C03使い方・お手入れ手順

多頭飼いで順番に回すときの組み立て

公開日 2021年6月2日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の白いクッションの上で、静かに眠っているクリーム色の小型犬
順番を決めているのは人ですが、順番を覚えるのは待っている側の子です。写真:Sarah Chai/Pexels

帰宅後の玄関で、リードを外した1頭目の背中に手を置いた14秒後、廊下の奥から2頭目が走ってきました。多頭飼いの家で回すケアは、1頭あたり何分かかるかで組まれることが多いはずです。ところが実際に手が止まるのは、1頭目の途中に2頭目が入ってきた瞬間です。多頭飼いのケアの順番は、誰から始めるかよりも、待っている子がどこで待つかで決まります。この記事では3頭の家を例に、割り込みの回数を数えながら順番を組み直します。

1頭目に手を置いてからの14秒|多頭飼いのケアを回すやり方の前提

多頭飼いのケアを順番に回すとき、先に数えておきたいのは1頭あたりの分数より、1頭目に手を置いてから次の子が近づいてくるまでの秒数です。帰宅後の玄関でリードを外し、その子の背中に手を置く。そこから十数秒で、次の子が廊下を走ってきます。3頭いれば、もう1頭が少し遅れて来ます。1頭あたり3分で回すつもりの段取りは、この十数秒のところで毎日ずれていきます。

3頭の家で、帰宅後の1回を7日間数えたもの
数えたこと1番手2番手3番手
手を置いてから、別の子が近づくまで14秒31秒近づかない
1頭ぶんのケア中に割り込まれた回数3回1回0回
7日のうち、最後まで手が届いた日7日6日2日
その子を省いた日に残っていたものなし首まわりの絡まり室内に残るにおい

表の右端が、多頭飼いのケアでいちばん見落とされる列です。3番手は割り込まれていません。割り込む側に回っているからです。誰にも邪魔されない位置にいる子が、7日のうち2日しか終わっていない。順番の後ろに置いた子は、こちらの時間が尽きたところで自動的に外れます。多頭飼いの順番を組み直すというのは、実際には3番手をどう守るかという話になります。

室内で暮らす頭数が増えるほど、1頭ごとの時間より、人が同じ場所に立っていられる時間のほうが先に尽きます。帰宅後にかばんを置いて、玄関に戻って、3頭ぶん手をかけて、また立ち上がる。この往復が1回増えるたびに、多頭飼いのケアは1頭ぶんずつ削られていきます。順番は人の移動を減らす形で組みます。子の性格から組むと、移動が増えます。

1頭ぶんのケア中に、ほかの子から割り込まれた回数 3頭の家で7日間数えた平均。1番手がいちばん割り込まれ、3番手は割り込まれない代わりに、そもそも順番が回ってこない日が多くなっています。 帰宅後の1回・7日間の平均(3頭の家) 1番手(いちばん先に寄ってくる子) 3回 2番手 1回 3番手 0回 3番手が終わった日は7日のうち2日でした
割り込まれない位置にいる子ほど、順番から外れやすくなります。

玄関・廊下・寝床の3か所で回す|多頭飼いのケアを順番どおりに進める手順

手順は5つです。ドアを開ける前に順番を決め、1番手を玄関で済ませ、待つ2頭はドア1枚ぶん向こうに置き、終わった子から寝床のほうへ戻し、最後に3番手だけ紙に丸をつけます。途中で順番を入れ替えないことと、1頭ぶんを途中で止めないことの2つだけ守れば、多頭飼いのケアは同じ時間で回ります。

  1. 1|玄関のドアを開ける前に、今日の順番を声に出す

    外で決めます。家に入ってから決めると、寄ってきた子の順に回すことになり、毎日ちがう順番になります。声に出すのは自分のためです。3頭なら3つの名前を、いつも同じ調子で並べます。順番を口にしてからドアを開けるまでの数秒が、そのままこのあと数分ぶんの時間を作ります。

  2. 2|1番手は玄関で、立たせたまま済ませる

    座らせる必要はありません。帰宅直後のその子は、まだ外の続きにいます。立っている体勢のまま、背中から腰、前足のつけ根の順に手を動かします。座らせようとすると、そこで一度こちらが止まり、その止まった数秒に2番手が入ってきます。

