C12Q&A・豆知識

アミノ酸系洗浄剤とは?洗浄力と低刺激の折り合い

公開日 2021年12月10日|文=mofuwa編集部

明るく片づいた部屋で、淡い色の布の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
成分表に並ぶ長いカタカナは、たいてい何と何からつくられたかを書いただけの名前です。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

シャンプーの成分表に並ぶ「ココイルグルタミン酸Na」や「ラウロイルメチルアラニンNa」。これがアミノ酸系洗浄剤と呼ばれているものです。アミノ酸系洗浄剤とは、アミノ酸を原料にしてつくられた洗浄成分のことです。定義としてはそれだけで、それ以上の意味は含まれていません。この言葉がやさしいという評価とセットで語られてきたのは、定義とは別の事情です。実際に設計されているのは、泡立ちと洗う力を低めに置いて、そのぶん皮膚に残す脂を増やす、という折り合いのつけ方になります。やさしさという性質が備わっているのではなく、どこを削ってどこを残すかの配分が違う、と読むほうが正確です。この記事では、アミノ酸系洗浄剤とは何かを8つの問答に分けて、毎日のケアで何が変わるかと、成分表の読み方まで開きます。

アミノ酸系洗浄剤とは何ですか|定義を一行で置きます

アミノ酸系洗浄剤とは、アミノ酸を原料にしてつくられた洗浄成分のことです。ここでいう洗浄成分とは、水と油の両方になじんで、汚れを水の側へ運ぶ役割をもつ成分を指します。原料がアミノ酸であること。定義に入っているのは、この一点だけです。

注意しておきたいのは、この定義に安全性や刺激の強さが含まれていないことです。アミノ酸系という区分は、原料による分類であって、性能や安全性による分類ではありません。同じ区分の中にも、洗う力の強いものと弱いものがあります。だから「アミノ酸系だから」だけでは、その製品がどう設計されているかは決まりません。

以下では、この定義から出発して、実際に何が設計されているのかを開いていきます。アミノ酸系洗浄剤とは、洗う力を落とすことと引き換えに、皮膚に残す脂を増やす選択をした設計です。やさしさの正体は、この引き換えの中にあります。

アミノ酸から、なぜ洗う成分がつくれるのですか|成り立ちを知りたい人へ

アミノ酸そのものには、汚れを落とす働きはありません。アミノ酸に脂肪酸をつなぐと、そこではじめて洗う成分になります。アミノ酸の側は水になじみ、脂肪酸の側は油になじみます。1つの分子の中に、性質の違う端が2つできる。これが、汚れを水の側へ運べる理由です。

だからアミノ酸系洗浄剤の名前は、たいてい2つの部品の名前をつないだ形になっています。前半が脂肪酸の名前、後半がアミノ酸の名前です。ココイルグルタミン酸Naなら、ヤシ油由来の脂肪酸(ココイル)とグルタミン酸をつないだもの、という意味になります。カタカナが長いのは、何と何からつくられたかをそのまま書いているからで、長さは強さとも危なさとも関係がありません。

名前の前半と後半が、それぞれ何を指しているか
位置何を表しているかよく見る書き方
前半つないだ脂肪酸の名前。油になじむ側ココイル、ラウロイル、ミリストイル
後半使われたアミノ酸の名前。水になじむ側グルタミン酸、アラニン、グリシン、サルコシン
末尾水に溶けやすくするために結びつけたものNa、K、TEA
全体この3つをつないだものが、1つの成分名になりますココイルグルタミン酸Na など

組み合わせが変われば、性質も変わります。同じアミノ酸系洗浄剤でも、どのアミノ酸を使うか、どの脂肪酸をつなぐかで、泡立ちも洗う力も変わります。グルタミン酸を使ったものは比較的おだやかとされ、アラニンやサルコシンを使ったものは泡立ちがよくなる傾向があるとされています。ひとくくりにできないのは、このためです。

ほかの洗浄成分と何が違うのですか|落とす力の設定が違います

ここが、この記事でいちばん誤解されている部分です。アミノ酸系洗浄剤とほかの洗浄成分の違いは、良し悪しではなく、落とす力をどこに設定したかの違いです。どの洗浄成分も、水と油をつないで汚れを運ぶという仕事は同じことをしています。

