C05犬種・猫種別ケア

プチバセットグリフォンバンデーンのワイヤーコート|毛のもつれを毎日のケアで防ぐ

公開日 2022年5月17日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの下、短い草の上に落ち着いて立っている、粗い毛の小型犬
もつれのできた高さをそろえて見ると、その子が毎日どこを通っているかが分かります。

床から測ると、17センチ、19センチ、そしてもう一度17センチ。前肢の後ろ、胸の下、脇腹の縁にできていた3つのもつれは、高さがほとんど同じでした。プチバセットグリフォンバンデーンの体をひっくり返すように見ていて、これに気づいた日があります。背中にも腰にも、指はすっと通ります。もつれは、体のどこにでもできているのではなく、床から一定の高さの帯にだけ並んでいました。この帯には意味があります。その子が昨日どこを通ったか、どんな高さのものに触れたかが、そのまま毛の形で残っているからです。この記事は、もつれを取り除く話の前に、もつれを読む話から始めます。

床から17センチの帯|プチバセットグリフォンバンデーンのもつれは高さがそろう

きっかけは、ただの思いつきでした。もつれの場所をメモしていて、部位の名前で書くのをやめ、床からの高さで書いてみたのです。前肢の後ろ、17センチ。胸の下、19センチ。脇腹の縁、17センチ。内ももの上のほう、20センチ。体の別々の場所にできていたはずのもつれが、数字にすると同じ帯の中に並びました。

背中には何もありません。腰も、首の上も、指を立てて根元まで下ろすと、途中で止まらずに地肌まで届きます。ブラッシングの手を抜いている場所ではないのに、その帯だけが違う。プチバセットグリフォンバンデーンのもつれは、体の場所ではなく、床からの高さで決まっていました。これは偶然ではありません。理由はこの犬種の作りの側にあります。

もう少し細かく見ると、帯の中でも性質が分かれます。前肢の後ろのもつれは小さく硬く、指でつまむとほとんど動きません。胸の下のものは平たく広がっていて、面のようになっています。脇腹の縁のものは、毛先だけが寄って束になり、根元は緩いままでした。同じ高さにできていても、形が違います。その形の違いも、あとで意味を持ちます。

こういう見方を一度してしまうと、もつれの見え方が変わります。手入れが足りなかった場所ではなく、その子が体をこすった高さの記録として読めるようになるからです。プチバセットグリフォンバンデーンと暮らしていると、散歩から帰ってきた足を拭くことはあっても、体のどの高さが何に触れたかまでは見ていません。もつれのほうが、それを覚えています。

Note部位の名前で書くと、この帯は見えません

「胸のもつれ」「脇のもつれ」と書いているあいだは、それぞれが別々の出来事に見えます。床からの高さで書き直すと、同じ一つの出来事だったことが分かります。メジャーを使う必要はありません。手のひらを床に置いて、指を何本ぶん積み上げたところか、で足ります。プチバセットグリフォンバンデーンのもつれを読むには、この一手間だけです。

茨の中を進むための毛|プチバセットグリフォンバンデーンのもつれにある背景

この犬種の名前は、そのまま体の説明になっています。プチは小さい、バセは背が低い、グリフォンは剛毛、バンデーンはフランスのヴァンデ地方の。背が低くて硬い毛を持つ、ヴァンデのちいさな犬。4つの言葉のうち2つが、もつれの背景そのものを指しています。

ヴァンデは、大西洋に面した土地です。低い木と、茨と、丈のある下草が入り組んだ場所で、この犬種はウサギを追う仕事をしていました。人が入れない茂みの中へ入り、藪をかき分けて進む。その仕事のために選ばれたのが、硬く粗い被毛と、地面に近い体高です。柔らかい毛では棘を通さず、脚が長ければ茂みの下をくぐれません。

被毛は、外側の硬い毛と、その下の密な毛の二層になっています。外側の毛は、指で二つ折りにしても折り目が残るほど張りがあります。眉の上と口のまわりには、さらに長い毛が伸びます。これは飾りではなく、顔を茂みに突っ込むときに目と口を守るための作りです。プチバセットグリフォンバンデーンの被毛は、全体が「通り抜けるため」に組み立てられています。

ここで大事なのは、この作りが引っかからないためのものではない、ということです。棘や枝に引っかかっても、皮膚まで届かないようにするための硬さです。引っかかること自体は、前提として起きます。毛が受け止めて、体は進む。仕事としては正解ですが、家で暮らしている子の被毛では、その受け止めた跡がもつれとして残ります。

