C12Q&A・豆知識
常在菌とは?肌にいて当たり前の菌たち
犬の背中に鼻を近づけたときの、あの少し甘いようなにおいをつくっているものの中に、常在菌と呼ばれる菌たちがいます。常在菌とは、皮膚の上にふだんからいる菌の集まりのことです。数を減らす対象としてではなく、いることを前提に付き合う相手として説明されるのが、この言葉の特徴です。問題になるのは、いるかどうかではありません。そのバランスが動いたときだとされています。この記事は、常在菌という言葉が何を指しているのか、なぜ「いて当たり前」と言われるのか、バランスが崩れるとは何が起きることなのかを、順に開いていく読みものです。最後に、洗いすぎが崩す側の行為にもなりうる、という話をします。犬と暮らしていて、皮膚や被毛のことを調べているうちにこの言葉に出会った方に向けて書きました。
常在菌とは何を指す言葉か|どこにいて、何をしているか
もう一度、定義から書きます。常在菌とは、皮膚や口の中など、体の表面にふだんからいる菌の集まりのことです。「常に在る」と書くとおり、特別な状態を指す言葉ではありません。健康な犬にも猫にも人にもいるとされていて、いること自体が異常のしるしになるわけではない、という前提でこの言葉は使われます。
どこにいるのか、という話から始めます。皮膚の表面と、毛が生えているところのつけ根、耳の入口、口の中、指のあいだ。つまり、外の空気に触れている場所のほとんどです。体の内側にある無菌の場所と違って、外に面したところは、生まれてから今日までのあいだにいろいろなものが触れています。そこに住み着いたものが残っている、というのが常在菌のいる状態です。
何をしているのか、については、断定しづらいところがあります。一般には、皮脂や汗に含まれる成分を分解して暮らしている、その場所を占めていることで他のものが入りにくい状態をつくっている、といった説明がされます。ただし、犬や猫の皮膚で何がどこまで確かめられているかは、人の皮膚ほど整理されているわけではありません。この記事でも、「〜とされています」という書き方を崩さずに進めます。飼い主が家で確かめられる範囲は、そのもっと手前にあります。
| どこ | どう説明されることが多いか | 家で分かること |
|---|---|---|
| 皮膚の表面 | 皮脂を分解しながら暮らしているとされる | 手のひらに移るにおいと、ぬるつき |
| 毛のつけ根 | 湿りと皮脂がそろいやすい場所とされる | 毛を分けたときの地肌の見え方 |
| 耳の入口 | 外の空気と触れる、湿りやすい場所 | 頭をなでた手ににおいが移るかどうか |
| 口の中 | 食べたものが常に通る場所 | 口を開けたときのにおいの強さ |
| 指のあいだ | 地面と直接触れ、乾きにくい場所 | なめている回数と、指を開いたときの湿り |
| 寝床の布 | 体から離れたところに移ったもの | その子がいないときのにおい |
表のいちばん下の行だけ、体の外にあります。寝床の布に残るにおいは、体の上のことを間接的に映しています。常在菌とは体の上にいるものを指す言葉ですが、家の中で気づくきっかけは、体そのものより布のほうが多い。これは、この言葉を知ったあとに実際に役立つところです。においが強くなったと感じたとき、まず疑うのが布なのか体なのかで、次の手がまったく変わります。
常在菌とはどういうものか、という説明の先には、菌の名前の話があります。ただ、家で見分けられるものではありません。においが強いから特定の菌が増えている、地肌が赤いからこれだ、という読み方は、家庭ではできない読み方です。この記事で扱うのは、言葉が何を指しているかと、その言葉を知ると毎日のケアの何が変わるか、という2点だけにしておきます。診断は動物病院の領域です。
なぜ肌に菌がいて当たり前なのか|常在菌がそこにいる背景
「いて当たり前」と言われる背景には、単純な事実があります。皮膚は、外の世界と直接触れている面だからです。床にも、草にも、人の手にも、他の犬にも触れます。触れているあいだじゅう、何かが移ります。そのうち、その場所の条件に合ったものが残り、合わなかったものは残らない。長い時間をかけて、その子の体の上に残ったものの集まりが常在菌と呼ばれています。
生まれたあとの経過も、よく引き合いに出されます。生まれた直後から、母親、きょうだい、床、空気に触れて、少しずつ定着していくと説明されます。つまり、常在菌がいる状態は、その子が生きてきた経過そのものです。後から足された余計なものではありません。だから「もともとの状態に戻す」という言い方をするとき、戻る先はゼロではない、ということになります。
