C12Q&A・豆知識

犬が1日に歩く距離とその汚れ

公開日 2022年3月11日|文=mofuwa編集部

明るい公園の草の道を、落ち着いて歩いている淡い色の犬
同じ距離を歩いても、通った面が違えば、帰宅後に体へ乗っているものが変わります。写真:petto123/Pixabay

アプリに出た距離は、2日とも2kmで同じ数字でした。それなのに、片方の日だけ玄関で足を持ち上げたときに、指のあいだへ土が入っていました。犬が1日に歩く距離は、家に持ち帰るものの量を決めていません。決めているのは、その散歩で地面の種類が何回変わったかです。距離は測れば1つの数字になりますが、通った面の数は、数えないと出てきません。だから距離だけを記録していると、内容の違う2日が同じ日として並びます。この記事では、犬の散歩の距離という数字が何でできているのか、そして距離の代わりに何を数えれば帰宅後の手が決まるのかを、8つの問答に分けて書きます。

犬が1日に歩く距離は、どのくらいだとされていますか

先に短い答えを書きます。1つの数字では言えません。一般には、体格の小さい子で1日あわせて1〜2km前後、体格の大きい子で数kmくらい、という幅で語られることが多いようです。ただしこれは調べ方も数え方もばらばらな目安で、同じ「犬の散歩の距離」という言葉が、まったく違う測り方の数字を指しています。正確な1つの数値として受け取らないほうが、あとの判断を間違えません。

幅になる理由は、距離という数字の作られ方にあります。距離は、歩いた時間と歩く速さを掛けたものです。犬の散歩では、この2つがどちらも一定になりません。においを嗅いで止まる時間があり、信号で止まる時間があり、坂で速さが落ちます。同じ30分の散歩でも、止まっていた時間が10分の日と3分の日では、出てくる距離が変わります。数字は正しく出ているのに、中身が違うのです。

犬の散歩の距離という数字が、何でできているか
数字を動かす要素何が変わるか距離の数字に出るか
外にいた時間長ければ距離も伸びます出ます
立ち止まった回数多いほど距離は縮みます出ます
歩幅と体格体格が大きいほど1歩が長くなります出ます
坂と階段上下の移動は距離に反映されにくいほとんど出ません
通った地面の種類舗装か土か草かまったく出ません
面が切り替わった回数何回、別の地面に乗ったかまったく出ません

この表のいちばん下の2行が、この記事で扱いたいところです。距離という数字は、犬がどれだけ動いたかを教えてくれますが、何に触れたかは1文字も教えてくれません。帰宅後に体へ乗っているのは、動いた量ではなく触れたもののほうです。だから距離の数字だけを毎日つけていても、玄関でどこを拭けばいいのかは決まりません。

Note距離の目安は、他の家と比べる数字ではありません

「1日◯km」という数字を見ると、足りているかどうかを確かめたくなります。ただ、その数字は体格も年齢も住んでいる場所も混ぜた平均で、混ぜた平均は自分の家では使えません。比べる相手として意味があるのは、他の家ではなく先週の同じ曜日の、その子自身です。同じコースを同じ時間帯に歩いた日どうしなら、条件がそろっているので比べられます。犬の散歩の距離は、そういう使い方をすると急に役に立ちます。

同じ距離の散歩でも、持ち帰るものが変わるのはなぜですか

ここがこの記事の核です。同じ2kmでも、舗装だけを歩いた2kmと、土と草を通った2kmでは、家に持ち帰るものが違います。距離は「どれだけ動いたか」の数字で、持ち帰るものを決めているのは「何に触れたか」だからです。犬の足は、歩いているあいだずっと地面と接しています。接している相手が変われば、乗るものも変わります。

舗装の上には、乾いた細かい粉と、車や靴が運んできたものが乗っています。粒が細かく乾いているので、毛の表面で止まりやすく、足の裏にまとまって乗ります。土の上では、湿り気があると粒が固まって、指のあいだへ入り込みます。草の上では、葉の先が毛に触れて、絡んだまま持ち上がります。同じ距離を歩いても、この3つは体の別の場所に、別のつき方で乗ります。

舗装だけの2kmと、土と草を通った2km 同じ距離を歩いても、足が触れた面の種類が違えば、帰宅後に体へ乗っているものが変わります。距離の数字は、そこを区別しません。 同じ2kmの、内訳の話をしています 舗装だけの2km 触れた面は1種類のまま 乾いた細かい粉が主 毛の表面で止まりやすい 足の裏にまとまって乗る 玄関で足だけで足りる日 土と草を通った2km 触れた面が3回入れ替わる 湿った粒と草の先が混ざる 毛の根元まで入りやすい 腹の下と尾のつけ根にも乗る 拭く場所が増える日 距離を見ていると、この2日は同じ日として記録されます
距離が同じ2つの日を分けているのは、通った面の種類です。

