C11比較・選び方

ブラシの選び方|スリッカー・ピン・ラバーの使い分け

公開日 2020年12月30日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い木の床で、静かに伏せている長毛の淡い色の犬
同じ1回でも、先端が止まる層が違えば、毛に起きることは別のものになります。写真:K/Pexels

ブラシ売り場で3本を持ち比べても、手のひらに刺さる感じの違いしか分かりません。柄の形も毛足の長さも、その場では決め手になってくれません。犬のブラシの選び方を決めているのは、先端がその子の毛のどの層で止まるかです。上毛の表面で力が逃げるのか、下毛の層まで入るのか、面で分散するのか。スリッカー・ピン・ラバーの3本は、この一点だけが違います。だから持ち替える基準も、毛の長さと層の数という、家で確かめられる2つで決まります。

毛の層のどこで止まるか|犬のブラシは先端の届く深さで違いが出る

犬も猫も、毛は1種類ではありません。外側に張りのある上毛があり、その下に細く柔らかい下毛が入っている子がいます。下毛を持たない子もいます。ブラシを当てたとき、先端がどちらの層で止まるかで、起きることがまるで変わります。上毛の表面で止まれば流れが整い、下毛の層まで入れば抜けた毛が引き出され、面で当たれば皮膚の上をなでる形になります。

つまり、犬のブラシの選び方は道具の良し悪しを比べる話ではありません。その子の毛をかき分けて、下毛があるかどうかを見るところから始まります。背中の毛を指で左右に分けて、地肌が見えるまでに細い毛の層が出てくれば、下毛を持つ子です。上毛だけがまっすぐ地肌まで続いていれば、下毛のない子です。この1回の確認で、3本のうちどれが主役になるかが決まります。

もうひとつ見るのは長さです。背中の毛を指ではさんで引き出し、指2本ぶんより長いかどうかを確かめます。長い毛ほど先端が届く前に毛の弾力で力が逃げ、短い毛ほど力が地肌まで素通りします。だから同じブラシでも、長毛の子にはやさしく、短毛の子には強く当たります。層の数と長さ。この2つが分かれば、選び方は売り場ではなく、その子の背中の上で決まります。

力がどこへ逃げるか|犬のブラシ3種類を当たり方の条件で並べる

3本を並べるときの列は、名前でも値段でもなく、当てたときに力がどこで止まるかです。細い金属のピンがわずかに曲がっているスリッカーは、上毛を越えて下毛の層に入ります。先端に丸い玉がついて間隔の広いピンブラシは、上毛の表面から中ほどで止まります。突起の並んだラバーは、面全体で毛と皮膚に当たります。

当てたとき力がどこで止まるかで、3本の選び方が分かれる
ブラシの種類先端が止まる層力の逃げ方向いている毛の長さ1か所にかける時間
スリッカー上毛を越えて下毛の層逃げずに地肌まで届く指2本ぶんより長く、下毛のある毛20〜30秒で切り上げる
ピン上毛の表面から中ほど毛の弾力で逃げる背中の毛が指2本ぶんを超える長毛1分当てても当たりが強くならない
ラバー毛の表面と皮膚の面面全体に分散する指1本ぶんより短い毛円を描いて10周まで
★この子ならこう決める毛をかき分けて下毛があるか見る地肌に線が残る当て方をしていないか背中の毛を指ではさんで測る時間ではなく、毛が散らなくなったら止める

表の最終行が、家で使える確かめ方です。とくに見てほしいのは、地肌に細い線が残っていないかどうかです。スリッカーは下毛の層まで届くぶん、角度を立てて押しつけると先端が地肌に当たります。その子はその場では鳴きませんが、翌日から同じ場所を差し出さなくなります。当て方を確かめるのは、ブラシを置いたあと、毛を分けて地肌を見る10秒です。

使い分けの考え方は、毛の部位でも変わります。同じ子でも、背中は長く、足先と耳のうしろは短く細い毛になっています。背中に合う1本を全身に使うと、足先では強すぎ、耳のうしろでは届きません。3本そろえる家では、背中はピン、脇と内ももはスリッカーを短く、足先と顔まわりはラバーか手、という組み合わせが扱いやすくなります。

もつれた日はどっちから入れるか|犬のブラシを持つ順番

もつれている日に、いちばんよく起きる間違いが、スリッカーから入れることです。絡んだ毛は、束になった根元で締まっています。そこへ下毛の層まで届く先端をいきなり入れると、締まる向きに力が加わり、玉はさらに小さく固くなります。ほどけないまま何度も引くので、その子は痛みを覚え、翌日からブラシを見ただけで逃げます。

  1. 1. 面の当たるものから触る

    ラバーか手のひらで、もつれの外側を上からなでます。表面の絡みが浮いて、玉の輪郭と数が分かります。ここで何か所あるかを数えておきます。

  2. 2. 玉の縁を指で崩す

    道具を持たずに、玉の外側から少しずつ毛を引き出します。中心を引かないのがこつです。1か所に30秒以上かけず、固ければ次の玉へ移ります。

  3. 3. 短く持ったスリッカーを縁だけに当てる

    柄の先を短く持ち、寝かせた角度で、崩した縁にだけ当てます。1か所20〜30秒。根元へ向けて押しつけず、毛先の側へ抜く向きに動かします。

  4. 4. 最後にピンで流れを戻す

    ほどけた場所を含めて、全体を毛の流れに沿って整えます。ここでもう一度、毛を分けて地肌に線が残っていないかを見ます。

この順番は、犬のブラシの選び方そのものにもつながっています。どっちを先に持つかは、その日の毛の状態が決めます。絡みのない日ならピン1本で終わりますし、換毛の時期ならラバーから入ります。3本そろえる意味は、全部を毎回使うためではなく、その日の状態に合わせて1本を選ぶためです。