ここで、多くの説明が使う分け方に触れておきます。善玉菌と悪玉菌、という2つに分ける言い方です。分かりやすい言葉ですが、皮膚の話では、途中で行き止まりになります。同じ菌が、条件によって問題になったりならなかったりする、と説明されるからです。増えすぎたときだけ困ることになる菌は、少ないうちは困る相手ではありません。良い菌と悪い菌が最初から決まっていて、悪いほうを減らせばよい、という組み立てにすると、条件のほうを見なくなります。
書き方の例として置いておきます。悪い菌をなくして清潔な肌にしましょうという言い方は、この記事では使いません。理由は、なくすことが目標になった時点で、増えすぎた条件のほうに手が入らなくなるからです。皮膚のケアで動かせるのは、菌の側ではなく条件の側です。湿っている時間、皮脂の量、傷があるかどうか、洗う頻度。飼い主が毎日さわれるのは、こちらの列にあるものだけです。
| そこにあるもの | 飼い主が家で動かせるか | |
|---|---|---|
| 菌の側 | どんな種類が、どのくらいいるか | 動かせない。見ることもできない |
| 菌の側 | その菌が何をしているか | 動かせない。検査の領域 |
| 条件の側 | 毛が湿っている時間の長さ | 動かせる。乾かし方で変わる |
| 条件の側 | 皮脂が表面にたまっているか | 動かせる。ブラッシングと洗う間隔で変わる |
| 条件の側 | 掻いてできた傷があるか | 見て気づける。気づいたら受診の材料になる |
| 条件の側 | 洗う回数と、洗ったあとの乾かし方 | 動かせる。ここが今日の本題です |
この表は、常在菌という言葉を知ったあとに、いちばん最初に持っておきたい形だと思っています。上の2行を家で判断しようとすると、材料が足りません。下の4行なら、今日から見られます。言葉を知る意味は、菌の名前を覚えることではなく、自分が手を出せる列がどれかを知ることのほうにあります。
常在菌のバランスが崩れる、とはどういう状態を指すのか
バランスという言葉は、便利なぶん、あいまいに使われがちです。ここでは、動く方向を2つに分けて書きます。増えすぎる方向と、減らしすぎる方向です。どちらも「バランスが崩れた」と表現されますが、原因も、家でできることも逆になります。常在菌とは何かを知ったあとに、次に分けておきたいのがこの2つです。
増えすぎる方向から書きます。条件としてよく挙げられるのは、湿りと皮脂です。毛が湿ったまま時間が経つ、皮脂が表面にたまる、その両方がそろう。湿った状態が続いている時間の長さが、そのまま条件のそろっている時間の長さになります。雨の日の散歩のあと、洗って乾かしきらなかった日、夏に体が蒸れた日。犬と暮らしていると、思い当たる日があるはずです。においが強くなるのは、たいていこうした日の翌日です。
減らしすぎる方向は、話題になりにくいのですが、この記事の本題に近いところです。皮膚の表面には、皮脂と、角質層と、そこにいるものが重なっています。洗うという行為は、この重なりの上のほうから順に持っていきます。汚れだけを選んで落とすわけではありません。回数が増えれば、皮脂も、そこにいるものも、一緒に減ります。減ったあと、元に戻るまでにはいくらか時間がかかるとされています。その戻る途中の時間に、また洗うと、戻りきらないまま次が来ます。
| 方向 | そろいやすい条件 | 家で気づくきっかけ |
|---|---|---|
| 増えすぎる側 | 毛が湿ったまま時間が経つ | 翌日のにおいが強い。手のひらに移る |
| 増えすぎる側 | 皮脂が表面にたまっている | 背中を触るとぬるつく。ブラシに脂がつく |
| 増えすぎる側 | 同じ場所をなめ続けている | そこだけ毛が湿っていて、色が変わる |
| 減らしすぎる側 | 洗う回数が多い | 洗った翌日から粉が出る。毛がぱさつく |
| 減らしすぎる側 | 洗ったあと、乾かしすぎている | 地肌が乾いて、白い粉が浮く |
| 減らしすぎる側 | 刺激の強い洗い方を続けている | 触るのを嫌がる場所が増える |
表の左の列を見ると、上下で真逆のことを書いています。「におうから洗う」を続けていると、上から下へ移動することがあります。においが気になって回数を増やし、そのうち粉が出はじめて、乾いているのににおいも残っている、という状態です。ここまで来ると、家で条件を動かして戻せる範囲を超えていることがあります。粉が続く、地肌が赤い、同じ場所をなめ続ける。この3つが重なっているときは、洗い方を変える前に動物病院にご相談ください。皮膚の状態を見てもらったうえでないと、洗う回数の話には入れません。
