C04悩み解決

シニア期の肉球の乾燥|若い頃と同じケアでは追いつかない

公開日 2021年11月15日|文=mofuwa編集部

明るい木の床の上で休んでいるシニア犬の前足と肉球
シニア期の肉球は、すり減って薄くなるのではなく、入れ替わらずに厚くなって割れます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

肉球の乾燥は、シニア期に入ると若い頃とは逆の仕組みで起こります。若い子の肉球は、よく歩くことで表面が削れ、薄くなって荒れます。ところが歩く距離が減った子の肉球は、削れなくなることで古い層がその場に残り、厚く硬くなっていきます。硬い層は曲がりません。曲がらないものに体重がかかると、伸びる代わりに割れます。だから同じ「乾燥」でも、若い頃と同じケアでは追いつきません。

若い頃と、逆のことが起きている

肉球の表面も、皮膚と同じように少しずつ新しい層に入れ替わっています。ただし顔や背中と違うのは、肉球には「こすれることで古い層が落ちる」という前提があることです。地面を踏み、蹴り、体重をかける。その繰り返しが、そのまま古い角質を落とす役割を持っています。

若い子は、この削れる量が多すぎて荒れます。削れる速さに、作られる速さが追いつかないから薄くなる。市販の保湿剤を足す発想は、この状態を前提にしています。

シニア期に入ると、この関係が逆転します。散歩が短くなり、走らなくなり、家の中でも同じ範囲しか動かなくなる。踏む回数が減った肉球では、古い層が落ちずに積み重なります。作られる速さは落ちないのに、削れる量だけが減る。結果として肉球は、薄くなるのではなく厚く、硬くなっていきます。

Note「カサカサして見える」は同じでも、中身が違います

見た目はどちらも白っぽく、粉をふいたように見えます。ですが若い子は足りていない状態、シニアの子は古い層が残っている状態です。同じ見え方に同じ対処をすると、層をさらに厚くする方向に働くことがあります。

厚くなった肉球は、なぜ割れるのか

肉球は、立っているあいだも形を変えています。体重がかかれば横に広がり、足を上げれば元に戻る。この伸び縮みを引き受けているのが、表面のやわらかい層です。厚く硬くなった層は、この動きについていけません。

同じ「乾燥」でも、若い頃とシニア期では起きていることが逆になります
若い頃シニア期
こすれる量多い少ない
肉球の状態削れて薄くなる入れ替わらず厚くなる
荒れ方表面がざらつく、赤みが出る縁が硬くなる、深い割れが入る
先にやること足す(うるおいを補う)動かす(曲がる状態に戻す)

割れる場所にも特徴があります。いちばん厚くなるのは、いちばん体重がかかる中央の大きな肉球の縁です。硬い層とやわらかい層の境目にあたり、硬い側は伸びず、やわらかい側だけが伸びるため、その境目に線が入ります。爪切りのときに縁だけが白く盛り上がって見える子は、この状態が進んでいます。

ここまで来ると、上から何かを塗っても硬い層に載るだけで、下まで届きません。足すのが無駄なのではなく、順番が逆になっているということです。

足すより先に、曲げる

やることは、失われたこすれる機会の代わりを、飼い主の手でつくることです。強くこするのではありません。肉球を曲げて、硬い層に動きを与えるのが目的です。抱いた状態でもできます。

