C08季節・行事
梳かした翌日、また床に毛が落ちている|抜けているのは上の毛ではない
ブラッシングをした翌日の朝、廊下の同じ場所に、また薄く毛がたまっていました。換毛期に抜けたアンダーコートは、抜けたその場で床へ落ちるより先に、上の毛のあいだに引っかかって体に残ります。昨日梳かしたのに今日また落ちているのは、その子が体を振ったり寝返りを打ったりするたびに、残っていた下毛が少しずつ外へ出ているからです。床にたまる毛の量は、その日抜けた量と、前の日から体に残っていた量が混ざったものです。だから換毛期のブラッシングで先に変えるのは、回数よりも、ブラシが届く深さのほうになります。
床に落ちた毛は、いつ抜けた毛か|換毛期のアンダーコートを家でできる形で数える
換毛期に抜けた毛が床へ落ちるまでには、体の上で待っている時間があります。アンダーコートは上の毛より短く、根元の密なところで生えています。根から離れても、上の毛が屋根のようにかぶさっているので、すぐには外へ出られません。その子が起き上がる、体を振る、壁にこすれる、といった動きのたびに、少しずつ押し出されて床に落ちます。梳かした翌日にまた毛がたまるのは、この持ち越しぶんです。
| 手に取った毛の形 | さわり心地 | どこから抜けた毛か | 床での落ち方 |
|---|---|---|---|
| 1本が長く、先に向かって細くなる | つやがあり、指で押すとコシが返ってくる | 上の毛(オーバーコート) | 1本ずつ離れて落ちる |
| 短くて、先までやわらかい | 指で丸めると綿のようにまとまる | 下の毛(アンダーコート) | かたまりになって隅にたまる |
| 根元に小さな白い玉がついている | まだ少し湿り気がある | この2〜3日に抜けたばかりの毛 | 服やソファに貼りついて残る |
| 両端とも細く、途中で切れている | 手触りがぱさついている | ブラシで切れた毛 | 空中に舞ってから落ちる |
床の毛を見て「今日もこんなに抜けた」と思うとき、その中身は4種類に分かれます。このうち量を動かせるのは、2行目のアンダーコートだけです。上の毛は換毛期でも入れ替わりがゆるやかで、切れた毛はブラッシングのやり方そのものが生んでいます。だから換毛期のケアでは、床の毛を漠然と眺めるより、指でひとつまみ拾って、綿のようにまとまるかどうかを見るほうが早く話が進みます。
この記事では、床の毛を粘着ローラーの枚数で数えます。朝いちばんに、その子の寝床から半径1メートルと、いつも通る廊下の1メートルだけをローラーでひと往復させ、使った面が何枚ぶんになったかを紙に書きます。紙には日付と枚数、その前日にブラッシングをしたかどうかの丸だけで足ります。掃除機は範囲も吸う力も日によってぶれますが、ローラーは同じ幅で同じ回数を転がすので、換毛期のあいだ比べられる数字になります。
枚数は、最初の3日は増えることがあります。体に残っていたぶんが出てくるからで、これはブラッシングが根元まで届きはじめた合図でもあります。見るのは1日の数字ではなく、3日ごとの平均が下を向いたかどうかです。家でできる記録はこれだけで、毛の本数を数えたり、重さを量ったりする必要はありません。数字が動かない週が来たときに、何を変えるかを決める材料として使います。
根元を浮かせてから毛先へ|換毛期のアンダーコートに届くブラッシングの手順
手順は5つで、順番が要です。地肌まで毛を分けて見てから、根元まで湿らせ、目の粗いコームで根元を浮かせ、浮いた下毛を毛先へ抜き、最後に床の毛をローラーで数えます。ここを逆に組むと、ブラシは上の毛の表面だけをなでて、アンダーコートは体に残ったままになります。1か所あたり5分、背中なら背中だけを通してから次の場所へ移ります。
-
1|背中の毛を手で左右に分けて、地肌まで見る
指を熊手のように広げ、毛の流れと直角に分けます。分け目の底に白い地肌が見えるか、その手前で毛が詰まって見えないかを確かめてください。詰まって見える場所が、その日ブラシを入れる場所です。換毛期は日によって詰まる場所が移るので、毎回この確認から始めます。ここを飛ばすと、いつも同じ場所ばかり梳かすことになります。
-
2|分けた地肌から毛先まで、mofuwaグルーミングスプレーで湿らせる
分け目を開いたまま根元へ吹きかけ、そのあと全体に薄くかけます。毛の表面だけを湿らせても、浮かせたいのは根元の毛なので届きません。かけたら30秒ほど置いて、指で根元をなじませます。湿った根元はコームの歯が滑り込みやすく、毛どうしの摩擦も落ちるので、下毛が引っぱられずに動きはじめます。
-
3|目の粗いコームを、毛の流れと逆向きに浅く入れる
