心配の種ではなく記録に使ってください。ただし、次の変化は毎日のケアで様子を見る対象ではありません。

目は、家で様子を見てよい期間がとくに短い場所です。皮膚の変化なら2週間ほど記録してから判断することもありますが、目については数日で判断してください。上の5つのうち1つでも見えているなら、毎日のケアを続ける前に動物病院で診てもらってください。目は半日で状態が変わることがある場所なので、週明けを待たずに電話してかまいません。

動物病院へ行くときは、いつから、どちらの目か、家で使っているものはあるかをメモしていってください。週に一度撮っていた写真があれば、それがそのまま経過の記録になります。診察の前に目のまわりをきれいに拭いてしまうと、目やにの状態が分からなくなることがあります。その日は拭かずに連れて行ってください。

診てもらったあとも、家でやることは変わりません。運ばれた先を濡れたままにしない、これだけです。朝と夜、グルーミングスプレーを含ませた布で、口の横からあごの下へ順に押さえていきます。目のまわりに直接吹きかけないでください。布に出してから当てる、という順番だけは崩さないでください。白い毛は、続けたぶんがそのまま境目の位置に出てきます。

最後にもう一度だけ。マルチーズの涙やけで見るところは、目のふちではありません。そこから離れた、涙が止まる場所です。白くまっすぐな毛が涙を運ぶという作りは変えられませんが、運ばれた先が濡れている時間は、今日から短くできます。毎日のケアで防ぐというのは、その1日ぶんを積み重ねていくことです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。