  1. 足先を手のひらで包んで温める

    いきなり触らず、30秒ほど包んで待ちます。硬い層は冷えているとさらに曲がりにくくなります。温まってから動かすほうが、その子も嫌がりません。

  2. 指の付け根を、内から外へゆっくり開く

    親指を肉球の中央に当て、指と指のあいだが軽く開く方向へ動かします。1本ずつ、往復ではなく一方向に。痛がる方向へは動かしません。

  3. 肉球を1つずつ、指の腹で押して離す

    体重がかかるのと同じくらいの力で押して、すぐ離します。1つにつき5回ほど。伸びて戻る動きを、外から代わりにやると考えてください。

  4. ぬるま湯で湿らせた布を、1分あてる

    こすらず、当てて置くだけです。ここで初めて「足す」順番が来ます。

  5. 床に下ろす前に、指のあいだを乾いた布で押さえる

    濡れたまま下ろすと滑ります。シニア期の転倒は、乾燥そのものより避けたいことです。

Point毎日でなくて構いません

1日1回、片足ずつでも足ります。4本を一度にやろうとすると続きません。硬さは数日では変わらないので、2週間続けてから縁を見てください。

④の「足す」順番のところで、布に何を含ませるかを先に決めておきます。足の裏は、その子が自分で口を届かせられる場所です。シニアになって歩く量が減っても、足を舐める回数は減りません。横になっている時間が長いぶん、同じ場所を舐め続ける子のほうが多いくらいです。だからここに置くものは、口に入る前提で選びます。乾燥が気になって手をかける回数が増えるほど、口に入る量も増えるからです。

mofuwa スキンケアミストは、電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。口に入る想定でつくられた水なので、舐める場所にそのまま置けます。使いどころは、④のぬるま湯で湿らせた布のところです。布に含ませて、硬くなった肉球の縁と指のあいだに1分あてます。ここまでの3手で曲げて動かした直後なので、硬い層がいちばん動いているタイミングです。そのあと⑤の乾いた布で押さえる手順は変えないでください。床に下ろす前に乾かしきることのほうが、シニア期には大事です。乾燥を気にして濡れたまま下ろすと、今度は滑って転びます。割れているところに直接吹きかけないでください。

動く量そのものを、少しだけ戻せないか

手で曲げるのは代わりの手段です。元の原因は、踏む回数が減ったことなので、そこを戻せるならそのほうが確実です。散歩の距離を戻す必要はありません。

とくに床は見落とされがちです。滑る床の上では、その子は自分から足を出さなくなります。歩く距離が減った理由が体力ではなく床にあるなら、そこを変えるほうが先です。

歩く量では説明がつかない、肉球の変化

ここまでは「動く量が減ったこと」で説明できる話です。次の4つは、その説明では足りません。年齢のせいと片づけずに、動物病院にご相談ください。

Caution受診をおすすめする4つのサイン

①片足だけ硬い・割れている/4本とも同じように使わなくなるはずが、片足だけ違うのは別の理由があります。②肉球の色が変わった/黒ずむ、白く抜ける、赤みが広がる。③出血している、においがある。④その足を舐め続けている/舐め続けること自体が、状態を長引かせます。いずれかに当てはまるときは、様子を見ずにご相談ください。

受診の前に、いつから、どの足か、1日にどれくらい歩いているかをメモしてください。明るいところで足の裏を上に向けて撮っておくと伝わります。硬さは日単位では変わらないため、1週間おきの写真があると経過が分かります。

最後に、家で続ける形だけ置いておきます。1日1回、片足ずつ。温めて、曲げて、湿らせて、乾かす。ここまでで3分ほどです。硬さは日単位では変わらないので、2週間ごとに肉球の縁を見て比べてください。シニア期の乾燥は若い頃と同じケアでは追いつかない、という話をしてきましたが、追いつかせるために足すものを増やすのではありません。乾燥は結果のほうで、もとをたどれば失われた「曲がる回数」にあります。そこを毎日戻していくと、半年続けたころには、その子の肉球の硬さが先週とどう違うかを、写真ではなく手のひらで見分けられるようになります。乾燥の季節が来る前に、その手のほうが仕上がっているのがいちばんです。

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よくある質問

シニア犬の肉球に、人用のハンドクリームを使ってもいいですか?
おすすめしません。犬も猫も足を舐めます。口に入る前提で選ぶ必要があり、人用の保湿剤はその前提で作られていません。
肉球が硬いのは、かえって丈夫ということではないのですか?
厚さと丈夫さは別です。よく歩く子の肉球が丈夫なのは、厚い層とやわらかさが両方あるからです。動く量が減って厚くなった肉球は曲がらないため、伸びずに割れます。
猫の肉球でも、同じことが起きますか?
同じ仕組みで起こります。ただし猫は高いところに乗らなくなる、爪とぎの回数が減るといった形で先に変化が出るため、歩く距離では気づきにくいことがあります。いつもの場所に飛び乗らなくなったら、足の裏も見てください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。