C02技術・エビデンス

特許5253483を、専門用語なしで説明する

公開日 2020年12月6日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の木の床で、白い猫と並んで静かに休んでいる淡い色の犬
番号のままでは何も見えてきません。台所に置き換えると、線がどこに引かれているかだけは見えます。写真:Impact Dog Crates/Pexels

ボトルの裏に小さく刷られた「特許5253483」という7桁を、台所の流しの前で声に出して読んでみたことがあります。読み上げたところで、手元にある水が何なのかは1ミリも見えてきませんでした。特許の説明に出てくるのが、電解槽・電解質・イオン交換膜・三室ダブルイン型と、台所に置いていないものばかりだからです。この記事では、特許5253483をわかりやすく読むために、書類の言葉と台所の言葉を1語ずつ突き合わせます。下敷きに使うのは、だしパックです。鍋に昆布を直接入れるか、袋に入れて沈めるか。特許5253483が登録しているのは、その差にあたる装置の形のほうです。

だしパックを鍋に沈めたときに、袋の中に残るもの|特許5253483をわかりやすく置き換える

だしパックを鍋に沈めると、出てくるのは味だけで、昆布や削り節そのものは鍋に落ちてきません。袋の目を通れるものと、通れないものが分かれているからです。使い終わったら、袋ごと持ち上げれば中身は全部そこに残っています。特許5253483がしていることは、これとよく似た線の引き方です。通すものと通さないものを、水と電気のあいだで分けた装置の形が、この番号で登録されています。

順を追います。水に電気を流すには、電解質が要ります。塩のように、水に溶けて電気を運ぶ役をするものです。何も溶けていない水は、ほとんど電気を通しません。ところが電解質を水と同じ部屋に入れてしまうと、電気を流し終えたあとの水に、その電解質から来たものが残ります。だしを取るのに昆布を直接鍋へ放り込んだときと同じで、目当てのもの以外も一緒に入ってきます。

そこで、部屋を分けます。特許5253483をわかりやすく一行にすると、「電解質を真ん中の部屋に閉じ込めたまま、イオンだけを膜越しに動かす」装置の形、になります。部屋は3つ。真ん中に電解質を置き、その左右に水を流す部屋を置きます。真ん中と左右のあいだには膜があり、片方は+のイオンだけを、もう片方は−のイオンだけを通します。電解質そのものは、真ん中の部屋から出られません。袋の中に残る昆布と同じ位置にいます。

部屋を3つに分けて、真ん中に電解質を置いた形 真ん中の部屋に電解質を入れ、左右の部屋に水を流します。あいだの膜は+のイオンと−のイオンをそれぞれ通しますが、電解質そのものは真ん中から出られません。左右の部屋から出てくる水が、性質の違う2つの水になります。 特許5253483で登録されているのは、この部屋と膜の形のほうです 左の部屋 マイナス極側 水を流す 電解還元水 真ん中 電解質はここ 右の部屋 プラス極側 水を流す 電解酸化水 +のイオンだけ通る −のイオンだけ通る 図は本文の説明から起こしたものです。正確な構造は特許公報で読めます
袋の目にあたるのが膜です。通るのはイオンだけで、入れたものは真ん中に残ります。

この形には「三室ダブルイン型」という呼び名がついています。三室は、いま見た部屋の数です。ダブルインのほうは水の入り口が2か所あるという意味で、こちらは流し方の話になるので、この記事では深入りしません。特許5253483をわかりやすく受け取るうえで先に押さえたいのは、部屋を分けたのが「混ぜないため」だったという一点です。電気を強くするためでも、水をたくさん作るためでもありません。

書類の言葉と台所の言葉を、1語ずつ突き合わせる|特許5253483をわかりやすく読むための比較

置き換えを一覧にします。左の列が書類に出てくる言葉、真ん中が台所に置いたときの姿、右は置き換えたせいで落ちてしまう部分です。わかりやすくする作業は、必ず何かを削ります。削ったものを同じ表に書いておけば、あとから戻せます。

特許5253483の説明に出てくる言葉を、台所の言葉に置き換える
書類の言葉台所の言葉に置き換えると置き換えで落ちるもの
電解槽電気を流すための鍋鍋と違って、中は水だけでは電気が通りません
電解質だしの素にあたるもの味のためではなく、電気を運ぶために入れています
イオン交換膜だしパックの袋の目目の粗さではなく、+と−で通すものを選んでいます
三室鍋を3つに仕切った形仕切りの位置と枚数が決まっています
ダブルイン水の入り口が2か所ある形流れの向きにあたるものが台所にはありません
高機能性電解還元水仕切りの片側から出てくる水味ではなく、水そのものの側が変わっています

右の列を通して読むと、台所の例えがいちばん弱くなるのは「膜」のところだと分かります。だしパックの袋は、目より小さいものなら何でも通します。電解質か、味の成分かを選んではいません。この装置の膜は、+のイオンと−のイオンを別々に扱います。通す・通さないの線が、大きさではなく電気の符号で引かれているところが、台所には見当たらない部分です。

Note「わかりやすく」を、正しさと取り替えないための置き方

置き換えの説明は、書類の代理ではありません。この記事の表も、読む前の入口として作ったものです。特許5253483の正確な中身は、特許庁が公開しているデータベースで番号から引けます。入口の説明と、書類そのものを、同じ重さで扱わないでください。置き換えは読み始めるためのもので、読み終えるためのものにはなりません。

