C15組み合わせ提案

防災バッグに入れるケアセット

公開日 2021年1月13日|文=mofuwa編集部

明るい木の床で、無地のキャンバス地のバッグのそばに静かに座っている淡いクリーム色の犬
袋の中身が決まるのは、点数を数えたときではなく、背負って歩いてみたときでした。写真:Lum3n/Pexels

玄関に置いた防災バッグを一度背負って、廊下を7歩あるいたところでおろしました。入れてあったのは水と食べ物、その子の首輪の予備、それに家にあったケア用品をひとまとめにしたものです。量ってみると6.8kgありました。そのうち、ケアセットとしてまとめた部分だけで約1.2kgありました。1.2kgぶんを全部出して並べ直したのが、この記事の中身です。防災バッグに入れるケアセットは、洗えない日が続いても、その子の手入れを毎日続けられるようにするために入れます。だから点数で決まらず、残ったグラム数のほうから決まります。この記事では、命に関わるものと、衛生が崩れるものを並べて比べて、犬や猫のケアセットをどこまで入れるかの線を引きます。

背負って7歩でおろした袋|防災バッグにケアセットを入れる前に決める条件

防災バッグの話は、たいてい「何を入れるか」から始まります。ところが実際に袋を作ってみると、止まるのはそこではありません。止まるのは、背負ったときです。うちの袋は6.8kgでした。数字だけ見れば持てそうですが、片手にリード、もう片方にキャリー、という前提を足すと、背負ったまま階段を降りる姿がうまく想像できません。防災の袋は、玄関で持ち上げられて初めて袋になります。

そこで一度、全部を床に出しました。並べてみると、家にあったケア用品をまとめた部分が思ったより場所を取っています。液体が入っているものは、中身の体積がそのまま重さになるからです。300mlの液体は、それだけで300gあります。容器を足せばもっと増えます。点数としては1つでも、重さの側では水のペットボトルと同じ扱いになります。ケアセットが袋の中で膨らむのは、点数のせいではなく、水を運んでいるからです。

ここが、この記事でいちばん先に置きたい条件です。防災バッグに入れるケアセットが受け持つのは、洗えない日が続くあいだの毎日です。体と布とにおいが同時に詰まっていくところを、1日ずつほどいていく役です。避難生活で最初に困るのは、多くの場合「洗えないこと」のほうです。水は飲むほうに回るので、体を洗う順番はいちばん後ろになります。

この6つは、どれも量の問題ではなく順番の問題です。だから防災のケアセットに求められるのは、順番待ちの列に割り込まずに、毎日1回できることです。入れるものは小さくて軽くて、水も干す場所も取らないものになります。犬や猫の側から見ると、慣れない場所で、慣れない人が近くにいて、そのうえで長く触られるのはつらい時間です。短くて済むこと自体が条件のひとつになります。

Note避難のきまりは、地域ごとに違います

同行避難や同伴避難の扱い、受け入れの条件、置ける場所。これらは地域によって決まりが違うので、この記事では一般化して書きません。お住まいの地域の案内を、袋を作る前に一度確かめておいてください。ここで扱うのは、どこであっても変わらない部分だけです。全国どこでもこの持ち物で足りますという書き方をしないのは、確かめようがないからです。重さと容積は、地域が変わっても変わりません。

軸1・代わりを家で作れないもの|防災バッグで先に重さを取る側

1つめの軸は、代わりを家で作れないものです。ここに入るものは、切らした時点で別の手が用意できません。だから重さの取り合いでは、いつも先に取ります。ケアセットの話をする前に、この側の重さを確定させておかないと、あとから足したケア用品が、いちばん減らしてはいけないものを押し出してしまいます。

この軸の見分け方は簡単です。「避難先で手に入るか」ではなく「家の中の別のもので代用できるか」で見ます。水は代用できません。食べ物も、その子が食べ慣れているものは代用できません。紙に書いた情報も、その場では作れません。逆に、布や器は、家にあるほかのもので代用できます。代用できる側は、次の軸に回ります。

