C09シーン別・暮らし
シニア犬と暮らす人のための雨の日の散歩|5分で終わらせるケア
雨の日の散歩から帰って、体を拭きはじめて2分ほどたつと、その子の後ろ脚がゆっくり沈みはじめます。腰が落ちて、こちらを見上げて、それでもまだ立とうとする。あわてて支えて、拭くのを途中でやめる。老犬と暮らしていると、雨の日の帰宅後は毎回この2分の壁にぶつかります。拭ききれないのは手が遅いからではなく、その姿勢を続けられる時間が5分もないからです。そこで、立たせたまま終わらせるという前提のほうを外します。伏せてから、横になってから届く範囲に、手順のほうを割り直す。ただし姿勢を下げると、こんどは体の下になっている側が最後まで乾きません。雨の日の散歩を老犬と続けるうえで考えるのは、この2つをどう両立させるかです。
立っていられるのは2分|雨の日の散歩から帰った老犬の側で起きていることの背景
若いころは、雨の日の散歩から帰っても、拭かれるあいだじゅう立っていました。だから飼い主の手も、立っている体に合わせて組み立てられています。前脚から始めて、胸、お腹、後ろ脚、しっぽ。この順番は、その子が5分立っていられることを前提にしています。老犬になって最初に崩れるのは、手順ではなく、その前提のほうです。
後ろ脚の踏ん張りは、じわじわと続かなくなります。10歳を過ぎたあたりから、立ちっぱなしの時間が2分を超えると腰が落ちる、という子は珍しくありません。雨の日はさらに条件が悪く、玄関まわりの床は濡れて滑ります。滑る床の上で踏ん張ろうとすること自体が、その子にとっては仕事になっています。拭かれることより先に、立ち続けることに体力を使っています。
人の側にも事情があります。老犬の体を支えながら片手で拭くのは、腰にきます。支えるほうに力が要るので、拭く手のほうが雑になる。結果として、いちばん濡れているお腹の下と内股が、いちばん後回しになります。雨の日の散歩後に、なぜかいつも同じ場所だけ生乾きのままなのは、順番がその子の姿勢ではなく人の立ち位置で決まっているからです。
- 2分を超えると腰が落ちる:立たせたままの手順は、この時点で最後まで届きません
- 濡れた床は滑る:踏ん張れないぶん、立っていられる時間はさらに短くなります
- 支える手が1本ふさがる:拭ける手が1本になり、同じ場所を何度も往復することになります
- お腹の下と内股が最後に回る:雨の日にいちばん濡れる場所が、いちばん後回しになります
- 途中でやめると、その日はそこで終わる:座り込んだあとに立たせ直すのは、その子にも人にも負担です
老犬が途中で座り込むのを見ると、こちらが不安になります。ただ、雨の日の散歩から帰って2分で腰が落ちるというのは、その2分は立てているということでもあります。使えるのは2分。この数字が分かっていれば、そこに何を割り当てるかを先に決められます。立たせておける時間を延ばそうとするのではなく、2分で終わる仕事だけをそこへ置いてください。
姿勢を下げると、下になっている側だけが最後まで乾かない理由
伏せさせる、横にならせる。老犬の負担という点では、これがいちばん正しい判断です。ところがここで、別の問題が入れ替わりに出てきます。床に接している面には、風がまったく通りません。雨の日の散歩でいちばん濡れているお腹の下や内股が、そのまま床に押しつけられます。上側は室内の空気で乾いていくのに、下側だけが取り残されます。
体重も効いてきます。横になると、接している側の毛は寝て、地肌との隙間がなくなります。毛のあいだにあった空気の層がつぶれるので、水は毛の表面ではなく地肌の側に残ります。上から手を当てても、そこは乾いているように感じます。感触で確かめられるのは上の面だけで、下の面は持ち上げるまで分かりません。
時間の差はかなり大きくなります。同じだけ濡れた毛でも、空気にふれている側は室温20度前後の部屋なら十数分で表面が乾きます。床に接している側は、そのまま置いておくと30分たっても湿ったままということがあります。雨の日の散歩後に「拭いたのに、まだ濡れている」と感じるとき、その多くは拭き残しではなく、乾き残りです。
| 場所 | 立っているとき | 伏せているとき | 横になっているとき |
|---|---|---|---|
| お腹の下 | 垂れて風が通る | 床につき、風が止まる | 上を向く側だけ乾く |
| 内股 | 開いていて手が入る | たたまれて手が入らない | 上側だけ手が入る |
| 脇の下 | たたまれている | たたまれている | 上側は開く |
| 胸の下 | 床に近く、拭きにくい | 床につく | 横から手が入る |
| 背中と体の側面 | 手が届く | 上側は届く | 上側は届く |
| 脚の下半分 | 1本ずつ持てる | 前脚だけ届く | 上側の2本が届く |
ここから出てくる答えはひとつです。姿勢を下げるなら、途中で一度だけ向きを変える必要があります。ただし、老犬に何度も体勢を変えさせるのは、立たせ続けるのと変わらない負担になります。だから回数は1回まで。1回で足りるように、どちらの側を先に下にしておくかを、雨の日の散歩から帰った時点で決めておきます。
立つ2分・伏せた3分・向きを変える1回|雨の日の散歩を老犬の姿勢から組み直す考え方
ここまでで、条件は3つそろいました。立っていられるのは2分。姿勢を下げると下側が乾かない。向きを変えられるのは1回だけ。この3つに合わせて、手順のほうを割り直します。全体で5分。時間を短くするのではなく、どの姿勢のときに何をやるかを固定します。
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立っている2分は、下になったら触れなくなる場所だけ
お腹の下、内股、胸の下、そして脚の下半分。床につくと手が入らなくなる場所を、この2分に全部入れます。背中やしっぽは、あとで伏せてからでも届きます。雨の日の散歩から帰ってすぐ背中を拭きはじめると、いちばん大事な2分を、あとでもできる仕事に使ってしまいます。
