C05犬種・猫種別ケア
ウィペットはなぜ日ざしによる肌の負担が起きやすいのか。短毛から考える
午後2時、床にできた光の帯の上で、ウィペットが体を伸ばして寝ている。この犬と暮らしていると、家のどこに日が差しているかは、人より先に犬のほうが知っていることに気づきます。日焼けが気になって別の場所へ動かしても、しばらくすると同じ帯の上に戻っています。体脂肪が少なく、被毛も一層しかない体格なので、その子にとって日向は、家の中でいちばん暖かい場所だからです。つまり、いちばん好きな場所が、いちばん日ざしの当たる場所になっている。この記事では、日向をなくすのではなく、そこで過ごす時間と当たり方を変えるやり方を、順番に書きます。
光が毛の層で止まらない|ウィペットの地肌に日ざしが届くまで
ウィペットの背中に手を置くと、毛の厚みをほとんど感じないまま、指が地肌の温度に届きます。ほかの犬なら、手のひらと皮膚のあいだに毛の層があって、体温はそこで一度こもります。ウィペットの被毛は、毛を分けなくても地肌の色が見えるほど薄いという作りを持っています。
多くの犬は上毛と下毛の二層を持っていて、春と秋の換毛期に下毛がまとまって入れ替わります。ウィペットは下毛がほとんどない子が多く、換毛期の山も小さめです。抜け毛が床に散らかりにくいのは助かる作りですが、そのぶん光や風が、毛の層で一度止まるということが起きません。日ざしは毛の上で散らずに、そのまま地肌まで届きます。
日焼けという言葉で人が思い浮かべるのは、たいてい海や砂浜です。けれどウィペットで気にすることになるのは、ほとんどが家の中の日向です。窓から入った光は、床の同じ一部だけを、何時間も続けてあたためます。強い光が短時間当たるのではなく、やわらかい光が長い時間、同じ場所の皮膚に当たり続けるという形になります。
- 背中と腰:短いながら、体の中ではいちばん毛がある場所です
- 腹側と内股:毛がまばらで、地肌の色がそのまま見えます
- 耳のふち:薄く、明るいところでは外から光が透けます
- 鼻すじ:毛が寝ていて、上を向いている面がそのまま日を受けます
この並びを見ると、日ざしを受ける面と、毛が薄い場所が重なっていることが分かります。仰向けで寝る子なら腹側が上を向き、伏せて寝る子なら背中と鼻すじが上を向く。寝る姿勢が、その日どこに日が当たるかを決めています。だからウィペットの日焼けの話は、犬種の話であると同時に、その子の寝ぐせの話でもあります。
もうひとつ、毛の量が少ないと皮脂の行き先も変わります。毛が多い犬では、皮脂は毛の上へ広がっていきます。ウィペットでは広がる先が少ないので、皮脂は地肌の上で薄い膜のようになります。この膜はうるおいを保つ側の働きをしているので、洗う回数を増やすと、いちばん先に減るのがここです。あとの手順で、日ざしより洗いすぎのほうが効いてしまう話が出てくるのは、このためです。
短毛の犬は手入れが軽くて済む、という言い方をよく聞きます。ブラッシングにかかる時間という意味では、そのとおりです。ただし毛が短いというのは、皮膚の上にある覆いが薄いということでもあります。日ざし、床の熱、乾いた風、こすれ。外から来るものが、途中で弱まらずに地肌へ届きます。手入れの時間が短いぶん、見る回数を増やすほうへ振り替えてください。
いちばん好きな場所が、いちばん当たる場所|ウィペットが日向を選ぶ理由
ここが、ほかの犬種の日焼けの話と大きく違うところです。ウィペットは、日向を「たまたま通りかかった場所」として使っているのではありません。自分で探して、そこを選んで、長い時間そこにいます。その子にとって日向は、家の中の暖房です。
理由は体格にあります。ウィペットは筋肉質で胴が細く、体につく脂肪が薄い体つきをしています。脂肪も被毛も、熱を内側にとどめる役をしています。その両方が薄いということは、じっとしていると体温が逃げやすいということです。だから動いていないときほど、暖かい場所を探します。日向、毛布の下、人のひざの上。順番はその日によりますが、行き先の性質は同じです。
| 体の作り | そこから出てくること |
|---|---|
| 脂肪が薄い体格 | 止まっているときに体温が逃げやすい |
| 被毛が一層で薄い | 毛の層に暖かさをためておけない |
| 胴が細く、脚が長い | 体を丸めても、覆えない面が残る |
| 日向を自分で探す | 同じ場所に、毎日同じ時間だけいる |
| 寝る姿勢が決まっている | 日の当たる面が、毎日ほぼ同じになる |
この表の最後の2行が、日焼けの話では効いてきます。毎日、同じ時間に、同じ面が当たっている。1日だけを見れば短い時間でも、同じ場所に積み上がっていきます。ウィペットの日焼けが、体の一部分にだけ出やすいのはこのためです。左右で違いが出ることもあります。窓が家のどちら側にあるかで、当たる側が決まるからです。
「日向に行かせない」でうまくいかないのは、犬が言うことを聞かないからではありません。その子にとって必要なものを、代わりを用意しないまま取り上げているからです。寒くなれば、また探しに行きます。だからこの記事の手順は、日向を残す前提で組んであります。
光の帯は、朝と昼と夕方で場所が変わります。いちばん長く止まっている帯がどれかが分かれば、手を入れる場所は1か所で足ります。家じゅうを直す必要はありません。休みの日に、3回だけ床を見てメモしてください。
