C05犬種・猫種別ケア

ミニチュアピンシャーはなぜ皮膚の乾燥が起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2021年3月30日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、短い毛のすらりとした犬が前足を伸ばして立っている
極端に短い被毛の下では、皮膚が筋肉の上に直接乗っています。乾燥は、動くたびに伸び縮みする場所から先に出ます。写真:SLZ/Pexels

前足を大きく前へ出して歩いたあと、肘の外側だけが白っぽく見える。ミニチュアピンシャーと暮らしている方から、この場所の話をよく聞きます。背中も腰もつやが残っているのに、肘だけが違う。同じ日、同じ部屋、同じ空気の中にいた皮膚です。それでも差が出るのは、乾燥が体の表面に均一には出ないからです。ミニチュアピンシャーは被毛が極端に短く、皮膚が薄く、その皮膚が筋肉の上に直接乗っています。だから動くたびに、決まった場所だけが伸びて縮んでいます。この記事では、乾燥がなぜ伸び縮みする場所から先に出るのかを書いてから、その4か所を先に見る手順に進みます。

筋肉の上に、皮膚が直接乗っている|ミニチュアピンシャーの短い被毛

ミニチュアピンシャーの体に手のひらを置くと、被毛のやわらかさより先に、筋肉の形が指に伝わってきます。毛が短いからというだけではありません。皮膚そのものが薄く、そのすぐ下に脂肪の層がほとんどないからです。肩の稜線、肋のならび、腿の付け根。外から輪郭が読めるということは、外の空気の側の変化も、そのまま地肌に届いているということでもあります。

被毛の作りも、長い毛の犬種とはずいぶん違います。上毛だけで、下毛にあたる層をほとんど持たない子が多い。1本1本は硬く、体に寝るように生えていて、毛と毛のあいだに空気を抱える隙間がほとんどありません。ダブルコートの犬が下毛でつくっている空気の層を、ミニチュアピンシャーは持っていない、という言い方もできます。

この2つが重なると、地肌と外気のあいだにあるものが、ごく薄い一枚になります。部屋の湿度が下がった日、暖房の風が当たり続けている場所、散歩から帰ってきた直後。空気の側で起きたことが、ほとんど時間差なく皮膚に届きます。ミニチュアピンシャーの乾燥が話に出やすいのは、この距離の近さからです。

この記事の中心は、最後の1つです。皮膚が筋肉の上に直接乗っているということは、筋肉が動けば、その上の皮膚も一緒に動くということです。ミニチュアピンシャーは動きの速い子が多く、走る、飛び降りる、体を折りたたんで丸くなる、といった動作を一日に何度も繰り返します。そのたびに、皮膚は同じ場所で伸び、また縮んでいます。

だから乾燥は、体の表面に平らには広がりません。いちばん伸び縮みしている場所から、先に出ます。背中や腰のように、動いてもほとんど形が変わらない面は、あとから来ます。同じ部屋で同じ空気を吸っていた皮膚なのに、肘だけが白く見えるのはそのためです。

伸び縮みする面と、ほとんど動かない面 ミニチュアピンシャーの皮膚は筋肉の上に直接乗っているため、動作のたびに伸びて縮む場所と、形がほとんど変わらない場所に分かれます。乾燥は前者から先に出ます。 同じ日、同じ湿度の部屋にいた皮膚です 伸び縮みする面 肘の外側・膝の裏 首の付け根・脇の内側 動くたびに伸びて縮む 乾燥が先に出る ほとんど動かない面 背中・腰・肩の上 体の外側に近い広い面 動いても形が変わらない 変化はあとから来る 見る順番を逆にすると、いちばん遅い場所から手をつけることになります
同じ体の中で、皮膚の動く量が違います。
Note毛が短いことと、手入れが要らないことは別です

短毛は、抜けた毛がもつれないぶんブラッシングの時間が短くて済みます。ただし短いぶん、地肌が外気にさらされている時間は長くなります。ミニチュアピンシャーの毎日のケアは、毛をとかす作業というより、地肌の手ざわりを確かめる作業に近くなると考えてください。

肘から先に見る|家でできるミニチュアピンシャーの乾燥の確かめ方

手を入れる場所を決めるには、見る順番が要ります。伸び縮みの大きい場所から順に見ていくのが、いちばん早い。背中から始めると、いちばん最後まで変化の出ない面を最初に触ることになります。家でできる確かめ方として、次の4か所を先に回してください。

伸び縮みの大きい4か所と、そこで起きていること
場所どんな動きで伸びるか見えかた
肘の外側前足を前へ出すたびに引っぱられる白っぽく、粉をふいたように見える
膝の裏座る・立つで折りたたまれる折り目に沿って、線のように出る
首の付け根頭を上げ下げするたびに動く毛の流れが乱れ、地肌が透ける
脇の内側歩くたびに前足と体がこすれるうっすら赤みを帯びて見えることがある

