C02技術・エビデンス
特許5253483を、専門用語なしで説明する
ボトルの裏に小さく刷られた「特許5253483」という7桁を、台所の流しの前で声に出して読んでみたことがあります。読み上げたところで、手元にある水が何なのかは1ミリも見えてきませんでした。特許の説明に出てくるのが、電解槽・電解質・イオン交換膜・三室ダブルイン型と、台所に置いていないものばかりだからです。この記事では、特許5253483をわかりやすく読むために、書類の言葉と台所の言葉を1語ずつ突き合わせます。下敷きに使うのは、だしパックです。鍋に昆布を直接入れるか、袋に入れて沈めるか。特許5253483が登録しているのは、その差にあたる装置の形のほうです。
だしパックを鍋に沈めたときに、袋の中に残るもの|特許5253483をわかりやすく置き換える
だしパックを鍋に沈めると、出てくるのは味だけで、昆布や削り節そのものは鍋に落ちてきません。袋の目を通れるものと、通れないものが分かれているからです。使い終わったら、袋ごと持ち上げれば中身は全部そこに残っています。特許5253483がしていることは、これとよく似た線の引き方です。通すものと通さないものを、水と電気のあいだで分けた装置の形が、この番号で登録されています。
順を追います。水に電気を流すには、電解質が要ります。塩のように、水に溶けて電気を運ぶ役をするものです。何も溶けていない水は、ほとんど電気を通しません。ところが電解質を水と同じ部屋に入れてしまうと、電気を流し終えたあとの水に、その電解質から来たものが残ります。だしを取るのに昆布を直接鍋へ放り込んだときと同じで、目当てのもの以外も一緒に入ってきます。
そこで、部屋を分けます。特許5253483をわかりやすく一行にすると、「電解質を真ん中の部屋に閉じ込めたまま、イオンだけを膜越しに動かす」装置の形、になります。部屋は3つ。真ん中に電解質を置き、その左右に水を流す部屋を置きます。真ん中と左右のあいだには膜があり、片方は+のイオンだけを、もう片方は−のイオンだけを通します。電解質そのものは、真ん中の部屋から出られません。袋の中に残る昆布と同じ位置にいます。
この形には「三室ダブルイン型」という呼び名がついています。三室は、いま見た部屋の数です。ダブルインのほうは水の入り口が2か所あるという意味で、こちらは流し方の話になるので、この記事では深入りしません。特許5253483をわかりやすく受け取るうえで先に押さえたいのは、部屋を分けたのが「混ぜないため」だったという一点です。電気を強くするためでも、水をたくさん作るためでもありません。
書類の言葉と台所の言葉を、1語ずつ突き合わせる|特許5253483をわかりやすく読むための比較
置き換えを一覧にします。左の列が書類に出てくる言葉、真ん中が台所に置いたときの姿、右は置き換えたせいで落ちてしまう部分です。わかりやすくする作業は、必ず何かを削ります。削ったものを同じ表に書いておけば、あとから戻せます。
| 書類の言葉 | 台所の言葉に置き換えると | 置き換えで落ちるもの |
|---|---|---|
| 電解槽 | 電気を流すための鍋 | 鍋と違って、中は水だけでは電気が通りません |
| 電解質 | だしの素にあたるもの | 味のためではなく、電気を運ぶために入れています |
| イオン交換膜 | だしパックの袋の目 | 目の粗さではなく、+と−で通すものを選んでいます |
| 三室 | 鍋を3つに仕切った形 | 仕切りの位置と枚数が決まっています |
| ダブルイン | 水の入り口が2か所ある形 | 流れの向きにあたるものが台所にはありません |
| 高機能性電解還元水 | 仕切りの片側から出てくる水 | 味ではなく、水そのものの側が変わっています |
右の列を通して読むと、台所の例えがいちばん弱くなるのは「膜」のところだと分かります。だしパックの袋は、目より小さいものなら何でも通します。電解質か、味の成分かを選んではいません。この装置の膜は、+のイオンと−のイオンを別々に扱います。通す・通さないの線が、大きさではなく電気の符号で引かれているところが、台所には見当たらない部分です。
置き換えの説明は、書類の代理ではありません。この記事の表も、読む前の入口として作ったものです。特許5253483の正確な中身は、特許庁が公開しているデータベースで番号から引けます。入口の説明と、書類そのものを、同じ重さで扱わないでください。置き換えは読み始めるためのもので、読み終えるためのものにはなりません。
数えているのは部屋の数と、水の入り口の数|特許5253483が成り立つ条件を4つに分ける
特許は、条件をすべて満たすものだけを対象にします。「電気を流した水」という広い言い方で登録されるわけではありません。条件が増えるほど、その特許が届く範囲は細くなります。ここで並べるのは、いままでの置き換えを成り立たせている4つの条件です。
- 部屋が3つに分かれていること:2つでは、電解質を置く場所が水の部屋と同じになります
- 電解質が真ん中にあること:端に置くと、そこから出てくる水に電解質から来たものが混ざります
- 膜が符号で選んでいること:+のイオンだけ、−のイオンだけを通す膜が、それぞれの側にあります
- 水の入り口が2方向あること:三室ダブルイン型の後半、ダブルインにあたる条件です
この4つのうち1つでも欠けると、同じ呼び名にはなりません。だから「電解水です」というだけの説明は、特許5253483の話にはつながらないことになります。電気を流した水という意味では同じでも、条件の数がまるで違うからです。特許の話をわかりやすく聞くときは、結論の一行ではなく、条件がいくつ並んでいるかを数えてください。
