C12Q&A・豆知識

おしりまわりはどこまで洗っていい?

公開日 2022年4月29日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
おしりまわりの手入れは、どこまでやるかより、どこで止めるかを先に決めておくほうが続きます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

犬のおしりまわりを洗っていて、毛にこびりついたものが取れず、指をもう少し奥へ入れようとして止めた。その手が止まったところが、たぶん正解です。洗うのは、外から見える範囲までです。中には入れません。見える範囲より先は粘膜に近い場所で、皮膚とは作りが違います。水も、洗浄成分も、こすることも、そこでは条件が変わります。そして、この記事でいちばん書きたいのはその次です。どれだけ洗っても汚れが取れないときは、洗い方の問題ではないことがあります。ここでは、見える範囲をどう決めるか、洗う手順と乾かすまで、拭き取りで足りる日の見分け方、そして取れないときに何を疑うかを、8つの問答に分けて書きます。

犬のおしりまわりは、どこまで洗っていいですか

答えから書きます。洗うのは、外から見える範囲までです。毛が生えているところまで、と言い換えてもかまいません。指を入れない、綿棒を入れない、シャワーのノズルを近づけて中へ水を当てない。この3つが、家で洗うときの線です。犬でも猫でも同じです。

なぜここで止めるのかというと、見える範囲より先は粘膜に近い場所だからです。皮膚とは作りが違い、外からのものに対する条件も違います。家庭で洗うための道具は、皮膚の側を前提に作られています。同じものを、条件の違う場所に持ち込まない。それだけの話です。

この線には、もう1つ良いところがあります。迷わなくて済むことです。「どこまでやれば足りるのか」は、やっている最中に判断すると、たいてい深いほうへ寄ります。取れないものが見えていると、もう少し、あと少し、となります。先に線を決めておけば、取れないまま手を止められます。そして、取れないという事実のほうを、次の判断の材料にできます。

Note「どこまで洗うか」は、技術の話ではありません

上手な人ならもっと奥までやってよい、という話ではありません。線は、うまさではなく場所で引かれています。皮膚と粘膜では、水やこすることに対する条件が違うからです。だから、慣れてきても線は動きません。家で洗う範囲は、初日も3年目も同じところで止まります。

「見える範囲」とは、犬のおしりのどこを指しますか

見える範囲とは、明るいところで、毛をかき分けずに、立った姿勢のまま見えるところです。かき分けて探した場所は、この定義には入りません。持ち上げたり、広げたり、引っぱったりしたところも入りません。姿勢を変えずに見えるかどうか、が線です。

実際の場所で書くと、しっぽの付け根から下、後ろ足のあいだ、座ったときに床に触れる部分までです。長毛の子は、この範囲が毛で覆われていて見えにくくなります。見えないから洗わない、ではなく、見えるようにしてから洗います。見えるようにする方法は洗うことではなく、毛を短くしておくことです。長さの管理はトリミングの領域なので、そこはお店で相談してください。

犬のおしりまわりで、洗う側と洗わない側
場所どちらか理由
しっぽの付け根の毛洗う毛が生えていて、外から見えます
後ろ足のあいだの毛洗う座ったときに床と触れる側です
座って床に触れる部分洗う外から乗ったものが集まります
毛の生えていない、粘膜に近い側洗わない皮膚とは条件が違います
奥のほう。かき分けて見つけた場所洗わない見える範囲の定義から外れます
分泌にかかわる部分触らない動物病院やトリマーに任せる領域です

この表の線は、猫でも同じです。ただ、猫は自分で毛づくろいをする範囲が広いぶん、人が洗う機会そのものが少なくなります。そのぶん、洗う必要が出てきたときは、ふだんと何かが違っている可能性が上がります。犬より先に、体の側を見てください。

線を家族と共有しておくことも大事です。洗う人が2人いる家では、線が2本になります。片方が奥まで洗い、片方が手前で止めていると、その子にとっては毎回条件が変わります。上の表を1枚だけ書いて、洗面所に貼っておくくらいでちょうどいいと思います。

なぜ、犬のおしりの中まで洗ってはいけないのですか

理由は物の条件です。皮膚の表面には角質層という層があり、外のものが直接届きにくい状態をつくっているとされています。粘膜の側には、その層がありません。同じ水、同じ洗うもの、同じこすり方でも、届き方が変わります。「やさしいから大丈夫」ではなく、そもそも想定している場所が違う、ということです。

水そのものにも条件があります。皮膚の表面は弱酸性に保たれているとされ、洗うものの多くはその範囲を大きく外さないように作られています。ただ、その設計はどれも皮膚を前提にしたものです。粘膜に近い場所で同じ範囲がちょうどよいかどうかは、別の話になります。ここは家で確かめようがないので、線を引いて近づかない、という扱いにします。

