C08季節・行事

出先で写真を撮る日は、前の晩に毛を寝かせる|風で立つ毛と静電気

公開日 2021年4月1日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のやわらかいブランケットの上で、静かに座っているクリーム色の犬
毛の向きがそろっている時間は、こちらが手を触れていないあいだに終わっていきます。写真:SLZ/Pexels

出かける前の晩、午後10時に毛布から抱き上げると、背中の毛先だけが持ち上がって、昼間に見えていた毛づやが消えていました。毛づやというのは、光の返り方のことです。毛の向きがそろっていれば光は一方向に返り、毛先が浮けば散ります。翌日の写真につやが写らなくなるのは、静電気で毛先が根元から離れているからです。前の晩から現地に着くまでに、その子の毛がこすれる回数は7回あります。当日の朝に10分かけても、その7回は取り返せません。

前の晩から現地まで7回|毛づやが写真に出ない日に静電気が起きている場所

毛づやは、毛の表面に当たった光が、どれだけそろった向きで返ってくるかで決まります。毛先が根元から浮いて一本ずつばらけると、同じ毛でも光は散り、写真では白くぼやけた面になります。撮った1枚を見て「今日はつやがない」と感じるとき、変わっているのは毛の質ではなく、毛の向きです。そして毛の向きを変えているのは、たいてい静電気です。

静電気は、種類の違うものがこすれて離れるときに起きます。毛と布、毛と腕、毛とブラシ。こすれた回数だけ電気は溜まるので、この記事では家を出る前の晩から現地で撮るまでの「こすれた回数」を数えます。気温や湿度を眺めているだけでは、こちらの手は動きません。回数なら書き出せます。

出先で写真を撮る日に、毛がこすれる7回の内訳
場面こすれるもの立ちやすい場所こちらが間に入れるか
前夜、寝床から抱き上げる毛布・クッション背中・脇入れられる
朝、上着を着せる服の内側首・胸入れられない
朝、上着を脱がせる服の内側首・背中入れられない
玄関まで抱いて運ぶ腕・人の服脇の下入れられない
キャリーで移動する内側の布体の下側入れられる
現地でキャリーから出す出入口の縁背中入れられない
撮る前に抱き直す・風に当たる腕・風毛先全体入れられる

4月に写真を撮る日は、この7回が起きやすい条件がそろいます。換毛期に入って下毛が抜けかけたまま被毛の中に残っていること、日中の気温が上がると室内の空気が乾いて毛と毛の間の水分が減ること、朝晩の冷えで上着を着せる日と着せない日が混ざることの3つです。この3つはどれも毎年くり返します。だから、その年の天気を見て対応を決めるのではなく、7回の内訳のほうを毎年同じ紙で数えるほうが早く済みます。

前の晩から撮影までに、毛がこすれる7回 こすれた回数は、こちらが数えないかぎり記録に残りません。時刻ごとに書き出すと、減らせる回数と減らせない回数が分かれます。 ◯は、こちらが間に入れる回数 前夜22時 ◯ 寝床の毛布から抱き上げる 背中と脇が毛布とこすれる。1回目 当日7時 上着を着せて、脱がせる 首と胸。着脱で2回に数える 7時40分 抱いて玄関まで運ぶ 腕が当たる脇の下。4回目 8時 ◯ キャリーに入れて移動する 内側の布と、体の下側。5回目 9時30分 現地でキャリーから出す 出入口の縁に背中が触れる。6回目 10時 ◯ 風の中で抱き直す 風と腕。7回目がいちばん立つ
7回のうち3回は、間に1つはさむだけで毛先の立ち方が変わります。

紙は1枚で足ります。日付、撮った場所、7回のうちどこで毛が立ったかに丸をつけるだけです。丸のつく場所は、その子ごとにほぼ決まっています。背中だけの子、脇の下ばかりの子、現地の風で一気に全体が浮く子。決まっているとわかれば、次の撮影で先に手を入れる場所が1か所に絞れます。毛づやを毎回運まかせにしないというのは、この丸の位置を覚えておくという意味です。

寝かせる・持ち上げない・現地で戻す|毛づやを残す静電気の手順

手順は5つです。前の晩に毛を寝かせ、抜けかけの下毛を出し、朝の着脱を1回にまとめ、移動中に体の下側を守り、撮る10分前に毛先だけを戻します。7回を0回にする手順ではありません。7回のうち、こちらが間に入れる3回で何をするかの手順です。

  1. 1|前の晩、乾いた毛にブラシを入れない

    撮影の前夜にブラッシングをする飼い主は多いのですが、乾いたままの被毛にブラシを通すと、そこで1回こすれます。毛先が指やブラシに引かれて浮き、翌朝まで戻りません。手のひらに mofuwa グルーミングスプレーを取って背中から腰へ広げ、毛が湿りを含んでからブラシを入れます。順番が逆になるだけで、前夜のブラッシングは回数を増やす側から減らす側に変わります。

