C05犬種・猫種別ケア

サルーキのケア|毛のもつれを減らす3つの習慣

公開日 2021年9月21日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、細身の脚の長い犬が耳の飾り毛を垂らして静かに休んでいる
同じ長さの飾り毛でも、つけ根の下にあるものが違います。骨の上か、筋肉の上か。そこで扱いが分かれます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

サルーキの耳の後ろを指ではさむと、毛の下にすぐ、頭の骨のふちが当たります。皮膚と骨のあいだに、ほとんど厚みがありません。しっぽのつけ根も、脚の裏側も同じです。この犬種の飾り毛は、そろって骨の出っ張りの上についています。だから、そこにもつれができて、ほどこうと引いたときに、下の皮膚が骨の上で逃げ場なく引っぱられます。太ももの外側なら、皮膚は筋肉と一緒にずれて力を逃がします。骨の上では、それができません。サルーキのもつれの話は、毛の話であると同時に、その毛がどこに生えているかの話になります。

皮膚のすぐ下に骨がある|サルーキの飾り毛がついている場所

サルーキは、砂漠の開けた土地で、目で獲物を見つけて走って追う仕事をしてきた犬です。走るための体なので、胸は深く、腰は絞れて、余分な厚みがほとんどありません。体をなでると、肩の骨、肋骨、腰の出っ張りが、指の下で一つずつ数えられます。これは痩せているという意味ではなく、この犬種がそういう作りを持っているということです。

被毛は、体の大部分がごく短くなめらかです。長い毛が集まっているのは決まった場所だけで、これを飾り毛と呼びます。サルーキの飾り毛は、耳の後ろ、しっぽ、脚の裏側の3か所に出ます。この3か所は、そろって皮膚のすぐ下に骨がある場所です。耳のつけ根は頭の骨のふち、しっぽは尾の骨、脚の裏は前腕とかかとの骨。どれも、つまむと骨に当たります。

飾り毛のない、体じゅうが短いタイプのサルーキもいます。その場合、もつれの話はほとんど起きません。この記事が相手にしているのは、飾り毛のある子です。そして飾り毛がある子では、長い毛のある場所と、骨が近い場所が、ほぼそのまま重なります。

毛そのものは細く、絹のような手ざわりをしています。細い毛は、太い毛より少ない力で組み合います。つまりサルーキでは、絡みやすい毛が、いちばん引っぱられて痛い場所についているという重なり方をしています。もつれを見つけてからほどく、という順番だと、この重なりが毎回そのまま出てきます。

Note細いことと、弱いことは別です

サルーキの飾り毛は指ではさんでも手ごたえがないほど細いので、切れやすいと思われがちです。ただ、問題になるのは毛のほうではありません。引っぱられて痛むのは、毛ではなく毛が生えている皮膚です。毛が丈夫かどうかより、その毛のつけ根に何があるかを見てください。

骨の上の飾り毛と、筋肉の上の飾り毛|同じ長さでも扱いが変わる

ここが、この記事のいちばん大事なところです。長さが同じ毛でも、つけ根の下が骨か筋肉かで、もつれをほどくときの体の反応が変わります。筋肉の上では、皮膚が筋肉と一緒にずれます。引かれた分だけ皮膚が動いて、力が逃げます。犬にとっては、引っぱられたという感覚で終わります。

骨の上では、それが起きません。皮膚の下がすぐ硬い面なので、皮膚はずれずに、その場で持ち上がります。力が逃げる先がないまま、つけ根にそのままかかります。同じ強さで引いても、耳の後ろとしっぽのつけ根では、犬の反応がはっきり違います。

つけ根の下にあるもので分かれる、2種類の飾り毛
骨の上の飾り毛筋肉の上の毛
場所耳の後ろ、しっぽのつけ根、脚の裏太ももの外側、胸の下、わき腹
下にあるもの硬い骨。厚みがほとんどない筋肉。皮膚と一緒に動く
引いたときの皮膚ずれずに、その場で持ち上がる引かれた向きへずれて力を逃がす
犬が感じることつけ根に痛みが出やすい引っぱられた感覚で終わりやすい
気づくきっかけ触ろうとすると体を引く見て気づく。触っても嫌がらない
手を入れる間隔もつれる前。毎日ふれておく気づいたときで間に合う
ほどくときの支え根元を指で押さえて固定する手のひらで面ごと支える
同じもつれでも、下にあるものが違う 飾り毛のつけ根に骨があるかどうかで、ほどくときに皮膚が力を逃がせるかどうかが変わります。サルーキでは、長い毛のある場所と骨の近い場所が重なっています。 長さではなく、つけ根の下にあるもので分けます 骨の上 耳の後ろ・しっぽ・脚の裏 皮膚がずれずに持ち上がる 力の逃げ場がない 痛みが出るのが早い もつれる前に手を入れる 筋肉の上 太ももの外側・わき腹 皮膚が筋肉ごとずれる 引いた力が逃げる 痛みが出るのは遅い 気づいてからで間に合う 同じ長さの毛でも、手を入れる時期が変わります
サルーキの飾り毛は、ほとんどが左側の条件に入ります。