こすることも同じです。皮膚の上なら、指の腹でやさしく動かすぶんには問題になりません。粘膜に近い場所では、同じ強さでも意味が変わります。綿棒のように細くて硬いものは、力の集まる面積が小さいぶん、さらに条件が変わります。犬のおしりまわりに綿棒を使わないのは、汚れが取れないからではなく、力の入り方が読めないからです。

分泌にかかわる部分についても、ここで線を引いておきます。においや分泌が気になるときに、家で何かをしようとしないでください。それは動物病院やトリミングサロンで扱う領域です。家で慣れれば自分でやれますという書き方が広まっている場所ですが、この記事ではそこには踏み込みません。気になる状態が続くなら、動物病院にご相談ください。

犬のおしりを毎日洗っても大丈夫ですか

毎日洗ってよいかという問いには、条件で答えます。洗ったあとに毎回きちんと乾かしきれるなら、毎日でも成立します。乾かしきれないなら、毎日は向きません。ここでいう洗うは、体全体のシャンプーではなく、おしりまわりだけを部分的に洗う場合の話です。

理由は濡れている時間です。洗う回数そのものより、濡れた状態が続く時間のほうが条件になります。おしりまわりは、体の中でも乾きにくい場所です。毛が集まっていて、後ろ足のあいだで空気が通りにくく、座ればそこが床に接します。洗ったあとに半乾きのまま座らせると、洗う前より条件が悪くなることがあります。

洗う日と、洗わない日の分け方
その日の状態どうするかそのあと
便が毛についたその部分だけ洗う乾かしきるまでを1セットにします
少しだけ汚れた拭き取りで済ませる乾いた面でもう一度なぞります
見た目は汚れていない何もしない日にする触って確かめるだけで足ります
下痢が続いている洗う回数を増やす前に相談回数では追いつきません
乾かす時間が取れないその日は洗わない拭き取りに切り替えます
夜に洗った完全に乾いてから寝床へ半乾きのまま座らせません

乾かすときの音も条件のひとつです。おしりまわりは、ドライヤーの音と風がいちばん近くで当たる場所です。顔から遠いので平気だと思われがちですが、風の当たる面積が広く、逃げ場がありません。風量を下げて、体から離して、当てる時間を短く区切ってください。嫌がる子ほど、乾かす側で止まっています。洗う練習より、乾かす練習のほうが先です。

頻度を決める基準は、暦ではなく排泄の状態です。便がやわらかい日が続けば、洗う機会は自然に増えます。かたさが戻れば減ります。週に何回と決めておいて、その回数を守ることに意味はありません。回数が急に増えたときは、それ自体が記録すべき変化です。

汚れが取れないときの考え方を知りたいです

ここが、この記事の中心です。どれだけ洗っても汚れが取れないとき、それは洗い方の問題ではないことがあります。もっと強くこする、もっと長く洗う、もっと奥まで洗う。この方向に進むと、線を越えます。取れないと分かった時点で手を止めて、別の側を見てください。

疑う先は4つあります。順番に見ていきます。

  1. 便のかたさが変わっていないか

    毛につく量は、便の状態でほとんど決まります。やわらかい日が続けば、どんな洗い方をしても毎日つきます。洗う側を工夫する前に、何日前から続いているかを数えてください。数日以上続いているなら、そこが本体です。

  2. 毛の長さが合っているか

    おしりまわりの毛が長いと、つく面積が増え、乾く時間も伸びます。洗って取るより、短くして付きにくくするほうが早いことがあります。ただし、その場所のカットは家でやらないでください。トリミングサロンで、その部分だけの相談ができます。

  3. 自分で届いているか

    シニアの子、太りぎみの子、腰や関節に負担がある子は、自分で毛づくろいできる範囲が狭くなります。今まで自分で処理していたものが残るようになった、という形で出ます。これは汚れの問題ではなく、体の動きの変化です。

  4. その場所を気にしていないか

    床にこすりつける、後ろを振り返る、なめ続ける、座り方が変わった。こうした様子があるときは、汚れよりそちらが先です。洗って様子を見る前に、動物病院にご相談ください。

この4つのうち3つは、洗う道具をどれだけ変えても動きません。洗う側で解決しようとしている限り、毎日同じことをくり返すことになります。取れないという結果は、失敗ではなく情報です。何回洗っても同じなら、洗う以外のところに条件がある、と読んでください。

Caution次のときは、洗う回数を増やす前に動物病院へ

便のやわらかい状態が数日以上続く、血が混じる、おしりを床にこすりつける動作をくり返す、同じ場所をなめ続けている、においが急に強くなった、座り方が変わった、触られるのを急に嫌がるようになった。こうした変化があるときは、家で洗う回数や洗い方を変える前に動物病院にご相談ください。いつから、どのくらいの頻度で起きているかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

犬のおしりまわりを洗う手順と、音を怖がる子への配慮

線を決めたうえで、実際の手順です。部分的に洗うときは、体全体を洗うときと順番が違います。いちばん違うのは、水を出す前にほとんどの準備が終わっている、という点です。

