C05犬種・猫種別ケア

ワイマラナーの短毛|皮膚の乾燥を毎日のケアで防ぐ

公開日 2021年6月15日|文=mofuwa編集部

明るい室内で、やわらかな敷物の上に落ち着いて横たわる短毛の灰色の犬
下毛のない被毛では、外の空気がそのまま地肌に届きます。乾燥が出るかどうかは、その日どれだけ外にいたかで動きます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

山道を2時間歩いた日の夜、ソファで丸くなっている背中に手を当てると、指の腹が細かく引っかかりました。同じ週の、30分の散歩だけで終わった日の夜には、この手ざわりが出ません。部屋は同じ、湿度計の数字もほとんど同じです。変わっていたのは、その日に外で過ごした時間だけでした。ワイマラナーの乾燥は、部屋の条件よりも、外にいた時間のほうについてきます。下毛のない1層の被毛には、地肌を守る層がないからです。この記事は、外で過ごした時間と、帰ってからの10分の話です。

長く歩いた日の夜だけ、背中の手ざわりが変わる

夜、ワイマラナーがソファで丸くなっているところに手を当てます。首のうしろから腰へ、手のひらをゆっくり滑らせる。朝には無かった、細かい引っかかりが指の腹に返ってきます。ざらつくというほどではなく、滑りが少し悪くなった、という程度の変化です。その日は、山道を2時間歩いていました。

同じ週のうち、家のまわりを30分歩いただけで終わった日があります。その夜に同じことをすると、手のひらはすっと滑ります。部屋は同じ、暖房も同じ、湿度計の数字もほとんど変わっていません。変わっていたのは、外で過ごした時間だけでした。ワイマラナーと暮らしている方から、この形の経験がよく出てきます。

毛の長い犬で同じことをしても、たいてい何も分かりません。手のひらと皮膚のあいだに、被毛の層が挟まっているからです。ワイマラナーは毛が極端に短く、指が当たっているのはほとんど地肌です。皮膚のわずかな変化が、そのまま手に返ってきます。これは不便に思えて、実はとても有利な条件です。数字で測るより先に、手が気づいてくれます。

この4か所を、帰った直後と、寝る前と、2回触ってみてください。時間差で変わっていく場所が、その子で乾燥が表に出やすい面です。順番を決めて、毎日同じ道すじで手を滑らせると、比べる相手ができます。順番が毎回変わると、今日が違うのかどうかが分からなくなります。

Note手のひらは、湿度計より早く気づきます

部屋に湿度計を置いている方は多いと思います。数字は参考になりますが、湿度計が測っているのは部屋の空気で、その子の地肌ではありません。外を長く歩いた日は、部屋の数字が同じでも手ざわりが変わります。ワイマラナーの被毛は、この差を隠さずに返してくれます。まず手で確かめて、それから数字を見てください。

下毛のない1層の被毛|ワイマラナーの乾燥の背景にあるもの

背景から順に見ていきます。ワイマラナーは、ドイツの野山で長い時間を動きつづける仕事のために形づくられてきた犬です。走りやすさが優先された体で、被毛はごく短く、内側に下毛の層を持ちません。上毛だけの1層です。多くの犬が持っている、内側にもう1枚という作りが、ここにはありません。

下毛は、細くやわらかい毛が密に立って、そのあいだに空気をためる層です。この層があると、外の空気と地肌のあいだにひと呼吸ぶんの距離ができます。気温が下がっても、風が吹いても、乾いた空気が来ても、いったんこの層が受けます。1層の被毛には、その受け皿がありません。風も日ざしも、地肌にそのまま届きます。

2層の被毛と、ワイマラナーの1層の被毛で、地肌に起きること
下毛のある2層の被毛ワイマラナーの1層の被毛
外の空気と地肌の距離下毛の層のぶん、離れているほとんど接している
風が当たったとき毛の層が受けて、地肌まで届きにくい地肌の表面に直接当たる
日ざしを受けたとき毛が反射して、熱がこもりにくい皮膚の温度がそのまま上がる
外にいた時間の影響時間が延びても、変化はゆるやか時間にほぼ比例して出る
変化に気づく早さ毛をかき分けないと分からない手を当てればその場で分かる
手入れで動かすもの抜けた下毛を外へ出す皮脂を毛の上に広げる

この表の下から2行目が、ワイマラナーの有利なところです。被毛が薄いということは、変化が隠れないということでもあります。毛の下で進んでから気づく、ということが起こりにくい。長い被毛の犬種では、地肌の変化が毛量に隠れて、しばらく経ってから分かることがあります。ワイマラナーでは、その日のうちに手が拾ってくれます。