この違いが効いてくるのは、痛みそのものよりも、そのあとです。一度痛い思いをした場所は、次から触らせてもらえなくなります。サルーキはもともと、人にべたべたされることを好まない子が多い犬種です。耳を触ろうとすると頭を引く、しっぽに手を伸ばすと座り込む。そうなってから毛のもつれをほどこうとしても、進みません。

だからサルーキでは、ほかの犬種より早い段階で手を入れる必要があります。もつれてからほどくのではなく、もつれる前に指を通しておく。次のセクションからの3つの習慣は、すべてこの一点のために組んであります。順番も、かかる時間も、それぞれ違います。

Pointどちらの側か、迷ったときの確かめ方

毛のつけ根を指の腹で軽く押してみてください。数ミリ押しただけで硬いものに当たれば、骨の上です。しばらく沈んでから止まるなら、筋肉の上です。判断に道具は要りません。この確かめ方を一度やっておくと、その子の体のどこが骨の上なのかが、手で覚えられます。

習慣1|毛に触る前に、骨のある場所へ手を当てる

1つ目は、時間で言えばいちばん短いものです。1回2秒、毛に触る前にやることが1つ増えるだけです。ブラッシングを始める前でも、通りすがりになでるときでもかまいません。

やり方は、飾り毛をよける前に、手のひらのつけ根をその場所の骨に当てて、軽く押さえることです。耳の後ろなら頭の骨に、しっぽなら尾の骨に。押さえた手より先の毛だけを、もう片方の手で触ります。こうすると、毛を引いたときの力が押さえた手で止まり、つけ根まで届きません。

この習慣がねらっているのは、もつれをほどくことではありません。その場所を触られても痛くない、と犬に覚えてもらうことです。サルーキは、一度嫌だった記憶を長く持ちます。逆に言えば、痛くなかった記憶も残ります。もつれが実際にできた日に、はじめてその場所を触ることになると、痛みと初めての感触が一緒に来ます。

Note支える手のほうが、動かす手より大事です

ブラッシングの説明では、たいてい動かす側の手の話ばかりになります。骨の上の飾り毛では逆です。支える手が先に決まっていれば、動かす手はどう動かしても、つけ根に力が届きません。支えないままそっと動かすより、しっかり支えてふつうに動かすほうが、犬は嫌がりません。

習慣2|もつれる前の3か所に、1日1回だけ指を通す

2つ目は、1日の中に置く習慣です。かかる時間は、慣れれば1〜2分。体じゅうをブラッシングするのではなく、骨の上の3か所だけに指を通します。耳の後ろ、しっぽの下側、脚の裏。この3か所です。

使うのは、まず指です。5本の指を熊手のように開いて、毛の流れどおりに毛先から根元へ向かって入れます。途中で止まらずに抜ければ、その日はそこで終わりです。止まった場所があった日だけ、コームに持ち替えます。毎日ブラシから始めると、何もない日にもブラシが地肌に当たる回数が増えます。

  1. 毛先の側から、指を入れて確かめる

    根元からではありません。毛先の側から入れて、少しずつ上へ移します。根元から入れると、途中に何かあった場合、そのまま押し込むことになります。指が止まったら、止まった位置を覚えておきます。

  2. 止まった場所の根元を、押さえてから開く

    習慣1と同じ形です。もつれの根元側を指ではさんで固定し、そのうえで毛先の側から少しずつ割いていきます。1回でほどききらなくてかまいません。半分ゆるんだ状態でその日を終えても、翌日には続きから始められます。

  3. 乾いた日は、毛先の滑りをそろえてから

    空気が乾く季節は、静電気で毛先どうしが寄ります。とかすほど広がって、また寄る、という往復になります。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、毛の表面を一度なでてから指を入れてください。うるおいが足りないまま動かすと、細い毛ほど寄ります。

  4. その日どこが止まったかを、ひとことだけ残す

    紙でも携帯でも構いません。「右耳」「しっぽの下」だけで足ります。同じ場所が3日続いたら、そこは毎日の1回では足りていない場所です。回数を増やすのではなく、時間帯を変えるほうが効きます。散歩のあとか、寝る前か。

1日1回にする理由は、間隔です。骨の上の飾り毛は、もつれが締まってからでは、ほどく側にどうしても力が要ります。組み合いはじめの、まだゆるい段階でほどけば、力はほとんど要りません。細い毛は少ない力で絡みますが、そのぶん、絡んだ直後ならほどけるのも早い。サルーキで毎日を勧めるのは、丁寧にするためではなく、力を使わないためです。