皮膚の上には、落としたい脂と、残しておきたい脂が同時にあります。落とす力を高く設定すると、落としたい脂は確実に落ちますが、残しておきたい脂も一緒に運ばれます。力を下げれば残せますが、落としきれないぶんが出ます。この2つは同時には満たせません。アミノ酸系洗浄剤は、後者を選んだ設計です。

落とす力の設定を変えると、何が入れ替わるか 洗浄成分の落とす力を高めに設定した場合と、低めに設定した場合で、泡立ち・落ち方・残る脂・すすぎ・向く場面がどう入れ替わるかを並べた対比図 同じ区分の中でも、組み合わせによって位置は前後します 落とす力を高めに 泡が立ちやすい 1回で落ちやすい 残る脂も減りやすい すすぎに時間がかかる 皮脂が多い日に向く 落とす力を低めに 泡が立ちにくい 1回で落ちきらない日も 残す脂を増やせる すすぎは軽く済む 皮脂が少ない日に向く アミノ酸系洗浄剤は、右側の設定を選んだ成分です
どちらが優れているのではなく、削るところと残すところの配分が違います。

図の右側だけを見ると、いいことばかりではないと分かります。落ちきらない日がある、というのは実際に起きることです。皮脂が多いときや、散歩のあとに油分をふくむ汚れがついたときには、1回で終わらないことがあります。そのときに必要なのは、力の強いものへ持ち替えることではなく、時間を長くとるか、回数を分けるかです。

泡立ちが弱いと聞きます。なぜですか|設計どおりであって、欠陥ではありません

アミノ酸系洗浄剤とは、と調べた人がいちばん引っかかるのが泡立ちです。泡が立ちにくいのは、設計どおりの結果です。不良品でも、量が足りないわけでもありません。

泡というのは、成分が水と空気の境目に並んで、薄い膜をつくった状態です。境目に並ぶ力が強い成分ほど、泡が立ちやすく、消えにくくなります。アミノ酸系洗浄剤は、その並ぶ力を含めて全体をおだやかな側に振ってあるので、泡の量も一緒に下がります。洗う力だけを下げて泡立ちだけ保つ、という都合のよい調整は難しくなります。

最後の行が実務では効いてきます。泡が立たないから足す、という判断は、すすぎを長くするだけで終わることがあります。足すより先に、被毛が根元まで濡れているかを確かめてください。アミノ酸系洗浄剤は、濡れが足りないときに泡の差がいちばん大きく出ます。

泡が少ないと、汚れは落ちていないのですか|泡の量と洗う力は別のものです

泡の量は、汚れが落ちたかどうかの目印にはなりません。泡がやっているのは、浮かせた汚れをその場に留めておくことと、こするときの摩擦を減らすことです。汚れを引きはがす仕事そのものは、泡ではなく水の中の成分がやっています。

泡がやっていることと、やっていないこと
泡の役割泡がやっていないこと
汚れに対して浮いた汚れを留めて、戻りにくくする汚れを引きはがすこと
手や被毛に対して指がすべりやすくなり、こすらずに済む力を強くすること
作業に対してどこを洗ったかが目で分かる落ちたかどうかを示すこと
すすぎに対して残っているかどうかの手がかりになるすすぎを短くすること

だから、アミノ酸系洗浄剤で泡が少ないときにやることは決まっています。こする強さを上げるのではなく、なじませる時間を少し長くとることです。泡が少ないぶん、指が引っかかりやすくなります。そこで力を入れると、皮膚と被毛の両方に余計な摩擦がかかります。水を足して、指をすべらせながら動かすほうが、結果として早く終わります。

Point落ちきらない日は、力ではなく回数で分ける

皮脂が多い日に1回で終わらなかったときは、同じ場所を強くこするより、いちど流してからもう一度なじませるほうが確実です。1回目で表面の汚れが減っていると、2回目は泡も立ちやすくなります。アミノ酸系洗浄剤とは、こういう分け方を前提にした設計だと考えると、扱いやすくなります。

アミノ酸系洗浄剤なら、毎日洗っても大丈夫ですか|やさしいという言葉の中身

答えは、洗浄剤の種類では決まりません。洗ってよい頻度を決めているのは、洗ったあとに乾くまでの時間と、その子の皮膚と被毛の状態です。アミノ酸系洗浄剤を使えば毎日洗える、という組み立てにはなりません。

洗う行為には、洗浄成分による部分と、水と時間による部分があります。長く濡らしておくこと自体が、皮膚の側の条件を動かします。だから、成分をおだやかにしても、濡れている時間が長ければ、そこは変わりません。頻度の話をするときは、成分より先に、乾かすまでの段取りを見るほうが実際的です。