  3. 3|待つ2頭は、ドア1枚ぶん向こうに置く

    距離ではなく、視線を切ります。同じ部屋の隅に離しても、こちらの手の動きが見えていれば近づいてきます。廊下のドアを1枚閉めるだけで、1頭ぶんあたりの割り込みは3回から1回に下がりました。閉めるドアは毎日同じものにします。

  4. 4|1頭ぶんは、吹きかけてブラシを通すまでを1回と数える

    途中でやめた日は、その子の回は終わっていません。多頭飼いでは「半分だけやった」が増えると、どこまで進んだかが誰にも分からなくなります。1回を短く決めて、短いまま最後まで通します。長さより、終わりが毎日同じであることのほうが順番を保ちます。

  5. 5|終わった子から、順に寝床のほうへ戻す

    終わった子を先に戻すと、待っていた子は自分の番が近いことを場所で知ります。人が呼びに行くと、そのたびに立ち上がることになります。戻す・呼ぶではなく、部屋の向こうとこちらを1頭ずつ入れ替えるだけにします。3番手が終わったら、紙に丸を1つ書きます。

この手順の中で吹きかけているのが mofuwa グルーミングスプレーです。犬も猫も体から脂を出すので、昨日きれいにした毛は今日また汚れます。ところが、シャンプーを毎日というわけにはいきませんし、サロンへ毎日連れて行くこともできません。毎日きれいにしてあげたいという気持ちのほうを、実際に毎日やれる形にしたのがこの1本です。吹きかけてブラシを通すだけなので、1頭ぶんが短く終わります。多頭飼いでは、この短さがそのまま頭数ぶんの時間になります。

順番を回すうえで大きいのは、手を止めずに次の子へ移れることです。お湯を使う支度も、乾かす時間もいりません。中身はアルカリ電解水で、毛についた余分な皮脂や油となじんで乳化します(出典:deck p16)。舐めることを前提にして設計されている1本なので、3頭ぶんかけても量を数えずに済みます。量の心配が消えると、2番手と3番手で手加減しなくなります。

香りを足していないことも、多頭飼いでは意味が変わります。においは、頭数が増えるほど混ざります。香りのついたものを3頭に順番に使うと、家の中のにおいの地図が1日で塗り替わり、その子たちが互いを確かめる材料が減ります。無香料の1本で回すと、3頭が同じ状態に揃っても、それぞれのにおいはそのまま残ります。室内に残るにおいが気になるのは、たいてい毛についた脂のほうです。

グルーミングスプレーには、ブラシを入れる前のひと吹きという顔もあります。乾いた毛にいきなりブラシを入れると静電気が起きて、毛が浮いて指に絡みます。その一瞬の引っぱりで嫌がった子は、翌日その場所に来なくなります。多頭飼いでは、1頭が来なくなると順番そのものが崩れるので、ブラシの前にひと吹きしておくほうが結果として早く終わります。

3頭のうちに年齢の高い子や猫がいる家では、入浴そのものが負担になっていることがあります。そういう子は、風呂を嫌がる子として扱うより、湯船に入れないでおく子として順番に入れるほうが回ります。手をかける時間は短く、位置は寝床のそば、体勢は横になったまま。順番の中で、その子だけ場所と体勢を変えてかまいません。変えないのは順番の位置と、1回の終わり方だけです。

割り込みが3回入った日に見る3つ|多頭飼いのケアの順番が毎日ずれる場所

順番が崩れた日は、3番手の失敗ではありません。1番手の選び方か、待つ場所か、終わりの決め方のどれかです。毎日ずれる家では、この3つのうち2つが同時に起きています。どれが起きているかは、割り込まれた回数を数えると分かります。

数えるのは玄関に貼った紙1枚で足ります。日付と、1番手の名前と、割り込みの回数を正の字で書く。3番手まで届いた日に丸を1つ。それだけです。1週間ためると、順番を変えるべきか、場所を変えるべきかが、字の並びで分かります。割り込みの数が減っていないのに丸だけ増えている週は、こちらが早口になっているだけのことがあります。

