C14トリマー/獣医師視点
犬と猫の無香料の意味|においを消すことではなく、足さないこと
犬と猫のケア用品でいう無香料の意味は、香りをつける成分を足していないことです。においを消す働きを指す言葉として使われることもありますが、表示の上では足していないという条件だけを指します。足さずにおけば、その子自身のにおいが、体調と居場所の手がかりとして残ります。預かった子を受け取ってすぐにやるのは、その日のにおいを鼻で1回覚えることで、無香料であることの値打ちはここで決まります。迎えの日に強い香りが乗っていると、預かっているあいだに何が変わったのかを比べる相手が消えます。ここでは、何頭も同じ建物で預かる側がにおいをどう使っているのかと、家でにおいの出どころを4つに切り分ける手順を、犬と猫で変わるところを分けて書きます。
同じ建物に何頭もいる場所で、においがしている仕事|預かる側から見た無香料の意味
預かった初日に記録するのは、体重と食べた量と、その子のにおいです。においは数字にできないので、言葉で残します。「毛を分けると少し脂っぽい」「耳は無臭」「口はほとんど気にならない」。この3行が、翌日以降に比べるための基準になります。トリミングの現場でも、動物を長く預かる場所でも、においを覚える工程が最初に来るのは同じです。数日あいだが空く関係だからこそ、前の状態を鼻のほうに置いておきます。
ここで香りの強いものが毛に乗っていると、基準の側が作れません。香料は、その子のにおいを消しているのではなく、上に重ねて見えなくしているだけです。2日後に地肌のにおいが立ってきても、上に乗った香りが強ければ、鼻はそちらを先に拾います。無香料であることの意味は、この上書きが起きないという一点にあります。ケアそのものの良し悪しとは別の、比べられるかどうかという話です。
| 読んでいるもの | 何を手がかりにするか | 香りが乗ると起きること |
|---|---|---|
| 体の側の変化 | 毛を分けたときのにおいの強さ | 強さの差が分からなくなる |
| その子の落ち着き | 自分のにおいがついた布があるか | 知らないにおいで場所が変わる |
| 他の子との距離 | 相手のにおいを嗅いで決める | 嗅ぎ分けの手がかりが減る |
| 食欲の出かた | 食器と口のまわりのにおい | 食器の側のにおいが隠れる |
| 寝ていた場所 | 布に残ったにおいの濃さ | 布のにおいが上書きされる |
2行目と3行目は、犬より猫で強く出ます。猫は自分のにおいがついたものの周りで落ち着くので、場所を移したときに持っていく布は、洗わずにそのまま持っていってもらうほうが助かります。よかれと思って洗濯して香りをつけた布を持たせると、その子にとっては知らない場所に知らないにおいの布が置かれることになります。無香料という条件が実務で意味を持つのは、こういう場面です。
無香料は、香りをつけるための成分を足していないという意味で、においがゼロという意味ではありません。水やアミノ酸系の洗浄成分そのものにも、わずかなにおいはあります。電解水を使ったものでは、開けた直後に塩素のようなにおいをかすかに感じることがあります。預かる側から見ると、これは困ることではありません。強さが一定で、翌日には残らないにおいは、比べるときの邪魔になりにくいからです。困るのは、数日にわたって毛の上に残り、強さが変わっていく種類のにおいのほうです。
においの出どころを4つに分ける|預けたあとに使える無香料の見分け方
迎えに行って「においが変わった」と感じたとき、最初にやるのは強さを測ることではなく、どこから来ているかを分けることです。犬でも猫でも、出どころは4つしかありません。毛の表面、地肌、耳と口、その子ではなく寝床や布。鼻を近づける場所と順番を決めておくと、家でも同じ見分け方ができます。順番は、外側から内側へ。毛の表面から始めて、最後に耳と口へ寄せます。
| どこで気づくか | におい方 | 出どころ | その場で確かめること |
|---|---|---|---|
| 抱き上げた瞬間に鼻へ来る | 甘い・粉っぽい | 毛の表面に乗ったにおい | 手のひらで毛をこすって手に移るか |
| 毛を分けたときだけ立つ | 脂っぽい・重い | 地肌の側 | 分けた場所の地肌の色と湿り |
| 顔の横に鼻を寄せると来る | 酸っぱい・つんとする | 耳の入り口か口 | 左右で強さが違うかどうか |
| その子がいない部屋でも残る | こもった感じ | 寝床や布に移ったにおい | 布を持ち上げて嗅ぎ直す |
この4つのうち、無香料であることがいちばん効いてくるのは1行目の切り分けです。毛の表面に何も乗っていなければ、抱いた瞬間に来るにおいは、その子の体から出ていると分かります。香り付きのものを使っている家では、この1行目と2行目の区別がつきません。どちらも「抱くとにおう」で止まってしまい、地肌を見るところまで進めないからです。無香料の意味は、ここでは切り分けの手数が1つ減ることです。