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支えるのではなく、立つ場所のほうを変える
滑る床の上では、立っていられる時間そのものが短くなります。玄関に、洗える大きめの布か滑り止めのマットを1枚置いてください。その子が踏ん張れる床にするだけで、2分が3分になります。老犬の体を支えて延ばすより、床を変えて延ばすほうが、人の腰にも残りません。
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伏せたら、背中と体の側面と、上を向いている脚
自分から伏せるのを待ちます。座らせようとして力を加えないでください。伏せたら、背中、首まわり、体の側面。上を向いている側は、そのまま手が入ります。ここは急がなくて構いません。下になっている側はどうせこのあと向きを変えるので、いま無理に手を差し込む必要がありません。
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向きを変えるのは1回だけ。おやつか声で、その子に変えてもらう
体を持ち上げて回さないでください。反対側から名前を呼ぶ、その位置におやつを置く。自分で寝返りを打つ形にすると、関節にも腰にも負担が残りません。変わったら、それまで下になっていたお腹の下と内股に布を当てます。ここが雨の日の散歩後にいちばん乾きにくい場所です。
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最後は、拭くのをやめて風を通す時間にする
5分たったら手を止めます。あとは、その子が寝ている場所に風がゆるく通るようにしてください。乾かすのは手ではなく空気の仕事です。老犬は同じ姿勢でいる時間が長いので、寝床の下に湿りが残ると、そこだけ乾く機会がなくなります。寝る前にもう一度だけ、下になっていた側に手を入れて確かめます。
| 姿勢 | 時間の目安 | そこでやること |
|---|---|---|
| 立っている | 2分 | お腹の下・内股・胸の下・脚の下半分 |
| 伏せている | 2分 | 背中・首まわり・体の側面・上側の脚 |
| 向きを変える | 1回だけ | 呼ぶ、置く。持ち上げて回さない |
| 横になっている | 1分 | それまで下になっていたお腹の下と内股 |
| そのあと | 手は出さない | 寝ている場所に、ゆるく風を通す |
老犬にとって、玄関は立ちにくい場所です。床が硬く、濡れていて、狭い。立っている2分ぶんの仕事だけを玄関で終えて、残りは寝床の近くまで移動してからにしてください。移動のあいだに水は多少落ちますが、その子が自分から伏せられる場所で残りをやるほうが、結果として乾き残りは少なくなります。雨の日の散歩は毎日のことなので、無理のない場所で回せる形にしておくほうが続きます。
雨が3日続いた週に見えてくる、老犬の乾き残りがいつも同じ側に出る経験
この組み立てを何回か続けると、気づくことがあります。乾き残りが、いつも同じ側に出ます。右を下にして寝る子は右の内股、左を下にする子は左の内股。老犬になると、楽な向きが1つに決まってくるので、雨の日の散歩が続いた週ほど、その差がはっきり出ます。若いころは寝返りの回数が多かったので、この偏りは起きませんでした。
気づいたら、向きを変える方向を固定してください。その子が自分から下にする側を、拭く順番では最後に上へ持ってくる。雨の日の散歩から帰った時点で、先にどちらを下にして寝かせるかを決めておけば、向きを変えるのは1回で足ります。毎日の帰宅後に迷わなくなるので、時間としても短くなります。
記録は3つで足ります。日付、雨か雨上がりか、どこが最後まで湿っていたか。雨の日が3日続いた週と、晴れが続いた週を並べると、その子の乾きにくい場所が1か所か2か所に絞れます。絞れたら、そこだけ寝る前にもう一度手を入れる。老犬との毎日は手数を増やせないので、増やすのではなく、置く場所を決めるほうへ寄せてください。
玄関で立てるのが2分だけでも、内股とお腹の下は毎日きれいにしておけます。そのために置いておくのが mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませてから、内股やお腹の下を毛の流れに沿ってなでるように拭きます。お風呂そのものが負担になる子には、湯船に入らないという選び方があります。洗えない子として扱うのではなく、そうしないほうがいい子として扱うという話です。グルーミングスプレーは清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、内股のように何度もふれる場所でも、量を気にせず足せます。濡れたまま吹きかけて放置しないこと、寒い日は室温を上げてからにすることの2つだけ守れば足ります。
立っていられる時間が、この2週間で急に短くなった。片側だけ踏ん張れない。座り込むときに声を出す。下になっていた側の地肌が赤い、じくじくしている、においがある。同じ場所をなめ続けている。元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、雨の日の散歩や乾かし方の見直しとは別に、動物病院にご相談ください。老犬の「立てない」は年齢だけで説明できないことがあります。いつからか、どちら側か、その日の天気の3つをメモして持っていくと、話が早くなります。
雨の日の散歩そのものを減らす、という選び方もあります。ただ、歩く量が減ることは老犬にとって別の負担になります。行くか行かないかで決めるより、帰ってからの5分を姿勢に合わせて組み替えるほうが、続けられる範囲は広くなります。立てる2分に、下になったら届かない場所を入れる。向きを変えるのは1回だけ。あとは風にまかせる。雨の日の散歩を老犬と続けるために動かせるのは、そのくらいのところです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
