C15組み合わせ提案
はじめて犬を迎えた人のスターターセット
犬を迎えた日、玄関にダンボールが3つ積んでありました。最初の1週間で、そのうち開けたものは1つもありません。初めて犬を迎える家では、たいてい道具のほうが先に到着します。ブラシ、コーム、爪切り、布に含ませて使うケアスプレー。買い物としては何も間違っていないのですが、届いた順に使い始めると、3週目あたりでその子が全部を嫌がるようになります。スターターセットとして先に決めておくと楽なのは、物の数ではなく触る順番のほうです。道具はあとからいくらでも足せます。ところが、触られることに慣れていく期間だけは、迎えたばかりの数週間しかありません。この記事では、その4週間を1週ずつに割って、触る・拭く・見せる・使うの順に置き直します。1日にやることは1つだけで、かかる時間は2分もありません。
道具は足せて、時期は足せない|犬を初めて迎えた家の毎日にある4週間の窓
うちに届いた順に書き出します。スリッカーブラシ、コーム、爪切り、歯みがきシート、水を使わないケア用品、足を拭くための布。迎える日までに、6つそろっていました。初めて犬を迎える家では、たいていこの数になります。何が要るのかが分からないので、名前が挙がったものを全部そろえてしまうからです。買い物としては、これで正解です。ただ、そろえた6つを届いた順に使い始めると、その子の側では6つの新しい出来事が同じ週に起きることになります。
実際にやったのは、そのうち1つでした。手のひらで背中を1回なでて、それで終わりです。ほかの5つは箱に入ったまま2週間そこにありました。あとから振り返ると、この2週間が効いています。理由は単純で、道具は来週でも来月でも足せるのに対して、触られることに慣れていく期間だけは、迎えた直後にしか用意できないからです。
なぜ最初しかないのか。迎えたばかりのその子にとっては、家の音も、床の感触も、人の手も、全部が同じくらい新しいものです。触られるという出来事も、その他大勢のうちの1つとしてまとめて入ります。ところが数週間たって家のことが分かってくると、触られることだけが「いつもと違う出来事」として浮き上がります。同じ内容でも、あとになるほど大きく感じられるということです。だから毎日の順番を決めるなら、この時期です。
- 手のひらの重さを覚えてもらう:道具がいらないので、初日からできます
- 触られる場所を1か所ずつ足す:背中から始めて、週ごとに1か所です
- 短く終わることを覚えてもらう:長さより、終わりが必ず来ることのほうです
- 道具を見るだけの日をつくる:使わずに置いておく日が要ります
- 触ったあとに何も起きないことを知ってもらう:ほめる・与えるも足しません
- こちらの手つきを固定する:毎回同じ向き、同じ速さで動かします
6つとも、道具がなくても始められることに気づきます。初めて犬を迎えた家でいちばん先に減っていくのは、この6つを置ける日数のほうです。スターターセットという言葉から思い浮かぶのは物の一覧ですが、この時期に足りなくなるのは物ではありません。皮膚や被毛のケアも、道具の性能で決まる前に、触らせてもらえるかどうかで決まります。ここを最初に置いておくと、あとで買い足す道具が全部そのまま使えます。
進む速さはその子ごとに違います。1週間で背中も足も平気な子もいれば、4週間かけて背中だけで終わる子もいます。この記事で固定するのは日数ではなく、順番のほうです。触る→拭く→見せる→使う、という並びだけを守っていれば、1段に2週かかっても組み立ては崩れません。逆に、日数を守って順番を飛ばすと、あとで戻る場所が分からなくなります。犬を初めて迎えた家で「うちの子は遅い」と感じたときは、日数ではなく段の数を見てください。
触る・拭く・見せる・使うを1週ずつ|犬を初めて迎えた家でできる4段のセット
ここからが手順です。1週につき1段、4週で一巡します。やることを毎週足していくのではなく、その週にやることを1つだけにして、ほかを全部やらない、という組み方です。初めて犬を迎えた家では、こちらの側が「今日は何をすればいいのか」で迷いがちなので、週で決めてしまうほうが楽になります。1日にかける時間は2分以内、時刻は毎日そろえます。
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1週目:手のひらだけで触る
道具を1つも出しません。背中の真ん中に手のひらを置いて、毛の流れに沿って一往復させます。それで終わりです。指先で探るのではなく、手のひら全体で触ります。指は細いので、その子の側からは点として届きます。手のひらは面なので、圧が分散します。この週にやらないことのほうが大事です。顔を触らない、足を持ち上げない、体をひっくり返さない。犬を初めて迎えた家で毎日できることは、この一往復だけで足ります。
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2週目:乾いた布で拭く
手のひらの上に布を1枚のせて、同じ動きをします。新しく増えるのは布1枚だけで、動きも場所も1週目と同じにします。ここで場所を広げないでください。増やすものは常に1つです。布は薄手のガーゼでも、着なくなったシャツを切ったものでも構いません。散歩に出ている子なら、この週の終わりごろから足の先を拭く日を混ぜられます。足は片足だけ、床につけたまま、拭くのは1本の指のあいだだけにします。
