C09シーン別・暮らし

水が苦手な猫と暮らす人のためのドッグラン|5分で終わらせるケア

公開日 2021年10月2日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、白い毛の猫が静かに座って何かのにおいを確かめている
帰ってきた体のにおいは、猫にとって外の情報です。止めるのではなく、どこで嗅がせるかを決めます。写真:Arina Krasnikova/Pexels

ドッグランから帰って玄関のドアを閉めると、廊下の奥から猫が出てきて、まっすぐ犬の前脚に鼻を寄せます。止める間もありません。声をかけても離れず、指のあいだのにおいを10秒も20秒もかけて確かめている。犬と猫を両方飼っていて、犬とドッグランに行く家では、これが毎回の光景になります。しかも困ったことに、水が嫌いな猫なので、あとから猫を洗って戻すという手が最初から使えません。ドッグランの土と草は、屋内の床を歩いてくるのとは持ち帰る量が違います。この記事は、猫を玄関から遠ざける話ではありません。嗅がせてよい場所と、そうでない場所を分ける話です。

玄関で前脚に鼻を寄せてくる|ドッグランの帰りに、水が嫌いな猫が近づいてくる背景

まず、ドッグランで体につくものを整理します。走った跡と、座って過ごした跡では、つくものが違います。走っていた時間には、蹴り上げた土と細かい砂が脚の内側と腹の下側に上がってきます。座っていた時間には、地面と接していた尻のまわりと後ろ脚の外側に、草と土が面のままつきます。ドッグランの30分で持ち帰る量は、屋内の床を歩いてくる外出とは桁が違います。

そこに、他の犬が残していったにおいが加わります。同じ地面をその日に何頭が使ったかは分かりませんが、においは残ります。犬にとってはそれが目的の一つですらあります。そして家に帰ると、そのにおいを最初に確かめに来るのは、外に出ていない側の同居動物です。猫にとって、ドッグランから帰った犬の体は、外の情報そのものです。

猫が鼻を寄せるのは、においを嫌がっているからではありません。確かめているからです。同居している相手が知らないにおいをつけて戻ってきたら、それを確認するのは猫として自然な行動です。玄関で追い払っても、その行動そのものはなくなりません。玄関で防いだ場合、猫は犬が寝ついたあとに、寝床で同じことをします。時間と場所が後ろにずれるだけです。

ここで、水が嫌いな猫という条件が効いてきます。犬の側は、帰ってから濡らした布を使えます。ところが猫の側は、鼻先や前脚に何かがついたとしても、あとから水で洗って戻すという手が使えません。水が嫌いな猫と暮らす家では、猫を後から整えるという解決が、最初から選択肢に入っていないということです。だから、猫が触れる前の段階で決めるしかありません。

ドッグランで体につくものは、時間の使い方で変わります
その子がしていたことつく場所つくもの
走り回っていた脚の内側、腹の下側蹴り上げた土と細かい砂
座って休んでいた尻のまわり、後ろ脚の外側草と土が、面のまま
地面のにおいを嗅いでいた鼻先、口のまわり土と、他の犬の残したにおい
他の犬と接していた肩から首の側面他の犬の被毛とにおい
水飲み場のまわりにいた前脚の先湿った土。乾くと毛の中に入ります
Note猫が来るまでには、2〜3分あります

ドアの音で猫が動き出しても、玄関まで降りてくるには少し間があります。多くの家で2〜3分ほど。この時間が、この記事の作業時間です。焦って全身をやろうとせず、猫がいちばん先に鼻を寄せる場所だけを、その2〜3分に入れてください。順番を決めておけば、猫が来たときには、もう終わっています。

遠ざけずに線を引く|嗅がせてよい場所と、そうでない場所を分ける考え方

考え方の中心はここです。猫を犬から遠ざけるのではなく、犬の体を2つに分けます。嗅がせてよい場所と、そうでない場所。分ける基準は一つだけで、ドッグランの地面に直接触れていた面かどうかです。触れていない面なら、猫が鼻を寄せても構いません。触れていた面は、猫が来る前にこちらで手を入れます。

なぜ口に入るかどうかで考えるのか。猫は鼻を寄せたあと、自分の前脚をなめ、その脚で顔を拭きます。鼻先についたものは、そのまま毛づくろいの流れで猫の口へ運ばれます。水が嫌いな猫の場合、そのあとで口のまわりを濡らして拭くという手当ても、そう何度も使えません。触られること自体を嫌がる子であればなおさらです。だから、猫の側で取り返すのではなく、犬の側で線を引きます。

