C05犬種・猫種別ケア

日本スピッツと暮らすなら知っておきたい、静電気の話

公開日 2021年3月16日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、白く長い被毛の犬が静かに座っている
毛が立つと、1本ずつが違う角度で光を返します。白さが増して見えるのは、量が増えたからではありません。写真:SLZ/Pexels

朝いちばんに撮った写真と、夕方に撮った写真で、同じ日本スピッツが一回り大きく見えることがあります。体重も、毛を切ったかどうかも関係ありません。大きく見えているのは、毛が立っているからです。立った1本ずつがそれぞれ違う角度で光を返すので、白さが増して、輪郭がぼやけます。日本スピッツで静電気がやっかいなのは、指先にパチッと来るより先に、この見た目のほうへ出てくることです。毛が傷んだのだと思って手を入れると、かえって立ちます。この記事では、毛が立っている状態と寝ている状態を比較して、いまどっちなのかを確かめる方法と、立つ条件の外し方を書きます。

立った毛が光を散らす|日本スピッツの静電気が先に見た目へ出る条件

日本スピッツの被毛は、純白の長い上毛と、その下に入る密な下毛でできています。上毛は太めでまっすぐ、そして長い。下毛の上に、ふわりと乗っているような立ち方をします。この「1本が長くて、まっすぐで、根元が支えられていない」という組み合わせが、静電気の出方をほかの犬種と変えています。

静電気を帯びた毛は、隣の毛と反発して離れます。短い毛なら少し浮くだけですが、長い毛は根元を軸にして先が大きく振れます。結果として、毛は上へ立ちます。ここまでは、どの犬種でも起きることです。日本スピッツで事情が違うのは、その毛が白いことです。

寝ている毛は、向きがそろっています。そろった面は、光を一方向へ返します。だから落ち着いて見えます。立った毛は向きがばらばらなので、1本ずつが違う角度で光を返します。散った光はあちこちから目に届き、白さそのものが増したように見えます。輪郭もぼやけて、体が一回り大きく見えます。

最後の1つが、いちばん困ります。傷んだと思うと、人は手を入れたくなるからです。とかす回数を増やす、洗う回数を増やす、乾かす時間を長くする。この3つはどれも、日本スピッツの静電気をさらに強くする方向に働きます。だから最初に確かめたいのは、いま見えているのが「立っている毛」なのか、それとも本当に毛の状態が変わったのかという点です。

Note音が鳴らない静電気があります

指先にパチッと来るのは、溜まった電気が一度に逃げたときです。逃げ道がないまま毛の上に留まっているあいだは、音は鳴りません。鳴らないのに毛だけが立っている状態は、日本スピッツではよくあります。「今日は静電気は起きていない」と判断する材料に、音を使わないでください。

毛が立っている状態と、寝ている状態|同じ日本スピッツを比較する

同じ子の、同じ被毛です。変わっているのは毛の向きだけですが、見え方も手ざわりも、ブラシの通り方も入れ替わります。

同じ日本スピッツの、立っている毛と寝ている毛を比較する
毛が立っている状態毛が寝ている状態
見た目一回り大きく、白さが強い体の線がはっきり出る
光の返り方1本ずつが別方向へ散らす面としてそろって返す
手ざわり手のひらに毛先が触れてくる毛が手についてこない
ブラシの通り毛先で止まり、根元まで届かない根元まですっと入る
起きやすい時期空気が乾く冬から春先湿度が戻ったあと
やること立つ条件を外すそのまま続ける
毛が立っている状態と、寝ている状態 同じ日本スピッツでも、毛の向きがそろっているかどうかで見た目と手ざわりが入れ替わります。立っているときは光が散り、量が増えたように見えます。 同じ子の中で、条件が2つに分かれます 立っている状態 1本ずつが別方向へ光を返す 白さが増し、輪郭がぼやける ブラシが毛先で止まる やること:立つ条件を外す 寝ている状態 面としてそろって光を返す 体の線がはっきり見える ブラシが根元まで入る やること:そのまま続ける どちらの状態かで、手を入れるかどうかが変わります
変わっているのは毛の量ではなく、毛の向きです。

表のなかで、いちばん実務的に使えるのはブラシの通りです。毛が立っているとき、ブラシは毛先の層で止まります。そこで「絡んでいる」と感じて力を入れると、毛先どうしがさらにこすれ、静電気が増えます。増えればもっと立ち、もっと通らなくなる。通らないからとかす、とかすから通らなくなる、という往復に入ります。