だから、プチバセットグリフォンバンデーンのもつれを「手入れが足りないからできるもの」として扱うと、話が合わなくなります。ブラッシングの回数を倍にしても、通る場所が同じなら同じ帯にできます。減らせるのは、引っかかる回数ではなく、引っかかったものが毛の中に残っている時間のほうです。ここが、この犬種のもつれを考えるときの土台になります。

名前に入っている4つの言葉と、もつれとの関係
言葉意味もつれへの効き方
プチ小さい体が小さいぶん、触れる面が低い位置に集まる
バセ背が低い引っかかるものの高さが地面に近くなる
グリフォン剛毛引っかかっても滑らず、その場でねじれる
バンデーンヴァンデ地方の茨と下草の中を進む仕事のために選ばれた作り

換毛期には、この二層の構造がもつれの中身を変えます。下の密な毛が抜けても、外側の硬い毛のあいだを通り抜けられず、そこに留まります。留まった毛が、もともとあった小さなもつれの芯を太らせます。春と秋に「同じ場所のもつれが硬くなった」と感じるのは、多くの場合これです。新しくできたのではなく、前からあったものが中身を足しています。

引っかかったまま進んだ跡|プチバセットグリフォンバンデーンのもつれが同じ高さに並ぶ理由

硬い毛が引っかかったとき、何が起きるのかを順を追って書きます。柔らかい毛なら、引っかかった一本は滑って抜けるか、途中で曲がって外れます。硬い毛は曲がりません。先端が枝や棘に留まったまま、体だけが前に進みます。留まった毛は、根元を軸にして回されます。

回された毛は、隣の毛を巻き込みます。一本が二本を、二本が四本を。体が前に進んだ距離のぶんだけ、毛は根元でねじれます。だから、プチバセットグリフォンバンデーンのもつれをよく見ると、ねじれに向きがあります。前から後ろへ向かって巻いているなら、その子は前へ進みながら引っかかっていた、ということです。

そして、この一連のことが起きるのは、引っかかるものが届く高さだけです。体高が35センチ前後、胴が長く、脚が短い。この体型では、体の下半分が常に下草の高さにあります。背中の上を通る枝はほとんどありません。首の上も同じです。もつれの帯が床から15〜25センチにできるのは、そこが「毎日何かに触れている高さ」だからです。

  1. 帯の中の形を、3つに分けて読む

    硬くて小さい粒は、一点で強く引っかかった跡です。棘や、フェンスの金網の交点。平たく広がった面は、何かの表面をこすりながら通り抜けた跡です。生垣の下や、車の下。毛先だけが寄った束は、外で引っかかったものではないことが多くなります。この3つ目は次のセクションで扱います。

  2. ねじれの向きから、進んだ方向を読む

    もつれをつまんで、巻いている向きを見ます。前から後ろへ巻いているなら、まっすぐ進みながら引っかかりました。上から下へ巻いているなら、体を沈めて何かの下をくぐっています。プチバセットグリフォンバンデーンは低いところをくぐるのが得意なので、この向きは意外と多く出ます。

  3. 帯の高さから、通っている場所を読む

    床から10センチまでに集まるなら、草丈の短い場所を歩いています。15〜25センチなら、丈のある下草の中を通り抜けています。25センチを超えて肩まで出るなら、茂みに体ごと入っているということです。眉や口のまわりにできているなら、顔から突っ込んでいます。

  4. 左右差から、歩く側を読む

    片側だけに数が多いことがあります。散歩道のどちら側を歩いているか、どちら側に生垣があるかで決まります。これは変えられる条件です。同じ道でも、反対側を歩く日を混ぜるだけで、片側に集まっていた帯がならされます。

こうして読むと、もつれの位置が毎日の行動の地図になります。プチバセットグリフォンバンデーンのもつれは、その子が昨日どの高さを通ったかの記録です。記録として読めるようになると、次にやることが変わります。全身を同じようにブラッシングするのではなく、記録の残っている帯から手を入れる、という順番が出てきます。

念のために書いておくと、帯の外にもつれができないわけではありません。首輪の下、耳のうしろ、しっぽのつけね。ここは外で引っかかったものではなく、体の動きでこすれてできる場所です。帯の中と帯の外では、できる理由が違います。理由が違うので、手の入れ方も分けたほうが早く終わります。

