C05犬種・猫種別ケア

ボルゾイの長毛|毛のもつれを毎日のケアで防ぐ

公開日 2021年10月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、細身の長毛の犬が静かに休んでいる
遠目にはまっすぐ流れて見える毛です。1本つまんで光にかざすと、ゆるい波が見えます。写真:Pexels/Pixabay

ボルゾイの背中から毛を1本つまんで、窓の光にかざしてみてください。遠目にはまっすぐ流れていた毛が、手元では、ゆるい波を打っているのが見えるはずです。この波が、もつれの話の出発点になります。まっすぐな毛は、隣の毛と点で触れます。波のある毛は、波の谷のところで、隣の毛と面で触れます。しかも波の位置は毛ごとにずれているので、ずれた波どうしがたまたま向かい合ったとき、そこで噛み合います。だからボルゾイのもつれは、引っかかったというより、噛み合った状態です。この記事では、その作りをたどりながら、ほどく手の向きと、毎日のケアで噛み合いを減らす考え方を書きます。

1本の毛に波がある|ボルゾイのもつれが点ではなく面から始まる理由

ボルゾイの被毛は、絹のような細い毛が長く流れる作りをしています。数メートル離れて見ているかぎり、毛はまっすぐに流れているように見えます。ところが1本つまんで光にかざすと、ゆるい波を打っている子が多いのが分かります。首のまわりや胸元、後ろ脚としっぽの飾り毛では、波がはっきり出ます。背中の上のほうは、波が浅く出ます。同じ子の中でも、場所によって波の深さが違います。

この波が、隣の毛との触れ方を変えます。まっすぐな毛どうしは、交差したところで点として触れています。点で触れているものは、犬が歩けば、頭を振れば、その場所がずれて離れます。波のある毛は、谷の内側が隣の毛に沿います。沿った部分は点ではなく、長さを持った面になります。面で触れているものは、動いても離れません。

もつれという言葉を聞くと、毛と毛がからまって結び目ができる場面を思い浮かべます。ボルゾイの場合、はじまりはもっと静かです。触れている長さが少しずつ伸びていく。それだけです。手ざわりはしばらく変わりません。指を入れて止まったときには、もう面で触れている毛が何十本もあるという順番になります。

4つ目が、もつれの芯になります。抜けた下毛は、まっすぐな毛のあいだなら滑って落ちていきます。波の谷は、その1本を受け止めるくぼみです。受け止められた毛は外へ出られず、そこに留まります。ボルゾイのもつれをほどいたときに、中から短い毛がひとかたまり出てくるのは、このためです。汚れが入っているわけではなく、その子から抜けた毛が出口を失っています。

つまり、ボルゾイのもつれは手入れを怠ったから起きる、という順番ではありません。波のある毛が長く伸びていれば、触れる面はどうしても増えていきます。人が手を入れているのは、増えた面を毎日いくらか減らして、噛み合うところまで進ませないようにするためです。

Note表面がなめらかなことと、もつれていないことは別です

ボルゾイの毛は光をよく返すので、表面はいつでもきれいに流れて見えます。もつれは、その流れの下側で育ちます。手のひらで背中をなでても分かりません。指を1本、毛の流れに逆らって差し込んで、地肌まですっと届くかどうかで確かめてください。届けばその日は大丈夫、途中で止まればそこが持ち場です。

波の位置が毛ごとにずれている背景と、噛み合いが起きる6か所

波があるだけなら、毛はただ寄り添うだけです。もつれになるには、もうひとつ条件が要ります。波の位置が、毛ごとにずれているということです。同じ場所から生えている2本でも、山と谷の来る位置は揃いません。生え変わった時期が違えば長さが違い、長さが違えば、根元から数えて何番目に谷が来るかも変わります。

位置がずれているうちは、片方の山が相手の山に当たって、すべります。動きのたびに、当たる場所が変わっていきます。ところが、たまたま谷どうしが向かい合うことがあります。そのとき2本は、互いのくぼみに入り込みます。歯車の歯が噛み合うのと同じ形です。ここが、ボルゾイのもつれの起点になります。

一度噛み合った2本は、犬が動いても離れません。離れないまま体の動きを受け続けるので、周りの毛を少しずつ巻き込んでいきます。噛み合った2本が軸になって、そこへ抜けた下毛が集まり、芯になります。芯ができたあとは早いので、気づくのはたいていこの段階です。