数えているのは部屋の数と、水の入り口の数|特許5253483が成り立つ条件を4つに分ける

特許は、条件をすべて満たすものだけを対象にします。「電気を流した水」という広い言い方で登録されるわけではありません。条件が増えるほど、その特許が届く範囲は細くなります。ここで並べるのは、いままでの置き換えを成り立たせている4つの条件です。

この4つのうち1つでも欠けると、同じ呼び名にはなりません。だから「電解水です」というだけの説明は、特許5253483の話にはつながらないことになります。電気を流した水という意味では同じでも、条件の数がまるで違うからです。特許の話をわかりやすく聞くときは、結論の一行ではなく、条件がいくつ並んでいるかを数えてください。

条件を数える読み方には、もうひとつ役に立つところがあります。条件が多い特許ほど、守っている範囲は狭くなるという点です。部屋の数も膜の並びも水の入り口も指定した登録は、そのすべてを満たす装置だけを対象にします。特許があることと、広い範囲を押さえていることは、同じ意味になりません。番号の数を強さのように並べる説明を見かけたら、この一行を思い出すと落ち着いて読めます。

番号が刷ってある1本と、条件まで書いてある1本のどっちを選ぶか|家庭でできる見分け方

棚に2本並んでいて、片方に特許5253483と刷ってある。この状況で番号の有無だけを見ると、判断はそこで止まります。見分け方として手が動くのは、書いてある言葉がどこまで細かいかを数えるほうです。細かく書いてあるほど、あとから確かめられる場所が増えます。

ラベルに書いてある言葉の細かさで、確かめられることが変わる
書いてある言葉そこから確かめられることそこでは確かめられないこと
電解水電気を流した水である、というところまでどれだけの水が電気分解を受けたか
アルカリ電解水取り出したのが、どちら側の水か電解質をどう扱ったか
三室ダブルイン型部屋の数と、水の入り口の数毎回同じものが出ているかどうか
特許5253483その形が登録として認められていることできあがった水の性質そのもの

表の右下が、この記事でいちばん伝えたい欄です。番号は装置の形についた登録であって、できあがった水の性質を保証する印にはなりません。どっちを選ぶかを番号だけで決めると、いちばん知りたい欄が空いたまま決めることになります。水の側で何が確かめられているのかは、試験条件と検査機関の書かれた別の資料を見るしかありません。

mofuwa グルーミングスプレーの場合、中身は左の部屋から出てくる水、つまり高機能性電解還元水をそのまま使っています。この記事で見てきた装置が作っているのは、まさにその水です。犬も猫も体から脂を出すので、散歩から帰るたびに毛の上には脂と外の汚れが乗ります。毎日そこへ吹きかけてブラシを通せるのは、中身が水だからです。番号の話と、毎日の手の話は、こうしてつながっています。

だしパックの例えが落としているもの|わかりやすくした説明の外側にあること

最後に、置き換えで削った部分を戻します。ここを書かずに終えると、わかりやすい説明のほうが書類より正しく見えてしまいます。

だしパックの例えと、特許5253483の実際とがずれる3か所
例えの中では実際にはだから言えないこと
味を取り出すのが目的水の側の性質を変えるのが目的「濃さ」の話として読めません
袋は大きさでふるい分ける膜は+と−で選り分ける目を細かくすれば同じ、とはなりません
だしの味は飲めば分かる水の性質は飲んでも分からない使った感じだけでは中身を判定できません

3行目が、この記事の締めにあたります。特許5253483をわかりやすく理解できても、そこから分かるのは作り方までです。できた水について確かめられていることは、試験条件を決めて外部の検査機関に依頼した検証の側にあります。特許と試験は別の棚に置かれていて、片方がもう片方を保証することはありません。

台所に戻ります。だしパックの話をどれだけ丁寧にしても、今晩の鍋は自分で火にかけるしかありません。mofuwa グルーミングスプレーも同じで、番号を読んだ人ではなく、毎日ブラシを持つ人のところで結果が出ます。吹きかけて梳かす。今日はどこに手を止めたかを覚えておく。番号の話は、その手を動かす前の3分でだいたい足ります。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

特許5253483は、mofuwaの商品そのものに与えられた番号ですか。
商品ではなく、水を作る側についた登録です。この記事で見てきたとおり、登録されているのは部屋を3つに分けて電解質を真ん中に閉じ込める装置の形で、できあがったスプレーやミストが審査を受けたわけではありません。番号を見たときに読み取れるのは「この形で作っている」というところまでです。中身の水について何が確かめられているかは、試験条件と検査機関が書かれた資料のほうを見てください。
わかりやすい説明と、特許公報の文章は、どちらを信じればいいですか。
公報のほうです。この記事の置き換えは、公報を読み始めるための入口として書いています。特許庁が公開しているデータベースに登録番号を入れれば、誰でも無料で読めます。読むときは、発明の名称よりも特許請求の範囲を先に見てください。名称は看板なので広く見え、実際の線は請求の範囲のほうに引かれています。入口の説明と書類が食い違ったときは、書類が正です。
特許があると、同じような水は他では作れないのですか。
同じ作り方が止められるだけで、水そのものが独占されるわけではありません。特許は、条件をすべて満たす作り方に対して線を引く制度です。別の作り方で似た性質の水にたどりつく人が出てくることは、制度として想定されています。だから「特許があるから他にはない」という読み方は、少し行き過ぎです。番号から言えるのは、この形については審査を通った登録がある、というところまでになります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。