C05犬種・猫種別ケア

ロットワイラーと暮らすなら知っておきたい、背中のベタつきの話

公開日 2021年6月8日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の部屋で、短い毛の黒っぽい犬が落ち着いて横になっている
黒い被毛の上では、皮脂は色として表に出ません。背中の状態は、光の照り方か手ざわりのどちらかで確かめます。写真:Pexels/Pixabay

窓からの光に対して体を斜めに向けたとき、背中の一部だけが帯のように光っていた。ロットワイラーと暮らしていると、こういう気づき方をすることがあります。黒い被毛の上では、皮脂は色として表に出ません。白や淡い色の犬なら目で見えているものが、ここでは見えない。だから背中のベタつきに気づくのは、たいてい手で触ったときになります。この記事では、光で見るやり方と手で触るやり方を並べて、どちらをいつ使うかを決めます。

黒い被毛の上では、皮脂は色にならない

ロットワイラーの被毛は短く、体のほとんどが黒です。胸と眉の上、足先にだけ、明るい色が入ります。手入れという意味では、毛が短いぶん道具も時間も少なくて済みます。ただひとつだけ、他の犬種と条件が違うところがあります。それは、背中の状態が目で見えないことです。

皮脂そのものは、無色からうすい黄色までのあいだにあります。白い被毛や淡い色の被毛では、この色がそのまま毛に乗って、黄ばみとして見えてきます。淡い色の犬と暮らしている方が「毛の色が変わってきた」と言えるのは、下地が明るいからです。黒い毛の上では、うすい黄色は何の変化にもなりません。下地のほうが濃いので、色としては消えてしまいます。

そのうえロットワイラーは短毛です。毛が短いということは、毛が体の表面にほぼ寝ているということで、皮脂は毛の上を薄く広がります。長い毛のように束になったり、毛先が数本ずつ寄ったりという、形の変化としても出てきません。色でも形でも分からない。残るのは、光をどう返すかだけです。

この4つを重ねると、ロットワイラーのベタつきに気づくのが遅れる理由が見えてきます。見ようとしていないのではなく、見ても分からないからです。毎日の様子を目で追う習慣がある方ほど、ここでつまずきます。目でやっていた点検を、別の手段に置き換える必要があります。その手段が2つあって、それが光と手です。

Note皮脂が出ていること自体は、問題ではありません

皮脂は、被毛と皮膚の表面を保つために出ているものです。ゼロにするものではありません。短毛の犬では、出た皮脂が毛の少ない分だけ表面に広がりやすく、そのぶん手ざわりに出やすくなります。ロットワイラーのベタつきを扱うときも、なくす方向ではなく、留まりすぎていないかを知る方向で考えてください。

光で見るか、手で触るか|ロットワイラーのベタつきを確かめる2つの違い

使えるやり方は2つです。光の反射で見るのと、手ざわりで触るのと。どちらも同じものを見ていますが、分かることと分からないことが逆になっています。だから片方だけを続けていると、片方の情報が丸ごと落ちます。まず、2つの違いを並べます。

光で見るやり方と、手で触るやり方の違い
光で見る手で触る
分かることどこまで広がっているかどれくらい溜まっているか
得意な範囲背中の全体を一度に手のひらが当たる範囲だけ
必要な条件斜めから当たる光が要るいつでもできる
苦手なこと量の多い少ないが読めない広がりの形が分からない
向いている時間日中、窓のそば夜、部屋の中
犬に必要なこと数秒、立っていること触られていられること
見落とすところ毛が寝ていない場所手を当てていない場所
光で見るやり方と、手で触るやり方 黒い被毛では皮脂が色として出ないため、確かめる手段は光の反射か手ざわりのどちらかになります。光は広がりの形を、手は溜まりの量を教えてくれます。片方だけでは、もう片方の情報が落ちます。 2つのやり方は、置き換えではなく組み合わせです 光で見る 背中の全体を一度に見る 広がりの形が分かる 斜めからの光が要る 量の多い少ないは読めない 手で触る 手のひらの範囲だけを見る 溜まりの量が分かる 天気も時間も選ばない 広がりの形は分からない 光で場所を決めて、手で量を確かめます
同じ背中を見ていても、光と手では分かることが逆になります。

光で見ると、背中のどこからどこまでが照っているかが一度に分かります。肩の後ろだけが光っている、腰までひと続きに光っている、といった面としての情報です。ただし、その照りが強いのか弱いのかは、光の向きや窓の明るさで変わるので、量の判断には向きません。日によって条件が違うからです。