まっすぐな毛と、波のある毛の触れ方 まっすぐな毛は、交差した1点で隣の毛に触れます。動けばその点はずれて離れます。波のある毛は、谷の内側が隣の毛に沿うので、触れているのが面になります。面で触れているものは、動いても離れません。 隣の毛と、どこで触れているか まっすぐな毛 交差した1点で触れる 動けば触れる場所がずれる 抜けた毛は滑って落ちる もつれは表面にとどまる ほどく向きは引く方向 波のある毛 谷の部分で面で触れる 波の位置が毛ごとにずれる 抜けた毛が谷に留まる 谷どうしが合うと噛み合う ほどく向きはずらす方向 ボルゾイは右側です。ほどく手の向きが変わります
触れているのが点か面かで、離れやすさが変わります。

噛み合いは、どこでも同じ速さで起きるわけではありません。波が深い場所と、こすれる回数が多い場所が重なったところから始まります。ボルゾイなら、次の6か所です。

この6か所を覚えておくと、毎日全身を触らなくてよくなります。背中の広い面は、波が浅いぶん噛み合いが起きにくい場所です。週に一度通せば足りる子が多い。時間は、飾り毛のほうへ寄せてください。

季節でも変わります。空気が乾く時期は、毛の表面のうるおいが落ちて、毛先どうしが静電気で引き合ったり反発したりします。動きが増えれば、谷が向かい合う組み合わせも増えます。乾いた日にもつれが増えるのは、毛が傷んだからではなく、毛が動いているからです。換毛期も同じで、抜けた下毛が谷に入る量そのものが増えます。春と秋は、飾り毛に手を入れる回数を1日1回から2回へ分けてください。

Point同じ場所ばかりもつれるときは、当たっているものを疑う

首輪、ハーネス、寝床の縁、車のシートベルト。毎日同じ向きの力がかかる場所は、毛の向きがそこだけ乱れます。乱れた場所では、谷が向かい合う確率が上がります。左右で差があるときも同じで、いつも寝ている向きを思い出すと説明がつくことがあります。道具を替えるだけで、その一か所は落ち着きます。

引っかかりではなく噛み合い|ボルゾイのもつれをほどく手の向き

引っかかったもつれは、引けば外れます。毛の先が輪をくぐっているだけなので、抜ける方向へ動かせば戻ります。噛み合ったもつれは、引くほど締まります。噛み合っている2本を離すには、押しつける力ではなく、位置をずらす力が要るからです。ボルゾイのもつれで、ブラシを何度も往復させても手ごたえだけが残るのは、ここが理由です。

順番を入れ替えます。とかす前に、ずらす。ずれてしまえば、噛み合いは外れます。外れたあとの毛は、ただ寄り添っているだけなので、コームがすっと通ります。時間を増やす必要はありません。

  1. もつれを見つけたら、まず根元を指ではさんで支える

    毛の根元を親指と人差し指ではさんで、皮膚が引っぱられないように固定します。ここを飛ばすと、あとの動作がぜんぶ皮膚に伝わります。支える手は動かしません。動かすのは、もう片方の手だけです。

  2. 束を2つに分けて、毛の長さの方向へ左右にずらす

    もつれた束を、指で上下または左右の2つに分けます。分けた2つを、毛の流れに沿ってゆっくり反対方向へずらしてください。引き離すのではなく、すれ違わせる動きです。波の位置が数ミリずれれば、噛み合っていた谷が外れます。ぷつぷつと切れる音がしたら、力が強すぎます。

  3. 芯にたまっている抜け毛を、外へ出す

    ずらすと、中から短い毛のかたまりが出てきます。それが芯です。指でつまんで外へ引き出してください。芯が残っていると、同じ場所が数日で戻ります。換毛期は、この芯が大きくなりやすい時期です。

  4. 外れてから、毛先の側だけにコームを入れる

    根元を支えたまま、毛先の側からコームを入れ、少しずつ上へ移します。根元から入れると、まだ外れていない噛み合いを押し込むことになります。一度で全部を外しきらなくてかまいません。抵抗が強いところは、その日はそこで止めて、翌日に回します。

  5. 乾いた日は、とかす前に毛の表面をそろえる

    静電気が起きている日は、とかすほど毛先が広がって寄ります。固く絞った布で、毛の表面を毛先の方向へ一度なでてから始めてください。びしょ濡れにする必要はなく、うるおいが少し戻ってコームの滑りが変われば十分です。濡らしたら、その日のうちに乾かしきるところまでを一続きにします。

毎日のブラッシングは、全身を均等に回すより、さきほどの6か所に時間を寄せるほうが結果が変わります。首・胸元・脇・後ろ脚・しっぽ・耳の後ろ。1か所30秒でも、6か所で3分です。背中と体側は、週に一度、根元から毛先へ通しておけば足ります。ボルゾイのもつれは、面が増えていく速さが場所によって違うので、回す速さも場所ごとに変えてかまいません。

