C08季節・行事
着物を着せる日|毛が乱れるのは、脱がせる時のほう
帯ひもを抜いた瞬間に背中の毛が一本ずつ立ち上がって、30分前に整えたばかりの形が消えます。七五三の日に家で起きる毛の乱れは、着ているあいだよりも、この脱がせる数十秒に集まります。布が毛の流れと逆向きに動く回数が、着せるときの2回に対して、脱がせるときは5回あるからです。11月の中ごろは暖房を入れ始めて室内の湿度が下がる時期でもあり、布と毛が離れる瞬間に静電気が乗ります。この記事では、着せる側と脱がせる側を別々に数えて、どちらに手を入れると七五三の着物で毛の乱れが減るのかを分けて考えます。
軸1・布が毛の流れと同じ向きに動く|七五三の着物で毛の乱れが起きない条件
着せているあいだ、布はほとんど毛の流れと同じ向きに動いています。頭から背中へ下ろし、胴に回して、尾のほうへ流す。七五三の日に着物を着せる手つきは、たいていこの向きに揃います。毛は首から尾へ、背から腹へ寝ているので、布が同じ向きに滑るかぎり、毛は倒れる側に押されるだけです。ここで毛の乱れはまだ起きていません。
逆向きになるのは、着せる工程のなかで2か所だけです。数える対象をこの「布が毛の流れと逆向きに動いた回数」に決めておくと、あとの手当てがどこに要るのかが、当日の場面でそのまま見分けられます。
- 前足を袖に通す瞬間:袖口の内側が、前足の毛を手先から肩の向きへさかのぼります。これが1回目です
- 帯ひもを締め直す瞬間:ゆるんだ布をいったん持ち上げてから結び直すので、腹側の毛が尾から首の向きへ起こされます。これが2回目です
| 順番 | 布の動く向き | 毛への当たり方 |
|---|---|---|
| 首を通す | 上から下へ | 毛の流れと同じ。倒れる側へ押される |
| 背中へ下ろす | 首から尾へ | 同じ向き。表面の毛がむしろ揃う |
| 前足を袖へ入れる | 手先から肩へ | 逆向き1回目。肘の外側で毛が起きる |
| 胴に帯を回す | 背から腹へ | ほぼ同じ向き。脇の下だけ巻き込む |
| 帯ひもを締め直す | 尾から首へ | 逆向き2回目。腹の毛が前へ起きる |
11月の中ごろは、暖房を入れ始める家が増える時期です。室温が上がると、部屋の空気に含まれる水分量が同じでも湿度の数字は下がります。換毛期に抜けきらなかった下毛が地肌の近くに残っているところへ、乾燥した空気と布が重なる。七五三の着物で出る毛の乱れは、こすれた回数だけでなく、この乾いた空気の側の条件と半分ずつで決まります。季節の変わり目にブラシの通りが変わったと感じている家ほど、当日の差が大きく出ます。
着せる側の条件をまとめると、逆向き2回と、着せ始めの時点ではまだ乗っていない静電気、この2つだけです。着物の合わせがきれいに出ているうちは、毛のほうもまだ整っています。飼い主が「思ったより乱れないな」と感じるのはこの段階で、そのまま撮影に入るので、崩れる場面を見ないまま当日が進みます。
軸2・逆向きに5回動く数十秒|着物を脱がせたあとの毛の乱れの見分け方
脱がせるとき、布は来た道を逆にたどります。着せるときに毛の流れと同じ向きだった動きが、そのまま全部ひっくり返るので、逆向きになる回数は2回から5回に増えます。しかも脱がせる作業は1分に満たない時間で終わります。手つきが早くなるぶん、1回あたりに毛へ加わる力も強くなります。
- 帯ひもをほどく:結び目に巻き込まれた毛ごと引くことになります。腹の脇で毛が束のまま起きます
- 帯を胴から外す:布が腹側を尾から首へこすります。着せるときに巻き込んだ脇の下が、ここで2度目に触られます
- 袖から前足を抜く:袖口が肘から肩へさかのぼります。着せるときと同じ場所を、逆に強い力で通ります
- 背中の布を持ち上げる:背中の毛が根元から起こされます。面が広いので、乱れも広い範囲に出ます
- 首元から抜く:耳の後ろとのどの毛が逆撫でされます。ここが5回目で、いちばん目立つ場所です
脱がせ終えた直後の毛の乱れは、こすれで起きたものと、乾いた空気で起きたものが混ざっています。手当ての順番が違うので、先に分けます。見分けるのに道具は要りません。手のひらを少し湿らせて、乱れている面を一方向に1回だけ撫でます。
| 見るところ | こすれ(布の5回) | 乾いた空気(静電気) |
|---|---|---|
| 乱れている形 | 布の通り道に沿って帯になる | 毛先が放射状に散る |
| 出ている場所 | 袖口・帯の下・首元 | 背中と腰の広い面 |
| 手で寝かせたあと | そのまま寝ている | 数秒でまた立ち上がる |
| 湿らせた手で1回撫でる | 毛先がもつれて残る | 1回で揃う |
