C09シーン別・暮らし

賃貸でにおいが気になる人が車でのおでかけで困ること、その手当て

公開日 2021年10月16日|文=mofuwa編集部

明るい光の入る車内で、淡いクリーム色の犬が薄い色の布の上に静かに座っている
車の中でにおいが濃くなるのは、体積が小さいからです。動かせるのは、体と布の2つです。写真:Tropojan Eagle/Pexels

週末に犬と1時間だけドライブして、月曜の朝にもう一度ドアを開けると、後部座席のあたりだけ空気が違います。部屋なら10畳ぶんに散っていくものが、車では広く見積もっても畳2枚ほどの体積にそのまま留まります。賃貸で暮らしていて部屋のにおいを気にしている人ほど、この差に驚きます。車は賃貸ではありませんが、持ち主が自分でも、においを元の状態に戻しにくい場所という点ではよく似ています。しかも狭いぶん、濃くなります。ここでは、移動のあいだにシートのにおいがどこから来るのか、何を敷けばいいのか、降りたあとに何をするのかを、布と素材の問答として並べます。最後に、7つを1本の線に置き直します。

車のにおいは、その子から出ているのですか|賃貸で暮らす人が最初に持つ疑問

半分は体から、半分は布からです。犬の皮膚からは皮脂が出ていて、被毛の表面にうすく回っています。車で移動するあいだ、その子はシートに体の一面をつけたままです。接している面から皮脂が布に移り、布に残った皮脂が空気に触れているうちに変化して、においとして感じられるようになります。移った先で時間がたつ、という二段構えなので、体だけを見ても出どころが分かりません。

賃貸の部屋でにおいを気にしている人は、たいてい床とソファに手を入れています。同じ考え方は車にも使えます。ただし、車には部屋にない条件が2つあります。閉め切られている時間が長いことと、日中に温度が上がることです。皮脂が移った布が、暖かい密閉空間に置かれ続ける。雑菌が増えやすい条件がそろうのは、犬が乗っている時間ではなく、乗っていない時間のほうです。

だから、車のにおいの話は「その子が汚れているかどうか」の話になりません。健康な犬でも皮脂は出ますし、出ていること自体は体の側の仕組みです。移動のたびに少しずつ布へ移り、置いてあるあいだに変わっていく。賃貸でにおいを気にしている人ほど、体を洗う方向へ寄せがちですが、車では布の側を動かすほうが結果が早く出ます。

戻せない場所とは何ですか|賃貸の部屋と車で、においの残り方が違う理由

「戻せない場所」とは、面材を外して洗ったり入れ替えたりできない場所のことです。賃貸の部屋なら、床と壁とドアがそれにあたります。車では、シートと天井の内張りとカーペットの3つがそうです。賃貸で暮らしている人は、この考え方をすでに持っています。だから車でも同じ手が使えます——布をはさんで、洗える面を上に置く、という手です。

違うのは体積と換気です。賃貸の部屋は窓が2つ以上あって、住んでいるあいだは何度も開きます。車は、乗っていない時間はまったく開きません。同じ量のにおいでも、部屋では薄まり、車では濃くなります。賃貸で「部屋は気にならないのに車だけ気になる」と感じるのは、その子の体が変わったからではなく、置かれている体積が10分の1以下だからです。

賃貸の部屋と車で、条件がどう違うか
賃貸の部屋車
体積1部屋で10畳前後広く見積もって畳2枚ほど
換気住んでいるあいだ何度も開く乗っていない時間は開かない
温度人が過ごせる範囲に保たれる日中の駐車中に上がる
戻せない面床・壁・ドアシート・内張り・カーペット
はさめる布ラグ、ソファカバー、寝床の布シートに敷く布、足元のマット
においに気づく人自分と、来客自分と、同乗する人

この表の最後の行が、賃貸でにおいを気にしている人にとっては一番切実だと思います。部屋のにおいは来客のときに気づかれます。車のにおいは、ドアを開けた最初の一呼吸で分かります。移動に人を乗せる予定があるなら、手を入れるのは前日ではなく、前回降りたときです。布の上で育ったにおいは、前日の換気では戻りきりません。

シートには、どんな布を敷けばいいですか

選ぶ基準は3つだけです。洗えること、乾くのが早いこと、毛が刺さりにくいこと。見た目と厚みは後ろに回してかまいません。車のシート用として売られているものでなくても、この3つを満たしていれば足ります。賃貸の部屋で使っているカバー類を選ぶときと、考え方は同じです。

布の素材と、車での向き不向き
素材乾く早さ毛の刺さり方車での使い方
綿の平織り(シーツ地)早い刺さりにくく、払えるいちばん扱いやすい。数枚を回す
綿のタオル地(パイル)遅い輪の中に入り込む厚みがある。乾かす場所を確保できるなら
起毛・フリース普通からんで取れにくい冬は暖かいが、毛が残りやすい
防水シート(裏面ゴム)拭けば済む刺さらない水や泥の日に。上に布を1枚重ねる
メッシュ素材とても早い抜ける夏向き。単体だと皮脂が下へ通る