Point1番手を入れ替えてよいのは、週の頭だけ

順番を毎日いじると、待つ側の子は位置を覚えられません。入れ替えるなら週の初めの1回にして、そこから7日は同じ並びで通します。7日ぶんの割り込みの数と、3番手に届いた日数の2つを見てから、次の週の並びを決めます。途中で入れ替えた週は、その週の数字がそのまま使えなくなります。多頭飼いのケアの順番は、決めたその日ではなく、7日目に差が出ます。

頭数が4頭以上になると、1回で全頭を回しきるのが難しくなります。そのときは順番を長くするより、帰宅後に2頭、寝る前に2頭というように、1日の中で2回に分けます。分けた回は、それぞれの回の中で順番を固定します。毎日同じ時間に同じ2頭、というほうが、その子たちにとっては分かりやすい習慣になります。

待つ位置が決まると、順番は自分で回りはじめる|多頭飼いのケアで家でできること

2週目に入ると、2番手が呼ばれる前にドアのそばまで来るようになります。ここまで来れば、多頭飼いのケアで家でできることは、順番を守ることから、位置を保つことに変わります。人が動く回数が減り、1回にかかる時間も短くなります。

3頭ぶんの待つ位置と、そこで見る合図
順番手をかける場所待つ位置位置が決まったと分かる合図
1番手玄関のたたきの前—リードを外した場所から動かずにいる
2番手玄関のたたきの前廊下のドアの向こう呼ぶ前にドアのそばに来ている
3番手寝床のそば寝床の上こちらが座るまで立ち上がらない
4頭目以降寝る前の回に分ける別の部屋帰宅後の回に出てこなくなる

表の右端は、こちらが作れるものではありません。待つ位置が決まった子から順に、自分でそこへ行くようになります。3番手だけは場所が違うので、時間もかかります。寝床のそばに座って、その子が立ち上がらないまま手をかけられる日が3日続いたら、そこがその子の位置です。多頭飼いのケアの順番は、最後にこの表の形で家に残ります。

Caution決まっていた位置に、その子が来なくなったとき

2週間そろっていた待つ位置に来ない日が3日続く/割り込みの回数が急に増え、増やしているのが今まで割り込まなかった子である/順番が回ってきたときに手をよけるようになった/ブラシを通す途中で同じ場所だけを気にする/その場所の毛をかき分けると地肌が赤い、さわると熱い。こうした変わり方は、順番の組み方では戻りません。体のどこかが痛い、かゆいという理由が隠れていると、位置を守るほど負担になります。割り込みの回数と、位置に来なかった日数を書いた紙をそのまま持って、動物病院で体のほうを見てもらう日を作ってください。7日ぶんの数字があれば、いつから変わったのかが紙1枚で伝わります。

今夜は、ドアを開ける前に3つの名前を並べるところまでで終わりにしてかまいません。順番を毎日そろえるというのは、3頭ぶんの手をかけきることではなく、同じ並びを毎日くり返すことです。割り込みの数が減った週より、並びを変えなかった週のほうが、来月のその子たちには残ります。紙は玄関に貼ったままにしておきます。

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よくある質問

頭数が違うと、順番の考え方も変わりますか。
変わるのは順番の長さではなく、待つ場所の数です。2頭なら待つ場所は1か所で、ドアを1枚はさめば足ります。3頭で2か所、4頭を超えたら1日2回に分けて、1回あたりの待つ場所を2か所までに抑えます。場所の数が頭数に追いつかなくなると、順番をどれだけ丁寧に決めても、待っている子の側から崩れていきます。頭数が増えたときにまず足すのは時間ではなく、ドアと部屋です。
犬と猫が一緒にいる家では、どちらを先にしますか。
先に寄ってくるほうを先にする、という考え方は同じです。多くの家では犬が先になりますが、猫が台所やソファの上から見ている場合、視線が切れていないので順番の外から割り込みが起きます。猫は待つ位置ではなく、高さで待たせるほうが安定します。犬の回が終わってから、猫のいる高さにこちらが行く形にすると、猫の側は動かずに済み、順番が1つ短くなります。
旅行や来客で順番が崩れた週は、どこから戻しますか。
1番手からです。全部を最初からやり直す必要はありません。順番の並びは覚えていることが多く、崩れているのは待つ位置のほうです。1番手を玄関で済ませ、2番手をドアの向こうに置く。この2つだけを3日続けると、3番手は自分で寝床に戻るようになります。割り込みの数を数え直すのは、その3日が終わってからで間に合います。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。