4か所とも、静止している犬を上から見ただけでは分かりません。伸びた状態にしてから見るのが要点です。縮んでいるときの皮膚はしわの中に折りたたまれていて、地肌の表面が外に出てきません。次の順で回してください。片手で体を支え、もう片方の手だけを動かします。

  1. 前足を軽く前へ出して、肘の外側を見る

    立たせたまま、片方の前足を静かに前へ動かします。肘の外側の皮膚が、いちばん伸びる形です。伸ばした状態でだけ見える白さがあります。反対側も同じ角度で動かして、左右をそろえて比べてください。片側だけに出ているときは、寝る向きや、いつも当たっている床の素材を思い出します。

  2. 立たせた瞬間の膝の裏に、指の腹を当てる

    後ろ足の膝の裏は、座っているあいだ折りたたまれていて、外から見えません。座った姿勢から立たせて、折り目が開いた直後に指の腹を滑らせてください。ざらつきが線状に残っているなら、そこが伸び縮みで先に乾いている場所です。

  3. 首の付け根を、毛の流れと逆になでる

    短い毛を逆立てると、地肌がまとまって見えます。首の付け根は、頭の上げ下げのたびに動くうえ、首輪やハーネスが当たる場所でもあります。動きと、当たっているものが重なる場所です。指を立てず、手のひらの側で軽く逆へなでてください。

  4. 前足を持ち上げて、脇の内側を見る

    脇は、歩くたびに前足の内側と胸が合わさります。うるおいが残っている状態なら、指がすっと根元まで入ります。途中で止まる、手ざわりが粗いと感じるときは、そこが4か所のうち先に手を入れる場所です。嫌がる子が多いので、1日1回、数秒で終わらせてください。

  5. 最後に、背中と腰を手のひら全体で確かめる

    ここは動かない面です。4か所より先に背中がざらついているときは、この記事の説明が当てはまらない乾燥です。順番を最後にしているのは、そのためです。差を見るための基準として触ります。

Point確かめるのは、朝より夜のほうが差が出ます

散歩から帰ったあと、走ったあと、外の空気に当たったあと。伸び縮みを何度も繰り返したあとのほうが、場所ごとの差がはっきり出ます。寝起きの体は、しばらく同じ姿勢でいたぶん、どの面もおとなしく見えます。日課にするなら夜に寄せたほうが、家でできる形として続きます。

ミニチュアピンシャーの毎日のケア|手数と洗う頻度の決め方

見る場所が決まったら、次は手数です。毎日たくさん触れば乾燥が軽くなる、という話ではありません。短い被毛の下の地肌は、こする回数が増えればそのぶん削られます。毎日の分量と、洗う頻度を分けて決めてください。

  1. 毎日は、伸び縮みする4か所だけを1分

    全身をくまなく触る必要はありません。肘・膝の裏・首の付け根・脇。この4か所を、指の腹で1か所15秒ずつ。合計1分で回れます。毎日やることを増やすほど続かなくなるので、範囲は狭いままにしてください。

  2. ブラッシングは、毛の向きに沿って力を抜く

    短毛にピンの立ったブラシを強く当てると、毛ではなく地肌に先が届きます。ラバー製のように面で当たるものを、毛の向きに沿って軽く動かす。ブラッシングの目的は、もつれをほどくことではなく、皮脂を毛先まで運ぶことだと考えてください。1回2〜3分で足ります。

  3. 洗う頻度は、日数ではなく汚れた場所の数で決める

    何日おきという決め方をすると、汚れていない日にも洗うことになります。全身が汚れた日は洗い、足だけ汚れた日は足だけにする。洗いすぎは、乾燥する場所を4か所から全身へ広げます。判断がつかない日は、洗わない側に倒してください。

  4. 洗ったあとは、乾かす時間を短くしない

    皮膚が薄いぶん、濡れたままの時間も、熱風を当てすぎる時間も、どちらも負担になります。温風は離して当て、肘の外側と脇は最後に、風ではなく布で水気を取るようにしてください。すすぎ残しの泡は、その日のうちに乾いて地肌に残ります。

手を入れる間隔を、面ごとに分けて決める
伸び縮みする4か所背中・腰・肩
見る間隔毎日、夜に1分週に1〜2回
触り方指の腹を置き、皮膚を動かさない手のひら全体でなでる
ブラッシング毛の向きに沿って軽く短時間で全体を一度
湿度が下がった日先に変化が出るあとから出る
洗う日の扱いすすぎを長く、泡を残さない洗う頻度そのものを増やさない