| 翌朝 | 同じ形が残っている | 跡が残らない |
| 先にやること | 根元から少しずつ梳かす | 室温と湿度のほうを動かす |
表の最後の行が、この見分け方をする理由です。静電気で立っている毛をブラシで押さえにいくと、ブラシとのあいだでもう一度こすれて、乱れの範囲が広がります。逆に、こすれてもつれた毛を湿らせただけで放っておくと、そこが起点になって翌日に絡みます。同じ「毛が乱れている」でも、打つ手は反対向きです。
もうひとつ数えておくと役に立つのが、着せてから脱がせるまでの時間です。撮影の順番を待って1時間着ていた日と、20分で終わった日では、布と毛が密着していた時間が3倍違います。気温が下がって暖房の時間が延びるほど、この差はそのまま静電気の量になって返ってきます。七五三の日の予定を組むときは、着せる時刻を早めるより、脱がせる場所を先に決めておくほうが効きます。
着せる2回と脱がせる5回の比較|七五三の着物で毛の乱れが出る場所は違う
着せる側と脱がせる側は、乱れる回数だけでなく、乱れる場所も違います。同じ着物を通しているのに出る場所が違うのは、布の動く向きが反対だからです。並べてみると、当日どこを見ておけばよいのかが決まります。
| 見るところ | 着せるとき | 脱がせるとき |
|---|---|---|
| 布が逆向きに動く回数 | 2回 | 5回 |
| かかる時間 | 3分から5分 | 1分に満たない |
| 手つき | 位置を合わせながらゆっくり | 早く終わらせたくなる |
| 乱れる場所 | 肘の外側と腹 | 背中・首元・脇の下 |
| 静電気の乗りかた | 着はじめはまだ少ない | 着ていた時間ぶん乗っている |
| 直すのにかかる手数 | その場で1回撫でれば足りる | 梳かし直しが2回か3回 |
| 当日わかるか | 撮影前なので気づける | 終わったあとなので放置されやすい |
| 結論の行 | 毛の乱れの入口はこちらではない | 七五三の着物で形が崩れるのはこちら |
表の最後の行が、この記事で言いたいことです。着せるときの2回は、鏡の前でその場で直せます。脱がせるときの5回は、撮影が終わって人も犬猫も気が抜けたあとに、まとめて来ます。写真を見返す時間になっていて、毛の状態を見ている人がいません。翌朝になって背中の毛が波打っていることに気づく、という順番になります。
場所の違いも、そのまま手当ての順番になります。肘の外側と腹は、どちらも自分でなめて整えられる場所です。ところが背中・首元・脇の下の3か所は、その子が自分で届きにくい場所です。脱がせるときにできた毛の乱れが翌日まで残りやすいのは、こすれた力が強いからだけでなく、あとから本人が直せない場所に出ているからでもあります。
3か所に絞れると、当日の手数も読めます。背中は面が広いぶん時間がかかりますが、毛先が散っているだけなら梳かさずに済みます。首元は輪になって乱れるので、輪の内側から外へ向かって順に。脇の下は着せるときと脱がせるときの両方で触られている唯一の場所なので、もつれがあるとすればここです。この3か所以外を触らないと決めておくと、脱がせたあとの手当ては5分で終わります。
手を入れるのは着せる前と脱がせる前のどっちか|七五三の日に毛の乱れを減らす順番
手を入れるなら、脱がせる前の30秒です。着せる前に念入りに整えても、その効き目は布をかぶせた時点で布の下に隠れます。逆に脱がせる前の30秒は、5回ぶんの逆向きが起きる直前なので、同じ手間が5回に効きます。七五三の着物で毛の乱れを減らす手は、この順番で組みます。
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帯ひもは、ほどく前にゆるめる
結び目を引いてほどくと、結び目に巻き込まれた毛を一緒に引き抜くことになります。先に輪を大きくしてから、毛を落としてほどきます。ここだけで、腹の脇の乱れがほとんど出なくなります
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袖は引かずに、前足を後ろへ抜く
袖を手前に引くと、袖口が肘から肩へさかのぼります。布を持った手を動かさずに、前足のほうを後ろへ送ると、毛の流れと同じ向きで抜けます
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背中の布は持ち上げず、尾のほうへ滑らせる
持ち上げる動きが、背中の毛を根元から起こしています。布を体につけたまま尾の側へ滑らせて落とすと、面の広い背中で毛が立ちません
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首元は最後。耳の後ろを押さえてから抜く
