C05犬種・猫種別ケア
ジャックラッセルテリアはなぜ抜け毛が起きやすいのか。短毛から考える
ジャックラッセルテリアの毛は、2センチほどの長さで、太く、まっすぐです。この形の毛は、床に落ちるより先に、ソファやカーペットや服の繊維へ垂直に入っていきます。掃除機をかけても取れないのは、表面に浮いているのではなく、繊維に固定されているからです。つまりこの犬種の抜け毛は、量を減らす話ではなく、刺さる前に回収する話になります。手入れの目的そのものが、長い毛を持つ犬種とは違うところに置かれます。この記事では、そうなる理由を先に整理してから、順番を変えるだけで結果が変わる4つの手順と、ブラッシングの頻度のとり方をまとめます。
ジャックラッセルテリアの抜け毛は、落ちずに布へ刺さります
ジャックラッセルテリアの被毛は、短く、太く、まっすぐです。滑らかに寝ているスムースの子も、ひげのような剛毛がまじるブロークンの子も、この3つの性質は共通しています。そして短い毛に見えても、表に出ている上毛の下に、細く柔らかい下毛を持っています。季節で入れ替わるのは主にこの下毛のほうで、毛が短いからといって、抜ける本数そのものが少ないわけではありません。1本が短くて細いぶん、床に積もった状態では目に入りにくいだけです。
問題は本数ではなく、抜けた1本がどんな形をしているかです。抜け毛は、生えていたときの形をそのまま持ったまま体を離れます。ここで、毛の形と落ちたあとの行き先を並べてみます。
| 毛の形 | 抜けたあと、どうなるか |
|---|---|
| 長くて、柔らかい | 布の上で横に寝る。表面に留まるので、掃除機の風で持ち上がる |
| 長くて、巻いている | 毛どうしが絡み合い、かたまりになって落ちる。手でつまめる |
| 短くて太く、まっすぐ | 先端から繊維のあいだへ入る。上から押されるほど深く入る |
ジャックラッセルテリアの抜け毛は、3段目にあたります。短くてまっすぐな毛には、布の上で寝るための長さがありません。毛先が先に繊維の隙間へ入り、根元側が外に残った状態で立ちます。そこへ人が座る、犬が飛び乗る、服の袖がこすれる。そのたびに、毛はさらに奥へ押し込まれていきます。ソファ、カーペット、車のシート、ニットの服。どれも繊維に隙間がある素材なので、同じことが起こります。
掃除機は、布の表面に乗っているものを風で持ち上げて吸います。繊維に固定されているものは、上へ引く力がかかっても抜けません。吸引の強さを上げても結果が変わらないのは、力の向きが合っていないからです。この毛を取るには、吸う前に「起こす」工程が要ります。手順は後半にまとめます。
ここまでを踏まえると、ジャックラッセルテリアの抜け毛で考えることは、ひとつに絞れます。抜けた毛が布に触れる前に、どれだけ手元へ回収できるか。抜ける量そのものは季節と体が決めていて、家では動かせません。動かせるのは、抜けた毛が最初にどこへ落ちるかだけです。次の章から、その順番の話に入ります。
刺さる前に回収する|ジャックラッセルテリアの抜け毛のやり方と順番
手順は4つです。道具を増やす話ではなく、やる順番を入れ替えるだけの話になります。ブラッシングを「毛をきれいにする作業」ではなく「毛を回収する作業」として組み直してください。
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布のない場所へ移動してから始める
玄関のたたき、洗面所、フローリングの上、天気がよければ屋外。ラグやソファの上でブラッシングを始めると、回収するために起こした毛を、その場で布へ配ることになります。抜け毛が落ちる場所を先に決めておくのが、この手順のいちばん大きな部分です。硬い床の上なら落ちた毛は寝たままなので、あとからまとめて拭き取れます。
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毛先ではなく、根元にブラシを当てる
短い毛は、毛先をなでても動きません。抜けかけの毛は根元側で引っかかっているので、ラバーブラシやゴム手袋を、皮膚と平行に当ててください。押しつける必要はありません。ゴムの面が毛の根元に触れて、そのまま毛先の方向へ滑るだけで、浮いている毛は面に集まります。金属のピンを強く立てると皮膚に細かい傷が残ることがあるので、力ではなく面で集める道具を選びます。