重さの取り方も、この軸から決めます。先に袋そのものを背負って、無理なく歩ける重さを決めてしまいます。うちは4.5kgにしました。そのうえで、代わりが作れないものを入れて、残ったグラム数を見ます。残りが1.0kgなら、ケアセットは1.0kg以内です。0.3kgしか残らなければ、ケアセットは0.3kgです。防災のケアセットの大きさは、ケアの必要性ではなく、引き算の結果で決まります。

代わりを家で作れないものと、その重さの目安の出し方
入れるものなぜ代わりが作れないか重さの決め方
飲み水その場で作れない何日ぶんを持つかを先に決める
いつもの食べ物急に切り替えられない1食ぶんを量って日数をかける
飲んでいる薬処方が要る動物病院に相談して日数を決める
首輪・リードの予備外れたら代わりがない軽いので迷わず入れる
その子の情報を書いた紙記憶では代用できない重さに数えなくてよい
体をくるめる大きさの布枚数が要る1枚だけ入れて、残りは家に置く

最後の1行だけ、少し性格が違います。布は代用できるのに、枚数が要るので、この軸と次の軸にまたがります。またがるものは、1枚だけこちらに入れて、残りは次の軸で考えます。こうしておくと、あとで軽くしたくなったときに、どこから削ればいいかが自分で分かります。犬でも猫でも、この分け方は同じです。

軸2・洗えない日が続くと崩れる側|ケアセットが受け持つ範囲と、家にある物との違い

2つめの軸は、切らしてもすぐには困らないけれど、日が続くと崩れていくものです。崩れ方はゆっくりで、3日目くらいから急に見えるようになります。足の裏、口のまわり、寝ている側の毛、敷いている布、食器。どれも1日なら我慢できて、4日たつと我慢できなくなります。ケアセットが受け持つのは、この範囲だけです。

ここで、家にある物との違いをはっきりさせておきます。この軸のものは、ほとんどが家にある物で代用できます。布はタオルでもハンカチでも構いませんし、コームは指でもある程度は代わりになります。代用できないのは「水を使わずに拭ける」という条件のほうです。水で濡らした布が使えるのは、水が余っている日だけです。避難生活で最初に足りなくなるのは水なので、この条件だけは家にある物では埋まりません。防災のケアセットに入れる意味があるのは、この違いが残っているものです。

だから、この軸に入れるものの選び方は1つに絞れます。「水を使わずに済むか」「軽いか」「その子が嫌がらないか」の3つです。3つとも満たすものだけ入れて、どれかを落とすものは家に残します。防災のケアセットが膨らむのは、たいてい「あると便利」を足したときです。便利は、家にある物で代用できる側に入ります。

洗えない日が続いたときに崩れる場所と、家にある物で代わりが利くかどうか
崩れる場所何日目に見えてくるか家にある物で代用できるか
足の裏と指のあいだ1日目から布があれば代用できる
口のまわり2日目から布があれば代用できる
寝ている側の毛3日目からコームの代わりは指で足りる
敷いている布3日目から換えがなく、代用できない
食器1日目からゆすぐ水がなければ代用できない
におい3〜4日目から水を使わない手がないと代用できない

表の下2行が、この記事でいちばん大事なところです。換えの布と、水を使わない手。この2つだけが、家にある物では埋まりません。ケアセットの中身を1.0kgに収めるとき、まずこの2つを置いて、残りをどうするかを考えます。毎日やっていたことを全部持っていこうとすると、必ずここが押し出されます。

2つを並べて、残ったグラム数に収める|防災のケアセットの使い分けと優先度

2つの軸を並べます。同じ袋に入るものでも、優先度の決まり方と、重さの取り方と、代わりの有無が違います。この表でどちらに属するかが決まると、削るときに迷わなくなります。