手で触ると、指の腹に返ってくる抵抗で量が分かります。すっと滑るのか、途中で止まるのか、指を離したときに残る感じがあるのか。こちらは量の情報です。そのかわり、手のひらが当たった範囲しか分かりません。背中は思ったより広く、手のひら3〜4枚ぶんはあります。触った場所だけを見て「今日は大丈夫」と決めてしまうことが起きます。

つまり、この2つは置き換えられません。光で場所を決めて、その場所を手で確かめる。この順番にすると、背中全体を毎回なでる必要がなくなります。ロットワイラーは体が大きく、全身を毎日ていねいに触るのは現実的ではありません。手を入れる場所を先に絞れることが、光で見るやり方のいちばんの利点です。

真上ではなく斜めから|背中の照り方を見る手順

光で見るときに、いちばん多いつまずきが真上から見てしまうことです。真上からだと、光は背中に垂直に当たって、そのまま真上へ返ります。目に入ってくるのは、返ってこなかった散らばった光だけです。これでは、皮脂が乗っている面と乗っていない面の差が出ません。次の順で試してください。

  1. 犬を窓のそばに立たせて、体を光と平行に向ける

    窓に対して、背中が横を向く形です。日なたに入れる必要はありません。直射日光より、窓から入る明るい光のほうが向いています。まぶしいと、こちらの目のほうが照りを拾えなくなります。曇りの日の窓辺で十分です。

  2. 自分の目線を、背中の高さまで下げる

    しゃがんで、背中の面をほとんど真横から見る位置に入ります。背中の面と目線の角度を、できるだけ浅くするのがコツです。立ったまま見下ろすと、どうしても真上に近い角度になります。ロットワイラーは背が高くないので、しゃがめば自然にちょうどよい高さになります。

  3. 首の後ろから腰へ、視線をゆっくり動かす

    光っている帯が見えるか、その帯がどこで途切れるかを見ます。均一に照っているなら、背中全体に薄く広がっている状態です。一部だけが強く照っているなら、そこに溜まっています。肩の後ろ、背骨の両側、腰の手前。この3か所に出やすくなります。

  4. 照っていた場所に、手のひらを当てる

    ここで初めて手に切り替えます。光で決めた場所だけを、指の腹で5センチほど滑らせてください。滑らかに動くか、途中で止まるか。光で見つけた形と、手で分かった量を、その場で組み合わせます。両方そろって初めて、今日どうするかが決まります。

Point毛の流れに逆らって、風を送ってみる

照りが分かりにくいときは、手のひらで腰から首へ向けて空気を送り、毛を一瞬だけ立たせてください。毛が起きた瞬間に地肌が見えます。短毛のロットワイラーは、この方法で地肌の色まで確かめられます。長い被毛の犬種ではできない、短毛ならではの見分け方です。ドライヤーの冷風でもかまいませんが、手で足りることが多いです。

夜しか時間が取れない日もあります。そのときは無理に光を探さず、手だけで済ませてください。照明の下で見ると、光の向きが真上に近くなり、かえって判断を誤ります。電球の下で「照っていない」と見えても、それは光の角度のせいかもしれません。光が使えない日は、手の情報だけを信じるほうが正確です。

明るい日は光、それ以外の日は手|毎日のケアでの使い分けと選び方

毎日どちらもやろうとすると続きません。その日の条件で、どちらか片方に決めてしまうのが現実的な選び方です。迷ったときの分かれ道はひとつ、明るい光が使えるかどうかだけです。散歩から帰った昼、窓が明るい休日は光。夜に帰宅する平日は手。これで決まります。

その日の条件で、どちらのやり方を選ぶか
その日の条件選ぶやり方かける時間
昼の散歩から帰ったとき光で見て、照った場所だけ手で確かめる1分ほど
夜に帰宅した平日手だけで、背中を3つに分けて触る30秒ほど
雨が続いた翌日手で触ってから、翌朝に光で確かめる2日に分ける
週に一度、時間が取れる日光で全体を見てから、手で全体をなでる3分ほど

夜に手だけでやる日は、背中を3つに分けてください。首の後ろから肩まで、肩から背中の真ん中まで、真ん中から腰まで。手のひらを当てる場所を決めておくと、触っていない面が残りません。毎回同じ順番でなぞると、どこか一か所だけ違う日に気づけます。順番が毎回変わると、比べる相手がなくなります。

