C12Q&A・豆知識

換毛期の抜け毛は1日あたりどれくらいか

公開日 2021年12月17日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のラグの上に落ち着いて伏せている白っぽい毛の犬
抜け毛の量は、どこで測ったかを添えないと、比べようのない数字になります。写真:Iza Ponchie/Pexels

換毛期の1週間、ブラシに残った抜け毛を毎日まとめて置いておいたら、いちばん少ない日といちばん多い日で3倍ほど違いました。同じ子で、同じブラシで、同じ5分です。抜け毛の量を「1日あたり何グラム」という形にした数字は、どこで測ったかによって桁が変わります。ブラシで取れた量、床に落ちた量、体にまだ残っている量。この3つは、同じ日の同じ子を測っても別々の数字になります。だから、グラム数をひとつ覚えても、自分の家では使えません。使えるのは、取れる量が何日でどう動くかという見方のほうです。この記事では、換毛期の抜け毛の量という数字が何と比べたものなのかを、7つの問答に分けて書きます。

換毛期の抜け毛は、1日あたりどれくらいの量になりますか

答えから書きます。1日あたりのグラム数を、ひとつの数字に固めることはできません。抜け毛の量は体の大きさ・被毛の作り・季節・室内で暮らしているかどうかで大きな幅があるとされていて、そのうえ「どこで測ったか」を添えないと、同じ言葉で違うものを指すことになるからです。数字が知りたくてこのページを開いた方には物足りない答えかもしれませんが、幅と条件を外した数字は、家に持ち帰っても使えません。

そのうえで、幅の話はできます。ブラッシングで一度に取れる抜け毛の量は、体の小さい子で数グラム、体が大きく下毛の多い子では十数グラム、換毛期のいちばん多い日には数十グラムになることもある、と一般にはいわれています。ただしこれは「ブラシに残った量」であって、その日にその子から抜けた量ではありません。床に落ちたぶんも、抜けたまま被毛の中に引っかかっているぶんも、この数字には入っていません。

つまり、よく見かける「1日◯グラム」という表現は、量を測った数字というより、ブラシという道具ですくい取れた量を指しています。道具が変われば数字が変わり、かける時間が変われば数字が変わり、前回から何日空いたかでも数字が変わります。抜け毛の量という言葉は、そこまで含めて初めて意味が定まります。

同じ日の抜け毛を、場所を変えて測ったときに出てくる数字
測る場所その数字に入るものその数字から抜け落ちるもの
ブラシ毛の表面まで浮いてきて、ブラシに絡んだぶんすでに床へ落ちたぶん、根元に留まっているぶん
床と家具体から完全に離れて落ちたぶん服やソファへ移ったぶん、掃除機が吸えなかったぶん
体に残っているぶん抜けているのに被毛の中に留まっているぶん家で測る方法がない。触った感触でしか分からない
寝床の布と衣類接触で移ったぶん洗濯で流れたぶん、外へ持ち出されたぶん
Noteこの記事で、グラム数をひとつに決めない理由

抜け毛の量には、家庭でも研究でも共通の測り方がありません。書かれている数字は、測った道具・時間・季節・頭数がそれぞれ違います。条件の違う数字を並べて平均を出しても、その平均はどの家にも当てはまりません。ですのでここでは、出どころのはっきりしない具体的な数値を持ち出さず、幅と条件をセットにした形だけで書きます。数字が細かいほど正しく見えますが、抜け毛の量に関しては、細かい数字ほど条件が隠れています。

抜け毛の量は、なぜ測る場所によって桁ごと変わるのですか

桁が変わるという言い方は、大げさではありません。ブラシで取れた量は、その子から抜けた量のうち、たまたまブラシに絡んだぶんだけです。被毛は、抜けた毛をそのまま落とさずに抱え込みます。とくに下毛のある子では、抜けた毛が上毛のあいだに引っかかったまま何日も残ります。だからブラシに乗る量は、抜けた量ではなく「今回すくえた量」になります。

床に落ちた量で数えている人と、ブラシに残った量で数えている人が、同じ「抜け毛の量」という言葉を使って話しているのが、この話のややこしいところです。同じ日の同じ子でも、床は少なくてブラシは多い、という日が普通にあります。被毛の中に留まっている時間が長ければ長いほど、床は静かで、ブラシは荒れます。