犬と猫では、最初に当たる場所が変わります。犬は毛の表面と地肌のあいだで迷うことが多く、猫は寝床の側が先に出ます。猫が同じ場所で長く寝ていると、その場所だけに脂のにおいがたまり、本人はそれほど変わっていないことがあります。4つに分ける見分け方を持っていると、この違いをその日のうちに区別できます。
分かれ道ごとに、翌日へ持ち越すもの|無香料という条件での様子見の幅
出どころが分かれたら、犬でも猫でも待っていい日数はそこで変わります。4つを同じ幅で様子見にすると、待たなくていいものを待ち、確かめたいものを見逃します。預かる側が使っている幅は、毛の表面がいちばん短く、地肌がいちばん長く、耳と口には幅そのものを置かない、という形です。
| 出どころ | 待っていい幅 | そのあいだにやること | 幅を過ぎたときの見方 |
|---|---|---|---|
| 毛の表面に乗ったにおい | 1〜2日 | ブラシを通して換気する | 薄れないなら出どころが違う |
| 地肌の側 | 1週間 | 拭き取りと寝床の入れ替え | 同じ場所だけ強くなるかを見る |
| 耳の入り口か口 | 幅を置かない | 左右差と食べる量を記録する | その日のうちに次の節へ進む |
| 寝床や布 | 翌日まで | 布を洗って敷き直す | 布を替えても残るなら体の側 |
1行目の幅が短いのには理由があります。毛の表面に乗ったにおいは、毛が入れ替わらなくても、ブラシと空気の流れだけで薄れていくからです。2日たっても同じ強さで残るなら、それは表面に乗っていたものではなく、下から出続けているものです。無香料でそろえておくと、この2日の判定がそのまま使えます。香りを足している状態では、薄れたのが香りなのか、その子のにおいなのかが分かれません。
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毛の表面から順に嗅ぐ
抱いた高さ、毛を分けた地肌、顔の横、最後に寝床。順番を毎回同じにすると、強さの差が分かるようになります。
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気づいた日を1行で残す
「3日目、毛を分けると脂のにおい。耳は左だけ少し強い」。強さの言葉は自分の言い方で足ります。並べたときに動きが見えれば足ります。
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拭き取りと換気を先に動かす
体を洗う回数を増やす前に、寝床の布と部屋の空気を替えます。条件を1つずつ動かすほうが、何が効いたかが分かります。
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食器と水皿を同じ日に洗う
口のまわりのにおいは、器の側に残った脂から戻ってくることがあります。体だけ見て器を見ないと、原因が1つ抜けます。
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幅を過ぎたら記録を持って動く
日付の入った数行があれば、いつから続いているかをそのまま示せます。思い出しながら話すより早く進みます。
耳の入り口と口だけ幅を置かないのは、この2か所のにおいが雑菌の増えやすい条件と結びつきやすく、家で見ていても左右差以外の手がかりが増えないためです。ここは待つ場所ではなく、記録して渡す場所だと決めておきます。行き先については、この記事の最後の節で書きます。
家と預け先を1本にそろえる|犬にも猫にも使える無香料の目安
預け先に持たせるものを選ぶときの目安は、香りの有無よりも、使う場所を選ばずに済むかどうかです。預かる側は、その子の口のまわりや耳のふちに何を使っていいかを、家の人ほど細かく知りません。使える場所が限られているものを渡されると、結局は使わずに戻ってきます。場所を選ばない1本にしておくと、渡すときの説明が1行で済みます。
この条件に当てはまるのがmofuwa スキンケアミストです。中身は高機能性電解酸化水100%で、清涼飲料水の基準をクリアした水でつくられています。舐めても問題のない基準なので、口のまわりでも耳のふちでも、その子が自分で舐めに行く場所にそのまま使えます。香りを足していないため、預けているあいだに地肌のにおいが変わっても、その変化が上書きされません。においを見ている場所へ、においを足さずに届く。預かる側から見ると、この2つが同時に成り立っていることに意味があります。
| 書く項目 | 書き方の例 | 預かる側で変わること |
|---|---|---|
| 使う場所 | 耳のふち、口のまわり、内股 | 迷って使わずに終わらない |
| 回数 | 1日1回、夕方 | 他の子の予定に組み込める |
| 避けたい場所 | 目の中には入れない | 確認の電話が減る |
| 普段のにおいの言葉 | 毛を分けると少し脂っぽい | 変化を同じ言葉で返せる |
| 前回のトリミングの日 | 3週間前 | 毛の状態の見当がつく |