頻度のほうも、順番と一緒に決めておきます。全身に3本を通す日を週に1度つくり、ふだんは1本を5分だけ。毎日5分の側に置くのは、力の逃げるブラシです。下毛の層まで届く1本を毎日当てると、地肌への当たりが積み上がります。強い当たりの1本は週に1度、弱い当たりの1本を毎日。この配分にすると、同じ回数でも皮膚にかかる負担が変わります。

換毛の時期に3本の役割が入れ替わる|犬のブラシと毎日の1本

春と秋、下毛が抜ける時期には、3本の主役が入れ替わります。ふだんは流れを整えるピンが中心でも、この時期は面で集めるラバーが先に来て、次に下毛を引き出すスリッカーが続きます。抜けた下毛は上毛の内側に残るので、表面だけを整えていると、毛の下で塊になっていきます。抜ける量が増える数週間だけ、持つ順番を入れ替えるわけです。

この時期にもうひとつ増えるのが、静電気です。空気が乾くと、乾いた毛にブラシを入れた瞬間に毛が散り、細い毛ほど互いに絡みます。そこで、ブラシを入れる前に mofuwa グルーミングスプレーを吹きかけておきます。静電気の起きにくい状態で梳かせるので、抜けた下毛はブラシの側へ集まり、散らばって舞い上がる量が減ります。これはグルーミングスプレーであると同時に、ブラッシングスプレーでもある品です。

この1本は、毎日きれいにしてあげたいという願いを、道具を増やさずに続けられる形にしたものです。毛の表面には、外から持ち帰った土やほこりと、体から出た脂が重なっています。週に1度の全身だけではその重なりが残り、梳かすたびにブラシの側へ移っていきます。毛に残った脂は、アルカリ電解水となじんで乳化します。落ちるのは汚れを抱えた側で、地肌のセラミドやスクワランは残る、という分かれ方です。成分は口に入っても差し支えのない基準でつくられているため、梳かす前に全体へ行き渡らせても構いません。

ブラシとの組み合わせで見ると、値打ちは時間に出ます。乾いたまま梳かすと、散った毛を追いかけて同じ場所を何度も通すことになります。先に湿らせておけば、1か所あたりの回数が減り、1日5分の側で終わる日が増えます。強い当たりの1本を持ち出す回数が減るので、地肌への負担も自然に下がります。持ち歩く小さい容量のものを散歩バッグに入れておくと、帰り道の足先にも同じ使い方ができます。

Caution3本を使い分けても、同じ場所だけ毛が戻らないとき

1か所20〜30秒を守っているのに、同じ場所の地肌に赤みが残る/換毛の時期を過ぎて3週間たっても抜ける量が減らない/ブラシを当てていない場所の毛が薄くなってきた/週1回の全身で、毎回同じ1か所だけ触らせない。こうした残り方は、道具の当たり方では説明がつきません。どの部位に、どのブラシを、1日何分当てているか。この3つと、抜ける量が増えた週を書き出したものを持って、動物病院で診てもらう日をつくってください。

3本そろえる前に確かめる2つ|犬と猫で持ち替える基準

そろえる順番は、下毛のあるなしで決まります。下毛のある子は、流れを整える1本と、下毛を引き出す1本の2本が先。下毛のない短い毛の子は、面で当たる1本があれば足ります。猫の場合は、自分で毛づくろいをするぶん人の手が要るのは背中の中心から腰にかけてで、当たりの弱い1本を短く使うほうが受け入れられます。

3本を全部そろえても、毎回3本を使う日は多くありません。その日の毛の状態を見て、1本を選ぶための3本です。今日できるのは、その子の背中の毛を指で分けて、下毛があるかどうかを見ておくことだけです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

よくある質問

スリッカーで地肌に線が残ってしまいました。しばらく使わないほうがいいですか。
線が残った当て方をやめるのが先で、道具そのものを外す必要はありません。多いのは、柄を長く持って手首を返し、先端が立った角度で当てているときです。柄の先を短く持ち、面を寝かせて、毛先へ抜く向きに動かすと当たりが変わります。線が残った場所は、消えるまで数日かかります。そのあいだは面で当たる1本か手のひらだけにして、毛を分けて地肌の様子を毎日見てください。触ろうとして体を引く日が続くようなら、当て方ではなく皮膚の側を見る段階です。
猫にもスリッカーやピンを使っていいですか。
使えますが、当てる強さと場所を変えます。猫は自分の口で毛づくろいをするので、人の手が要るのは口の届かない背中の中心から腰にかけてです。この範囲に、当たりの弱い1本を短い時間で使うのが基本になります。長毛の猫でもつれができやすい子では、脇と内ももに短く当てる場面が出てきますが、1か所20〜30秒で切り上げてください。犬よりも皮膚が薄く動きが速いので、時間を延ばすより、回数を分けるほうが受け入れられます。
ブラシは何本そろえれば足りますか。
1本で足りる子と、2本要る子に分かれます。下毛のない短い毛の子は、面で当たる1本で抜け毛集めも流れの整えも済みます。下毛のある子は、流れを整える1本と、下毛を引き出す1本の2本が要ります。3本目は、もつれができやすい長毛の子で、ほどく前の下ごしらえに使う面の1本という位置づけです。買い足す判断は、いま持っている1本を使ったあと、毛を分けて地肌を見たときに決めてください。抜けた下毛が上毛の内側に残っていれば、そこで2本目の出番になります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。