日向を残したまま時間を分ける|ウィペットの日ざし対策の順番
ここからが手順です。順番に意味があります。先に場所を決めて、次に光を弱め、最後に体を見る。逆から始めると、毎日のケアとして続きません。1日で全部やらなくてかまいません。
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日が当たる場所と時間を、1日だけ書き出す
朝・昼・夕方の3回、床のどこに光の帯があるかをメモします。そのうえで、その子が実際に寝ていた場所に丸をつけます。家の中で日が当たる場所は何か所もありますが、その子が使っているのはたいてい1〜2か所です。相手にするのはそこだけです。
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いちばん長い帯の窓に、レースを1枚足す
遮光カーテンで暗くする必要はありません。レース1枚で光はやわらぎ、床の暖かさは残ります。暖かさを残すのが条件です。暖かさまで消すと、その子は別の日向を探しに行き、こちらが見ていない場所で同じことが起きます。
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日向のとなりに、日の当たらない暖かい場所をつくる
厚めの敷物や、たたんだ毛布を、光の帯のすぐ横に置きます。移動させるのではなく、選択肢を1つ増やすだけです。数日で、そちらで寝る時間が出てきます。日向と往復するようになれば、一か所に当たり続ける時間が自然に短くなります。
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散歩の時間を、日の高さで決める
夏場は、日が真上に近い時間を外します。鼻すじと背中は上を向いている面なので、日が高いほど当たります。朝の早い時間か、日が傾いてから。地面の温度も同時に下がるので、肉球にとっても楽になります。冬は逆に、日の高い時間のほうが体が冷えません。
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帰ってから、ブラッシングのついでに地肌を見る
ウィペットのブラッシングは短時間で終わります。そのぶんを、見る時間に回してください。順番は、鼻すじ、耳のふち、背中、腹側と内股。指の腹で軽くなでて、手ざわりと色を確かめます。毛が薄いので、毛を分ける手間なしにそのまま見えます。毎日のケアとして、これがいちばん効きます。
5つのうち、続けるのがいちばん難しいのは最後です。手順の1〜4は一度やれば形が残りますが、5だけは毎日やることだからです。散歩から帰ってハーネスを外すとき、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。ウィペットは体を触られるのを嫌がらない子が多いので、見ること自体はすぐ習慣になります。
| 夏 | 冬 | |
|---|---|---|
| 日の高さ | 高い。上を向いた面に当たる | 低い。横から当たり、帯が長い |
| 日向にいる時間 | 短い。暑くなると離れる | 長い。ずっと同じ場所にいる |
| 湿度 | 高め。地肌は乾きにくい | 低い。地肌のうるおいが減りやすい |
| 手を入れる先 | 散歩の時間帯と、床の熱 | 帯の長さと、部屋の湿度 |
| 洗う回数 | 汚れの量に合わせる | 増やさない。減らす方向で考える |
冬のほうが日向にいる時間は長くなります。日が低いので帯も長く伸び、部屋のいちばん奥まで届きます。日ざしの話は夏だけ、ではありません。そして冬は湿度が下がるので、地肌のうるおいが減る条件が同時に重なります。ウィペットで気をつける季節は、実際には夏と冬の両方です。
日ざしのせいにしていたものが、洗いすぎだったとき
手順どおりに進めても、地肌のかさつきが変わらないことがあります。そのときに見直すのは、日向ではなく手入れの側です。ウィペットでいちばん起きやすいつまずきは、日焼けを気にして手をかけすぎることです。毛が薄いぶん、かけた手がそのまま地肌に届きます。
| やりがちなこと | 何が起きるか | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 気になって洗う回数を増やす | 薄い皮脂の膜が先に減る | 回数は変えず、拭く日を足す |
| ブラシを強くかける | 毛が短く、先が地肌に直接当たる | 毛の流れどおりに、力を抜いて通す |
| 日中ずっと部屋を暗くする | 暖かい場所が消え、別の日向を探す | レース1枚にして、隣に寝床を足す |
| 厚く塗って覆おうとする | 地肌が湿ったままになりやすい | 薄く、こすらずに当てるだけにする |
| 服を一日じゅう着せたままにする | 縫い目のこすれが同じ場所に続く | 日の強い時間だけにして、脱がせる |
洗いすぎがまずいのは、汚れが落ちること自体が悪いからではありません。ウィペットは皮脂の広がる先が少なく、地肌の上の薄い膜が、そのまま覆いの役をしています。洗う回数を増やすと、この膜が戻る前に次が来ます。日ざしを気にして始めたことが、結果として地肌のうるおいを減らしていた、という順番になりがちです。
- 洗う回数は、日焼けを気にして増やさない:汚れの量で決めます