もうひとつ、面が変わると犬の動き方も変わります。知らない地面に乗ると、鼻を下ろして嗅ぐ回数が増えます。嗅ぐということは、口のまわりが地面に近づくということです。舗装だけを黙って歩いた日と、土の匂いを何度も確かめた日では、口のまわりに乗るものの量が違います。距離が同じでも、姿勢の低い時間が違うわけです。

だから「今日は長く歩いたから、しっかり拭こう」という決め方は、実は的を外していることがあります。長く歩いた日でも、舗装だけをまっすぐ往復したなら、乗っているものは少ないままです。逆に、近所を15分だけ回った日でも、公園の芝生と花壇の土に入っていれば、2kmの日より多く持ち帰ります。犬の散歩を距離で管理していると、この逆転に気づけません。

「通った面を数える」とは、散歩中の何を数えるのですか

数えるのは、地面の種類が切り替わった回数です。面の種類そのものではありません。舗装から土へ乗り、また舗装へ戻ったなら2回。ずっと舗装なら0回です。犬の散歩で家に持ち帰るものは、この切り替わりの回数と、ほぼ同じ向きに増えていきます。

数え方は簡単で、散歩から帰ったときに「今日はいくつだった」と思い出すだけです。歩きながらメモを取る必要はありません。切り替わりは、たいてい記憶に残っています。公園に入った、花壇のわきを通った、途中で水たまりを踏んだ。犬の散歩の記憶は、距離より面のほうがはっきり残るものです。

面の切り替わりの回数と、その日の散歩の中身
切り替わりよくある散歩帰宅後に見る範囲
0回家のまわりを舗装だけで一周足の裏だけ
1〜2回舗装で公園へ行き、広場を少し歩く足の裏と、指のあいだ
3〜4回土と芝と砂利を通って戻る足に加えて、腹と胸の下
5回以上河川敷や山道、草むらへ入った日尾のつけ根と口のまわりまで
雨の日どの回数でも1段階ずつ増えます1つ下の行と同じ扱いに
雪や凍結防止剤のある日面は少なくても足は別扱い足の裏を最初に、水で

この数え方の利点は、距離のように機械がないと出ない数字ではないことです。アプリを開かなくても、時計を見なくても数えられます。毎日の習慣にするなら、記録に必要な手間は少ないほどいい。犬の散歩の距離をきちんと測っている家でも、面の数は書いていないことがほとんどです。距離の横に数字を1つ足すだけで、記録の使いみちが変わります。

面が切り替わるたびに、体のどこへ乗るのかを知りたいです

乗る場所は、その面が体のどの高さに触れたかでほぼ決まります。地面にいちばん近いのは足の裏です。その次に近いのが、立っている姿勢では見えない腹と胸の下、そして尾のつけ根です。犬の体は、飼い主から見えている側と、地面に向いている側とで、乗るものの量がまったく違います。

面の種類と、体のどこへ乗るか
面いちばん乗る場所見落としやすい場所
乾いた舗装四つ足の裏肉球のあいだの毛
湿った土指のあいだ手首から下の内側
伸びた草腹と胸の下後ろ足の内側
濡れた芝腹の下から脇尾のつけ根の裏
砂利肉球のすきま爪の生えぎわ
嗅いだ場所すべて口のまわりあごの下と、ひげの根元

最後の行が、面の数を数える意味がいちばん出るところです。面が変わるたびに、犬は鼻を下ろします。切り替わりが5回あった日は、地面に顔を近づけた回数も、それだけ多かった日です。口のまわりに乗ったものは、そのあと毛づくろいで舐め取られるか、家の中で寝床やソファに移ります。帰宅後に室内でにおいが気になる日があるなら、距離ではなく面の数を先に思い出してみてください。

Point見えない側から見る、という順番にする

玄関で足を拭くとき、たいてい先に手が伸びるのは、目に入る前足です。ただ、乗っている量が多いのは後ろ足と、腹の下のほうです。後ろ足は前足が蹴り上げたものを受けますし、腹の下は地面との距離が近いのに一度も視界に入りません。順番を「後ろ足 → 前足 → 腹の下」に変えるだけで、同じ時間でも取れる量が変わります。犬の散歩の距離が長かった日ではなく、面の切り替わりが多かった日に、この順番を使ってください。