この1日1回を支える道具が、mofuwa グルーミングスプレーです。サルーキは体の毛が短いので汚れは目立ちませんが、脂は毎日出ますし、散歩に行けば外の汚れも飾り毛に乗ります。布に含ませて、飾り毛の毛先から根元の手前まで流れどおりになでると、指を入れる前の滑りがそろい、その日の汚れも同時に手放せます。舐めても問題のない基準でつくられているので、布はたっぷり湿らせて構いません。骨の上の場所では、直接吹きかけて濡らしたままにせず、布を通して当ててください。

習慣3|換毛期の入り口で、飾り毛の長さの方針を決める

3つ目は、毎日でも毎週でもありません。季節の変わり目に、1度だけ考えることです。春と秋、抜け毛が増えはじめる時期の入り口で、その年の飾り毛をどうするかを決めます。

サルーキの体の毛は短いので、換毛期でも床に散らかる量は多くありません。ところが飾り毛の側では、話が変わります。抜けた毛が、長い飾り毛のあいだに留まります。下に落ちる代わりに、そこにとどまって、もつれの芯になります。体は楽なのに飾り毛だけが急に絡みはじめる、という時期があるのはこのためです。

季節の入り口で決めておくこと
そのままの長さで通す毛先を少し整える
向いている子毎日3か所に手が入れられる触らせてくれる時間が短い
換毛期のあいだ指を通す回数を1日2回に増やす1日1回のままで足りる
かかる手間毎日の時間が伸びる数か月に一度、まとめてかかる
見た目犬種らしい長さが残るつけ根の側は残せる
やめどきの目安3日続けて同じ場所で止まったら毛先が乾いてぱさつきはじめたら

どちらが正しいということはありません。決めておくことに意味があります。方針がないまま換毛期に入ると、絡みはじめてから慌てて長く触ることになります。骨の上の飾り毛で、慌てて長く触るのがいちばん避けたい形です。犬にとっては、いつもと違う時間、いつもと違う強さで、痛い場所を触られたことになります。

3つの習慣は、かかる時間がそれぞれ違います。1つ目は1回2秒、2つ目は1日1〜2分、3つ目は季節に1度。同じ粒度でないことが、続く理由でもあります。毎日のことだけを積み上げると、忙しい日に全部が止まります。2秒のものは、忙しい日にも残ります。

骨の上でほどけないもつれは、家の中で線を引いて止める

3つの習慣を回していても、締まったもつれが残ることはあります。そのときに大事なのは、どこまでやるかを先に決めておくことです。骨の上では、あと少しで取れそうという感覚が、いちばん危ないと考えてください。皮膚がずれない場所なので、力を足した分がそのまま皮膚にかかります。

Caution毛の話から外して、下の地肌を見るとき

もつれの下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、耳やしっぽを触られるのを急に嫌がるようになった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ほどく手を止めて、動物病院にご相談ください。骨の近くは皮膚が薄く、変化が出てから進むのが早い場所です。同じ場所で指が止まった日数と、それが3か所のどこかを、そのまま伝えてください。

サロンや動物病院へ行くときは、もつれの場所、いつから気づいたか、その場所を触られて嫌がるかどうかの3つを伝えてください。3つ目は、家庭でしか分からない情報です。ほどこうとした跡があると、もとの状態が分からなくなるので、締まったものは触らずにそのまま連れて行ってください。

サルーキと暮らすうえで、飾り毛のもつれはゼロにはなりません。細い毛が、骨の上に長く垂れているという作りだからです。できるのは、痛い思いをさせる前に、その場所へ手を入れておくこと。2秒の習慣と、1日1回の3か所と、季節に1度の方針。この3つで、もつれをほどく日の力の要り方が変わります。触らせてもらえるうちに、触っておいてください。

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よくある質問

サルーキのもつれは、どこにできやすいですか?
飾り毛のある3か所です。耳の後ろ、しっぽの下側、脚の裏側。どれも皮膚のすぐ下に骨がある場所なので、もつれたときに、ほどく力が逃げにくくなります。太ももの外側やわき腹の短い毛は、同じ日に同じだけ汚れていても、ほとんど絡みません。手を入れる場所は3か所に絞って構いません。
毎日ブラシをかけたほうがいいですか?
毎日ふれるのは勧めますが、毎日ブラシである必要はありません。まず指を熊手のように開いて、毛先の側から入れてみてください。止まらずに抜けた日は、そこで終わりです。止まった日だけコームに持ち替えます。何もない日にもブラシを当てると、毛が細いぶん、先が地肌に当たる回数だけが増えていきます。
耳やしっぽを触ると嫌がるようになりました。どうすればいいですか?
以前にその場所で痛みが出た可能性があります。まず、もつれをほどくことをいったん離れて、毛にふれずに骨の側だけを手のひらで支える、というところから戻してください。数日かけて、触られても何も起きないという状態をつくります。触ろうとすると声を出す、体を引く、という反応が続くときは、毛の問題とは限らないので動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。