  1. 先に泡を作っておく

    洗うものを手のひらか容器で泡にしてから始めます。体の上で泡立てようとすると、そのぶんこする回数が増えます。泡ができていれば、乗せて、少し置いて、流すだけで済みます。

  2. シャワーヘッドを体につけて出す

    空中から当てると、落ちる音と当たる音が両方出ます。ヘッドを毛に触れさせた状態で水を出すと、音がかなり下がります。おしりまわりは顔から見えない側なので、音だけが先に届きます。音を下げるのは、そのための工夫です。

  3. ぬるめの湯で、こすらずに流す

    熱いほうがよく落ちる気がしますが、皮膚の側の条件が変わります。人が少しぬるいと感じるくらいで足ります。指の腹で毛の流れに沿って動かし、こすらずに泡を移動させます。

  4. 見える範囲だけで手を止める

    ここが線です。取れないものが残っていても、見える範囲より奥へは進みません。残ったものは、次の判断の材料にします。

  5. 乾かしきるまでを1セットにする

    水気を押さえてから、風量を下げたドライヤーを離して当てます。後ろ足のあいだは最後まで湿りが残るので、ここを最後にもう一度確かめてください。乾いたと思ったところに手を入れて、根元が冷たくないかを見ます。

音を怖がる子の場合、順番を入れ替えるだけで変わることがあります。水を出す前に、その日はもうシャワーヘッドを体に当てた状態にしておく。音が始まるときに、すでに接触が終わっているので、驚く要素が1つ減ります。ドライヤーも同じで、風を出す前に本体を見せて、それから離した位置で回します。

洗う場所を洗面台にするか、浴室にするかも音に効きます。浴室はよく響きます。小型の子なら、洗面台のほうが音が短く済むことがあります。どちらでも、その子が落ち着いたほうを選んでください。

犬のおしりまわりを、拭き取りだけで済ませる日はどこまでやれますか

毎日は洗えません。だから、洗わずに過ごす日をどう埋めるかが、実際の運用になります。拭き取りでやれるのは、乗ったばかりのものを、乗った日のうちに減らすことです。時間がたって毛にからんだものは、拭き取りでは動きません。そこは洗う日に回します。

手順は単純です。布か、拭き取り用のものを湿らせて、毛の流れに沿って一方向になぞる。往復させないでください。往復すると、取ったものを戻すことになります。方向は、体の前側から後ろ側へ。同じ面を2回使わず、面を折り返しながら進めます。

使うものについては、この場所だけ条件が1つ増えます。おしりまわりは、その子が自分で口を持っていける場所です。座って床に触れる側も、しっぽの付け根も、体をひねれば舌が届きます。つまりここに置いたものは、拭いた数分後にその子の口へ回ります。

mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。舐めても問題のない基準でつくられているので、口が回ってくる前提の場所に、そのまま使えます。布に含ませてから、毛の流れに沿って一方向に。犬でも猫でも、この場所は自分で確かめにいく場所なので、拭いたあとに舐めても止めなくて済むことが、そのまま続けやすさになります。線は変わりません。外から見える範囲までです。

洗う日に使うものについても触れておきます。おしりまわりを洗うときにいちばん結果を変えるのは、どれで洗うかより、乾かしきったかどうかです。洗浄成分を選び直しても、半乾きのまま座らせれば条件は戻ります。ここは道具では埋まらないので、時間のほうを確保してください。

拭き取りで足りる日と、洗う日の見分け方
状態拭き取り洗う
乗ったばかりで、まだ乾いていない足ります不要です
毛の表面についているだけ足ります不要です
毛の根元までからんでいる動きません洗います
乾いて固まっている無理に取らないぬるめの湯でふやかします
範囲が広い時間がかかりすぎます洗うほうが早いです
乾かす時間が取れない日拭き取りに切り替え翌日に回します

どこまで洗うかの線を1枚にする|家で決めておく形

最後に、ここまでを畳みます。犬のおしりまわりをどこまで洗うかという問いの答えは、外から見える範囲まで。中には入れない。これは技術の高さで動く線ではなく、皮膚と粘膜という場所の条件で引かれた線です。だから、慣れても変わりません。

この記事で書きたかったのは、線を引くことが手抜きではない、ということです。手前で止めるから、取れないという事実がそのまま残ります。洗い続けて毎回どうにか取ってしまうと、その事実は消えてしまい、便のかたさが変わったことにも、自分で届かなくなっていることにも気づけません。止めた場所が、次に見るべきものを教えてくれます。

犬のおしりまわりは、毎日のケアの中では後回しになりやすい場所です。見えにくく、嫌がられやすく、乾きにくい。気になる状態が続くときは、洗い方を変える前に動物病院にご相談ください。そのうえで、家では、やることを増やすより、やらないことを先に決めておくほうが続きます。外から見える範囲まで。この線を1年守ると、取れなかった日が何日あったかを数えられるようになります。その日数は、洗い方の記録ではなく、便のかたさと、その子が自分でどこまで届いているかの記録です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。