手入れそのものは、短毛なので短時間で済みます。獣毛のブラシか、目の詰まったラバー製の道具を、毛の流れに沿って動かす。皮脂を落とすというより、一か所に留まっているものを毛の上で広げて、空気に触れさせる作業です。強くこする必要はありません。短毛の被毛は毛の層が薄いぶん、力を入れると道具の先が皮膚に直接当たります。道具を当てる前に mofuwa グルーミングスプレーを毛の上へ吹いておくと、短い毛が滑って、ラバーの先が一か所で引っかからなくなります。

Caution気づいた日に洗う、を繰り返さないでください

ベタつきに気づいた日に洗う、という順番を続けると、洗う回数だけが増えていきます。洗うほど落ちるわけではなく、落としすぎたあとに戻ってくることがあります。週に何度も洗っているのに手ざわりが戻らない、というときは、回数を増やす方向ではなく、間の日に毛の上で動かす方向へ切り替えてください。皮膚の側の条件は、回数では変えられません。

毎日ここまでやらなくても、毛の上を整えるところだけは毎日できます。グルーミングスプレーを照っていた場所へ吹いて、毛の流れに沿って布でなでてください。使われているアルカリ電解水は油と混ざるので、毛の上に薄く広がった余分な皮脂は、布の側へ移ります。ロットワイラーの背中は手のひら3〜4枚ぶんありますが、光で場所を絞ってあれば、そこだけで足ります。吹いたあとは毛を起こして、湿ったまま置かないでください。

照りも手ざわりも変わっていないのに気にしているとき

ここまでは、光と手で読める範囲の話でした。その2つでは何も変わっていないのに、犬のほうが背中を気にしているときは、別の見方をしてください。ロットワイラーは痛みや不快をあまり表に出さない子が多く、気づいたときにはしばらく続いていた、ということが起こります。次のような様子は、ベタつきの話として片づけないほうが安全です。

Caution光でも手でも読めないので、日数で判断しないところ

地肌が赤い、じくじくしている、においが洗った翌日に戻る、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄い面ができている、皮膚に粒のようなものが触れる、元気や食欲が落ちている。ここに挙げたものは、手入れの回数を増やして確かめる対象ではありません。黒い被毛は皮膚の色の変化を隠すので、光でも手でも読めません。何日か様子を見るより先に、動物病院へ行ける日を決めてください。

相談に行くときは、照りが出ていた場所、いつから気づいたか、洗った回数と最後の日の3つをメモしてください。背中は写真に撮っても黒く写るだけで、あとから見返しても分かりません。言葉で残しておくほうが、写真より役に立ちます。「肩の後ろから背骨の右側にかけて、2週間前から、洗ったのは10日前」。この形で足ります。

ロットワイラーと暮らすうえで、背中のベタつきがまったく出ない、ということはありません。皮脂は毎日出ていて、背中は自分の口が届かない面だからです。変えられるのは量ではなく、気づくまでにかかる日数のほうです。明るい日は斜めから光を当てて形を見る、そうでない日は手のひらで量を見る。この2つを条件で使い分けるだけで、気づくまでの日数はずいぶん短くなります。

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よくある質問

ロットワイラーの背中を見ても、汚れているのか分かりません。
黒い被毛の上では、皮脂はうすい黄色のまま下地に沈むので、色としては表に出ません。窓のそばに立たせて、目線を背中の高さまで下げ、光をほとんど真横から当ててください。照っている帯が見えます。真上から見下ろすと、光がそのまま返ってしまい、差が出ません。
短毛だから、手入れは少なくていいのでしょうか。
道具も時間も少なくて済みますが、皮脂が毛の上に薄く広がるぶん、手ざわりには出やすくなります。毛が長い犬のように毛束の中で隠れないので、指の腹で背中をなぞれば、その日の状態がそのまま返ってきます。時間が短いことと、間隔をあけていいことは別に考えてください。
ベタつきが気になる日は、洗ってしまってもいいですか?
気づいた日に洗う、を繰り返すと回数だけが増えていきます。落としすぎたあとに手ざわりが戻ってくることもあります。まずは間の日に毛の流れへ沿って道具を動かし、一か所に留まっているものを広げてください。それでも洗った翌日からにおいが戻るというときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。