C05犬種・猫種別ケア

ヨークシャーテリアはなぜ毛のもつれが起きやすいのか。シルキーコートから考える

公開日 2020年10月13日|文=mofuwa編集部

長い毛を床まで垂らして座っているヨークシャーテリア
細い毛ほど、絡んでから締まるまでの時間が短くなります。写真:Merlin Lightpainting/Pexels

ヨークシャーテリアの毛は、切らずにいると床につくまで伸び続けます。そのうえ1本1本が絹糸のように細く、指ではさんでも手ごたえがないほどです。細い毛は、太い毛より少ない力で絡みます。だからもつれは、前ぶれらしい前ぶれのないまま始まります。ここでは、ヨークシャーテリアで手を入れる間隔が他の犬種より短くなる理由を先に説明してから、毎日の手順に進みます。

ヨークシャーテリアの毛が、少ない力で絡む理由

ヨークシャーテリアの被毛は、絹毛(シルキーコート)と呼ばれる作りを持っています。まっすぐで、表面がなめらかで、光をよく通す。見た目のうつくしさとして語られる特徴ですが、もつれの起き方を決めているのも、まったく同じ作りです。

絹毛の作りが、もつれにどう効いているか
毛の作りもつれへの効き方
1本が細い軽く曲がる。触れただけで隣の毛と組み合う
伸び続けて、止まらない同じ1本が長く残り、他の毛と接している面が増える
下毛が乏しい毛の束としての厚みがなく、静電気で広がりやすい
まっすぐで表面がなめらかいったん組み合うと、するりと滑って締まっていく

とくに効いているのは、いちばん上の「細い」です。絡むかどうかは、毛が動いた距離ではなく、毛が曲がるのに要る力で決まります。太くて張りのある被毛は、こすれても元の向きに戻ろうとします。細い毛にはその戻る力が乏しいので、曲がった形のまま隣の毛と組み合ったままになります。

換毛期についても、他の犬種とは事情が違います。上毛と下毛の入れ替わりがはっきりしている犬種では、季節ごとにまとまって抜けます。ヨークシャーテリアの被毛は換毛期の輪郭がぼやけていて、抜けた毛が季節にまとまらず、少しずつ被毛の中に残ります。残った毛は落ちずに絡む相手になります。「うちの子は抜け毛が少ないから」という感覚と、実際に被毛の中にたまっている量は、しばしばずれます。

Note同じ長さでも、毛の太さで話が変わります

「毛が長いから絡む」と説明されることが多いのですが、長さだけなら、太くて長い被毛の犬種も同じ条件です。実際に間隔を詰める必要があるのは、長さより細さのほうです。ヨークシャーテリアで週に一度のブラッシングが追いつかないのは、伸びるのが速いからではなく、絡むのに要る力が小さいからです。

組み合ってから締まるまでが速い|間隔が短くなる理由

もつれは、いきなり毛玉になるわけではありません。段階を踏んで進みます。手を入れる間隔を考えるうえで大事なのは、どの段階に、どれくらいの時間とどまるかです。

もつれが進む4つの段階と、細い毛での進み方
段階起きていること絹毛での進み方
1 触れ合う毛先どうしが同じ向きに寝る毎日どこかで起きています
2 組み合う毛先が互いをまたぐ指でほどけます。手を入れるのはここ
3 締まる動くたびに結び目が小さくなる2からの間隔が短い。1日で越えることがあります
4 芯になる根元側に引き寄せられ、固まる家で扱う段階を越えています

太い毛の犬種では、2の状態が数日つづきます。だから週末にまとめて手を入れても、そのあいだに見つけられます。ヨークシャーテリアの絹毛では、2と3のあいだが短く、飛び越えるように進むことがあります。週に一度の間隔だと、2を見つけられずに、3か4になったものだけを見ることになります。

「気づいてからでは遅い」というのは、注意深さの話ではありません。気づける状態がそこにとどまっている時間が短い、という構造の話です。毎日のブラッシングをすすめられる理由も、熱心さを求めているからではなく、2の段階に手が届く間隔がそこしかないからです。

Point間隔は、毛の長さではなく毛の細さで決める

サマーカットにして短くしても、1本の細さは変わりません。短くすると絡む面積は減りますが、絡みやすさそのものは変わらないので、間隔を空けてよい理由にはならないと考えてください。長さを変えたときに減るのは「1回にかかる時間」で、「手を入れる回数」ではありません。

毛先から根元へ|毎日3分で終わらせる順番

毎日やるものは、短くないと続きません。ヨークシャーテリアのもつれに対して家でやることは、「探して、2の段階のうちに外す」だけです。全身をていねいに梳かしきる作業ではないので、慣れれば3分ほどで終わります。順番を決めておくと、探す時間がほとんどなくなります。

  1. 乾いた状態で始める

    水も、うるおいを足すものも、先にはつけません。細い毛は、濡れているあいだに締まります。濡らしてからほどこうとすると、組み合っている場所がそのまま小さくなります。乾いていれば、毛どうしが滑るので指で外せます。

  2. こすれる4か所から先に見る

    耳のうしろ、脇の下、内股、しっぽの付け根。この4か所は、体が動くたびに毛どうしがこすれる場所です。もつれの多くはここから始まります。首輪やハーネスが当たる位置がある子は、そこを5か所目に足してください。全身を順に梳かすより、この4か所を毎日見るほうが確実です。

  3. 毛先を1〜2センチだけ、指でほどく

    ブラシより先に指です。組み合っているだけの場所は、指で毛束を2つに割るだけで外れます。ここで外せるかどうかが、2の段階か3の段階かの見分けそのものになります。指で割れないものは、無理をせず後回しにしてください。