体を洗う日の側も、同じ考え方でそろえられます。mofuwa モイストシャンプーを無香料にしているのは、香りを嫌う人がいるからではありません。ペットは自分のにおいを好み、余分なにおいはそれ自体がストレスになるからです。アミノ酸系の洗浄成分を少なく使いながら、原料の水に電解水を使うことで泡立ちを支えているので、洗い上がりがごわつきにくく、トリートメントの工程を1つ挟まずに済みます。浴室にいる時間が短くなること自体が、預ける前後の負担を減らします。
1本にそろえる目安をもう少し具体的に言うと、家で毎日使っているものを、そのまま預け先へ渡せるかどうかです。預ける日のために別のものを用意すると、その子にとっては環境と持ち物が同時に変わります。毎日の1本がスキンケアミストで通っていれば、預け先で変わるのは場所だけになります。犬でも猫でも、変わるものの数は少ないほうが立て直しが早くなります。
においが戻るまでの日数を数える|無香料でそろえた1週間が残すもの
預かる場所から戻った子のにおいは、多くの場合3日から1週間で家のにおいへ戻ります。戻る途中で強くなる日があっても、日数の中で下がっていくなら、それは環境が変わったことの跡です。戻らずに同じ強さが続くとき、あるいは日ごとに強くなるときは、出どころの4つのうちどれが動いているかをもう一度見ます。無香料でそろえてある家では、この判定に余分な手数が要りません。
耳の入り口から酸っぱいにおいがして左右差がある/口のにおいが強くなり、食べる速さが落ちた/地肌を分けると赤みがあって、においが1週間たっても下がらない/同じ場所だけをなめ続けている。この4つは、家で待つ幅を置かない形です。においに気づいた日、強さがどう動いたか、左右のどちらが先かを書いた数行を持って、動物病院で診察の枠を取ってください。無香料でそろえてあれば、その数行はその子の体から出たにおいの記録として、そのまま材料になります。診てもらったあとも、家では同じ順番でにおいを嗅ぐ形を続けてください。
1週間の記録が残ると、次に預けるときの準備が変わります。渡す紙に「うちの子は毛を分けると少し脂っぽい、耳は無臭」と書けるようになるからです。預かる側は、その1行があるだけで初日から比べられます。においを足さないでおくことの意味は、結局のところ、その子のにおいを人に渡せる形で持っておけることです。
覚えておくのは、嗅ぐ場所の順番だけで足ります。抱いた高さ、毛を分けた地肌、顔の横、寝床。この4か所を同じ順番でたどれば、気づいた日を自分で決められます。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 無香料と書いてあれば、においが残らないという意味ですか。
- 無香料は、香りをつけるための成分を足していないという意味で、においがまったく無いという意味ではありません。水にも、洗浄成分にも、素材そのもののにおいはあります。電解水を使ったものでは、開けた直後に塩素のようなにおいをかすかに感じることがあります。見分けるときは、においの強さではなく残る時間を見てください。素材のにおいは短時間で消えていきます。毛の上に何日も残って強さが変わっていくにおいは、素材の側ではなく、その子の体か寝床の側から来ています。
- 預け先に、家で使っている1本を持たせても迷惑になりませんか。
- 使う場所と回数を書いた紙を添えてあれば、預かる側にとっては助かるほうです。困るのは、何に使うものか分からないものが袋に入っていて、確認の電話が要る場合です。書くのは5行で足ります。使う場所、1日の回数、避けたい場所、普段のにおいの言葉、前回のトリミングの日。舐めても問題のない基準のものなら、口のまわりに使ってよいかどうかを確かめる手間も省けるので、渡す側と預かる側の両方で手数が減ります。
- 猫に無香料を選ぶ意味は、犬と同じですか。
- 読む順番は同じで、先に出てくる場所が変わります。犬は抱いた瞬間のにおいと毛を分けたときのにおいのどちらから来ているかで迷うことが多く、猫は寝床の側が先に出ます。猫はもう1つ理由が重なります。自分のにおいがついたものの周りで落ち着くので、香りを足すと体調の手がかりに加えて、居場所の手がかりまで上書きされます。預け先へ布を持たせるときに、洗って柔軟剤の香りをつけるより、使っていたまま持たせるほうが助かると言われるのはこのためです。
- 香り付きのものを使ってきた子を、途中から無香料へ替える意味はありますか。
- 替えてから3日ほどで、その子自身のにおいが分かるようになります。最初の1日か2日は、これまで隠れていた地肌のにおいが急に出てきたように感じることがありますが、多くは以前からあったものです。強くなったのではなく、見えるようになったという順番です。この時期に慌てて洗う回数を増やすと、条件が2つ同時に動いて判定ができなくなります。まずは1週間、毛を分けたときのにおいだけを同じ場所で嗅いで、強さが下がっていくかどうかを見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