寝ている状態では、同じブラシが根元まで入ります。日本スピッツのブラッシングでうまくいく日といかない日があるとしたら、腕の差ではなく、その日に毛がどちらの状態だったかの差であることがほとんどです。ですから、とかす前に状態を見ます。

いまどっちなのか|手のひらをかざして確かめる、日本スピッツの毛の状態

道具は要りません。全部で30秒ほどで終わります。ブラシを持つ前に、この順で確かめてください。

  1. 手のひらを、背中の毛から3センチほど上でゆっくり動かす

    毛が手のひらを追ってふわりと持ち上がるなら、静電気で立っています。触れていないのに毛が動く、という点が決め手です。手が乾いているほど分かりやすいので、水気を拭いてから試してください。

  2. 窓を背にして、逆光で輪郭を見る

    光を背にすると、立った毛だけが白く浮き上がります。寝ている毛は輪郭の線に収まります。体の線の外側にもう1本ぼやけた線が見えたら、その厚みが「立っているぶん」です。朝と夕方で撮り比べると、同じ日のうちでどれだけ動くかが分かります。

  3. 毛を1本、指で寝かせて、離してみる

    指で押さえて向きをそろえ、そのまま離します。すぐに元へ戻って立つなら静電気の側です。押さえた向きのまま寝ているのに、毛先だけが割れて広がっているなら、毛先そのものの状態を見たほうがよい合図です。

  4. 根元まで立っているのか、毛先だけかを見る

    毛を左右に分けて、根元の側を見ます。根元から浮いているなら、被毛全体が帯電しています。根元は寝ていて毛先だけが広がっているなら、乾燥で毛先が開いている場合と混ざっています。手を入れる高さが変わるので、ここは分けておきたい点です。

Pointとかす前に見る、が順番です

毛が立っている日にブラッシングから始めると、最初の一撫でで毛先どうしがこすれ、そこからは何をしても通らなくなります。確かめてから、立っていたら先に条件のほうを外す。順番を入れ替えるだけで、同じブラシが同じ子に対して違う入り方をします。急いでいる日ほど、この30秒が効いてきます。

もうひとつ、日本スピッツで見落としやすいのが換毛期との重なりです。春と秋には下毛が入れ替わり、抜けた下毛が上毛の間に留まります。留まった下毛は細くて軽いので、静電気の影響をいちばん先に受けます。換毛期に「急に立つようになった」と感じるのは、上毛ではなく、間に溜まった下毛が動いていることがあります。この場合は、条件を外すより先に、溜まった下毛を外へ出すほうが早く落ち着きます。

立つ条件を外す|空気・道具・時間の順に手をつける

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。手当ては、見た目を直すことではありません。立った毛を寝かせようとして上から押さえても、手を離せば戻ります。やることは、毛が立つ条件のほうを外すことです。順番は、空気・道具・時間。この順でしか動きません。

立つ条件を外す3つの順番と、それぞれで変わるもの
何を動かすかいつやるか変わるまで
1. 空気部屋のうるおいとかす前の晩翌朝から
2. 道具毛先に触れるものの素材と順番とかす直前その場で
3. 時間手を入れる回数と、乾かしきる時間毎日の組み方1〜2週
  1. 空気:とかす前の晩に、部屋のうるおいを上げておく

    朝いちばんにブラッシングをする家が多いのですが、その時間の空気はいちばん乾いています。前の晩のうちに湿度を上げておくと、朝の毛の立ち方が変わります。加湿器がなくても、洗ったものを部屋干しする、寝る前に浴室のドアを開けておく、といった方法で足ります。日本スピッツの静電気は、その日の朝ではなく前の晩に決まっていると考えてください。

  2. 道具:毛先を先に落ち着かせてから、根元へ入る

    乾いた被毛にいきなり櫛を入れると、毛先どうしがこすれます。布をわずかに湿らせて、毛の向きに沿って背中を一度なでてください。湿らせるのは表面だけで、水が垂れるほど含ませないこと。表面が落ち着いてから、根元まで届く道具に持ち替えます。プラスチックの櫛は、乾いた日ほど帯びやすくなります。その日に毛が立っているなら、道具のほうを替えてみてください。

