C14トリマー/獣医師視点

老犬ホームの現場から|洗えない子のケア

公開日 2021年11月21日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のクリーム色のブランケットの上で、静かに横になっている淡い毛色のシニア犬
現場が最初に見ているのは毛の汚れではなく、その姿勢で何秒いられるかです。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

老犬ホームの現場では、洗い場へ連れていく前に、その子が支えなしで座っていられる秒数を数えます。40秒そのままでいられる子と、10秒で腰が横に流れる子とでは、同じ日に組める手順の長さが変わるからです。老犬ホームのケアが家のケアと違って見えるのは、道具でも手つきでもなく、体に触る前に測っているものが1つ多いところにあります。この記事では、その1つ——姿勢が保てる時間——を起点に、においの出どころで手を二手に分け、1回のケアをどこで切り上げるかまでを並べます。

老犬ホームの現場が、体より先に測っているもの|ケアを始める前のチェック

老犬ホームや介護を引き受ける施設では、預かった初日にその子を洗うことがほとんどありません。先にやるのは、支えを外してから腰が横に流れるまでの秒数を数えることです。10秒でくずれる子と、40秒そのままでいられる子とでは、同じ範囲のケアを同じ長さで組めません。老犬ホームの手順が家の手順と違って見えるのは、この計測が頭に1回入っているからです。

支えなしで座っていられる秒数から、その日のケアの範囲を決める
座っていられる秒数その日にやる範囲1回の長さの上限
40秒以上全身のブラッシングと、汚れた場所の拭き取り10分
20〜40秒上半身と下半身を別の日に分ける6分
10〜20秒口のまわり・目のまわり・おしりの3か所だけ3分
10秒未満寝かせたまま、上を向いている面だけ90秒

この表は、老犬ホームが1日の予定を組むときに使う形を、そのまま家へ持ってきたものです。トリミングの予約を入れるかどうかで迷うより先に、家での1回を何分で切り上げるかを決めるほうが、その子の体にかかる合計時間は短くなります。長さを先に決めるのは、途中でやめられなくなるのを避けるためです。始めてしまうと、飼い主のほうが「ここまではやっておきたい」と考えてしまい、その子が座れなくなってから3分が過ぎます。

秒数は毎日変わります。前の晩によく眠れた日と、雨で散歩に出られなかった日とでは、同じ子で20秒違うことがあります。老犬ホームの現場が毎朝この数字を取り直すのは、体の状態を診るためではなく、その日のケアの範囲を決めるためです。数字が下がった日に無理をしなかった記録だけが、次の週に残ります。

においの出どころは1か所か、体全体か|老犬ホームのケアが分かれるサイン

老犬ホームの現場で手が二手に分かれるのは、においの出どころを1か所に絞れたときと、絞れなかったときです。絞れたなら、そこだけを片づければその日は終わります。絞れないなら、どこを洗うかという話ではなく、1日のうちで体に空気が通る時間をどう作るかという話に切り替わります。この見分けは、鼻を近づける順番だけで決まります。

  1. おしりと尾の付け根

    排泄のあとに毛へ残ったものが、いちばん強く出る場所です。ここで説明がついてしまうことが多く、その日は体に触らずに終わります

  2. 口のまわりと下あご

    水を飲んだあとに濡れて、そのまま乾いていない場所です。シニア期は飲み方そのものが変わるので、ここが増えます

  3. 耳の入り口

    耳のふたが閉じている時間が長い子ほど、中が乾いている時間が短くなります

  4. 下になっている側の脇腹

    寝返りの回数が減ると、床に接している面だけが蒸れます。左右で差が出るのがこの場所の特徴です

  5. 背中の中心線

    ここまで追ってまだ出どころが決まらないなら、それは1か所の話ではありません

老犬ホームのケアが分かれる3つのサイン
見えているサインどちらの手かその日にやること
1か所に鼻を近づけると強く、離すと消える部分の手その場所だけを、3分以内で片づける
どこに鼻を近づけても同じ強さで残る全身の手体に空気が通る時間を、1日2回つくる
前の日になかったにおいが、1日で強くなった記録の手日付と場所を書いて、変化の速さのほうを見る