洗う順番も決めておいてください。ほどいてから洗う、です。噛み合ったまま水を含ませると、乾く過程で毛が縮んで、噛み合いがさらに締まります。もつれが気になるからといって洗う回数を増やすと、地肌のうるおいのほうが先に減ります。洗う回数は、もつれの多い週でも変えないでください。

ここまでは、噛み合ったあとの手当ての話でした。毎日のほうにも、やれることがあります。ボルゾイは毛が長いぶん、散歩に出るたび外の埃を毛の長さだけ連れて帰ってきます。犬の体は皮脂を出しつづけるので、昨日ほどいた首のまわりは、今日にはもう脂と埃をふくんでいます。毎日きれいにしてあげたいのに、湯を使えるのは毎日ではない。ここに置き場所があるのが、ブラッシングの前に吹きかけるタイプのケア水です。mofuwaのグルーミングスプレーは、その毎日の1回を成り立たせるためにつくられています。とかす前に毛の表面をそろえておくと、コームが谷を押し込まずに通ります。ずらす動作の下地を、先に作っておくということです。

量を気にしなくていいところが、飾り毛の多いこの犬種では助かります。舐めても問題のない水でできているので、首から胸元、後ろ脚の飾り毛、しっぽの先まで、たっぷり濡らしてかまいません。乾いた日は、毛先が広がって寄るところにグルーミングスプレーを行き渡らせてから梳かすと、静電気で毛どうしが引き合う場面が減ります。ただし、すでに噛み合っている場所が、これで外れるわけではありません。外したあとの毛を、次にまた谷で合わせないために使う1本です。濡らした日は、その日のうちに乾かしきるところまでを一続きにしてください。

Caution束ごと持ち上がった毛の、下に皮膚があります

早く取ろうとして毛を引き抜く、ハサミを入れる、はどちらも避けてください。噛み合ったもつれは、下の皮膚を引っぱって持ち上げています。毛だけを切っているつもりでも、ハサミの先は皮膚に届きます。ボルゾイの飾り毛は根元が細いので、束のまま持ち上がりやすいところです。ずらしても外れないものは、次のトリミングまで待つか、場所を伝えてサロンに任せてください。

飾り毛が伸びていく1年目の経験を、次の年の目安に変える

若いボルゾイと暮らしはじめた方が、最初の年に戸惑うのはここです。迎えた当初は、飾り毛がまだ短い子が多い。首も後ろ脚もしっぽも、毛が体に近いところで収まっているので、指がすっと通ります。もつれの話は、しばらく他人事のように感じられます。

それが、月を追うごとに変わります。飾り毛は少しずつ伸びて、波の数が増えます。触れている面が伸びるので、同じ手入れの回数でも追いつかなくなる時期が来ます。変化は毛質ではなく、長さのほうに起きています。去年と同じやり方で足りなくなったとき、犬が変わったのではなく、毛が長くなったのだと考えてください。

換毛期の手ざわりも、年ごとに変わります。下毛が緩む時期は、住んでいる土地の気候や、家の中の暖房の入れ方でずれます。よその犬の話より、去年のその子の記録のほうが当たります。書くのは3つだけで足ります。

この3つがあると、次の年は先回りできます。去年、首のまわりが最初だったなら、今年もそこから見る。3日で戻った場所は、3日おきに触る。毎日全身を触るのは続きませんが、順番だけ決めておけば1日3分でも回ります。その3分に入る前に、6か所へグルーミングスプレーを行き渡らせておくと、コームが途中で止まる回数そのものが変わります。ボルゾイのもつれを毎日のケアで防ぐというのは、時間を増やすことではなく、当たりをつけて手を入れることです。

Cautionほどいたあとの地肌に出ているもの

ほどいたあとの地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、左右で毛の量が明らかに違う、元気や食欲が落ちている。この並びのどれかが出ていたら、その場所をほどく手は止めて、獣医師に診てもらってください。長い飾り毛の下は外から見えないぶん、変化に気づくのが遅れがちです。診てもらったあとも、残りの5か所は毎日の3分を続けてかまいません。

相談やトリミングに行く前には、気づいた日、もつれのある場所、指が止まる深さ、その週の換毛の様子をメモしておくと話が早くなります。ほどけなかったものは、無理に触らずそのまま連れて行ってください。ずらそうとした跡があると、もとの形が分からなくなります。

光にかざした1本の毛に戻ります。あの波は、ボルゾイの被毛が長い距離を流れながらも、体に沿って収まっているための作りです。波があるかぎり、触れる面はゼロにはなりません。目指すのは、もつれをつくらないことではなく、噛み合いまで進む前に一度ずらしておくことです。6か所と、ずらすという手の向き。この2つが決まっていれば、飾り毛が伸びきったあとの年も、手ざわりは変わってきます。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。