歯を地肌に立てず、毛の途中まで浅く入れて、根元側へ少し起こします。ここは毛を抜く工程ではなく、上の毛の屋根を持ち上げて、下の毛が出られる道をつくる工程です。1か所につき3往復まで。それ以上は、まだ抜けていない毛まで引くことになります。
-
4|浮いた下毛を、毛の流れに沿って毛先へ抜く
起こした毛を上から押さえ、根元から毛先へ一方向に通します。往復させず、1回で抜けなければもう一度だけ根元から。抜けた毛がコームの歯にたまったら、そのつど指で取ってから続けます。歯に毛が詰まったまま通すと、抜けた毛が地肌側へ押し戻されて、翌日また床に出てきます。
-
5|手のひらで全体をなで、床の毛を粘着ローラーで集める
湿った手のひらで毛の流れに沿ってなでると、コームからこぼれた毛が手について取れます。そのあと床をローラーでひと往復させ、何枚ぶん使ったかを紙に書きます。梳かした直後の枚数と、翌朝の枚数は別に記録してください。翌朝のほうが体に残っていた量を映します。
2番目で使う mofuwaグルーミングスプレーは、毎日きれいにしてあげたい、をその日のうちにやり切れる形にするために作られた1本です。犬にも猫にも皮脂が出続けますし、散歩から帰れば外の細かい砂も毛の中に入ります。シャンプーで全部を片づけようとすると、換毛期のあいだ毎日湯を張ることになり、その子にも家族にも続きません。換毛期に必要なのは、大きく1回洗うことより、抜けた下毛を出しきる小さな1回を毎日重ねることです。吹きかけてコームを通すだけなので、朝の5分に収まります。
乾いた毛にそのままコームを入れると、根元で静電気が起きます。静電気が起きた毛は互いに反発して立ち上がり、浮いた下毛は歯から逃げて空中と服へ散ります。散ったぶんは廊下のローラーには出てきますが、体から取れた量としては数えられません。湿らせてから梳かすと、同じ5分でも、取れた毛がコームの歯と手のひらに残ります。数えたい量が手元に集まるという意味でも、湿らせる工程は換毛期の記録とつながっています。
換毛期は1日に何度も毛を触ることになるので、使う量を気にせずに済むかどうかが、続くかどうかを分けます。この1本の中身は電解水で、清涼飲料水の規格基準をクリアした水を使っています。梳かしたあとにその子が背中をなめても、量の上限を数えながら吹きかける必要がありません。うるおいを残しながら余分な脂と乳化して汚れが落ちるので、根元まで濡らしても毛がべたつかず、そのままコームに移れます。
猫の場合は、1回を短くします。5分を1回ではなく、2分を朝と夜に分けるほうが、途中で逃げられずに済みます。猫は自分の毛づくろいでも下毛を口に運ぶので、換毛期に飼い主が抜いた量が増えるほど、飲み込む量のほうは減ります。ブラッシングのあとに手のひらでなでる工程は、猫では特に省かないでください。歯からこぼれた毛が部屋に散らず、その場で手に移ります。
毎日やっても床の毛が減らない|換毛期のブラッシングの頻度で取り違えやすい3つ
枚数が動かないとき、多くは回数ではなく入れ方の側に原因があります。頻度を上げるのは、届く深さを直したあとの話です。順番を逆にすると、上の毛だけを1日に何度もこすることになり、切れた毛が増えて、床の毛はむしろ増えます。
- 乾いた毛に、強い力で長く入れる:時間を延ばすほど取れる気がしますが、乾いた根元では毛どうしが噛み合っていて、力の向きが下毛ではなく地肌への圧に変わります。同じ5分でも、湿らせてからの5分と、乾いたままの15分では、コームに残る毛の質が違います
- 全身をまんべんなく回す:換毛期の下毛は一斉には抜けません。腰、太ももの外側、首の後ろ、といった順で場所ごとに波が来ます。全身を薄く1周すると、いま抜けている場所に届く回数が減ります。その日は詰まって見えた1か所だけでかまいません
- 床の毛が減った日に、間隔をあける:枚数が減るのは体に残っていた毛が出きった合図で、抜ける量が止まった合図ではありません。ここで2日あけると、あけたぶんがそのまま上の毛のあいだに戻ります。減った日こそ、同じ頻度を保つ日です
3つのうち、いちばん多いのは2番目です。全身を回すやり方は一見ていねいですが、換毛期のアンダーコートには波があるので、波の来ている場所に時間を寄せたほうが数字は動きます。1週間を通して全身に届けばよく、1日で全身に届く必要はありません。紙に場所の名前も書いておくと、同じ場所ばかり梳かしていたことに、2週目には気づけます。
道具を足すかどうかで迷ったときは、いま持っているコームで、歯の入る深さが足りているかを先に見ます。歯の長さが毛の厚みの半分に届いていなければ、何回入れても根元には当たりません。換毛期のためにアンダーコート用の道具をそろえるとしても、湿らせてから使う手順は同じです。道具を替えると解決するように見える場面の多くは、入れる深さの問題として先に片づきます。