距離のアプリに出る数字は、何と比べたときに意味が出ますか

比べる相手は、先週の同じ曜日の、同じコースの自分です。他の家の平均でも、犬種ごとの目安でもありません。距離という数字は、条件がそろっていないと比較になりません。コースが違えば面が違い、時間帯が違えば地面の湿り気が違い、季節が違えば草の伸び方が違います。条件をそろえて初めて、距離の差が「何かが変わった」という合図になります。

そのうえで、距離の数字がいちばん役に立つ使い方が1つあります。同じコースなのに距離が短くなった日は、立ち止まっていた時間が増えた日です。においを嗅いでいたのか、歩きたがらなかったのか、途中で座り込んだのか。犬の散歩の距離は、体調や気分の変化を後から見つけるための記録として使えます。歩いた量の合格点を測るための数字ではありません。

  1. コースを2〜3本に固定する

    毎日ちがう道を歩いていると、距離も面もばらついて、何とも比べられません。平日用と休日用の2本を決めておくと、記録が一気に読めるようになります。犬の散歩を管理する話ではなく、比べられる形にしておく話です。

  2. 距離の横に、面の切り替わり回数を書く

    「2km/3」のように、数字を2つ並べます。1日1回、帰宅後に書くだけです。この2つ目の数字が、玄関でどこまで拭くかを決めます。時間にすると5秒もかかりません。

  3. 拭くのにかかった時間も、ときどき書く

    距離が同じで面も同じなのに、拭く時間が長くなってきたら、季節のほうが動いています。草が伸びた、土が乾いた、風が強くなった。3つ目の数字は毎日でなくてかまいません。週に1回で、変化の向きは分かります。

  4. 1か月たったら、距離の列だけ見返す

    同じコースで距離が縮んでいる週があれば、そこで何かがありました。歩き方か、暑さか、足のどこかか。数字は原因を教えてくれませんが、いつからかは教えてくれます。気になる変化が続くときは、その記録を持って動物病院にご相談ください。

距離を測ること自体をやめる必要はありません。やめたほうがいいのは、距離だけで散歩の中身を評価することです。2kmという数字は、舗装だけの2kmと、土と草の2kmを区別しません。区別しない数字を毎日つけていると、記録は増えるのに、犬の体に何が乗ったかは分からないままになります。

帰宅後に拭く場所は、面の数からどう決めればいいですか

決め方は1つです。面の切り替わりが増えるたびに、拭く範囲を1段階ずつ下へ広げる。足の裏から始めて、指のあいだ、腹と胸の下、尾のつけ根、口のまわりの順です。上へは広げません。背中は面が何回変わっても、地面から遠いままだからです。

面の数から、帰宅後の範囲を決める
面の切り替わり拭く範囲かかる時間の目安
0回四つ足の裏1分
1〜2回足の裏と、指のあいだ2分
3〜4回そこに腹と胸の下を足す3分
5回以上尾のつけ根と口のまわりまで5分
雨や雪の日1段階下まで広げる1〜2分ぶん増える
草むらへ入った日回数にかかわらず腹の下まで3分

この表の意味は、範囲を広げることではなく、広げなくていい日を決めることのほうにあります。毎日フルコースでやろうとすると続きません。犬の散歩は毎日あるので、続かない手順は結局やらなくなります。切り替わりが0回だった日に足の裏だけで終えていいと決まっていれば、そのぶんの時間が5回の日に回せます。

拭く順番にも、面の数え方が効きます。最後に触れた面から、逆にたどるのがいちばん取りこぼしません。公園の草 → 土 → 舗装、という順で帰ってきたなら、舗装の粉は表面に、草のものは根元寄りにあります。表面から順に、あとから乗ったものを先に取る。押し込まずに、毛の流れに沿って一往復させるだけで十分です。

Note室内へ運ばれるのを止められるのは、玄関の1か所だけです

家の中に入ってしまうと、面の話は追いかけられなくなります。床、寝床の布、ソファ、こちらの服。乗ったものは、その子が動くたびに室内へ配られます。掃除機を強くするより、玄関で止めるほうがはるかに早く終わります。犬の散歩から帰った直後の1分は、そのあとの掃除の何十分ぶんかに当たります。距離が長かった日ではなく、面が多かった日にここを厚くしてください。

室内へ運ばれるにおいは、距離と面のどちらで増えますか

面のほうです。においの元になるのは、乾いた粉より、湿ったものと有機物です。乾いた舗装だけを長く歩いた日は、距離が伸びてもにおいはあまり増えません。雨あがりの土や、朝露の残る草、落ち葉の下を通った日は、距離が短くてもにおいが立ちます。犬の散歩で室内ににおいが残る日と残らない日があるのは、この違いです。

