C05犬種・猫種別ケア
バセンジーの短毛|皮膚の乾燥を毎日のケアで防ぐ
前足の甲を何度も舐めて、その足で顔を上から下へぬぐう。バセンジーと暮らしはじめた人が、最初の一週間でだいたい一度は目にする光景です。猫がやるのとよく似た動きを、犬がやっている。この犬種の手入れの多くは、その子自身が済ませてしまいます。だから乾燥に気づく入口が、他の犬種とは違う場所にあります。飼い主が地肌を触る回数がもともと少ないので、手ざわりが変わったことに、人の側が先に気づけません。先に動くのは、その子の舐める場所と回数のほうです。この記事は、その入口の話です。
前足をなめて顔をぬぐう|バセンジーと暮らした人がまず話す経験
食事のあと、水を飲んだあと、外から帰ったあと。バセンジーは自分の前足を舐め、その足で口のまわりから目の下までをぬぐいます。脇腹や後ろ脚のつけ根も、体を折りたたむようにして自分で舐めます。手入れを人に任せない犬だ、という経験は、この犬種と暮らしている方のあいだで共通しています。
被毛の作りも、それを後押ししています。バセンジーの毛は短く、細く、体に密着して生えています。長い毛が絡む場所がなく、下毛の厚みもほとんどありません。自分の舌が届く範囲だけで、被毛の表面はひととおり片づいてしまいます。体のにおいが立ちにくいと言われるのも、この手入れの多さと毛の短さが重なった結果です。
この犬種が生まれたのは中央アフリカです。森と川のあいだで人と一緒に猟をしていた犬で、暑い土地の短い被毛をそのまま持っています。厚い毛で体を守るのではなく、毛を薄くして熱を逃がす作り。その代わりに、皮膚と外の空気のあいだにあるものが、他の犬種より少なくなっています。
- 毛が短く、体に沿っている:絡まないので、ブラッシングの必要に迫られる場面が少ない
- 下毛の厚みがほとんどない:抜け毛が溜まらず、手を入れる理由ができにくい
- 自分で舐めて手入れをする:汚れが表面に残る時間が短い
- においが立ちにくい:においを理由に洗う回数が増えにくい
- 皮膚と空気のあいだが薄い:部屋の空気の状態が、そのまま地肌の側へ届きます
ここまでは、暮らしやすい条件として語られることの多い話です。実際、毛の手入れに追われる時間は短くて済みます。ただ、同じ条件を裏から見ると、こうなります。汚れも、絡みも、においも、人が手を出すきっかけになりません。きっかけがないということは、地肌に触れる機会がそのぶん減るということです。
毛が短くて絡まない犬では、ブラッシングが1分で終わることもあります。それ自体は困ったことではありません。ただ、1分のあいだに指先が地肌まで届いていたかどうかは、また別の話です。被毛の表面をなでるだけでも、見た目はきれいに整います。バセンジーの乾燥を考えるときは、かけた時間ではなく、地肌に触れた回数のほうを数えてください。
犬の中でも、人の手が体に触れる回数が少ない|バセンジーの乾燥が見つかりにくい理由
他の犬種で、飼い主が地肌に触るのはどういう場面でしょうか。毛が絡んだとき、抜け毛を取り出すとき、においが気になったとき、洗ったあとに乾かすとき。そのほとんどが、被毛の側で起きた出来事をきっかけにしています。手を出す理由を、被毛がつくってくれている、と言い換えてもいいと思います。
| きっかけ | 毛の長い犬・下毛の厚い犬 | バセンジー |
|---|---|---|
| 毛のもつれをほどく | 週に何度も起きる | ほとんど起きない |
| 抜けた下毛を取り出す | 季節ごとに増える | 取り出す層がない |
| においが気になって触る | たびたびある | 立ちにくい |
| 洗ったあとに乾かす | 根元まで手で分ける | 短時間で乾いてしまう |
| 汚れを拭き取る | 毛先に残るので目に入る | 自分で舐めて済ませる |
| 結果として | 地肌に触れる回数が自然に増える | こちらで決めないかぎり増えない |
この表の右の列が、バセンジーの乾燥が見つかりにくい理由です。被毛の側が、人の手を呼ばないのです。皮膚に変化が出ていても、それを触って確かめる機会が日常の中に組み込まれていません。他の犬種なら「もつれをほどいているときに気づいた」で済むところが、そもそも起きません。