- 湿度が下がる季節は、むしろ間隔を空ける:外の条件が乾く側へ動いているためです
- 洗ったあとは、その日のうちに乾かしきる:短毛でも、内股と脇には湿りが残ります
- ブラッシングは短く、毎日:長くかけるより、回数のほうが向いています
- 服は時間で区切る:日ざしをさえぎる目的なら、強い時間だけで足ります
その日どの面に日が当たっていたかを覚えているのは、こちらだけです。伏せて寝た日は背中と鼻すじ、仰向けだった日は腹側。その子は、自分がどの向きで何時間いたかを申告してくれません。上の表の1行目——回数は変えず、拭く日を足す——を実際にやるための1本が、mofuwa スキンケアミストです。水分の浸透力が精製水の35倍とされる電解水だけでできているので、毛の層で一度止まるということが起きないこの犬では、当てた場所がそのまま届く場所になります。布かコットンに取って、背中から腰へ、毛の流れどおりに軽く当ててください。散歩から帰ってハーネスを外すとき、と決めた手順5のすぐあとに置くと、見る動作と続けて回ります。日ざしが当たっていた面には、こすらずに当てるだけにします。
地肌が赤い、熱を持っている、触ると嫌がる。このときにブラシを当てる、拭く、何かを塗る、はどれも足し算になります。まず、その場所に手を入れるのをやめてください。そのうえで、日の当たる場所から離す、部屋の温度を下げる、という引き算だけにします。判断がつかないときは、そのままの状態で動物病院にご相談ください。
薄い被毛だから早く見える変化
ウィペットには、ひとつ助かる点があります。毛をかき分けなくても、地肌がそのまま見えることです。毛の厚い犬種では、地肌の変化は毛に隠れて、進んでから気づくことになります。ウィペットでは、変化が出たその日に目に入ります。この作りは、日ざしの側から見れば弱いところですが、気づく側から見れば強いところです。
- 日が当たっていた面だけが赤い:背中、鼻すじ、腹側など、上を向いていた面と重なっていないか見てください
- 色や手ざわりが、左右で違う:窓の側だけに出ているなら、当たっていた時間の差が出ています
- かさつきが、拭いても翌日に戻る:日ざしより、洗う回数と湿度のほうを先に見直します
- 同じ場所をなめている、こすりつけている:見た目より先に、その子のほうが気にしています
- 皮膚が硬い、盛り上がっている、へこんでいる:手ざわりの変化は、色より確かなサインです
地肌が赤いまま数日戻らない、熱を持っている、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が広く見えている、色や形が変わったところがある、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家で様子を見ずに動物病院にご相談ください。毛が薄いぶん見えやすい犬種なので、気づいた時点で相談できます。迷ったら早いほうを選んでください。
動物病院へ行く前に、いつから気づいたか、体のどの面か、その時間その子がどこにいたかの3つをメモしてください。ウィペットの場合、3つ目がとくに役に立ちます。家の中の日向は場所が決まっているので、当たっていた面と、寝ていた場所が結びつきます。写真は明るいところで、同じ角度から撮っておくと比べられます。
受診の前に洗って連れて行く必要はありません。いつもどおりの状態のほうが、その場で見てもらえることが多く残ります。気になって拭いた、塗った、という場合は、そのことも伝えてください。
ウィペットと暮らすうえで、日向を取り上げる日は来ません。細くて脂肪の薄い体には、暖かい場所が要るからです。やるのは、その場所を残したまま、光の強さと時間の長さを人の側で決めること。レース1枚と、隣にもう1つの寝床。それだけで、その子がいちばん好きな場所は、いちばん日焼けの心配が集まる場所ではなくなります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- ウィペットの日焼けは、家の中でも気にしたほうがいいですか?
- 家の中のほうが時間は長くなります。窓から入った光は床の同じ場所を何時間もあたためるので、その帯の上で寝る子は、毎日同じ面に同じだけ当たることになります。強い光が短く当たるより、やわらかい光が長く当たり続けるほうが、この犬種では実際に多い形です。まず、家のどこに帯ができているかを見てください。
- 日向で寝させないようにするのは、間違いですか?
- 間違いというより、続きません。ウィペットは脂肪も被毛も薄く、止まっているときに体温が逃げやすい体格をしています。その子にとって日向は暖房なので、取り上げれば別の日向を探しに行きます。レースで光をやわらげる、隣に日の当たらない暖かい寝床を足す、というやり方のほうが結果は変わります。
- 短毛だから、ブラッシングはしなくていいですか?
- 短時間で構いませんが、やめないほうがよいと思います。ウィペットのブラッシングは、毛を運び出すためというより、地肌を毎日見るきっかけとして役に立ちます。毛が薄く、分けなくても地肌が見えるので、なでるついでに色と手ざわりが確かめられます。力を入れると先が直接地肌に当たるので、毛の流れどおりに軽く通してください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