迷ったら、綿の平織りを2〜3枚です。移動のたびに1枚使い、外して洗い、次は別の1枚を敷く。敷きっぱなしの1枚を長く使うより、薄い布を回すほうがにおいは動きません。賃貸で寝具のシーツを回すのと、まったく同じやり方です。厚い布は保温性が高いぶん、皮脂が移ったあとに乾きにくく、車内の温度が上がる季節に条件が重なります。

敷く範囲も決めておきます。犬が座る面だけでなく、その子が体を寄せるドア側と、足元までを1枚でおおってください。移動中に体勢が変わると、接する面はシートの中央から端へ移ります。中央だけ守っても、においは端から入ります。1枚で足りなければ、足元用にもう1枚を分けたほうが洗うときに楽です。

Note布は「におい対策の道具」ではなく、洗える面です

布を敷く目的は、においを閉じ込めることではありません。シートという戻せない面のかわりに、洗って入れ替えられる面をひとつ作ることです。だから、においを吸うと書かれた高機能な素材である必要はありません。むしろ、洗って早く乾くことのほうが条件として上に来ます。賃貸で床にラグを敷くのと同じで、守っているのは下の面です。

敷いた布は、いつ外して洗いますか|移動のあとに知りたいのはこの1点

原則は、移動が終わって降りた日のうちに外すです。翌日ではありません。車に置いたまま一晩たつと、布の上の皮脂は温度と時間の条件をひととおり通ります。外して家に持ち込むだけで、車内に残る量はかなり変わります。賃貸の部屋で寝床の布を替えるのと同じ間隔で考えてください。

洗う頻度は移動の長さで変えます。30分以内で、その子が寝ていただけなら、外して部屋で干し、次の移動でもう一度使えます。1時間を超えた移動と、途中で外に降りた日は、そのまま洗濯へ回します。外に降りると、足のうらと腹まわりに外のものがついた状態でシートへ戻るので、皮脂だけの話ではなくなります。

移動の内容と、布をどうするか
その日の移動布の扱い次に使うまで
30分以内・降りていない外して、家で干す翌日でも使える
1時間以上・降りていないそのまま洗濯へ乾いてから
途中で外に降りた洗濯へ。足元用は別に洗う乾いてから
雨の日・濡れたその日のうちに必ず洗う完全に乾くまで戻さない
夏場・車内の温度が上がった洗濯へ。シート面も拭く乾いてから

枚数は、移動の回数から逆算します。週に1回なら2枚、週末ごとに出るなら3枚あると回ります。洗っているあいだに敷く1枚がないと、「今日は敷かないでいいか」になります。そこから戻らなくなるので、枚数だけは最初に足しておいてください。賃貸で暮らしていると洗濯物を干す場所が限られますが、薄い綿なら室内でも半日ほどで乾きます。

布を外したあと、シートの面そのものはどうするか。毎回は要りません。布を替えている限り、シートに直接届く量は少なく保てます。月に一度、布を洗う日にあわせて、座面のつなぎ目に沿って拭き取りをするくらいで足ります。つなぎ目は毛と皮脂がたまる場所なので、平らな面より先にそこを見てください。

車を降りたあと、犬のにおいはどこに残っていますか

残っている場所は3つです。敷いた布、シートのつなぎ目、そして犬の体そのもの。3つめが抜けやすいところで、車のにおいの話をしているつもりが、実は体に乗ったまま賃貸の部屋へ持ち込まれています。移動のあとに部屋のにおいが変わったと感じるときは、車から出た何かではなく、その子の被毛に残ったものが動いています。

移動のあいだ、その子はずっとシートに触れています。布から体へ、体から布へ、両方向に行き来しています。降りてそのまま部屋へ入れば、車の中で育ったにおいが、賃貸の部屋の寝床とソファへ移ります。車と部屋は、その子の被毛でつながっています。ここを切っておくと、部屋の側でやることがかなり減ります。

帰宅後にやることは多くありません。玄関で、体の下側——腹まわり、脇、足のうら、尾のつけ根を布で押さえるように拭く。上から背中をなでても、シートに接していたのは下側なので届きません。玄関に mofuwa のグルーミングスプレーを1本置いておくと、この一手は帰ってきた流れのまま終わります。布に含ませて、シートに触れていた面を毛の流れに沿ってなでる。乾いた布でこするより毛の表面がすべるので、下側の毛が寝ている日でも動きは1回で足ります。舐めても差し支えない基準でつくられているため、腹まわりや足のうらのように口が届く場所にも、量を気にせず吹きかけられます。かかるのは1分ほどで、靴を脱ぐ前に済みます。

最後の1つは見落とされがちです。携帯用の食器や水皿を車に積みっぱなしにしていると、飲み残しが入ったまま温度の上がる空間に置かれます。布を替えても、ここが残っていると出どころが分かりません。降りるときに一緒に持ち出して、家で洗ってください。移動のたびに持ち出すものを1つ増やすだけで済みます。