皮膚に赤みが出ている、かゆがるしぐさが続く、においが変わったなど、いつもと違う状態が見えているときは、洗浄剤を替える前に動物病院にご相談ください。洗い方や成分の選び直しで対応できる範囲かどうかは、家では切り分けられません。アミノ酸系洗浄剤に替えれば皮膚のトラブルは治りますという考え方はしないでください。成分の区分は、原料の話であって、体に起きていることへの答えではありません。

成分表でアミノ酸系洗浄剤を見分けられますか|名前の読み方と、その限界

見分けること自体はできます。「〜イル」で始まる部分に、アミノ酸の名前が続いていれば、それがアミノ酸系洗浄剤です。手順は2つだけです。

  1. 前半が脂肪酸の名前かを見る

    ココイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイルなど、「〜イル」で終わる部分を探します。ここが油になじむ側です。

  2. 後半にアミノ酸の名前があるかを見る

    グルタミン酸、アラニン、グリシン、サルコシン、アスパラギン酸などが続いていれば、アミノ酸系洗浄剤です。末尾のNaやKは、水に溶けやすくするためのものです。

ただし、ここには限界があります。成分表からは、それがどれくらい入っているかが分かりません。化粧品の表示は配合量の多い順に並ぶのが原則とされていますが、1%以下のものは順番が決まっていないとされています。つまり、アミノ酸系洗浄剤の名前が後ろのほうにあるとき、それが主役なのか、少しだけ足されたものなのかは読み取れません。

成分表から読めることと、読めないこと
読めること読めないこと
原料何と何からつくられた成分かその原料がどこ由来か
並び順おおよその多い少ない1%以下の順番
配合量上位にあるかどうか実際の割合
設計どの区分の成分を選んでいるかどういう仕上がりを狙ったか
使い心地何も読めません泡立ち、すすぎやすさ、乾いたあとの感触

だから、成分表は候補をしぼる道具として使うのがちょうどよい距離になります。アミノ酸系洗浄剤とは何かを知る意味は、成分表で当たりをつけられるようになることにあります。そのうえで、実際に合うかどうかは、使ってみた結果で判断することになります。

アミノ酸系洗浄剤とは、という疑問を、選ぶときの3つの問いに置き換える

最後に、この記事を3つの問いにまとめます。アミノ酸系洗浄剤とは何かが分かると、選ぶときに立てる問いが変わります。やさしいかどうかではなく、この3つを聞くことになります。

アミノ酸系洗浄剤を選ぶときに立てる3つの問い
問い何を見るかそこから決まること
何を落としたいのか散歩のあとの砂ぼこりか、皮脂か、においか落とす力の設定が足りているか
落ちきらなかったらどうするか2回に分ける時間があるか設定を低めにしても回せるか
洗う日と間の日で、仕事を分けられないか間の日に受け持たせられる部分洗浄剤に持たせる仕事の量

3つ目が、いちばん見落とされます。洗浄剤の設計をどれだけ選び込んでも、1本で毎日をまかなおうとすれば、そのぶん皮膚と被毛に負荷がかかります。洗う日と間の日で仕事を分けておくほうが、成分の選び直しより先に届く場面があります。

mofuwa では、間の日の仕事を2本で分けています。mofuwa グルーミングスプレーが被毛の側、mofuwa スキンケアミストが地肌の側です。グルーミングスプレーは特許電解水を使ったケアスプレーで、無香料・界面活性剤不使用。ブラッシングの前や散歩のあとに吹きかけて、そのまま梳かせます。洗浄成分を使っていないので、洗う回数を増やさずに被毛の表面だけを扱えます。スキンケアミストは、アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリーで、毛を分けて地肌に直接なじませる1本です。洗う日にどの洗浄剤を選ぶかと、間の日をこの2本でどう分けるかは、別々に決められます。

まとめます。アミノ酸系洗浄剤とは、アミノ酸を原料にしてつくられた洗浄成分のことです。やさしいという性質があるのではなく、泡立ちと洗う力を低めに置いて、そのぶん残す脂を増やした設計です。泡が弱いのは欠陥ではなく設計どおりで、落ちきらない日があるのも織り込みずみです。この折り合いを知っているかどうかで、成分表の同じ1行が、まったく違って見えるようになります。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。