  2. 2|換毛期の下毛を、前の晩のうちに外へ出す

    4月の被毛には、抜けたのにまだ外へ出ていない下毛が混ざっています。この下毛は根元の近くで横を向いているので、上の毛を内側から押し上げます。写真で毛先がぼやける原因の半分はこれです。首の後ろから背中、腰、しっぽの付け根まで、毛の流れに沿って3往復。抜けた毛が指につかなくなったらそこで止めます。

  3. 3|朝の上着は、着せたら現地まで脱がせない

    着脱は1回につき1回こすれます。玄関で着せ、車で暑そうだからと脱がせ、現地でまた着せると、それだけで3回です。朝の気温で着せるかどうかを決めて、決めたら現地まで通します。着せない日は、代わりに毛布を1枚キャリーへ入れておきます。

  4. 4|移動中に体の下側だけを守る

    キャリーの中で長くこすれるのは、背中ではなく胸から腹にかけての下側です。自分の体重で押しつけられているので、離れるときに毛が持ち上がります。内側に敷く布を、その子がいつも寝ている毛布にそろえると、少なくとも素材の種類は1つ減ります。目的地まで30分を超える日は、着いてから毛を戻す時間を5分見ておきます。

  5. 5|撮る10分前、毛先だけを手のひらで戻す

    現地に着いてすぐに撮ると、7回目のこすれがそのまま写ります。手のひらに1本を取って両手でなじませ、背中の毛先を毛の流れに沿って一方向になでます。梳かしません。梳かすと、その場でもう1回こすれることになります。10分置くと毛先が落ち着き、光の返り方がそろってきます。

手順の1と5で使っているのが mofuwa グルーミングスプレーです。7回のこすれのうち、こちらが間に入れるのは前の晩と移動と現地の3か所しかありません。その3か所でやることは、毛を持ち上げないようにする、ではなく、こする前に毛の状態を先に変えておく、です。静電気を止める道具として持つと、使うのは毛が立ってからになり、いちばん効く前夜の1回を逃します。

外に出る子ほど、毛の上には外のものが乗ります。撮影のための遠出でも、いつもの散歩でも同じです。体から脂が出るのも毎日のことなので、前の晩に整えた毛の表面は、翌日の昼には別のものになっています。それでもシャンプーは毎日の道具にはなりません。乾かすのに時間がかかり、4月の夜はまだ冷えます。吹きかけてブラシを通すだけで終わる形にしてあるのは、毎日のほうに置くための形です。撮影の前夜だけ特別なことをするより、こちらのほうが写真には効きます。

毛づやが戻る仕組みのほうも書いておきます。毛の表面には余分な脂が乗っていて、これが光を乱反射させます。アルカリ電解水は油となじんで乳化するので、拭き取ったぶんだけ毛の向きがそろい、光が一方向に返るようになります。つやを足しているのではなく、光を散らしていたものが減っています。だから撮影の前に足す量を増やしても、てかった写りにはなりません。

撮影の日は、顔のまわりにも手が伸びます。目のふち、口の横、あごの下。この3か所は、その子が自分でなめる場所です。中身は電解水で、香りは足していません。清涼飲料水の規格基準に照らして確かめられた水なので、顔のそばで使った量を数えずに済みます。香りのついたものを顔の近くで使うと、その子は撮影のあいだじゅうにおいのほうを気にして、こちらを見てくれません。

Point前夜の10分を、どこに置くか

前の晩の手当ては、寝る直前ではなく夕食のあと、寝床に入る2時間前に置きます。寝床に入ってから毛布とこすれる1回目が待っているので、直前に整えても、その1回で戻ります。2時間前に寝かせておくと、毛布に入るときには毛の向きが安定していて、朝に持ち上がる毛先の数が減ります。同じ10分でも、置く時刻で結果が変わる数少ない手当てです。

撮る直前に整えた毛ほど立つ|静電気とブラッシングの頻度を間違えている3つ

毛づやが写真に出なかった日を振り返ると、当日に手を入れすぎていることがほとんどです。7回のこすれに、こちらが8回目・9回目を足しています。頻度を上げれば毛が整うという感覚が、この場面だけは逆に働きます。

3つに共通しているのは、毛を動かすことでしか状態を変えられないと思っていることです。実際には、毛の間にどれだけ水分が残っているかで、同じ回数こすれても立ち方が変わります。乾いた毛は電気を溜め、湿りを含んだ毛は逃がします。毎日のうるおいという言い方は抽象的に聞こえますが、写真の日に限っていえば、毛先が浮くか寝るかという目に見える差になって出ます。