  4. 手のひらで根元を支えて、段を下げる

    毛先が通るようになったら、支える手を1〜2センチ根元側にずらし、そこから毛先に向かって梳かします。これを繰り返して、少しずつ根元に近づけます。支える手がないと、力がそのまま皮膚に伝わります。絹毛は細いぶん、引っぱられた感覚が皮膚に届きやすい毛です。

  5. 最後に、広がった毛を落ち着かせる

    梳かし終わったあと、毛が静電気でふわりと広がっていることがあります。広がった毛は、寝ているあいだにまた組み合います。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて、背中から毛先へ一方向になでてください。毛の向きがそろうので、朝までに新しく組み合う面が減ります。使うのは、指とブラシでほどく作業が終わったあとです。濡らしてからほどく順番にはしないでください。

この順番のうち、どうしても1つしかできない日は、2つ目の「こすれる4か所」だけにしてください。やり方を短くするより、見る場所を減らすほうが、翌日に持ち越す量が少なくなります。

毎日やる前提で選ぶと、手元に置けるものは限られます。mofuwa グルーミングスプレーを毎日の3分に組み込めるのは、口のまわりや足先の毛にも使えるからです。もとはアルカリ電解水で、余分な皮脂と油が乳化して落ちます。ヨークシャーテリアは口元の毛が長く、食べたあとの汚れがそのまま毛に残ります。舐めても差し支えのない基準でつくられているので、口のまわりに使う量を気にしなくて済みます。唾液や食べ物で濡れた毛は乾くときに締まるので、汚れが残っている場所は、そのままもつれの始まりに近い場所です。

ヨークシャーテリアのもつれで、やり方がつまずく3か所

手順そのものは難しくありません。それでも追いつかなくなるときは、たいてい次の3つのどれかが起きています。どれも、他の犬種なら通用するやり方です。

  1. 週末にまとめてやる日を作っている

    いちばん多いつまずきです。まとめてやる方式は、2の段階が数日とどまる被毛でしか成立しません。絹毛では、まとめ日までに段階が変わってしまいます。1回30分を週に1回より、3分を毎日のほうが、合計時間はむしろ短くなります。

  2. 表面を通しただけで終わっている

    ヨークシャーテリアの毛は表面がなめらかなので、ブラシが上を滑って「通った」ように感じられます。ところが下の層では組み合ったままということが起こります。梳かしたあと、毛を手で左右に分けて、地肌の見える線が最後まで通るか確かめてください。分け目が途中で止まるなら、そこにもつれが残っています。

  3. 短く切れば解決すると考えている

    伸び続ける毛なので、切っても伸びは止まりません。短くすると1回が楽になり、それ自体は意味があります。ただし間隔を空けてよくなるわけではないので、「切ったから週1回でいい」に切り替えると、数週間後に元の状態に戻ります。カットは、頻度を減らすためではなく、1回を軽くするための手段として考えてください。

Caution引っぱってほどかないでください

締まったもつれを引き抜くと、根元の毛ごと動きます。細い毛は途中で切れやすく、切れた短い毛が残ると、それが次のもつれの芯になります。指で割れないものは、その日のうちに無理をせず、トリミングサロンに相談してください。皮膚を引っぱられる痛みを覚えると、翌日から触らせてもらえなくなります。

同じ場所にもつれが戻るとき、家で続けてよい範囲

毎日手を入れているのに、同じ場所だけ何度ももつれる。このときは、手順の問題ではなくその場所に何かが当たり続けていると考えてください。ヨークシャーテリアのもつれは、こすれる場所を正直に映します。

最後のものだけ、扱いが違います。同じ場所を自分でなめ続けているときは、もつれが原因なのか、なめる理由が別にあるのかを家で切り分けられません。ほどいたあともなめ続けるようなら、そこを見てもらってください。

Cautionもつれの下の皮膚に、変化が出ているとき

もつれの下の皮膚が赤い、においがある、湿っている、触ると嫌がる・声を出す、同じ場所をなめ続けている、指で割れないかたまりが数か所に増えている、脚を上げたときや歩き方に違いが出ている。このうち1つでも出ているなら、その日のもつれを外すより先に、動物病院で皮膚を見てもらってください。もつれは皮膚を引っぱるので、皮膚の側に変化が出ていることがあります。

家で続けてよいのは、指で割れる段階のもつれを、毎日その日のうちに外すことまでです。ここから先を家で扱おうとすると、道具が要り、力が要り、痛みが出て、翌日の3分が続かなくなります。ヨークシャーテリアの毛は伸び続けるので、この3分は一生のあいだ続く作業になります。続けられる形にしておくことが、いちばん確実です。

Product

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よくある質問

毎日ブラッシングする時間が取れません。何日おきまでなら大丈夫ですか?
日数で線を引くより、こすれる4か所(耳のうしろ・脇の下・内股・しっぽの付け根)だけを毎日見る形にしてください。全身を梳かすのは間隔が空いてかまいません。絹毛では、組み合った状態にとどまる時間が短いので、短くても毎日触るほうが結果として楽になります。
もつれた場所を、少し濡らしてからほどいてもいいですか?
おすすめしません。細い毛は濡れているあいだに締まるので、ほどこうとしている結び目がそのまま小さくなります。乾いた状態のほうが毛どうしが滑ります。指で割れないものは、濡らして粘るより、トリミングサロンに任せてください。
サマーカットにすれば、もつれは起きなくなりますか?
絡む面積は減りますが、毛1本の細さは変わらないので、絡みやすさ自体は残ります。短くして楽になるのは1回にかかる時間のほうです。カットしたあとも、手を入れる間隔は空けないでください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。