湿度の影響を受けにくい犬、というわけでもありません。むしろ、毛が薄く体に沿っているぶん、部屋の空気は地肌のすぐそばまで届いています。暖房を入れた冬の夜も、冷房の風が当たり続ける夏の午後も、その空気は毛の層に止められません。条件は届いているのに、確かめる手だけが届いていない。これが、この犬種で起きていることです。
洗いすぎの側から近づくのも、この犬種では難しくなります。においが立ちにくいので、洗う回数を増やす理由が生まれません。回数が少なければ、洗ったあとに全身を手で触る機会も減ります。洗いすぎに気をつけましょう、という一般的な話が、そのままでは効いてこない犬です。気をつけるべきは、洗う回数ではなく、触る回数のほうにあります。
もうひとつ、この犬種は体を丸めて眠り、床に体をべったりつけている時間が短めだと言われます。座る、伏せる、また立って移動する。同じ面が長く押しつけられにくいので、こすれた跡が一か所に集まりにくい。変化が一か所にまとまらないぶん、目でも見つけにくくなります。
手より先に、舐める場所と回数のほうが動く|バセンジーの乾燥に出る変化
人の手が届いていないなら、何が先に動くのか。その子自身の舌です。自分で手入れをする習性が強い犬なので、地肌の状態が変わると、舐める場所と舐める回数が先に変わります。飼い主が触って気づくより早く、その子のほうが反応しています。
ふだんの手入れの舐め方には、決まった順番があります。前足の甲を舐めて顔をぬぐう、脇腹を数回、後ろ脚のつけ根を数回。一か所にかける時間が短く、次の場所へ移っていくのが、いつもの動きです。ここから外れる形が出たときに、地肌の側で何かが起きています。
| いつもの手入れ | 外れている形 | |
|---|---|---|
| 一か所にかける時間 | 数回で次へ移る | 同じ場所に長く留まる |
| 舐める場所 | 顔・脇腹・脚のつけ根を順に | 特定の一か所に戻ってくる |
| 起こる時間 | 食後や帰宅後など、区切りのあと | 寝る前や夜中など、静かな時間に増える |
| 音 | 静かで短い | 続けて聞こえる |
| やめさせたとき | すぐ別の行動へ移る | 少しするとまた同じ場所へ戻る |
| 前足の使い方 | 顔をぬぐうために使う | 同じ場所をかくために使う |
ここで大事なのは、舐めていること自体を止めようとしないことです。この犬種にとって舐めるのは手入れの一部で、日常の動きです。見るべきなのは行為の有無ではなく、場所が偏ったかどうかと、時間が長くなったかどうかのほう。同じ場所へ戻ってくる、という形が、いちばん分かりやすい変化です。
気づいたら、そこではじめて人の手が出ます。その場所の毛を指の腹で毛の流れと逆になでて、地肌の手ざわりを確かめてください。かさついているか、しっとりしているか。同じ日のうちに、反対側の同じ場所も触って比べます。片側だけがかさついているなら、部屋の空気ではなく、その面に何が触れているかを先に思い出してください。
- 脇腹の下側:横になったときに床と接します。素材が変わった時期と重なっていないか
- 後ろ脚のつけ根:皮膚が薄く、動くたびに伸び縮みします
- 前足の甲:手入れで毎日触れる場所なので、変化が出ても紛れます
- 胸から前脚のあいだ:自分で見えず、飼い主も抱いたときしか触りません
- しっぽの付け根:巻いた形で毛が寄るため、地肌が隠れます
何分舐めていたかを測る必要はありません。その日どこを舐めていたかを、一言だけ書き留めてください。「右の脇腹」「後ろ脚のつけ根」で足ります。3日続けて同じ場所が並んだら、そこがその子のいまの入口です。数字で残そうとすると続きませんが、場所の名前だけなら、寝る前の10秒で書けます。
触る回数を、こちらから決めておく|バセンジーの乾燥に対する毎日の考え方
被毛が人の手を呼ばない犬なら、呼ばれるのを待たずに、こちらで機会を決めてしまえば済みます。ここが、この犬種の毎日のケアの考え方です。やることを増やすのではなく、すでに毎日起きている場面に、地肌へ触れる動作を1つ足すだけにします。
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帰宅後に体を拭く動作を、地肌まで届かせる
散歩から帰って足を拭くとき、ついでに体も拭いている方は多いと思います。その手を、毛の上を滑らせるのではなく、毛の流れと逆に一度だけ動かしてください。短毛のバセンジーなら、それだけで指の腹が地肌に当たります。かかる時間は変わりません。