空気が乾いている季節には、もうひとつ条件が乗ります。静電気です。乾いた日は、抜けた毛が体に張りついてブラシに乗りにくくなります。取れた量が減ったように見えても、抜けた量が減ったわけではありません。空気にうるおいが戻る日や、被毛にうるおいを与えたあとには、同じ道具で同じ時間かけても取れる量が増えることがあります。静電気は、抜け毛の量という数字を静かに歪ませる条件です。

そもそも抜け毛とは、体から何が抜けていることを指しますか

抜け毛とは、伸びる時期を終えた毛が、根元から離れて押し出されることを指す言葉として使われています。毛は生えっぱなしではなく、伸びる・止まる・抜ける、という周期をくり返しているとされます。抜け毛の量が増える時期というのは、この周期の「抜ける」に入った毛が、同じ時期にまとまって並んだ時期のことです。

犬の抜け毛とは何か、と調べると「換毛期に生え変わる毛のこと」という説明が返ってくることがあります。間違いではないのですが、これだと一年じゅう少しずつ抜けているぶんが説明から落ちます。周期はその子の体のあちこちで少しずつずれて回っているので、換毛期の外でも毛は抜けています。換毛期は、そのずれが季節でそろう時期だと考えると近いです。

抜け毛という言葉が指しているものと、指していないもの
中身抜け毛の量への出方
指している周期を終えて根元から離れた毛換毛期にまとまって増えます
指している毛先が傷んで途中で切れた毛短い毛が混じります。量としては少なめです
指していない地肌が見える形で毛が減ること量ではなく分布の話です。s5で分けます
指していない毛を切ったあとに落ちる毛抜けたのではなく切った断面です

被毛の作りも、量の出方に効きます。上毛と下毛の二層をもつ子では、抜けるのは下毛が中心です。下毛は細くて短く、上毛のあいだに引っかかったまま残ります。だから、この作りの子ほど「床は少ないのに、ブラシを入れると止まらない」という形になります。毛先は細く、根元は太い。指を根元まで入れたときに手ごたえがあるのは、抜けた下毛が層になっているからです。

Point抜け毛の量を知りたいなら、先に被毛の作りを知る

抜け毛の量の目安を探すとき、体重や年齢で調べる方が多いのですが、いちばん効くのは被毛が一層か二層かです。二層の子では、抜けた毛が体に留まる時間が長く、ブラッシングの間隔がそのまま取れる量に乗ります。一層の子は、抜けた毛がそのまま落ちるので、床のほうに出ます。同じ体重でも、この違いだけで数字は変わります。

同じ子なのに、週によって抜け毛の量が変わるのはなぜですか

ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。抜け毛の量は、同じ子・同じ季節でも、週の単位で動きます。先週の日曜に5分かけて取れた量と、今週の日曜に5分かけて取れた量が同じになることは、まずありません。動いている条件は4つあります。

取れる抜け毛の量を動かしている4つの条件
条件量への効き方家で確かめられること
前回から空いた日数いちばん強く効きます。日数にほぼ比例して増えますカレンダーに丸をつけるだけで分かります
空気の乾き具合乾くと静電気で体に張りつき、取れる量が減って見えます同じ週で、雨の日と晴れた日を比べます
換毛期のどのあたりか始まりと終わりでは、下毛の抜け方が違います2週続けて増え続けたら、盛りに入っています
室内の光と温度室内で暮らす子ほど、換毛期の輪郭がぼやけます暖房を入れた週の前後で比べます

4つのうち、飼い主が動かせるのは1つ目だけです。間隔を変えると、取れる量は変わります。3日空けてから5分かけた日と、毎日5分かけている週の1日とでは、取れる量が違って当たり前です。ここを混ぜたまま「今日は多かった」「今日は少なかった」と数えると、抜け毛の量の変化ではなく、間隔の変化を数えていることになります。

乾く季節についても、もう少し具体的に書いておきます。空気が乾くと、被毛のうるおいが抜けて静電気が起きやすくなります。静電気が起きている状態は、抜けた毛が体から離れにくくなっている状態です。ブラシに乗らず、床にも落ちず、体に留まります。そのまま何日かたつと、ある日まとめて取れます。「急に増えた」と感じる日の一部は、この持ち越しです。