毎日同じやり方で梳かして記録しているのに、3週目に入っても3日平均が下を向かない/背中や腰の1か所だけ、下毛が抜けたまま生えてこない/梳かしたあとに、その場所を長くなめ続けている/これまで平気だった場所で、コームを当てると体をひねる。換毛期の入れ替わりは、長くても6週ほどで一度落ち着きます。枚数の減らない週が続くなら、ブラッシングの頻度で動かせる範囲から外れています。日付と枚数と場所を書いた紙を持って、動物病院の予約を取ってください。いつから、どこが、何枚のまま止まっているのかが、紙1枚でそのまま伝わります。紙がないと、その場で「たくさん抜けます」としか言えません。
ローラーが1枚で足りるようになったら|換毛期のアンダーコートを毎日続けるコツ
枚数が落ち着いてからのコツは、やめないことではなく、場所を回し続けることです。換毛期の終わりごろは、抜ける場所が背中から腰、太ももの外側へと移っていきます。毎日同じ背中だけを梳かしていると、数字は下がったのに、部屋の隅の毛はなくならない、という状態になります。1週間で全身に1周届く形を決めてしまうと、その日どこを梳かすかで迷わずに済みます。
| 曜日 | コームを入れる場所 | 見るところ | 紙に書くこと |
|---|---|---|---|
| 月 | 背中の中心から腰まで | 分け目の底に地肌が見えるか | 翌朝の枚数 |
| 火 | 首の後ろと肩 | 首輪の下で毛が詰まっていないか | 翌朝の枚数 |
| 水 | 太ももの外側 | 座ったときにこすれる面 | 翌朝の枚数 |
| 木 | 脇の下と胸 | 動きの多い場所のもつれ | 枚数と、もつれの有無 |
| 金 | しっぽの付け根 | 毛が寝たまま起きない場所 | 翌朝の枚数 |
| 土 | その週いちばん詰まっていた場所 | 月〜金の紙を見て決める | 枚数と場所 |
| 日 | 全身を手のひらでなでるだけ | 手に毛が移る量 | 手に移ったかどうか |
日曜にコームを持たない日を1日入れているのは、その子の側に「触られても何も起きない日」を残すためです。換毛期のあいだ毎日道具が出てくると、ブラッシング自体を避けるようになる子がいます。手のひらでなでるだけの日をはさむと、毛の状態も手で分かりますし、翌週の月曜にコームを見ても体が固くなりません。続く形にしておくことが、換毛期のアンダーコートでは道具選びより先に効きます。
紙は、換毛期が終わっても捨てずに残してください。次の年の春、同じ場所で枚数が増えはじめた日が、その子の換毛期の始まりです。去年の紙があると、何週目にいるのかが分かり、まだ増える時期なのか、そろそろ落ち着く時期なのかを、数字のほうから判断できます。
今夜は、背中の毛を手で分けて、地肌が見えるかどうかを確かめてください。詰まって見えたら、そこを湿らせて5分。見えたなら、手のひらでなでて終わりにします。明日の朝、廊下をローラーでひと往復させて、枚数を紙に書くところから数字が始まります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 換毛期のブラッシングは、1日に何回までやっていいですか。
- 同じ場所には1日1回までにして、場所を替えるなら1日2回まで、と決めると崩れません。回数の上限は毛の側ではなく地肌の側で決まります。同じ場所に何度もコームを入れると、抜けた下毛が出きったあとも歯が地肌をこすり続けることになります。翌朝の枚数が減っている日は、その日はなでるだけで足ります。減っていない日は、場所を替えてもう1か所。回数を増やすより、湿らせる工程を省かないほうが、枚数は先に動きます。
- 抜けた毛をそのまま掃除機で吸えば、ブラッシングは減らせますか。
- 床の毛と体の毛は別に数えてください。掃除機で片づくのは、すでに落ちた毛です。上の毛のあいだに残っているアンダーコートは、その子が動くたびに数日かけて出てくるので、床だけをきれいにしても翌朝また同じ場所にたまります。逆に、体から先に出しきると、床の掃除は自然に短くなります。ローラーで数えるのをすすめているのも、掃除のためではなく、体にどれだけ残っているかを知るためです。
- 短い毛の子にも、アンダーコートはありますか。
- 毛の長さと、下毛があるかどうかは別の話です。見た目が短い子でも、根元に短くやわらかい毛が密に生えていれば、換毛期にはそこが入れ替わります。見分け方は簡単で、背中の毛を手で分けたときに、同じ長さの毛だけが並んでいるか、下に短い毛の層があるかを見ます。層がある子は、短毛でも春に床の毛が増えます。梳かす道具は歯の短いもので足りますが、湿らせてから根元を浮かせる順番は変わりません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