いちばん目立つ場所なので、いちばん最後にします。反対の手で耳の後ろの毛を軽く押さえたまま抜くと、のどの毛が逆撫でされる範囲が狭くなります
この4つの前後に、mofuwa グルーミングスプレーを1本はさんでおくと、毛の向きが揃った状態で布と触れます。犬も猫も、毎日体から脂を出します。前の日に整えても、翌日には脂と外の汚れが同じだけ乗り直します。それでも毎日シャンプーはできませんし、サロンに毎日通うこともできません。この1本は、その「毎日きれいにしてあげたい」を実際に毎日やれる形にしたものです。着物を着せる日のためだけに買うものではなく、前の週からの毎日の中に入っているほうが、当日の毛の状態が変わります。
着せる前は、吹きかけてブラシを1回通すだけで足ります。電解水と油がなじんで乳化するので、汚れのもとになっている余分な脂は落ち、地肌に要る皮脂のほうは残ります。表面の脂が減ると毛どうしの張りつきが減り、布が上を滑る面が均一になります。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、乾燥した室内でも静電気の起きにくい状態のまま梳かせます。11月の乾いた部屋では、この一点だけで脱がせたあとの散らばり方が変わります。
脱がせたあとは、背中・首元・脇の下の3か所にもう一度かけて、根元から梳かします。量は気にしなくて構いません。清涼飲料水の規格基準をクリアした水でできているので、首元のように必ずなめる場所にも、前足にも、そのままかけられます。着物を脱いだ直後は自分でなめて整えようとする子が多いので、口に入るかどうかを見張らなくていいことが、そのまま手を止めない理由になります。
この日だけ特別なことをしないのが、いちばん楽な組み方です。前の週から毎日ブラシを通していれば、当日やるのは着せる前に1回、脱がせたあとに3か所。増える手数は2つだけで済みます。
脱がせた翌日になっても背中の毛が寝ない/布が通っていない脇の下の地肌が赤い/逆向きに動いた5か所とは関係のない場所で毛が薄くなっている/同じ場所を着せていない日にもなめ続けている。こうした残り方は、逆向き2回と5回では説明がつきません。着せていた時間、その日の室温、乱れが出た場所の3つを書き留めて、動物病院で診察の時間を取ってください。着ていた時間と場所が分かっていると、着物によるこすれとそれ以外を分けて見てもらえます。
撮影が終わった夜にやる3行|着物をしまう前と、次の日の室温
その夜にやることは3行です。背中・首元・脇の下を1回ずつ梳かす。着物の内側に残った抜け毛を払ってからしまう。翌日の朝、背中に跡が残っていないかだけ見る。跡がなければ、その日の乱れは乾いた空気の側だったということです。
次の年の七五三に向けて残しておく記録も、1行で足ります。着せた時刻と脱がせた時刻、そのときの室温。この3つがあれば、来年は着せる時間の長さから先に決められます。毛の乱れは毎年同じ場所に出るので、場所のほうは覚え直さなくて構いません。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 着物ではなく、ふだん着せている洋服でも同じことが起きますか。
- 布が毛の流れと逆向きに動く回数で見ると、洋服のほうが少なくなります。前足を袖に通すところは同じですが、帯がないぶん、腹側を尾から首へこする動きが減ります。代わりに、頭からかぶせる形の服は首元で1回増えます。数え方は着物と同じで、その服を脱がせる手つきを一度スローで再現して、逆向きになった瞬間を指で数えるだけです。3回を超えるようなら、脱がせ方のほうに変えられる余地があります。
- 写真館で着せてもらう場合、家でやることは何も残りませんか。
- 残るのは前日と、帰ってからです。館で着せてもらう場合でも、毛の向きを揃えた状態で持って行けるかどうかは家の側の話になります。帰ってから脱がせるのも家です。館で脱いでくる場合も、移動のあいだに服や抱っこでもう一度こすれるので、玄関で背中と首元だけ見ておくと、翌朝に持ち越しません。
- 換毛期の終わりに着せたので、着物の内側が抜け毛だらけになりました。
- 布の内側にたまった抜け毛は、脱がせる5回のうち3回ぶんで毛の表面へ押し戻されています。乱れているように見えて、実際は抜けた毛が表面に乗っているだけ、という状態が混ざります。脱がせたあとに一度、毛の流れと同じ向きに手を滑らせて、表面の抜け毛を落としてから見てください。その時点でまだ立っている毛だけが、こすれと乾燥で乱れた毛です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