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空気が乾いている日は、先にうるおいを足す
冬の室内のように乾いた日は、抜けた毛が静電気で立ち上がり、服や壁に張りつきます。被毛の表面が乾いたままだと、集めるそばから散ります。そこで、集めはじめる前に毛の表面をそろえておきます。mofuwa グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても作られている1本なので、この工程にそのまま入ります。手のひらか布に含ませてから、被毛の表面を一方向になでてください。犬にじかに吹きかけるより、含ませた手で運ぶほうが量を加減できます。しっとりさせるのではなく、毛が飛ばない程度のうるおいがあれば足ります。
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首から尻へ、一方向で一度だけ通す
往復させないでください。行きで面に乗った毛が、帰りで被毛の中へ戻ります。首から背中、背中から腰、腰から尻へ。同じ場所を通るのは1回まで。そのぶん、体の側面と後ろ足のつけ根まで通す範囲を広げてください。ジャックラッセルテリアは体が小さいので、この一方向のやり方でも全身が2〜3分で終わります。
終わったら、ブラシの面に集まった毛をその場で捨てます。手に持ったまま部屋を歩くと、そこから落ちます。ここまでを「1回」と数えてください。頻度の目安は、季節で変わります。
| 時期 | 頻度の目安 | 見るところ |
|---|---|---|
| ふだん(春と秋以外) | 2〜3日に1回 | ブラシの面に集まる毛の量 |
| 換毛期(春・秋) | 毎日1回 | 指で毛を分けたときに、下毛が浮いているか |
| 空気が乾く冬 | 2〜3日に1回+うるおい | 静電気で毛先が立つかどうか |
この頻度は「増やすほどよい」ものではありません。体から抜ける総量は、頻度では変わりません。1日に3回やっても、抜ける本数が3分の1になるわけではないからです。変わるのは、その毛が布の上で落ちるか、ブラシの面で落ちるかという一点だけです。だから、回数を積み増すより、布のない場所でやる回を確実に作るほうが結果に出ます。換毛期に頻度を上げるのも、量を止めるためではなく、回収できる機会を増やすためだと考えてください。
掃除機で取れない毛を、繊維から起こすコツ
それでも、刺さってしまう毛は必ず出ます。ここからは、すでに繊維へ入ってしまった毛をどうするかです。コツは1つで、吸う前に起こすこと。順番を逆にすると、同じ場所を何度も往復することになります。
- ゴム手袋をはめて、繊維の目に逆らう向きにこする:静電気と摩擦で、刺さっていた毛が根元側から起き上がり、ゴムの面に集まります。手袋は乾いた状態のほうが集まります
- 起こしてから吸う:起こした毛は表面に乗っている状態なので、そこで初めて掃除機の風が届きます。吸ってから起こす順にすると、往復の回数だけが増えます
- 粘着ローラーは、起こしたあとに使う:刺さったままの毛にローラーを当てても、粘着面は毛先に触れているだけです。起こしたあとなら、短くて硬い毛ほどよく付きます
- 布用のブラシは、短く一方向に:長く引くと、いったん起きた毛が進行方向へ寝て、また隙間へ入ります。20センチくらいで区切って、毛を集める場所を決めてください
濡らしてこすると、毛は繊維の奥へ滑って入ります。ドライヤーの熱風も、毛を飛ばすより先に布のほうを傷めてしまうことがあります。やることは、乾いた状態で起こすことだけです。座面のカバーが外せるなら、外して屋外で振るほうが早い場合もあります。
冬に「急に刺さる毛が増えた」と感じるときは、抜け毛が増えたのではなく、静電気で毛が動きやすくなっていることがあります。被毛が乾いていると、1本1本が離れて立ち、そのまま布へ移ります。室内の湿度を上げる、洗って乾かした直後にブラッシングを詰め込まない、被毛の側にうるおいを残しておく。この3つで、飛んでいく毛の割合は変わります。うるおいを足すのは毛をしっとりさせるためではなく、毛が単独で飛ばないようにするためだと考えてください。
