C05犬種・猫種別ケア
ノルウェジアンエルクハウンドのケア|アンダーコートの詰まりを減らす3つの習慣
ノルウェジアンエルクハウンドの腰にドライヤーを40分あてて、もう乾いたと決めた翌朝、同じ場所に指を入れたら根元はまだ湿っていました。暮らしていると、この読み違いが何度か起きます。水を弾く被毛なので、濡らすのに時間がかかる。同じ理由で、乾かすのにも時間がかかります。アンダーコートの詰まりは、乾いているときと湿ったときで、まったく別のものになります。乾いていれば、詰まっていても外へ出せる。湿ると、そこで固まって動かなくなる。この記事では、この2つの条件を比較しながら、いまどっちなのかの見分け方と、粒度の違う3つの習慣を書きます。
弾くのに、乾かない|ノルウェジアンエルクハウンドの下毛が持っている二面
洗って、しっかり乾かしたつもりで一日を終える。翌朝、腰のあたりに指を入れると、根元だけがひんやりしています。ドライヤーの時間が足りなかったのだろうと、次からは長くあてる。それでも、また同じ場所が残る。ノルウェジアンエルクハウンドと暮らしていると、乾いたかどうかの判断でつまずきます。
この犬種の被毛は、ノルウェーの山と海の両方で人と歩いてきた作りを持っています。山では雪と風、海辺では水しぶきと潮風。下毛が厚いのは、寒さのためだけではありません。水と風を、体まで届かせないための厚みでもあります。だから密で、しかも皮脂が回っていて、水をはじきます。
水を弾くというのは、内側まで濡れるのに時間がかかるということです。そして同じ性質が、乾くときにも同じだけ働きます。いったん奥まで入った水は、外へ出るのにも同じ抵抗を受ける。表面が乾いても、下毛の層の中はまだ湿ったままという時間が、ずいぶん長く続きます。
体格も、この時間を延ばす側に働きます。胴が詰まってがっしりとした体で、首から肩にかけては毛の層がとくに厚い。面積というより、厚みのある犬種です。厚い層の真ん中は、風も熱も届きにくい。乾かすときに、いちばん最後まで残るのがここです。
- 水をかけても、しばらくは玉になって転がる:濡らすのに時間がかかります
- 表面が乾いても、根元はまだ湿っている:外側から順に乾くので、中が最後になります
- 厚い場所ほど、残る:首から肩、腰、しっぽのつけね。層の厚いところです
- 触っても分かりにくい:上毛が乾いていると、手のひらには乾いたとしか伝わりません
- 翌日になって気づく:一日置いてから指を入れて、はじめて残りに気づきます
そしてここからが、ノルウェジアンエルクハウンドのアンダーコートの中心にあることです。湿っているあいだの詰まりと、乾いているあいだの詰まりは、同じ場所にあっても中身が違います。乾いていれば、詰まった下毛はまだ動きます。層のあいだに空気があるので、上へ運び出せる。湿っていると、隣の毛と貼りついて、その場で固まります。
水を弾く被毛は、扱いが楽そうに見えます。実際、泥や砂は乾けば落ちやすい。ただし、弾いているあいだに毛の内側で起きていることは、外からは見えません。皮脂が回っているぶん、下毛の1本1本は隣とくっつきやすい状態にあります。乾いていればそれでも離れますが、水が入ると離れなくなる。汚れの話ではなく、動くか動かないかの話だと考えてください。
乾いているときと湿ったとき|アンダーコートの詰まりが別物になる2つの条件
同じ腰の、同じ広さのアンダーコートの詰まりでも、その日が乾いているか湿っているかで、できることが入れ替わります。乾いた日に30分かけて出せるものが、湿った日には1時間かけても出ません。力の問題でも、道具の問題でもありません。下毛が空気を含んでいるかどうかで、隣の毛から離れられるかどうかが決まるからです。
| 乾いているとき | 湿ったとき | |
|---|---|---|
| 下毛の状態 | 空気を含んで、ふくらんでいる | 水を含んで、寝たまま重い |
| 抜けた下毛の行き先 | 上毛のあいだを通って外へ出る | 隣の毛と貼りつき、その場に留まる |
| ブラシの手ごたえ | 根元から毛先まで、途切れない | 線の途中で止まって、押し返される |
| 同じ力で引いたとき | 下毛だけが動く | 下毛と皮膚が、一緒に動く |