うるおいの側から見ると、順番が変わります。乾いた被毛をそのまま強くとかすと、毛先が引っかかり、切れた毛が混じります。先にうるおいを足してからとかすと、同じ力で同じ時間でも、取れる量は増え、切れた毛は減ります。取れた量が増えたのは抜け毛が増えたからではなく、留まっていたぶんが動いたからです。抜け毛の量を読むときは、ここを取り違えないようにしてください。

抜け毛の量が増えた日は、そのまま様子を見て大丈夫ですか

多くの場合、量が1日だけ増えたことは、それ単独では判断の材料になりません。大丈夫かどうかを分けているのは、量ではなく分布です。全身から均等に増えているのか、決まった場所だけが減っているのか。ここは、グラム数をいくら正確に測っても出てきません。

抜け毛の量の疑問は、たいていここで止まります。「これは大丈夫な量なのか」を数字で決めたい、という気持ちはよく分かりますが、量の大小で線を引ける基準は、家にも本にもありません。引けるのは、その子の先週と比べる線だけです。だから s6 では、他の家と比べるための数字ではなく、その子の中で比べるための数え方を書きます。

Cautionこういう変わり方のときは、動物病院にご相談ください

地肌が見える場所がある、左右のどちらかだけ薄い、同じ場所をなめ続けている、赤みやかさぶたがある、フケが増えた、かゆがる回数が増えた、量の増え方が2週間を過ぎても続いている。こうした変化が重なっているときは、ブラッシングの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。抜け毛の量を数えた記録があると、いつから変わったかをその場で伝えられます。写真を撮っておくと、分布の話がいちばん早く伝わります。

家で抜け毛の量を数えるなら、何を記録すればいいですか

記録するのはグラムではありません。条件をそろえて、7日ぶん並べるだけです。はかりは使わなくてかまいません。同じブラシで、同じ時間、同じ場所をとかして、取れた毛のかたまりを大きさで3段階に分ける。それで足ります。数字を細かくするほど、続かなくなります。

  1. 道具と時間と場所を、先に固定する

    同じブラシ、3分、背中から腰まで。この3つを変えると、その日の数字は前日と比べられなくなります。時間はタイマーで測ってください。手の感覚で3分にすると、多い日ほど長くかけてしまいます。

  2. とかす時刻をそろえる

    朝か夜のどちらかに決めます。散歩のあと、寝る前など、生活の中の同じ位置に置くと続きます。時刻がずれると、その間に床へ落ちたぶんが数字から抜けます。

  3. 取れた量を3段階で書く

    小・中・大の3つだけ。手のひらに乗る量を「中」と決めて、そこから上下に割ります。グラムで書こうとすると3日でやめます。抜け毛の量を数える目的は、正確さではなく、7日並べたときの形を見ることです。

  4. 7日ぶんを横に並べて、山と谷を見る

    増え続けているのか、2日おきに山が来るのか、雨の日に落ちるのか。並べて初めて意味が出ます。1日だけの数字には、比べる相手がありません。

1日の量で読む場合と、7日の動きで読む場合 抜け毛の量を「その日のグラム数」で読もうとしたときと、「7日ぶんの動き」で読んだときに、それぞれ何が分かって何が分からないかを並べています。 どちらも、同じ子の同じブラシで取れた量の話です 1日の量で読む 数字がひとつ出る 他の家と比べたくなる 測り方の違いが消える 多い少ないで一喜一憂する 翌日の判断に使えない 7日の動きで読む 山と谷の形が出る その子の中だけで比べる 間隔と天気が読み取れる 増え続けたかどうかが見える 次の間隔を決められる 比べる相手がその子自身になると、条件がそろいます
同じ記録でも、読む単位を変えるだけで、家で使える情報の量が変わります。

7日並べると、たいていの家で同じことが起きます。量そのものより、前回から何日空いたかのほうが強く効いている、と分かります。換毛期の抜け毛の量に驚いた日の多くは、その前に間隔が空いています。数えるのは量ですが、読み取っているのは間隔です。

抜け毛の量そのものを減らすことはできますか

抜ける量そのものは、家で減らせるものではありません。周期を終えた毛は抜けます。動かせるのは、抜けた毛がどこに落ちるかと、体に留まっている時間のほうです。床に落ちる前に受け止めれば、掃除の量は減ります。体に留まる時間を短くすれば、もつれと静電気の材料が減ります。抜け毛の量という言葉で語られている悩みの中身は、たいていこの2つです。