命に関わる側と、衛生が崩れる側の比較
命に関わる側衛生が崩れる側
切らしたときに起きることその日のうちに困る3日目から少しずつ崩れる
代わりが作れるか家の中では作れない多くは家にある物で作れる
重さの取り方先に取る残ったグラム数に収める
点数の増え方日数をかけると増える場所を足すと増える
削るときの順番最後まで削らない上から順に削れる
袋の中の位置取り出しやすい側取り出しにくい側でよい
見直す間隔食べ物と薬に合わせる季節の変わり目に1回
防災バッグの中で、重さの取り方が違う2つの側 代わりを家で作れないものと、家にある物で代用できるもの。同じ袋に入りますが、削るときの順番と、重さの決め方が逆になります。 同じ袋を、重さの取り方で左右に分けています 代わりが作れない 飲み水と、いつもの食べ物 飲んでいる薬 首輪とリードの予備 その子の情報を書いた紙 先に重さを取る 代わりが利く 拭くための布と、換えの1枚 コーム、または指で代用 水を使わないケアの手 食器を拭くもの 残ったグラム数に収める 削るときは右から。左を削ると、袋そのものが役に立たなくなります
ケアセットが入るのは右側です。左側を押し出した時点で、袋の意味が変わります。

そのうえで、右側の中でどれを入れるかを決めます。ここで使う基準は「使う確率」ではありません。「使えなかったときに困るか」です。使う確率で決めると、毎日使っているものが上位に来ます。ところが避難先では、毎日やっていたことのほとんどは、順番が回ってこなくて実行できません。確率の高い順に入れると、袋の中で一度も出番のないものが増えます。逆に、月に1度しか使わないものでも、使えなかった日に困るなら、入れる価値があります。

  1. 1.袋を背負って、歩ける重さを先に決める

    中身を入れる前に、空の袋に水のペットボトルだけを入れて背負ってみます。階段を降りて、玄関を出て、そこから3分歩ける重さが上限です。この数字を紙に書いて、袋に貼っておきます。あとから足したくなったときに、この紙が止めてくれます。うちは4.5kgでした。人によって違うので、ほかの家の数字を借りてこないでください。

  2. 2.代わりが作れないものを入れて、残りを量る

    水、食べ物、薬、首輪とリードの予備、紙。ここまで入れて、もう一度量ります。上限から引いた残りが、ケアセットに使えるグラム数です。残りが少ないと感じても、ここで削るのは左側ではありません。日数を短くするか、袋を分けるかのどちらかです。

  3. 3.残ったグラム数を、困る順に埋める

    換えの布、水を使わないケアの手、食器を拭くもの。この順に入れて、グラム数が尽きたところで止めます。止まった時点で入らなかったものが、家に置いておくものです。入らなかったことを失敗と考えないでください。入らないと分かっていることのほうが、当日に迷わずに済みます。

  4. 4.入らなかったものを、玄関の棚に一列で置く

    袋に入らなかったものは、捨てずに玄関へ移します。袋を持ち出す余裕がある日は、上から順に足せます。余裕がない日は、そのまま置いていきます。この一列があると、袋の中身を増やさずに済みます。300mlのボトルのように重いものは、この棚に置くのが向いています。

  5. 5.一度、実際に持って外に出てみる

    作った袋を持って、家の前を1周します。片手にリード、片手にキャリー、背中に袋。この形で歩けなければ、中身ではなく持ち方の問題です。肩ひもの長さを変えるだけで解決することもあります。犬の大きさによっては、袋を2つに分けて家族で持つほうが早いこともあります。

この5段は、時間にすると30分ほどで終わります。いちばん時間がかかるのは1段目です。重さの上限を自分で決めるという作業を、ほとんどの人は一度もやっていません。上限を決めないまま中身を選ぶと、袋はどこまでも重くなります。防災のケアセットの使い分けが決まらないのは、選ぶ基準がないからではなく、引き算の相手がいないからです。

入れ替えるのは季節の変わり目の1回だけ|防災のケアセットを見直す時期と、袋に残るグラム数

作ったあとの話をします。防災の袋がだめになるのは、中身を間違えたときではなく、一度も開けないまま2年たったときです。食べ物と薬には期限があるので、そちらは期限に合わせて入れ替えます。ケアセットのほうは期限が長いものが多いので、忘れます。だから、時期を決めておきます。

見直す時期を年4回にしているのは、多いほうがいいからではありません。年4回だと、1回あたりが5分で終わるからです。年1回にすると、全部出して並べ直す作業になり、腰が重くなります。5分で終わる作業を4回置くほうが、結果として袋が新しく保たれます。毎日の習慣にする必要はまったくありません。