| そのまま置くと | 少しずつ表面へ上がってくる | 締まって、束のまま固くなる |
| その日にやること | 詰まりを外へ出す | 乾かしきる。とかさない |
この表で見ておきたいのは、いちばん下の行です。湿った日にやるべきことは、詰まりを出すことではなく、乾かしきることのほうです。その日は詰まりに手をつけない、と決めてしまって構いません。乾いてからのほうが、短い時間で、しかも痛くなく出せます。
湿った日に無理に出そうとすると、どうなるか。貼りついた下毛は、束のまま持ち上がります。手には「取れそうだ」という感触が返ってきますが、実際に動いているのは束と、その下の皮膚です。出ているのではなく、皮膚ごと引っぱっています。これを何度か繰り返すと、その場所を触られること自体を嫌がるようになります。
- 洗った日と、その翌日:この犬種では、翌日もまだ湿った側だと考えてください
- 雪や、みぞれの中を歩いた日:表面で溶けた水が、あとから内側へ入ります
- 湿度の高い日が続いた週:一度も濡らしていなくても、層の中は抜けきりません
- 換毛期で下毛が浮いている時期:層が厚くなるぶん、乾く時間も延びます
- 厚い場所だけ湿っている:背中は乾いていても、首と腰は別に見てください
どっちの日か|ノルウェジアンエルクハウンドのアンダーコートを分けて見分ける
見分け方に、道具は要りません。毛を分けて線をつくり、手を離す。それだけです。乾いた下毛は空気を含んで立っているので、分けた線がそのまま開いて残ります。湿っていると、下毛が寝たまま戻ってくるので、線はすぐ閉じます。表面を手のひらでなでても分からない差が、線の開き方には出ます。
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腰の毛を、上下に分けて線を1本つくる
指を根元まで入れて、毛を左右へ寄せます。地肌が細く見える線ができたら、そこで手を離してください。見るのは、離したあとです。線が開いたまま5秒残るなら乾いている側、すぐに閉じて元どおりになるなら湿っている側です。
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その場所から、下毛をひとつまみだけ外へ出す
指の腹で軽くはさんで、上へ運びます。抵抗なく出てくるひとつまみで足ります。出ないなら、その時点で湿った側だと決めてしまって構いません。無理に引かないでください。
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出したひとつまみを、手のひらで転がす
乾いていれば、ふわりとほどけて広がります。湿っていれば、指のあいだで丸まって、小さく締まります。出した毛のほうを見るのが、この犬種でいちばん確かです。体に触って迷うより、外に出したものを見るほうが早く決まります。
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ブラシを一度だけ入れて、抜けるときの手ごたえを見る
根元から毛先まで、途切れずに抜けるなら乾いています。途中で止まって押し返されるなら、その先はまだ湿っています。2度目は入れないでください。確かめるための1回と、作業としてのブラッシングは、分けておきます。
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首・腰・しっぽのつけねを、別々に見る
背中が乾いていても、層の厚い場所はまだ残っていることがあります。1か所で決めて全身に当てはめない。どっちの日か、ではなく、どこがどっちか、で見るほうがこの体格には合います。厚いところだけ翌日に回す、という選び方ができます。
毎回ブラシを持つたびに調べる必要はありません。その日にいちど、腰で線を1本つくるだけです。数秒で終わります。結果は「開いた」「閉じた」のどちらかで、迷う余地がありません。書き残すなら一行で足ります。「金曜、腰は開いた、首は閉じた」。次の週、同じ天気の日にどこから見ればいいかが、これだけで決まります。