地面に触れたかどうかで、嗅がせる場所を分けます
犬の体の場所ドッグランの地面に猫には
背中、肩の上側触れていない嗅がせて構いません
首の横、顔の横触れていない嗅がせて構いません
前脚の先、指のあいだ直接触れたその前に手を入れます
後ろ脚の内側と外側直接触れたその前に手を入れます
腹の下側、胸の前跳ね返りが届いたその前に手を入れます
尻のまわり、尾の付け根座っていた面その前に手を入れます

表の上2行が「嗅がせてよい場所」です。ここを残しておくことに意味があります。猫が確かめたいのは、外のにおいそのものです。背中と首の側面には、ドッグランで会った他の犬のにおいも、風のにおいも残っています。猫にとっては、それで足ります。地面に触れた面まで嗅がせる必要はありません。

この線引きは、水が嫌いな猫と暮らす家でこそ効きます。猫を濡らさずに済む唯一の方法が、猫の鼻が届く前に犬の下側を終わらせておくことだからです。水を使う手が使えない側の負担を、水を使える側に移していると考えてください。犬は帰宅直後で、もともと手を入れる場面です。猫のためだけに新しい作業が増えるわけではありません。

Point玄関の床にも線があります

犬の体だけでなく、犬が立っていた玄関のたたきと、上がってすぐ落ち着く場所にも同じ線が引けます。猫は玄関に降りますし、犬が寝たあとの場所にも乗ります。犬の体を終わらせても、床がそのままなら猫はそこで嗅ぎます。ドッグランに行った日は、たたきと、その1畳ぶんだけを拭いてください。家じゅうをやる必要はありません。

帰宅から5分で終える|線を引いたあとの、玄関での順番と変化

手順にします。ドッグランから帰った日の5分だけの話です。猫が降りてくるまでの2〜3分と、そのあとの2分。これで終わります。順番は下から上ではなく、下だけです。上側は猫に嗅がせる場所なので、この5分では触りません。

  1. ドアを閉めたら、リードを外す前に、犬をたたきで止める(10秒)

    リードを外すと、その子は上がろうとします。外さないことが、玄関に留めておく唯一の道具です。短く持って、たたきの上に立たせたまま次に進みます。声で待たせる必要はありません。ここで叱ると、次からドッグランの帰りに玄関で止まらなくなります。

  2. 前脚の先と、指のあいだ(1分)

    猫がいちばん先に鼻を寄せる場所です。湿らせた布を当てて数秒置き、押さえて離します。こすらずに、面で水を移す動きです。指のあいだは1本ずつ開かず、布を挟んで、外から軽く握るようにして通します。ドッグランの土は乾くと毛の中に入るので、帰宅直後の湿っているうちが取りやすいタイミングです。

  3. 後ろ脚の内側と外側、腹の下側(1分)

    走っていた時間に跳ね上がったものと、座っていた時間についたものが、この帯に集まります。布の乾いた面に持ち替えながら、毛の流れに沿って一方向へ。往復させないでください。ここまでで、猫が口に入れる可能性のある面は、ほぼ終わります。

  4. リードを外し、上がってよいことにする(10秒)

    尻のまわりは、上がってから伏せた姿勢でやったほうが早く終わります。玄関で全部を終わらせようとすると、その子が動いてしまい、結局どちらも中途半端になります。玄関で終える範囲を、あらかじめ狭く決めておいてください。

  5. 猫が来たら、背中側で会わせる(30秒)

    犬の肩から首の側を猫のほうへ向けます。追い払わず、抱き上げず、そのまま嗅がせてください。猫が満足するまでの時間は、たいてい20〜30秒です。水が嫌いな猫は、押さえられることも同じくらい嫌います。手を出さないことが、いちばん短く終わる方法です。

  6. たたきと、犬が最初に落ち着く場所を拭く(1分)

    犬が立っていた面と、伏せた場所です。猫はそこに乗ります。ドッグランに行った日だけ、この2か所を拭いてください。犬が伏せる場所に布を1枚敷いておくと、拭くかわりにその布を替えるだけで済みます。週に1回、洗濯機に入れる形にしておくと続きます。

この順番にすると、猫が玄関に降りてきた時点で、下側はもう終わっています。猫の行動を変えるのではなく、猫が来る時刻に合わせて、こちらの順番を変えているだけです。猫は水が嫌いなままで構いませんし、こちらから濡らす場面も出てきません。