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3週目:ブラシを出して、使わずに置く
この週がいちばん飛ばされます。ブラシを出しますが、その子には当てません。床に置く、こちらの手の甲に当てて音を聞かせる、においを嗅ぎに来たらそのままにする。ここまでです。触るのは今までどおり手のひらと布で続けます。道具は、体に当たる前に「見たことがあるもの」になっている必要があります。初めて見るものが、初めて体に当たると、2つの新しいことが同時に起きます。1週ずらすだけで、それが1つになります。
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4週目:ブラシと、水を使わないケアを1つだけ使う
ここでようやく道具を使います。使うのはブラシ1つと、布に含ませて使えるケア用品1つまでです。うちで足したのは mofuwa グルーミングスプレー で、布に含ませて背中を一往復させる、2週目とほとんど同じ動きのまま入りました。そのあと、同じ場所にブラシを3回だけ通します。3回で止めるのは、うまくいっているうちに終わらせるためです。爪切りや歯みがきは、この4週間には入れません。どちらもその子が動かない前提の作業なので、動かないでいられるようになってから足すほうが早く終わります。
| 週 | その週にやること | 使う物 | 終わりの合図 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 背中を手のひらで一往復 | なし | こちらが手を離す |
| 2週目 | 布を1枚のせて同じ動き | 布1枚 | 布を畳んで置く |
| 3週目 | ブラシを床に置いて見せる | ブラシ(当てない) | ブラシを片づける |
| 4週目 | 布でなでてからブラシを3回 | 布・ブラシ・ケア用品1つ | 3回で止める |
表の右端を見てください。4週とも、終わりを決めているのはこちらの側です。その子が逃げたから終わる、という形にしないほうが続きます。逃げて終わる回が続くと、その子の側では「逃げれば終わる」が手順として覚えられます。3回で止める、一往復で離す、というように、こちらが先に終える形にしておくと、次の日の始まりが軽くなります。初めて犬を迎えた家で毎日つまずくのは、たいてい始め方ではなく終わり方のほうです。
この4段は、あとから買い足す道具にもそのまま使えます。新しい物が家に来たら、その物だけを3週目に戻す、という使い方です。爪切りを買ったなら、まず床に置いて見せる週をつくり、その次の週に1本だけ切る。歯みがきシートなら、指に巻いて口のまわりに触れる週から始めます。セットというのは、そろえ終わった時点で完成する物の集まりではなく、物が増えるたびに同じ順番を通す枠のことだと考えると扱いやすくなります。
予定が前に詰まる3か所|犬を初めて迎えたときの頻度と、1週ぶん戻すコツ
4週間の予定は、たいてい前に詰まります。遅れるのではなく、早まります。うまくいっている日ほど、次の段へ進みたくなるからです。初めて犬を迎えた家で起きるつまずきは、ほとんどこの形でした。3か所あります。
| 詰まる場所 | 何が起きているか | 1週ぶん戻す手 |
|---|---|---|
| 嫌がらなかった日 | 平気そうなので、その日のうちに次の段へ進めます | その日は終わりにして、翌日に同じ段をもう一度 |
| 道具が届いた日 | 新しい物を早く使いたくなり、見せる週を飛ばします | 床に置いて、その日は当てないで終わる |
| 家族が代わった日 | 触り方も順番も変わるので、その子には別の出来事になります | 触る人ごとに段を分けず、家の中で段を1つにそろえる |
3つのうち、いちばん多いのは1つめです。平気だった日にもう1段進めると、その日のうちに嫌がる回が来ます。そうなると、こちらの記憶には「昨日は平気だったのに」が残り、その子の側には「触られると長くなる」が残ります。片方だけが更新されるので、翌日から食い違います。進めたくなった日は、進めるかわりに終わりを早くしてください。頻度を上げるのも同じ理由で後回しにします。
頻度の話をもう少しだけ書きます。1日1回、同じ時刻、2分以内。この3つを4週間そろえるほうが、回数を増やすより早く進みます。犬を初めて迎えた家では、時間があるときにまとめて長くやってしまいがちですが、長い回が1度あると、その子の側では次の回も長い前提になります。逆に、2分で必ず終わる回を続けると、始まった時点で終わりが読めるので、身構える必要がなくなります。増やすなら回数ではなく、日数のほうを増やしてください。
- 時刻をそろえる:食事の前後どちらかに固定すると、忘れにくくなります
- 2分で切る:時計を見ないで済むよう、動作の回数で決めておきます
- 触る人を最初は1人にする:家族が増えるのは、4週間が一巡してからです
- できなかった日は空欄のまま進める:翌日に2回ぶんやらないことです
- 1段だけ戻す:3段まとめて戻すと、その子には別のことが始まったように見えます
- 記録は1行だけ:日付と、その日にやった段の番号だけ書きます
順番どおりに進めていたのに、ある日から特定の場所だけ触られるのを避ける、触ると声を出す、同じ場所をなめ続ける、歩き方が変わった、皮膚に赤みやかさつきが出てきた、食べる量が戻らない。こうした変化が出たときは、まだ慣れていないからだと考えて続けずに、動物病院にご相談ください。犬を初めて迎えた家では、その子の平常がまだ分からないので、慣れの途中なのか体の側の話なのかを家で切り分けることはできません。何週目に、どの場所で、どう変わったか。1行の記録がそのまま説明の材料になります。