この見分け方が効くのは、比較の軸がアンダーコートの量ではなく状態だからです。詰まりがどれだけあるかは、その日にできることを変えません。ノルウェジアンエルクハウンドでは、量の多い少ないは翌日の話にすぎません。変えるのは、乾いているかどうかのほうです。量を数えようとすると毎回結論が変わりますが、開くか閉じるかなら、誰が見ても同じ答えになります。
判断・配分・予定|アンダーコートの詰まりを減らす3つの習慣
ここまでの見方を、続く形にします。3つ挙げますが、大きさはわざとそろえていません。1つ目はその場の数秒の判断、2つ目は1週間のなかでの回の配分、3つ目は先の予定の組み方です。かかる手間も、効いてくるまでの時間も違います。
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習慣1|1日にいちど、腰で線を1本つくって「開いた」か「閉じた」かを決める
数秒の判断です。ごはんを置くとき、寝る前に声をかけるとき、そのついでで足ります。決めることは1つだけ、開いたか閉じたか。この判断があると、今日ブラシを持つかどうかが自動的に決まります。迷う時間がなくなるぶん、続きます。ノルウェジアンエルクハウンドの毎日のケアは、この数秒から始まります。
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習慣2|詰まりを外へ出すのは、開いた日にだけ寄せる
1週間ぶんの回数を、均等に割らないという配分です。週3回と決めて、湿った日にも義理で入れるより、開いた日に2回まとめて、閉じた日は何もしないほうが進みます。閉じた日にやることは、乾かしきることだけです。合計の回数は減っても、外へ出た量は増えます。
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習慣3|濡れる用事のほうを、翌日に乾かしきれる日へ寄せる
先の予定の組み方です。洗う日、水辺へ行く日、雪の中を長く歩く日。これらを、翌日にゆっくり乾かせる日の前に置きます。翌朝から出かける日の夜に洗うと、層の中が湿ったまま一日が過ぎます。予定表の側を先に動かしておくと、閉じた日そのものが減ります。換毛期は層が厚くなるので、この寄せ方がとくに効いてきます。
3つを並べると、粒度が違うことが分かると思います。1つ目は毎日、しかも数秒。2つ目は週に一度考え直すだけ。3つ目は月に一度、予定を見るときに思い出せば足ります。毎日やることを増やそうとすると続きません。増やすのは判断だけにして、作業の側はむしろ減らします。
アンダーコートを出すときのブラッシングは、根元まで指を入れて線をつくり、その線に沿って外へ運ぶ形にします。取るというより運ぶ、という手つきです。1か所を往復せず、線を数センチずつずらして面を回ってください。道具の目が詰まったら、その場で外します。詰まったまま続けると、上毛の表面を滑るだけになります。乾いた日の厚い層は静電気が起きやすく、上毛が散らばると、せっかくつくった線が保てません。ブラシを入れる前に mofuwa のグルーミングスプレーを毛の流れに沿ってなでつけておくと、静電気の起きにくい状態で梳かせます。
閉じた日にブラシを入れると、貼りついたアンダーコートが束のまま持ち上がります。そのまま引くと、まだ抜けていない毛と、その下の皮膚まで一緒に動きます。被毛が厚いぶん、どこまで引いているかが手に伝わりにくい犬種です。ハサミも入れないでください。毛のつもりで先を入れると、持ち上がった皮膚に届きます。動かないものは、乾いた日まで待ってください。待つのがいちばん早い方法になります。
洗う回数を増やす、という方法は3つに入れていません。湿った状態を増やすことになるからです。順番としては、乾いた日に外へ出して、そのあとで洗う。洗う回数そのものを増やすと、地肌のうるおいと、下毛に回っている皮脂まで一緒に落ちます。皮脂は、この犬種にとっては水を弾く側の働きも担っています。
毎日きれいにしておきたい、という気持ちのほうが、厚い被毛の犬では先に立ちます。犬は体から脂を出すので、昨日そろえても、今日また表面が寝ます。mofuwa のグルーミングスプレーは、その毎日の側を受け持つ道具です。余分な皮脂と油が乳化して落ちるので、なでたあとの毛先が引っかからなくなり、外へ運ぶという手つきが、そのまま奥まで届きます。布に含ませて、その日に手を入れる場所だけを、毛の流れに沿ってなでてから入れてください。舐めても問題のない基準でつくられているので、量を気にしなくてよいのも、厚みのある体には助かります。全身に一度に吹きかける必要はありません。閉じた日は乾かしきることだけにして、開いた日に回してください。