バランスが崩れた、という言い方は、家では確かめようがありません。確かめられる形に置き換えるなら、「湿っている時間が長かった日が続いていないか」と「洗ったあと、次に洗うまでの間隔が短くなっていないか」の2つです。どちらも日数で数えられます。常在菌とは目に見えないものですが、条件のほうはカレンダーに書けます。見えないものを推し量るより、書ける数字のほうを見てください。
洗いすぎは崩す側にもなりうる|常在菌をふまえた毎日のケアの考え方
ここまでを踏まえると、洗うという行為の位置づけが少し変わります。洗うことは、汚れを取る行為であると同時に、表面にあるものを一度減らす行為でもあります。汚れているときに洗うのは当然です。ただ、「においが気になるから」という理由だけで間隔を詰めていくと、減らす側の作用が積み上がります。洗いすぎという言葉は、力の強さの話ではなく、間隔の話だと考えたほうが当てはまります。
では、どうするか。洗う回数を増やす代わりに、湿っている時間を短くする。これが、この記事でいちばん書きたかった置き換えです。同じ「においを減らしたい」という目的に対して、片方は表面を減らす方向に働き、もう片方は条件を変える方向に働きます。犬と暮らしていて、雨の日や夏の日に手を打ちたくなるときは、まず乾かす時間のほうを見てください。
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洗った日を、カレンダーに印だけつける
回数を数えるためではなく、間隔を見るためです。前回から何日空いたかが分かるだけで、詰まってきたことに気づけます。気づかないまま短くなっていくのが、いちばんよくある形です。
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洗った日の乾かし方を、地肌で確かめる
毛の表面が乾いても、地肌の近くはまだ湿っていることがあります。毛を分けて、指の腹で触って確かめてください。湿りが残っていた時間が、そのまま条件のそろっていた時間です。
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洗わない日に、毛の流れに沿って一往復する
ブラッシングでも、乾いた布でも構いません。表面にたまった皮脂とほこりが動くだけで、においの出方は変わります。洗う回数を増やさずにできることは、ここに集まっています。
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におい以外の見方を1つ持っておく
においだけを頼りにすると、判断が「洗う・洗わない」の二択になります。地肌の色、粉が出ているか、同じ場所をなめていないか。この3つを見るようにすると、洗う以外の選択肢が視野に入ります。
3つめの一往復に使えるのが mofuwa グルーミングスプレーです。表面にたまった皮脂とほこりを、たまった日のうちに動かしておくための道具です。原料は特許5253483(三室ダブルイン型の電解分解技術)でつくられた電解水で、電解槽が3室に分かれているため、電解質から出る不純物が水の側に残りません。もとの水が清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、毛づくろいで口に入ることを前提にしたまま、量を気にせずかけられます。香料も界面活性剤も入っていないため、翌日にぬるつきとにおいを確かめるときの手がかりが濁りません。グルーミングスプレーを使う日も、乾かす時間を確保することと、前回から何日空いたかを見ておくことは、そのまま続けます。皮膚の状態に何かをするためのものではありません。
最後に、この言葉を知って何が変わるかを書いておきます。常在菌とは、いなくなることを目指す相手ではない、という前提が入ることです。そこが入ると、ケアの目的が「減らすこと」から「条件を戻すこと」に変わります。乾かす時間を確保する。洗う間隔を詰めすぎない。触ったときのぬるつきと、地肌の色を見る。毎日やることはほとんど変わりませんが、迷ったときの決め方が変わります。
白い粉が出続けている、地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、においが日ごとに強くなっている、毛が一か所だけ薄くなっている、体をこすりつける回数が増えた。こうした変化が続くときは、洗う回数や洗い方を変える前に動物病院にご相談ください。常在菌とは何かを知っていても、その子の皮膚で何が起きているかは、家では確かめられません。相談に行くときは、いつから続いているか、洗った日はいつだったか、乾かし方をどうしたかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