セットの正体は4週間の予定表|犬を初めて迎えた人が紙に書く3行
ここまでを1枚の紙にします。紙の左端に1週目から4週目まで書いて、右側にその週にやることを1つだけ書く。これがスターターセットの実体です。買い物リストではなく、予定表の形をしています。初めて犬を迎える家に必要なのは、そろえるべき物の一覧よりも、そろえた物を出す日付のほうでした。物の一覧はどの家でも同じになりますが、日付はその子ごとに変わります。
- 1行目:今週が何週目か(進んだ日ではなく、いま何をしている週か)
- 2行目:今日やったかどうか(やった・やらないの2つだけ)
- 3行目:気づいたことを1つだけ(場所の名前でも、時間でも構いません)
- 紙は目につく場所に貼る:道具の置き場所のとなりが続きやすいです
- 4週たったら、そのまま2巡目に入る:新しい段は足しません
- 買い足すものは2巡目から:1巡目のあいだは、道具の数を固定します
4週目に足すケア用品について、1つだけ書いておきます。この時期の条件は2つで、2分の枠に入ることと、終わりをこちらで決められることです。mofuwa グルーミングスプレー は、布に含ませて毛の流れに沿ってなでれば、それで1回が終わります。動きは2週目の布と同じなので、4週目に新しく増えるのはブラシの3回だけになります。香りは足していませんし、界面活性剤も入っていません。散歩から帰った日の足先も、寝床から出てきた朝の背中も、その日のうちに一往復だけなでておけます。道具の数を固定したまま、触る回数のほうだけを毎日積めるので、4週目に置く1本はこれにしました。
中身についても触れておきます。原料は、特許5253483「3室ダブルイン型電解システム」でつくる電解水です。電解槽が3つに分かれているので、電解質から出る不純物が水の側に残りません。だから、なめてしまう前提の場所にも毎日かけられます。基準としてクリアしているのは、清涼飲料水の規格です。迎えたばかりの子犬は、なでられた場所を、こちらが手を離す前になめます。4週間のあいだ毎日同じ場所に触るのなら、その場所に残るものを先に確かめておくと、家族のあいだで同じ説明を2回しなくて済みます。
4週間のうちに、必ず「これも要るのでは」と思う場面が来ます。そのときはメモに書いておいて、買うのは1巡が終わってからにしてください。途中で物が増えると、増えた物のぶんだけ段が増えます。段が増えると、どこまで進んだのかが分からなくなり、戻る場所も消えます。初めて犬を迎えた家のスターターセットが機能するのは、物の数を4週間だけ固定できたときです。買い足したいものが4週後にもまだ要るなら、それは本当に要るものです。
最後に、紙の1行目に書くことだけ書いて終わります。紙を1枚出して、左端に1週目から4週目まで縦に書いてください。それから、今日の日付のところに「背中を一往復」と書きます。道具は出さなくて構いません。犬を初めて迎えた家のセットは、ここから始まって、4週間かけて物のほうがあとから入ってきます。触る順番を先に決めておくと、あとで買い足した道具が全部そのまま使えます。逆に物から始めると、4週目にもう一度、触る順番を決め直すことになります。毎日の2分を1つ置くところまでが、今日ぶんです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 成犬を迎えました。子犬向けの4週間と、順番は変えたほうがいいですか。
- 順番はそのままで大丈夫です。変えるとしたら1段にかける日数のほうで、成犬では1週目が2週になることも、逆に3日で次へ進めることもあります。以前の暮らしで触られ慣れている子だと、1週目と2週目がまとめて終わることもあります。ただ、3週目の「道具を見せるだけ」の週は飛ばさないでください。体に当たる前に見たことがある状態にしておく、という段は、年齢に関係なく役に立ちます。犬を初めて迎えた家では、進んだ段の数を紙に残しておくと、あとから何が抜けたかを追えます。
- 4週間のあいだ、シャンプーはしないほうがいいですか。
- しないほうがいい、という話ではありません。汚れて帰ってきた日や、動物病院で指示があった場合は、その都度必要です。ここで書いているのは、洗う工程を毎日の練習の中に組み込まない、ということです。洗う日は、押さえる・濡らす・乾かすが一続きになるので、途中で終われません。4週間の予定表とは別の日として扱って、洗った翌日は前の週の段に戻してください。頻度をあらかじめ決めておくより、その日の予定に1回ぶんの空きがある日を選ぶほうが続きます。
- セットとしてまとめて買うのと、1つずつ買い足すのはどちらがいいですか。
- 使う順番が決まっているなら、どちらでも構いません。まとめて買った場合は、届いた箱をそのまま置いておいて、週ごとに1つずつ取り出す形にしてください。1つずつ買い足す場合は、次に買うものを1巡が終わってから決めます。どちらの買い方でも、初めて犬を迎えた家でつまずくのは物の数ではなく、同じ週に新しいことを2つ始めてしまう点です。買い方より、出す日付のほうを先に決めておくと迷いません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