条件を数える読み方には、もうひとつ役に立つところがあります。条件が多い特許ほど、守っている範囲は狭くなるという点です。部屋の数も膜の並びも水の入り口も指定した登録は、そのすべてを満たす装置だけを対象にします。特許があることと、広い範囲を押さえていることは、同じ意味になりません。番号の数を強さのように並べる説明を見かけたら、この一行を思い出すと落ち着いて読めます。
番号が刷ってある1本と、条件まで書いてある1本のどっちを選ぶか|家庭でできる見分け方
棚に2本並んでいて、片方に特許5253483と刷ってある。この状況で番号の有無だけを見ると、判断はそこで止まります。見分け方として手が動くのは、書いてある言葉がどこまで細かいかを数えるほうです。細かく書いてあるほど、あとから確かめられる場所が増えます。
| 書いてある言葉 | そこから確かめられること | そこでは確かめられないこと |
|---|---|---|
| 電解水 | 電気を流した水である、というところまで | どれだけの水が電気分解を受けたか |
| アルカリ電解水 | 取り出したのが、どちら側の水か | 電解質をどう扱ったか |
| 三室ダブルイン型 | 部屋の数と、水の入り口の数 | 毎回同じものが出ているかどうか |
| 特許5253483 | その形が登録として認められていること | できあがった水の性質そのもの |
表の右下が、この記事でいちばん伝えたい欄です。番号は装置の形についた登録であって、できあがった水の性質を保証する印にはなりません。どっちを選ぶかを番号だけで決めると、いちばん知りたい欄が空いたまま決めることになります。水の側で何が確かめられているのかは、試験条件と検査機関の書かれた別の資料を見るしかありません。
mofuwa グルーミングスプレーの場合、中身は左の部屋から出てくる水、つまり高機能性電解還元水をそのまま使っています。この記事で見てきた装置が作っているのは、まさにその水です。犬も猫も体から脂を出すので、散歩から帰るたびに毛の上には脂と外の汚れが乗ります。毎日そこへ吹きかけてブラシを通せるのは、中身が水だからです。番号の話と、毎日の手の話は、こうしてつながっています。
だしパックの例えが落としているもの|わかりやすくした説明の外側にあること
最後に、置き換えで削った部分を戻します。ここを書かずに終えると、わかりやすい説明のほうが書類より正しく見えてしまいます。
| 例えの中では | 実際には | だから言えないこと |
|---|---|---|
| 味を取り出すのが目的 | 水の側の性質を変えるのが目的 | 「濃さ」の話として読めません |
| 袋は大きさでふるい分ける | 膜は+と−で選り分ける | 目を細かくすれば同じ、とはなりません |
| だしの味は飲めば分かる | 水の性質は飲んでも分からない | 使った感じだけでは中身を判定できません |
3行目が、この記事の締めにあたります。特許5253483をわかりやすく理解できても、そこから分かるのは作り方までです。できた水について確かめられていることは、試験条件を決めて外部の検査機関に依頼した検証の側にあります。特許と試験は別の棚に置かれていて、片方がもう片方を保証することはありません。
台所に戻ります。だしパックの話をどれだけ丁寧にしても、今晩の鍋は自分で火にかけるしかありません。mofuwa グルーミングスプレーも同じで、番号を読んだ人ではなく、毎日ブラシを持つ人のところで結果が出ます。吹きかけて梳かす。今日はどこに手を止めたかを覚えておく。番号の話は、その手を動かす前の3分でだいたい足ります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 特許5253483は、mofuwaの商品そのものに与えられた番号ですか。
- 商品ではなく、水を作る側についた登録です。この記事で見てきたとおり、登録されているのは部屋を3つに分けて電解質を真ん中に閉じ込める装置の形で、できあがったスプレーやミストが審査を受けたわけではありません。番号を見たときに読み取れるのは「この形で作っている」というところまでです。中身の水について何が確かめられているかは、試験条件と検査機関が書かれた資料のほうを見てください。
- わかりやすい説明と、特許公報の文章は、どちらを信じればいいですか。
- 公報のほうです。この記事の置き換えは、公報を読み始めるための入口として書いています。特許庁が公開しているデータベースに登録番号を入れれば、誰でも無料で読めます。読むときは、発明の名称よりも特許請求の範囲を先に見てください。名称は看板なので広く見え、実際の線は請求の範囲のほうに引かれています。入口の説明と書類が食い違ったときは、書類が正です。
- 特許があると、同じような水は他では作れないのですか。
- 同じ作り方が止められるだけで、水そのものが独占されるわけではありません。特許は、条件をすべて満たす作り方に対して線を引く制度です。別の作り方で似た性質の水にたどりつく人が出てくることは、制度として想定されています。だから「特許があるから他にはない」という読み方は、少し行き過ぎです。番号から言えるのは、この形については審査を通った登録がある、というところまでになります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