現場でいちばん多いのは真ん中の行です。全身から同じ強さで立つにおいは、洗う回数を増やしても翌日には戻ります。床に接している面へ空気が通っていないことのほうが大きく、ここは体の向きを変える回数で動きます。1日2回、5分だけ向きを変えて、下になっていた面を上にする。老犬ホームのケアで地味に差が出ている工程は、このあたりに集まっています。

Noteにおいの記録は、強さではなく場所で書く

強さを点数で書くと、書いた人の鼻の慣れで数字が動きます。書くのは日付と場所だけにしてください。「11月4日・下あご」「11月6日・下あご」「11月9日・右の脇腹」。同じ場所が3回続くならそこの手を変え、場所が毎回動くなら全身の手に切り替える。老犬ホームが飼い主への説明に使うのも、この形の記録です。

寝たまま・支えて座る・自分で立つ|姿勢で組み替える老犬ホームのケアの手

老犬ホームのケアは、部位ではなく姿勢で組みます。同じ口のまわりでも、寝たままやるのと、支えて座らせてやるのとでは、手の入る角度も、その子が耐えられる時間も違うからです。姿勢を3つに分けて、それぞれで届く場所を先に決めておくと、その日にやることは選ぶだけになります。

  1. 寝たまま(上を向いている面だけ)

    体の向きを変えず、上になっている側の毛だけを、指を入れて根元から起こします。口のまわりと目のまわりは、頭を持ち上げずに横から。90秒で手を離します

  2. 支えて座らせる(胸の下に腕を1本)

    胸の下に腕を入れると、脇腹と前足のつけ根が出ます。ここはその子自身が届かない場所なので、座れる日にまとめて片づけます

  3. 自分で立っている(30秒だけ)

    おしりと後ろ足のつけ根は、立っている30秒のあいだにしか見えません。立った瞬間から数えて、30秒で終わりにします

この3つに共通して要るのは、置いたあとに拭き取らなくていいものです。寝たままの子の口のまわりを濡らした布で3往復すると、その3往復ぶん頭が動きます。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、舐めても問題のない基準でつくられているため、口のまわりでも耳のふちでも、含ませて指で押さえるところまでで手が終わります。

場所を選ばずに使えることは、老犬ホームのケアではそのまま時間の話になります。目のまわり用・耳用・おしり用と持ち替えるたびに、その子の姿勢は1回ずつ崩れます。1本で口のまわりから肉球まで届くと、90秒の枠に入る工程が2つから4つに増えます。水分の浸透力が精製水の35倍とされる特許電解水を使っているぶん、毛の上にとどまらず根元まで下りていくので、押さえる時間も短く済みます(当社の特許電解水の資料より)。

シニア期に入った犬は、気になった場所を自分でなめます。塗ったものが昼には残っていない、という話が家庭で繰り返されるのはそのためで、なめても差し支えない基準でつくられているかどうかが、続けられるかどうかを分けます。老犬ホームの現場で、口のまわりと目のまわりに mofuwa スキンケアミストのような1本を通して使える意味は、手間が減ることより、その子の頭を何回動かさずに済んだかのほうにあります。

Point3つの姿勢のうち、どれを外すかを朝に決めておく

秒数が20を切った朝は、「自分で立っている30秒」を最初から予定に入れません。入れておいて途中でやめると、その子には「立たされたのに終わらなかった」だけが残ります。外すと決めた工程は、次に座れる日へそのまま繰り越してください。老犬ホームが1週間単位で組むのは、1日で全部そろえないためです。

家で待ってよい幅と、老犬ホームが動物病院へつなぐ目安

老犬ホームのケアで様子を見る幅は、場所ごとに違います。地肌のかさつきは2週間、耳の入り口は48時間、口のまわりの濡れは1週間。この幅を決めているのは、そこが1日のうちで乾いている時間の長さです。乾く時間が短い場所ほど、待てる日数も短くなります。