窓を開けるだけで大丈夫ですか|換気と拭き取りの順番

換気は要りますが、それだけでは足りません。空気を入れ替えても、布とシートに移った皮脂はその場に残るからです。翌日にドアを開けて同じにおいがするのは、空気ではなく面のほうに残っているためです。順番としては、布を外す、拭き取りをする、そのあと換気、になります。空気を先に入れ替えても、出どころが残っていれば戻ります。

  1. 降りたときに、布と食器を持ち出す

    移動が終わったら、敷いた布と携帯用の食器を車に残しません。持ち出すものを固定しておくと、判断が要らなくなります。賃貸の玄関まで一度に運べる量にしておくのがコツです。運べない量になっているなら、敷く布を薄いものに替えてください。

  2. 毛を先に払ってから、拭き取りに入る

    湿った布でいきなり拭くと、毛が固まって縁に寄ります。手袋やゴム面で毛を集めてから、拭き取りに移ってください。順番が逆になると、つなぎ目に毛を押し込むことになります。ここだけは、部屋の掃除機がけと同じ順番です。

  3. ドアを2枚、対角で開けて空気を通す

    1枚だけ開けても、空気は入りますが出ていきません。運転席側の前と、その反対側の後ろ。入口と出口を作ると、5分ほどで中の空気が入れ替わります。賃貸の部屋で窓を2か所開けるのと同じ考え方です。夏場は日陰に停めてからにしてください。

  4. 戻すのは、乾いてから

    拭き取りをした面が湿ったままドアを閉めると、閉めた車内でいちばん条件がそろいます。触って湿り気がなくなるまで開けておいてください。時間がない日は、拭き取りを次に回して、換気だけにするほうが結果はよくなります。

芳香剤で上から重ねるやり方は、においを消しているわけではありません。元のにおいが残ったまま、別のにおいが1つ増えます。賃貸の部屋で同じことをして、あとから戻ってきた経験がある人は多いと思います。車は体積が小さいぶん、重ねたときの濃さも部屋の比ではありません。まず出どころの面を動かしてください。

やらずに済ませていいのは、どれですか

手を増やすほど続かなくなるので、外していいものを先に決めます。いちばん外していいのは、車で移動した日に犬を洗うことです。移動そのもので体が汚れるわけではなく、変わっているのは布に移った皮脂のほうです。洗う回数を増やすと、皮脂は落ちますが、そのぶん肌の乾きやすさに関わってきます。賃貸では乾かしきる場所と時間も要ります。毎日きれいにしておきたいという気持ちのほうは、毎日できるケアで叶えられます。mofuwa のグルーミングスプレーは、吹きかけて布で押さえるだけで終わるので、移動のあった日にも足せます。

最後の1つを補足します。賃貸でにおいが気になっている人は、思い立った日にまとめて手をつけがちです。同じ週に条件を2つ以上変えると、何が効いたのかが分かりません。今週は車の布だけ、来週は部屋の寝床だけ、という進め方にしてください。移動が週に1回なら、2週間で両方に手が入ります。

Cautionにおいの質が変わったときは、動物病院へ

ここまでは、布と素材の話でした。においが急に強くなった、質が変わった、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、耳を気にしている、皮膚がべたついて元に戻らない。こうしたときは、車や布の話として片づけずに、動物病院にご相談ください。移動そのものより、体の側で起きていることのほうが先に来ます。いつからか、どこか、その日の移動時間の3つをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

布1枚を数える|7つの問答を、車から賃貸の部屋まで並べ直す

ここまでの7つを、1枚の布の動きに沿って並べ直します。敷く、乗る、降りる、外す、洗う、戻す。この6つの動きの中に、これまでの答えが全部入っています。順番を覚えるより、布が今どこにあるかを言えるようにしておくほうが実用的です。

布1枚が通る道と、そこで決まること
布の位置そこで決めること対応する問答
出かける前・シートの上座る面とドア側、足元まで届いているかs3:どんな布を敷くか
移動中・体の下接している面が中央から端へ移るs1:においはどこから来るか
降りた直後・車内その日のうちに外す。食器も一緒にs5:どこに残っているか
外したあと・車内毛を払ってから拭き、対角で換気s6:換気と拭き取りの順番
洗濯機の中移動の長さで、干すか洗うかを分けるs4:いつ洗うか
賃貸の部屋・干す場所薄い綿なら半日。厚手は場所を取るs3:素材の選び方
やらない側洗う・全面拭き・芳香剤は外していいs7:やらずに済ませること

こうして並べると、車と賃貸の部屋が別々の話ではないことが分かります。どちらも、戻せない面の上に洗える面を1枚置いて、その1枚を回している。やっていることは同じで、車のほうが体積が小さいので効き方が早く出るだけです。賃貸でにおいを気にしてきた人ほど、この手はすでに身についています。

そして、車と部屋をつないでいるのは、その子の体です。移動のあと玄関で体の下側に手を入れる。それだけで、車で育ったにおいが賃貸の寝床とソファへ移る道が1本切れます。布を回すことと、玄関で体を切ること。車のにおいで動かせるのは、この2つだけです。あとは、やらないと決めたものを増やさないでください。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。