もう一つ、におい方の時間差があります。玄関で気づくにおいと、数時間たってから気づくにおいは、出どころが別です。玄関で分かるのは、足と体の表面に乗っているもの。数時間後に部屋の低いところから立ってくるのは、寝床の布やカーペットへ移ったあとのものです。前者は帰宅後すぐに、後者は週に1回の洗濯で受けます。分けておくと、毎日やることが減ります。

毎日の習慣にするなら、拭くものも、いちばん最後に手をつける場所に合わせて決めておくと迷いません。面が多かった日にいちばん多く乗っているのは、口のまわりです。犬は前足でこすることはできても、自分の舌で口のまわりを拭くことはできません。人が代わる場所であると同時に、拭いたものがそのまま口に入る場所でもあります。mofuwa スキンケアミストは、電解水だけでできています。口のまわりに使えるのは、そのためです。布に含ませて、後ろ足、前足、腹の下、口のまわりの順に一往復させる。順番の最後に口のまわりを置くのは、そこがいちばん外のものを持ち帰っていて、しかもいちばん早く舐め取られる場所だからです。面が多かった日はここまで、少なかった日は足の裏で止める。この配分のほうが、毎日続く形になります。

どれを使うにしても、判断の順番は変わりません。先に面の数を思い出し、それから範囲を決め、最後に道具を選ぶ。犬の散歩の距離が長かったから念入りに、という決め方だと、道具のほうが先に来てしまいます。順番が逆になると、拭かなくていい日にも同じ時間を使うことになり、続きません。

距離を測る習慣を、面を数える習慣に置き換える|最後まで残る疑問はどこか

ここまでを1つにまとめます。犬が1日に歩く距離は、幅でしか言えない数字で、しかも家に持ち帰るものを決めていません。決めているのは、その散歩で地面の種類が何回切り替わったかです。距離は機械が出してくれますが、面の数は自分で数えるしかありません。そのかわり、数えれば帰宅後にどこまで拭くかがそのまま決まります。

距離で見る場合と、面の数で見る場合
距離で見る面の数で見る
出どころアプリや歩数計帰ったときの記憶
分かることどれだけ動いたか何に触れたか
帰宅後の手決まらない拭く範囲がそのまま決まる
比べる相手先週の同じコース同じ日の中でも比べられる
毎日の手間機械を持って出る帰ってから数え直すだけ
向いている使い方変化がいつからかを探すその日にやることを決める

2つは、どちらかを捨てる関係ではありません。距離は時間軸で変化を見つける記録、面の数はその日の手を決める記録です。役割が違うので、両方あると強くなります。ただ、どちらか1つしか続かないなら、面の数のほうを残してください。毎日の散歩のあとにやることが決まるのは、こちらのほうです。

Caution同じ場所を気にし続けるときは、動物病院にご相談ください

面の数を減らしても、拭く範囲を広げても変わらない変化があります。同じ場所をなめ続けている、指のあいだが赤い、歩き方が変わった、散歩の途中で座り込むようになった、足を上げたままにする、においが翌日も同じ場所から戻る。こうしたときは、拭き方や距離の調整で追いかける前に、動物病院にご相談ください。記録をつけていれば、いつから、どのコースで、どの面を通った日から変わったかを、そのまま持っていけます。犬の散歩の距離と面の記録は、そういうときにいちばん役に立ちます。

最後に残る疑問は、たいてい「これで足りているのか」というところに戻ってきます。足りているかどうかは、面の数でも距離でもなく、次の散歩までにその子の状態が元に戻っているかで見ます。帰宅後に拭いた場所を、翌朝もう一度さわってみてください。ざらつきが残っていない、同じ場所を気にしていない、においが戻っていない。3つとも当てはまれば、その日の範囲で足りています。

最後に、続けることを1つだけ決めておきます。距離の横に書く2つ目の数字を、まず1年つけてみてください。1年ぶん並ぶと、同じコースでも面の数が季節で動くことが見えてきます。春は草が伸びて1つ増え、冬は霜と凍結防止剤で1つ増える。そこまで来ると、玄関でどこまで拭くかを、その日の記憶ではなく、カレンダーのほうから先に決められるようになります。面を数える習慣は、毎日の手間を増やすための習慣ではありません。拭かなくていい日をはっきりさせて、犬の散歩のあとの時間を短くしていくための習慣です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。