乾いた日に入れても動かないアンダーコート|条件では説明がつかないとき
ここまでは、乾きと湿りで説明のつく詰まりの話でした。線が開いている日に手を入れても、そこだけ動かない。そういう場所が出てきたときは、条件の話から離れて見てください。乾いているのにアンダーコートが出ないのであれば、理由は水以外のところにあります。
- 開いた日でも、ノルウェジアンエルクハウンドの同じ一か所だけが束のまま:条件では説明がつきません
- 束の縁がはっきりしていて、周りとの境目がある:層の厚みは、境目がぼやけます
- ほどいたあとの地肌が赤い、じくじくしている:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- いつもと違うにおいがする:乾かしきれていない日が重なっていないか思い返してください
- その場所を、なめる・かく・床にこすりつける:詰まりより先に、皮膚のほうを見てください
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、いつもと違うにおいがする、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が丸く広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、換毛期だからと様子を見ずに、動物病院にご相談ください。被毛の厚い犬は、地肌の変化が外から見えにくく、気づいたときには進んでいることがあります。首から肩、腰、しっぽのつけねは外から見えにくい場所なので、開いた日を待たずに見てもらってください。
相談やトリミングの前には、その場所、いつから動かないか、最後に洗ったのはいつか、開いた日に入れたかどうかをメモしてください。この4つがあると、乾き湿りで説明のつく詰まりなのかどうかが、その場で切り分けられます。ほどけなかった束は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。ほどこうとした跡があると、もとの状態が分からなくなります。
ノルウェジアンエルクハウンドのアンダーコートは、薄くなることはありません。山と海の両方で体を守ってきた厚みだからです。詰まりをなくそうとするのではなく、外へ出せる日を選ぶ。開いた日に出して、閉じた日は乾かしきる。この2つを入れ替えないだけで、同じ手間が、ずっと届くところまで進むようになります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- ノルウェジアンエルクハウンドは水を弾くのに、どうして乾きにくいのですか。
- 弾く力は、水を入れないためだけでなく、入った水を出しにくくもします。下毛が密で皮脂が回っているぶん、内側まで濡れるのに時間がかかり、同じ理由で乾くのにも時間がかかります。表面が乾いていても、層の中がまだ湿っていることがあるので、翌朝にもう一度、根元まで指を入れて確かめてください。
- 湿っている日に、詰まりをとかしてはいけませんか。
- その日はやめておくほうが結果的に早いです。湿った下毛は隣の毛と貼りついていて、束のまま持ち上がります。手には取れそうな感触が返ってきますが、実際には皮膚ごと引いていることが多く、その場所を触られること自体を嫌がるようになります。乾いた日に入れれば、短い時間で、痛みも出さずに出せます。
- どっちの日かは、どうやって決めればいいですか。
- 腰の毛を上下に分けて線を1本つくり、手を離してください。線が開いたまま残れば乾いている側、すぐ閉じれば湿っている側です。もうひとつ確かめるなら、下毛をひとつまみだけ出して手のひらで転がします。ふわりと広がれば乾いていて、丸まって締まれば湿っています。首と腰は厚みが違うので、別々に見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