もうひとつ、下毛がないぶん、被毛そのものが持てる水分の量も少なくなります。地肌のうるおいを毛の層で抱えておく、という働きが弱い。だから、外で失った分がそのまま夜まで残ります。翌朝には戻っていることが多いのですが、外にいた時間が長い日が続くと、戻りきらないまま次の日が始まります。ワイマラナーの乾燥が積み重なるのは、この戻りきらない夜が続いたときです。

部屋の湿度計より、その日外にいた時間のほうが効いてくる

乾燥の話になると、まず部屋の湿度が出てきます。加湿器を置く、洗濯物を室内に干す、暖房の設定を変える。どれも意味のあることですが、ワイマラナーでは、これだけを動かしても手ざわりが変わらない日があります。部屋の条件を整えたのに、夜に触ると指が引っかかる。そういう日は、たいてい外に長くいた日です。

理屈としては単純です。地肌の表面から水分が持っていかれるのは、乾いた空気が動いているあいだです。風が当たっている時間が長いほど、持っていかれる量の合計が増えます。風の強さや気温よりも、当たっていた時間の合計のほうが効きます。1層の被毛には受け皿がないので、外にいた時間がそのまま地肌の時間になります。

その日の過ごし方で、夜の手ざわりがどう変わるか
その日の過ごし方地肌に起きていること夜の手ざわり
家のまわりを30分風に当たる時間が短く、戻る余地がある朝とほとんど変わらない
公園で1時間、風のある日胸と背中の面が、正面から受け続ける胸のあたりだけ滑りが落ちる
山道を2時間全身の面が、長い時間かけて受ける首から腰まで引っかかる
半日、屋外で過ごす戻る時間がないまま、夕方まで続く翌朝まで残ることがある
雨の日に外へ出た濡れた被毛から、熱と一緒に持っていかれる乾いたあとに強く出る

見落とされやすいのが、いちばん下の行です。雨の日は湿度が高いので、乾燥とは結びつきにくく感じます。ところが、濡れた被毛が乾いていく過程では、地肌の水分も一緒に持っていかれます。1層の被毛は乾くのが速く、そのぶん一気に進みます。雨の日の外出は、乾いた日の外出と同じか、それ以上の条件になることがあります。

季節も、冬だけの話ではありません。夏の乾いた風、秋の風の強い日、春先の日ざし。外にいた時間が長ければ、どの季節でも同じことが起こります。湿度が高い時期に「今日は大丈夫だろう」と考えて、帰ってから何もしない日が続くと、そこで差がつきます。季節でスイッチを切り替えるのではなく、その日の外の時間で決めるのが、この犬種での考え方です。

Point湿度の数字ではなく、外にいた分数を書く

記録するなら、部屋の湿度ではなくその日に外で過ごした分数にしてください。「6月15日、外120分、夜は背中が引っかかった」。1行で足ります。2週間もすると、その子が何分を超えたあたりから夜に出るのかが見えてきます。この分数は、その子ごとに違います。体の大きさ、歩く速さ、毛の薄さで変わるので、平均値を探すより自分の子で測るほうが早く決まります。

帰ってからの10分で、外にいた時間を持ち越さない

外にいた時間そのものは、減らすものではありません。ワイマラナーにとって、長く外を動くことは体にも気持ちにも必要な時間です。変えられるのは、外で受けた条件を、そのまま夜まで持ち越すかどうかのほうです。帰ってからの10分に、やることを決めておきます。乾燥を防ぐためにできることは、ほとんどこの10分に入っています。数を増やす必要はありません。

  1. 玄関で、外から付いてきたものを毛の上から落とす

    乾いた布か、目の詰まったラバー製の道具で、毛の流れに沿って一往復させます。土ぼこり、花粉、草の粉。1層の被毛では、これらが毛の中で止まらず、そのまま地肌に届いています。洗う前に、まず落とせるものを落とす。ここで力を入れる必要はありません。短い毛は、軽くなでるだけで表面のものが動きます。

  2. 首のうしろ、胸、背中、腰の順に、指の腹を下ろす

    その日の乾き具合を確かめます。滑るのか、途中で止まるのか。同じ順番で、同じ4か所です。ここで引っかかりが出ている日は、外の時間が長かった日のはずです。分数の記録と照らし合わせると、その子の目安が決まっていきます。地肌の色まで見たいときは、手のひらで毛を逆へなでれば、短毛なのですぐ見えます。

  3. 洗うかどうかを、時間ではなく汚れで決める

    「長く歩いたから洗う」という順番にすると、外に出た日はすべて洗うことになります。洗いすぎは、この犬種でいちばん起こりやすいつまずきです。泥が付いた、水に入った、においが付いた。そういう理由があるときに洗ってください。理由がなければ、拭いて終わりにします。1層の被毛は汚れが毛の中に溜まりにくいので、拭くだけで足りることが多くなります。