服のほうにもコツがあります。ジャックラッセルテリアと暮らす家では、抱き上げたときに胸元へ毛が集まります。その場で30秒以内にローラーをかければ、まだ表面にあるので取れます。洗濯かごに入れて時間が経つと、たたまれた状態で押されて、繊維の奥に入ります。刺さる前か、刺さったあとか。あとの手間の差は、ここで決まります。
頻度を増やしても減らないとき|地肌を見る目安
抜け毛の「量」は、家では測れません。床に落ちている量は、掃除の頻度と部屋の広さで簡単に変わってしまうからです。見るのは量ではなく、毛が抜けたあとの地肌です。ジャックラッセルテリアは毛が短いので、指で毛を分けると皮膚がよく見えます。この見やすさは、変化に気づくうえで有利に働きます。
- 地肌が透けて見える場所があるか:全体が薄くなるのと、一か所だけ薄くなるのは別の話です
- 左右で同じか:体の左右で違う出方をしているときは、換毛期の話ではありません
- 皮膚の色や表面が変わっていないか:赤み、ぶつぶつ、フケのような粉、湿り
- 本人が気にしているか:同じ場所をなめる、かむ、床にこすりつける
- 換毛期の外で起きているか:春と秋以外の時期に急に増えたときは、季節では説明がつきません
記録のやり方は、週に1回、同じ場所を写真に撮るだけで足ります。明るさと角度をそろえて、背中と、両方の脇腹と、後ろ足のつけ根。少しずつ進む変化は記憶では比べられないので、写真のほうが確かです。2週間ほど並べてみて、広がっているのか、同じところで止まっているのかを見てください。ブラッシングの日付を同じメモに書いておくと、頻度と変化を突き合わせられます。
地肌が見えるほど薄い場所がある、左右で抜け方が違う、皮膚に赤みやぶつぶつがある、同じ場所をなめ続けている、フケのような粉が急に増えた、においが変わった、元気や食欲が落ちている。この中のどれかが出ているときは、回収のやり方を変えて様子を見るより先に、動物病院で診てもらってください。毛の話に見えて、皮膚の側で起きていることがあります。
受診の前には、いつから気づいたか、換毛期にあたる時期かどうか、家で使っているものは何かをメモしておいてください。週に1回撮っていた写真があれば、そのまま経過の記録になります。ブラッシングの頻度と、その日の様子を並べて書いておくと、話が早く進みます。
経過を見ているあいだも、毎日の回収はそのまま続けて構いません。ジャックラッセルテリアは体が小さいので、一方向に通すだけなら全身が2〜3分で終わります。mofuwa グルーミングスプレーは、舐めても問題のない基準でつくられているので、抱き上げたときに毛が集まる胸元や前脚まわりにも、量を気にせず使えます。ほこりや皮脂が毛の表面に残ったままブラシを入れるより、先に一方向でならしておくほうが、ブラシの面に集まる量が変わります。赤みやかゆみが出ている場所には、何も足さずにそこだけ避けてください。
続けていくと、毛がどこで落ちたかが先に分かるようになります。ブラシの面に集まった量と、そのあと床に落ちていた量。この2つの比を、換毛期に入る前の2週間で一度だけ見ておいてください。比が動く条件は、回数のほうではなく、やる場所とやる順番の側にあります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- ジャックラッセルテリアは短毛なのに、なぜ抜け毛が多いのですか?
- 表に出ている上毛の下に、細く柔らかい下毛を持っているためです。季節で入れ替わるのは主にこの下毛で、毛が短いことと、抜ける本数が少ないことは別の話になります。1本が短いぶん、床に積もっても目に入りにくいだけです。
- ブラッシングの頻度を増やせば、抜け毛は減りますか?
- 体から抜ける総量は、頻度では変わりません。変わるのは、その毛がどこで落ちるかです。ふだんは2〜3日に1回、換毛期は毎日1回を目安に、布のない場所でやる回を確実に作ってください。回数より、やる場所のほうが結果に出ます。
- ソファやカーペットに刺さった毛は、どうすれば取れますか?
- ゴム手袋をはめて、繊維の目に逆らう向きにこすってください。静電気と摩擦で毛が起き上がってから、掃除機か粘着ローラーで回収します。吸ってから起こす順にすると、同じ場所を往復するだけになります。濡らしてこするのは、奥へ入るので避けてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