水を使わないケアの手について、ここで具体的に書いておきます。mofuwa グルーミングスプレーは、毎日きれいにしておくための1本です。布に取ってから足の裏や口のまわりに当てて拭き取るだけなので、避難先でも家と同じ手順がそのまま続きます。水で濡らした布と違って、乾かす工程が要らないので、干せない場所でも順番待ちになりません。舐めても差し支えない基準なので、量を気にせず当てられます。無香料なので、周りに人がいる場所でもにおいが足されません。グルーミングスプレーを入れる・入れないの判断は、必要かどうかではなく、残ったグラム数で決めます。袋の重さの上限に収まらなければ、玄関の棚のほうへ置いてください。

中身について一言だけ添えます。mofuwaの中身は、特許5253483(三室ダブルイン型電解システム)でつくる電解水です。3つに分かれた電解槽を通すため、電解質に由来する不純物が、できあがった水のほうへ残りません。清涼飲料水の規格基準に照らして確かめている水なので、中身を聞かれたときに一言で答えられます。避難先では、周りに人と、ほかの家の犬猫がいます。何が入っているかを一言で説明できるものを選んでおくと、その場での説明が短く済みます。特許は技術の登録であって、効果を証明したものではありません。そのうえで、成分の説明ができるという条件は、人が近い場所ほど効いてきます。

Caution避難のあとに出た体の変化は、環境のせいにしないでください

同じ場所をかき続ける、なめ続ける、食べる量が戻らない、水を飲む量が急に増えた、下痢が続く、歩き方が変わった、皮膚が赤い、脱毛がある。こうした変化が出たときは、環境が変わったせいだからと様子を見ずに、動物病院にご相談ください。避難生活のあとは、環境の変化と体の側の変化が重なるので、家では切り分けられません。いつから、どの場所に、どのくらいの間隔で出ているかを紙に書いて持っていくと、その場で話が早く進みます。防災の袋に、その紙を書くためのペンを1本入れておくと、あとで役に立ちます。

Point先に量るのは、空の袋を背負ったときの重さです

全部そろえようとすると、たいてい途中で止まります。先にやることは1つで、空の袋に水を入れて背負い、家の前を3分歩くことです。そこで出た重さが、この先すべての判断の基準になります。中身を選ぶのは、その数字が出てからで構いません。防災のケアセットは、点数が多いほど良いものではありません。持ち上げられて、3分歩ける袋だけが、玄関を出られます。

袋の優先順位を、最後に順番のかたちで書いておきます。1番目は、代わりを家で作れないもの。2番目が、洗えない日が続いても、体と布とにおいの手入れを毎日回していくためのケアセットです。その2番目の重さは、残ったグラム数までです。1番目を押し出してまで入れるものは、この袋の中にはありません。ケアセットの正しい大きさは、その家の袋の重さの上限から、引き算で出ます。犬でも猫でも、多頭でも1頭でも、引き算の順番は同じです。

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よくある質問

防災バッグのケアセットは、何点くらいが目安ですか。
点数では決めないほうが早く決まります。袋を背負って歩ける重さを先に決めて、水・食べ物・薬・首輪の予備を入れたあとの残りグラム数が、ケアセットに使える量です。同じ家でも、持つ人が変われば上限が変わります。残りが少ない家では、換えの布1枚と、水を使わずに拭ける手が1つあれば足ります。点数が少ないことは問題ではありません。持ち上げられない袋のほうが問題です。
猫の場合も、犬と同じ考え方でいいですか。
重さの取り方と削る順番は同じです。違うのは、猫はキャリーの中で過ごす時間が長くなるので、崩れる場所の順番が変わることです。足の裏より先に、敷いている布と、口のまわりが来ます。キャリーの中の布は換えが利かないので、1枚多めに入れておくと差が出ます。触られるのを嫌がる子では、1回の時間を短くすること自体が条件になるので、まとめて全身をやろうとしないでください。
季節の変わり目の見直しでは、何を見ればいいですか。
5分で終わる範囲に絞ってください。布を出してにおいを確かめる、液体の残量と口のところを見る、袋の重さを量り直す、首輪の予備がきつくなっていないか当ててみる、玄関の棚に置いたものが残っているか見る。この5つで足ります。全部出して並べ直す作業にすると、次の回をやらなくなります。体の側で気になる変化が見つかったときは、見直しの作業を続ける前に動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。