この5つは、ケアの組み方を変えても動かない変化です。座れた秒数を書いた紙と、においの出どころを追った順番のメモを持って、動物病院で診てもらう枠を取ってください。老犬ホームが飼い主への説明にいちばん時間を使うのもここで、何日にどこが変わったかが1行ずつ残っていると、家で続けるぶんと、病院に渡すぶんの線がその場で引けます。診断は病院の領域で、家でやるのは記録と、翌日から続けられる形をつくることです。

場所ごとの、待ってよい幅と、記録に書くこと
場所待ってよい幅紙に書くこと
地肌のかさつき2週間白いものが出る場所と、風の当たる向き
耳の入り口48時間においの質と、掻く回数
口のまわりの濡れ1週間水を飲んだ回数と、乾くまでの時間
おしりまわり3日排泄の姿勢と、汚れる高さ
下になる側の脇腹1週間寝返りの回数と、赤みの広がり

老犬ホームのケアが家で続くのは、1回を短く切ったとき

老犬ホームで働く人が長く続けられるのは、体力があるからではなく、1回の長さが決まっているからです。90秒、3分、6分、10分。この4つのどれかに必ず収まるので、始める前に終わりが見えています。家で止まるのは、終わりを決めずに始めた日の翌日です。

老犬ホームのケアから家へ持ってこられる4つ
持ってくるもの中身家での使い道
座れる秒数支えを外してから腰が流れるまでその日の範囲と長さを決める
においを追う順番おしり→口→耳→脇腹→背中1か所の手か、全身の手かを分ける
姿勢の3分類寝たまま・支えて座る・自分で立つ届く場所を姿勢ごとに固定する
1回の長さ90秒・3分・6分・10分始める前に終わりを決める

紙の端に、その日の秒数と、においの出どころを1行だけ書いておいてください。2行が1週間ぶん並ぶと、次にどこから手をつけるかは数えなくても見えてきます。老犬ホームのケアは、特別な手つきの集まりではなく、先に決めておく数字の集まりです。

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よくある質問

老犬ホームに預けるほどではないのですが、家で同じやり方をなぞれますか。
秒数を数えるところと、においを追う順番の2つは、道具がいらないのでそのまま持ち込めます。難しいのは姿勢のほうで、支えて座らせる工程には人の腕が1本余分に要ります。家で1人でやるなら、寝たまま90秒と、立っている30秒の2つだけに絞ってください。支えて座らせる工程でやる脇腹と前足のつけ根は、家族がもう1人いる日に回します。老犬ホームが3つの姿勢を持っているのは、人手が日によって変わっても同じ範囲を埋められるようにするためです。
洗ってあげたいという気持ちのほうが強いときは、どう考えればよいですか。
その気持ちを消す必要はありません。決めるのは順番だけです。座れる秒数が40秒を超えている日を1週間のうちで探して、その日に全身のケアを寄せます。秒数が20を切っている日は、口のまわりと目のまわりとおしりの3か所で終わりにします。やりたい気持ちと体の状態がぶつかったときに先に立てるのは数字のほうで、老犬ホームが毎朝の計測をやめないのもそこです。数字が戻った日にまとめてやれる、と決めておくと、待つ日がつらくなくなります。
毛が寝てぺたんこになってきました。これは年齢だと思っていいですか。
毛が寝ること自体は、寝ている時間が増えれば起こります。分けたいのは、全身が同じように寝ているのか、下になる側だけが寝ているのかです。片側だけなら、床に接している面へ空気が通っていないほうの話で、体の向きを変える回数で動きます。全身なら、毛の根元まで指を入れて起こす工程を1日1回入れてみて、2週間で戻り方を比べてください。左右差が広がる、赤みが出る、同じ場所を気にしてなめる、のどれかが重なったときは、記録を持って病院で診てもらってください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。