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1日1か所だけ、決めた場所を触る
全身を毎日確かめようとすると続きません。月曜は脇腹、火曜は後ろ脚のつけ根、というように場所を日替わりで1つだけ決めてしまうほうが、結果として全身に手が届きます。触るのは10秒で足ります。手ざわりを覚えるのが目的です。
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ブラッシングは、短くていいので毎日にする
毛が絡まないので、必要に迫られてやることにはなりません。だからこそ、時間ではなく回数のほうを固定します。やわらかいブラシで、毛の流れに沿って一往復。整えるためではなく、地肌に触れる口実として持つ道具です。力を入れる必要はありません。
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洗う回数は、乾燥を理由に動かさない
地肌がかさついていると感じたとき、洗って落とそうとする方向へは寄せないでください。洗いすぎると、皮脂と一緒に地肌のうるおいまで減ります。いまの間隔で困っていないなら、そのままにしておくほうが安全です。間隔を変えるかどうかは、皮膚の状態を診てもらってから決めてください。
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部屋の湿度は、その子がいる高さで考える
湿度計は棚や壁に置かれていることが多く、測っているのは人の目の高さの空気です。バセンジーが過ごしているのは床の上と、その少し上。暖房や冷房の風が通る線に、その子の寝場所が入っていないかだけ確かめてください。風が毛の上を通り続ける場所は、数字とは別に乾きます。
この犬種で厄介なのは、人が地肌に置いたものを、その子の舌が同じ日のうちに通っていくことです。前足の甲も、脇腹も、後ろ脚のつけ根も、手入れのついでに舐める場所です。塗ったものが昼には残っていない、という話が、この犬種ではとくに身近になります。mofuwa スキンケアミストの中身は電解水だけで、飲みものに使われるのと同じ規格で測られた水です。舌が通る場所に置いても、あとから拭き取る手順を足さずに済みます。使うのは、その日に決めた1か所へ手を伸ばす10秒のあいだです。手のひらに一度出してから、毛の流れと逆に一度なでる。地肌の手ざわりを覚えるのが目的なので、量はそれで足ります。バセンジーの乾燥を見つける入口が舌の側にあるなら、その舌が通る場所にそのまま置けるものを選んでおくほうが、日課は途切れません。
こうして触る回数が増えると、はじめて「前と比べて変わった」が言えるようになります。比べる相手がないうちは、かさついているかどうかも判断できません。1週間分の手ざわりが指に残っていれば、その次の週の変化は分かります。バセンジーの乾燥に対して家でできることの中心は、この比べられる状態をつくっておくことです。
地肌が赤い、じくじくしている、かさぶたがある、においが強くなった、毛が薄くなってきた、同じ場所をなめ続けて止まらない、かゆがって眠れていない、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家庭のケアで様子を見ずに動物病院にご相談ください。皮膚の変化は、乾燥だけで説明がつかないことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。
相談の前には、どこを舐めていたか、いつからか、家で使っているものはあるかの3つをメモしてください。この犬種では、飼い主の手より先にその子の舌が動いています。「3日前から右の脇腹に戻ってくる」と言えると、診てもらう場所がはっきりします。診察の前に洗ってしまうと、皮膚の様子が分からなくなることがあるため、そのまま連れて行ってください。
バセンジーの乾燥は、気づきにくい犬だから起きる、という話ではありませんでした。気づく入口が、人の手ではなく、その子の舌の側にあるというだけです。手入れを自分で済ませてしまう犬と暮らすなら、触る機会はこちらから日課の中に置いておく。舐める場所が偏った日に、その場所を触れる自分でいる。乾燥を防ぐという言葉で考えるなら、動かせるのはそこです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