部屋の湿度は、数字で追わなくてもかまいません。ただし暖房を入れた最初の1週間は、4か所の手ざわりが変わりやすい時期です。湿度計の数値より、肘のざらつきが先に教えてくれます。加湿器を足すなら、犬が長い時間過ごしている高さに置いてください。人の顔の高さと、床から30センチの高さでは、空気の乾き方が違います。

毎日きれいにしておきたいという気持ちは、短毛の子と暮らしているほど強くなります。散歩に出れば外の埃は地肌のすぐそばまで届き、体からは毎日脂が出ます。昨日ととのえた場所が、今日また同じだけ汚れます。それでもシャンプーを毎日にはできません。手数を増やさずに、その日の汚れだけを持ち越さない。ここに置けるのが mofuwa グルーミングスプレーです。吹きかけて、毛の向きに沿って手のひらでなでる。指の腹で地肌をこする回数を増やさずに、一日ぶんを片づけられます。

ブラッシングの前に使うのも、この犬種では意味があります。暖房を入れた部屋では短い毛でも静電気が起き、ブラシの先に毛が持ち上がってついてきます。持ち上がった毛を無理に梳かせば、力はそのまま薄い地肌に落ちます。先に mofuwa グルーミングスプレーで毛の滑りをそろえておけば、静電気の起きにくい状態から梳かしはじめられます。舐めても差し支えない基準でつくられているので、量を惜しむ必要もありません。顔まわりのように吹きかけにくい場所では、布に含ませてから当ててください。毛先まで行き渡ったら、そこで手を止めます。

Cautionこする回数を増やさない、温めすぎない

ざらつきが気になると、つい同じ場所を何度もなでたくなります。ミニチュアピンシャーの地肌は、こすった回数がそのまま蓄積します。気になる場所を1日に何度もこすってなじませるという手は取らないでください。ドライヤーやヒーターを近づけて温めるのも同じで、その場では落ち着いて見えても、離したあとに戻ります。

伸び縮みでは説明がつかない乾燥と、手を止めるコツ

ここまでは、体の動きで説明のつく乾燥の話でした。4か所より先に、動かない面から出ているときは、別の見方をしてください。順番が合わないことが、いちばん分かりやすい手がかりになります。

Caution湿度でも動きでも説明がつかない7つ

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄くなって地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを足すより先に、動物病院にご相談ください。皮膚が薄い体では、外から見て分かる変化になるまでの時間が短いことがあります。肘の白さは数日待てますが、地肌の赤みは待てません。

動物病院で相談するときは、いつから気づいたか、どの場所から出たか、部屋の湿度と暖房をいつ変えたかの3つをメモしてください。この3つがそろうと、動きで説明のつく乾燥なのかどうかが、その場で切り分けられます。写真は、肘や脇のように伸ばさないと見えない場所では当てにならないので、無理に撮らなくてかまいません。

手を止めるコツは、「今日は触らない」を選べるようにしておくことです。毎日1分と決めておくと、今日は触ったから今はもういい、という線が引けます。決めていないと、気になるたびにこすることになります。ミニチュアピンシャーの乾燥は、手数の多さより、触る場所と回数を一定に保てるかどうかで変わります。

極端に短い被毛と薄い皮膚は、その子の体つきの一部です。うるおいを外から足し続けることを考えるより、伸び縮みしている4か所を先に見て、そこだけに手を入れる。順番をそろえておけば、季節が変わって空気が乾いた日にも、どこから変わったのかがすぐ分かります。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

ミニチュアピンシャーは短毛なので、ブラッシングはしなくてもいいですか?
毛をほどく必要はほとんどありませんが、ブラッシング自体はしたほうが続けやすくなります。目的が違うためで、短毛の場合は皮脂を毛先まで運び、そのついでに地肌の手ざわりを確かめる作業になります。面で当たるラバー製のものを、毛の向きに沿って1回2〜3分。力を入れると地肌に届くので、軽く動かしてください。
冬に乾燥が出やすいと聞きますが、夏は気にしなくていいのでしょうか。
季節より、空気の動きと湿度の変わり方で見てください。夏でも冷房の風が当たり続けている場所では、地肌の乾きは進みます。ミニチュアピンシャーの場合、暖房でも冷房でも、風の通り道に寝床があると同じことが起こります。まず寝床の位置を確かめるほうが、季節で判断するより早いです。
肘の外側だけが白いのですが、その場所に何か塗ったほうがいいですか?
塗るものを足す前に、そこが何回伸び縮みしているかを見てください。肘は前足を出すたびに引っぱられる場所なので、床が硬い、寝るときに肘が接地しているといった条件が重なると、同じ場所に戻り続けます。寝床の素材を変えるほうが先です。赤みや痛がる様子があるときは、家で足すのをやめて動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。