玄関に置いておくのは、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませてから、前脚の先と後ろ脚の内側に当ててください。ドッグランの土は乾くと毛の中に入るので、帰宅直後のうちに被毛から外してしまうための道具です。水が嫌いな猫がいる家では、犬に直接吹きかけずに布へ移してから使ってください。音と霧そのものを嫌う子がいて、離れていても部屋から出ていきます。布に含ませる形なら、猫のいる玄関でも使えます。

この家でこれを選ぶ理由は、猫の口に入る可能性のある面に使えることです。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準をクリア)でつくられているので、猫が犬の前脚を嗅ぎ、そのあと自分の脚をなめる家でも、量を気にせず使えます。グルーミングスプレーであり、ブラッシングスプレーでもあるので、ドッグランに行かない日の梳かしも同じ1本で足ります。余分な皮脂と土は乳化して布に移り、必要な皮脂は残ります(deck p16)。犬猫は体から脂を出すので、週1回のドッグランの日だけでなく、毎日きれいにしておきたいという側から使うものです。

猫のほうが先に教えてくれる|ひと月続けた家に残る経験

この形をひと月ほど続けると、猫の動きが変わってきます。玄関に降りてくるタイミングは変わりませんが、鼻を寄せる場所が上に移ります。前脚に行かなくなり、肩から首のあたりで済ませるようになる。下側にもう情報が残っていないことを、猫の側が先に学ぶからです。急に変わるわけではなく、ドッグランに行った日が5回、6回と重なるうちに、少しずつ移ります。

そうなると、猫のほうが指標になります。ある日、猫がまた前脚に鼻を寄せたなら、その日は下側が終わっていないということです。玄関で急いでいた日、雨で泥が多かった日、ドッグランの滞在が長かった日。理由はそのつど違いますが、猫は間違えません。この使い方ができるのは、猫を遠ざけずに来たからです。追い払っていたら、この合図は出てきません。

ひと月ぶんを見返すときの目安
猫の動き読み取れること
肩から首だけを嗅いで離れる下側の手当てが間に合っています
前脚に戻って長く嗅ぐその日は下側が残っています
犬が伏せた場所に長く乗っている床の側。敷いた布を替える時期です
玄関に降りてこなくなった犬の帰宅時刻が変わっていないか見てください

頻度の話もしておきます。ドッグランに行くのは週に1回でも、犬が伏せる床と、猫が乗る場所は毎日です。手を入れる回数を増やすなら、ドッグランの日ではなく、床の側にしてください。敷いた布を週に1回替える。これだけで、ドッグランの日以外にたまっていくものが止まります。犬の被毛と猫の被毛が同じ面を使っている家では、床が両方の接点になります。

猫の側でできることは、ほとんどありません。それでいいと考えてください。水が嫌いな猫に、水を使う手当てを増やしても続きません。猫にしてあげられるのは、嗅ぎに来たときに、嗅いでよい場所が用意されていることだけです。そのうえで、猫の皮膚と被毛の様子は、毎日のケアのついでに見ておいてください。抱き上げなくても、背中に手を置くだけで分かることがあります。

Caution玄関の5分を見直す前に、動物病院で見てもらいたい変化

猫が特定の場所をなめ続けている、前脚や口のまわりの皮膚が赤い、被毛が抜けて地肌が見えている、よだれが増えた、食欲が落ちている。犬の側では、ドッグランのあとに脚をなめ続ける、指のあいだが赤い、においが強くなった。いずれかに当てはまるときは、玄関の手順を見直す前に動物病院へご相談ください。水が嫌いな猫は、体を見せてくれる時間が短いぶん、気づくのが遅れがちです。玄関で手を入れた日を数えていれば、いつからの変化なのかがそのまま伝わります。

相談に行くときは、いつからか、ドッグランに行った日だけか、犬と猫のどちらが先だったかの3つをメモしていってください。犬と猫が同じ床を使っている家では、この3つ目が切り分けの手がかりになります。

ドッグランに行くのをやめる必要はありませんし、水が嫌いな猫を水に慣れさせる必要もありません。変えたのは、犬の体を2つに分けたことと、玄関で先にやる場所を下側だけに絞ったことの2つだけです。猫が嗅ぎに来るのは、これからも毎回続きます。嗅がせてよい場所が用意されていれば、それは困りごとではなく、家に2種類の動物がいることの、いつもの手順の一つになります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。