  3. 時間:回数を増やさず、濡らした日は乾かしきる

    毛が広がって見えるからといって、とかす回数を1日3回4回と増やすと、そのぶんこすれます。1日1回、根元まで届く一手のほうが、日本スピッツには合います。そして、湿らせた日や洗った日は、その日のうちに根元まで乾かしきってください。半乾きの下毛が残ると、乾いていく途中で立ち方が強く出ます。

Caution毛先を切りそろえて直そうとしない

立って広がった毛先を見て、傷んだ部分を切れば収まると考える方がいます。静電気で広がっているだけの毛を切っても、翌朝また同じように立ちます。そして日本スピッツの上毛は、切った断面が角ばるぶん、以前より光を散らしやすくなります。切るかどうかを決めるのは、湿度を上げても寝ないことを確かめてからにしてください。

洗う回数を増やすのも、この時期はおすすめしません。落ちるのは汚れだけではなく、地肌と毛のうるおいも一緒だからです。毎日きれいにしておきたい、という側は mofuwa グルーミングスプレー が受け持ちます。その子は毎日体から脂を出すので、空気が乾く時期でも汚れは毎日つきます。吹きかけてそのまま梳かせるので、すすぎも乾かす時間も挟まず、半乾きの下毛を残す心配もありません。

使うのは、櫛を入れる前です。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても作られているので、毛先の滑りをそろえた状態から根元へ入れられます。布に含ませて、背中から腰へ毛の向きに沿って一度なでる。この一手で、乾いた上毛どうしがこすれる回数そのものが減ります。背中一面にかけたあとは、その子が毛づくろいをする場所でもありますが、清涼飲料水の規格基準をクリアした水でできているので、量を気にせずに済みます。

乾く時期が過ぎても寝ない毛は、静電気の話として扱わない

空気が乾く時期には毛が立ち、湿度が戻れば落ち着く。これが、日本スピッツの静電気で説明のつく範囲です。時期が変わっても戻らないとき、あるいは季節と関係なく一か所だけが違うときは、別の見方をしてください。

Caution湿度を上げても、立ち方が動かないときのサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、フケが急に増えた、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、道具や湿度を変えて様子を見るより先に、動物病院にご相談ください。日本スピッツは被毛が厚いので、地肌の変化は毛を分けないと見えません。部屋のうるおいを上げてから何日たったかを数えて、その日数もあわせて伝えてください。

相談に行くときは、いつから立ち方が変わったか、部屋の湿度をどう変えたか、その後どれくらいで何が変わったかの3つをメモしてください。逆光で撮った写真が数枚あると、その場で比べられます。毛の状態は診察室の照明では分かりにくいので、家で撮ったものが役に立ちます。

日本スピッツと暮らしていると、静電気は毎年やってきます。ゼロにはなりませんが、いつ来て、何をすれば寝るのかは決まっています。見た目が変わったときに毛を疑うのではなく、まず空気を疑う。それだけで、乾く時期の数か月がずいぶん違ってきます。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

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特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

日本スピッツの毛が広がって見えるのは、傷んでいるからですか。
傷みと静電気は、見た目が近くなります。手のひらを毛の3センチ上でゆっくり動かして、触れていないのに毛が追ってくるなら静電気の側です。指で寝かせて離したときにすぐ戻るかどうかでも分かれます。押さえた向きのまま寝ているのに毛先だけが割れているときは、毛先の状態のほうを見てください。
静電気が気になる日は、ブラッシングを増やしたほうがいいですか。
回数を増やすと毛先どうしがこすれて、かえって立ちます。日本スピッツでは1日1回、根元まで届く一手のほうが合います。とかす前に布をわずかに湿らせて被毛の表面をなで、毛先を落ち着かせてから根元へ入れてください。前の晩に部屋のうるおいを上げておくと、朝の立ち方そのものが変わります。
換毛期と静電気の時期が重なると、手がつけられません。
抜けた下毛が上毛の間に留まり、その細い毛がいちばん先に帯電します。この場合は条件を外すより、溜まった下毛を外へ出すほうが早く落ち着きます。ただし乾いたまま強くとかすと、こすれて立ち方が強くなります。表面を湿らせてから、根元まで届く道具で少しずつ。地肌が赤い、かゆがるといったときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。