  4. 洗った日は、乾かしきるところまでを1セットにする

    被毛が薄いので、乾くのは速いはずです。それでも、根元が湿ったまま寝かせないでください。濡れた状態から乾いていく過程がいちばん持っていかれる時間帯なので、そこを短くします。熱風を長く当てるより、風量を上げて短く済ませるほうが向いています。乾かし終わったら、もう一度4か所に手を当てて、朝と比べてください。

ブラッシングの考え方も、他の犬種とは少し変わります。下毛がないので、外へ出すべき抜けた毛の量がそもそも多くありません。1層の被毛でのブラッシングは、毛をほぐす作業ではなく、皮脂を毛の上に広げる作業です。地肌の側で出ているものを、短い毛の全体へならしていく。だから道具は歯の細いものより、面で当たるラバー製のほうが向きます。時間も、片面30秒あれば十分です。

その、皮脂を毛の上に広げる作業は、毛の表面が少し湿っているほうが進みます。mofuwa グルーミングスプレーは、帰ってからの10分を毎日くり返せるようにするために置いておくものです。背中と胸に霧を当てて、ラバー製の道具で毛の流れに沿って一往復させる。乾いた毛のまま動かすより、短い毛の向きがそろいます。もとはアルカリ電解水なので、外で毛の上に乗った土ぼこりや花粉は、余分な皮脂と油ごと乳化して布へ移ります。吹きかけたところを犬がなめても差し支えのない基準でつくられているので、量を控える必要はありません。首から腰まで、足りない気がしたら重ねて構いません。

Caution乾燥が気になる日に、回数を増やす方向へ行かないでください

手ざわりが戻らない日が続くと、洗う回数を増やしたくなります。ところが、洗いすぎたあとに手ざわりが戻ってこない、という形で表に出ることがあります。1層の被毛では、毛の層に守られていない分だけ、この影響が早く出ます。回数を増やす前に、間の日に拭く・毛の上を動かす、という方向へ切り替えてください。それでも変わらないときは、動物病院にご相談ください。

山道を歩いた日の夜に引っかかる面は、だいたい決まっています。首のうしろから腰、それに胸の前面。この面に mofuwa グルーミングスプレーを毛の流れに沿って吹いて、布で一往復させるところまでを、帰ってからの10分の最後に置いてください。毎日きれいにしてあげたいという気持ちは、やることが増えるほど続きません。吹いて拭くだけなら、玄関でそのまま終わります。湿らせたぶんは、寝かせる前に乾かしきってください。

部屋の湿度は、意味がないわけではありません。ただ役割が違います。外で受けた条件を戻す場所として、部屋を使うという考え方です。長く歩いた日の夜だけ、寝る場所の近くに湿り気を足しておく。毎日一定に保つより、外の時間が長かった日に合わせて動かすほうが、この犬種では手ごたえがあります。うるおいは、部屋で作るものというより、外で減った分を戻すものだと考えてください。

外にいた時間では説明がつかない乾燥の変化に気づいた日

ここまでは、外で過ごした時間で説明のつく乾燥の話でした。外の時間と、出ている変化が噛み合わない日は、別の見方をしてください。ほとんど外に出ていないのに手ざわりが戻らない、いつもと同じ散歩なのに一か所だけ違う。そういうときは、時間の話として片づけないほうが安全です。1層の被毛は変化を隠さないので、気づけるはずのものが早く出てきます。

Caution外にいた分数では説明がつかない変化が出た日

地肌が赤い、じくじくしている、粉のようなものが続けて出る、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄い面が広がっている、においが出てきた、元気や食欲が落ちている。このうち1つでも出ているなら、拭く回数を増やすほうへは進まず、外にいた分数の記録を持って動物病院で地肌を見てもらってください。被毛が薄いぶん、皮膚の変化はそのまま外から見えます。見えているということは、早く相談できるということでもあります。

相談に行くときは、ここ2週間の「外にいた分数」の記録、いつから変わったか、洗った回数と最後に洗った日を持っていってください。ワイマラナーの乾燥は外の時間と結びついているので、その分数があると、生活の条件で説明がつくのかどうかを切り分けてもらえます。湿度計の数字より、この3つのほうが役に立ちます。1行のメモで足ります。

ワイマラナーと暮らすうえで、外を長く歩く日はなくせません。それはこの犬の体に合った時間で、減らすべきものでもありません。できるのは、外で受けた条件を夜まで持ち越さないことです。帰ってからの10分に、落とす・触る・決める・乾かす。この4つを置いておくだけで、繰り返しにくい条件がつくれます。下毛がないという背景は変えられませんが、そのぶん手が早く気づけるという有利さも、同じ背景から来ています。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。