立ってしまった毛の戻し方も決めておきます。手のひらを湿らせ、毛の流れに沿って首から腰へ一方向に、ゆっくり1回。往復させません。往復は、その子から見ると2回こすられたことになります。1回で戻らない場所は、そのまま5分置いてからもう1回。続けて3回触るより、1回ずつ5分あけたほうが、毛先はよく寝ます。

Caution丸のつく場所が、7回の内訳と合わなくなったとき

こすれた場所とは関係なく同じ1か所だけが毎回立つ/その場所の毛を分けると地肌が見えている/根元の近くで毛が折れている/さわると熱い、または触れた瞬間に振り返る/前は丸がつかなかった場所が、3回続けて丸になった。こうなると、静電気の話ではなくなっている可能性があります。毛が立つ理由は摩擦だけではなく、下で皮膚が変わっていても毛の向きは崩れます。7回の内訳に丸をつけた紙は、そのまま持ち出せる記録です。撮影の予定とは別に、その紙を持って動物病院へ行く日を1日つくってください。いつから、どの回で、どの場所が変わったのかが、紙1枚でそのまま伝わります。

撮らない日の積み上げが、次の1枚のつやになる

写真の日にできることは、前の晩と現地の10分ずつで終わります。そのぶん、差がつくのは撮らない日のほうです。毛の間に水分が残っている状態を毎日つくっている子は、7回こすれても毛先が浮ききりません。前日だけ手をかけた子は、同じ7回で全部持ち上がります。

毛づやと静電気を、頻度で分けて考える
いつやることかかる時間写真の日に効くもの
毎日手のひらで首から腰へ一方向になでる1分毛の間に水分が残る
2日に1回湿らせてからブラシを入れる5分下毛が溜まらない
週に1回脇の下と胸の下だけを分けて見る3分立ちやすい場所が分かる
撮影の2日前洗うならこの日まで—根元と毛先の段差が消える
撮影の前夜寝床に入る2時間前に寝かせる10分朝に浮く毛先が減る
撮影の当日現地で10分前に毛先だけ戻す2分7回目のこすれが写らない

表の右端が、この記事でずっと数えてきたものです。毎日のほうに置いた1分は、写真の日に「水分が残っている毛」という形で戻ってきます。撮影の当日に置いた2分は、その日の7回目だけを打ち消します。どちらが大きいかは、1年に何日撮るかで決まります。年に数回しか撮らないなら当日の2分で足りますし、月に何度も出かけて撮るなら、毎日の1分のほうが安く済みます。

もう1つ、撮る側の話も書いておきます。毛づやは光の返り方なので、撮る向きでも変わります。太陽を背にして正面から撮ると、返ってきた光がカメラに入らず、整えた毛でもつやが写りません。斜め後ろから光が入る位置に立つと、そろった毛の面が線になって出ます。前の晩に毛を寝かせておく意味は、この線をつくれる状態にしておくことです。

今夜のぶんは、これだけです。寝床に入る2時間前に、手のひらで首から腰まで一方向に。梳かさなくてかまいません。明日の朝、背中の毛先が持ち上がってこなければ、7回のうち1回目は消えています。残りの6回は、紙に丸をつけながら次の撮影までに覚えていきます。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

撮影の当日、現地でブラシを使いたいときはどうすればいいですか。
ブラシを持っていくこと自体は問題ありません。順番を変えてください。乾いた毛に直接ブラシを入れると、そこで1回こすれて毛先が立ちます。手のひらに取って毛の流れに沿って一度なで、1分ほど置いてからブラシを通すと、同じ道具でも毛が立つ側に働きません。現地では、毛の表面をなでるだけのブラシを1本だけ持つと決めておくと、強く梳かす誘惑が減ります。
短毛の子でも、前の晩から準備する意味はありますか。
あります。短毛の子は毛が立っても目立ちませんが、光の返り方の差はむしろ大きく出ます。毛が1本ずつ独立して寝ている面積が広いぶん、そろっていれば全身が一枚の面として光り、ばらけていれば全体がくすんで写ります。前の晩にやることは同じで、時間だけ短くなります。首から腰まで一方向に、1分。下毛が少ないので、手順2のブラッシングは省いてかまいません。
猫を出先で撮るときも、7回は同じように数えられますか。
回数の数え方は同じですが、中身が入れ替わります。猫では上着の着脱がない代わりに、キャリーの中で自分から向きを変える回数が増えるので、体の下側と脇のこすれが犬より多くなります。もう1つ、スプレーの音そのものを嫌う子がいます。その場合は容器から直接かけずに、手のひらに出してから使ってください。届くのは湿った手のひらだけになり、音の回数を増やさずに済みます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。