抜け毛の量をめぐって、変えられるものと変えられないもの
対象家でできること
変えられない周期を終えた毛が抜けること季節と個体差です。数える側を変えます
変えられない被毛が一層か二層かという作り作りに合わせて、間隔のほうを決めます
変えられる抜けた毛が落ちる場所間隔を詰めて、床に届く前に受け止めます
変えられる抜けた毛が体に留まる時間うるおいを足してからとかすと、動きます
変えられる静電気の起きやすさ空気と被毛の乾きを、両方見ます

うるおいの足し方を書いておきます。乾いた被毛をそのままとかすと、毛先が引っかかって切れた毛が混じります。先に被毛を湿らせてからとかすと、同じ力でも滑りが変わります。この「湿らせてからとかす」を1本で済ませるのが、mofuwa グルーミングスプレーです。直接吹きかけるか、ブラシに含ませてから、毛の流れに沿って根元まで一往復させる。すすぎも乾かす手間も出ないので、換毛期のように間隔を詰めたい時期こそ、毎日の側に置けます。使う量を気にしなくていいのも、この時期には大きいところです。中身は清涼飲料水の規格基準をクリアした特許電解水なので、毛量の多い子でも、被毛が湿るまでかけて構いません。気になる部分だけを整えたい日は、mofuwa スキンケアミストを手に取り、その場所になじませてからとかす形でもかまいません。

グルーミングスプレーもスキンケアミストも、抜け毛の量を減らすためのものとしては書いていません。留まっている毛を動かしやすくして、床ではなくブラシの側へ集めるための手順です。結果として床の毛は減りますが、その子から抜けた量は変わっていません。ここを混ぜて考えると、取れた量が増えた日に「悪くなった」と読み違えます。

Note換毛期に増やすのは、1回の長さではなく回数です

抜け毛の量が増える時期に、1回のブラッシングを20分に伸ばす方がいますが、同じ合計時間なら、短く何回かに割ったほうが取れる量はそろいます。1回が長くなるほど、その子が動き出して最後まで届きません。3分を毎日のほうが、20分を週1回より、床に落ちる量が安定します。時間の合計ではなく、間隔が量を決めているからです。

グラム数を捨てて、7日ぶんの動きで読む|換毛期の抜け毛の量の畳み方

ここまでを、答えの形にもう一度畳んでおきます。換毛期の抜け毛は1日あたりどれくらいか、という問いには、条件を添えずに答えられません。ブラシで取れた量なら数グラムから数十グラムまでの幅があるとされ、床に落ちた量ならもっと少なく出て、体に残っている量は家では測れません。3つは別の数字で、比べる相手が違います。

抜け毛の量という問いを、家で答えの出る形に置き換える
元の問い置き換えたあとの問い答えの出どころ
1日あたり何グラム?同じ条件で7日並べたとき、山はどこ?自分の記録
この量は多い?先週の同じ曜日と比べて増えている?自分の記録
この量は大丈夫?全身で増えている? 一か所だけ薄い?分布を見る
量を減らしたい床に落ちる前に、どこで受け止める?間隔の設計
急に増えた前回から何日空いた? 乾いていた?間隔と湿度

置き換えたあとの問いには、全部その日のうちに答えが出ます。元の問いに答えが出なかったのは、比べる相手がいなかったからです。他の家の数字を持ってきても、道具も間隔も被毛の作りも違うので、比べたことになりません。その子の先週だけが、条件のそろった比較相手になります。

最後に、数字を追いかけるより先に見てほしいものをもう一度書いておきます。量が全身で増えているうちは、季節と間隔で説明がつくことが多い形です。地肌が見える、左右で差がある、同じ場所だけ薄い、かゆがる、赤みがある。この5つのどれかが混じっているときは、量の多い少ないの話ではありません。ブラッシングの間隔を詰める前に、7日ぶんの記録と写真を持って動物病院にご相談ください。量そのものより、どの場所が何日で変わったかのほうが、その場で早く伝わります。

抜け毛の量という数字は、正確に測るほど役に立つ、という種類の数字ではありません。測り方を固定して、同じ子の中で並べたときにだけ、意味が出てくる数字です。グラムを追いかけるのをやめて、7日ぶんの形を見る。換毛期のあいだ、それだけで判断の材料はそろいます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。