高さで3つの帯に区切る|プチバセットグリフォンバンデーンのもつれをほどく順番の考え方

毎日のケアの組み方に入ります。プチバセットグリフォンバンデーンは胴が長く、被毛の量もあるので、全身を毎日ブラッシングし切るのは現実的ではありません。体を床からの高さで3つの帯に切って、日によって回す帯を変えます。部位で分けるのではなく、高さで分けるところがこの犬種での考え方です。

床からの高さで、手の入れ方が変わります
帯含まれる場所何が起きているか手の入れ方
床から0〜12センチ足先、前肢の下、後肢の下地面のものが直接つく帰宅後に毛先から。毎日
12〜25センチ前肢の後ろ、胸の下、脇腹の縁、内もも下草に触れながら進んでいる根元まで指を立てて確かめる。毎日
25センチ以上背中、腰、肩の上、首外のものはほとんど触れない流れに沿って通すだけ。2〜3日に一度
帯の外首輪の下、耳のうしろ、しっぽのつけね体の動きでこすれている週に一度、指で分けて確認

順番は、下から上ではありません。12〜25センチの帯から始めます。ここがいちばんもつれが育っている帯なので、その日の時間が途中で切れても、いちばん必要なところは終わっています。足先は帰宅時にどうせ触るので、ブラッシングの時間とは別に数えて構いません。背中は最後で足ります。

  1. 帯の中を、指を立てて根元まで下ろす

    道具を持つ前に指です。途中で止まった場所だけが、その日に手を入れる場所です。プチバセットグリフォンバンデーンの被毛は外側が硬いので、上から見ても、なでても、帯の中のもつれは分かりません。指を立てて、根元まで下ろす。止まらなければ、その場所は今日は終わりです。

  2. 止まった場所は、毛先ではなく根元の側から緩める

    硬い毛のもつれは、毛先から引くと締まる向きに力がかかります。もつれのすぐ下、地肌に近いところを指でつまんで固定してから、毛先の側を少しずつ分けます。固定する手があるかどうかで、その子が痛がるかどうかが変わります。一度でほどききらなくて構いません。

  3. ねじれている向きと逆に回して、開く

    巻いている向きが読めているなら、それをほどく向きに回します。前から後ろへ巻いているものは、後ろから前へ。硬い毛は素直にほどけませんが、向きが合っていると、面がひとまわり緩みます。緩んだところに指を1本入れて、そこで今日は終わりにします。

  4. その帯を終えたら、記録は高さで書き残す

    「胸のもつれ」ではなく「18センチ」と書きます。数字で書いておくと、次の週に同じ高さかどうかがすぐ分かります。高さが変わっていれば、通っている場所が変わったということです。同じ高さのままなら、散歩道のほうを見直す番が来ています。

Point毛先だけが寄った束は、外で引っかかったものではありません

空気が乾く時期になると、帯の中に根元は緩いのに毛先だけが寄っている束が出てきます。これは静電気で毛先どうしが引き合ったもので、外のものに引っかかった跡ではありません。硬い毛は乾くとさらに張りが出るので、この時期は毛先の寄りが増えます。地肌と毛のうるおいが落ちているぶん、ブラッシングの前に布を軽く湿らせて毛先だけをなでてから通すと、束のまま引っぱらずに済みます。

帯に指を入れる前の一手として、mofuwa のグルーミングスプレーを使っています。布に含ませて、12〜25センチの帯を毛の流れに沿ってなでてから、指を立ててください。硬い毛の滑りがそろうと、指が途中で引っかからずに根元まで下りるので、その日に手を入れる場所を数えるところから正確になります。散歩のあと、足を拭くついでにこの帯まで拭いておけば、引っかかったものが毛の中に残っている時間が一日ぶん短くなります。清涼飲料水の規格基準をクリアした水でできているので、内ももや胸の下のように口が届く帯でも、量を控えずに使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、毛先が寄る乾いた時期は、前の項で書いた一手をそのまま兼ねます。すでに締まっているもつれへ直接吹きかけるのではなく、その周りの毛から湿らせていってください。

先に出る変化は、もつれの数ではなく高さのほうです

この組み方を続けると、最初に動くのは数ではありません。プチバセットグリフォンバンデーンで先に出る変化は、帯の位置のほうです。これまで15〜25センチに広がっていたものが、17〜20センチに狭まる。散らばっていた高さが、一本の線に近づいていきます。指が止まる場所が減ったぶん、残っている場所がはっきりします。

次に出るのが、形の変化です。硬い粒だったものが、平たい面に変わります。面のまま残っているうちは、まだ根元まで手が届いていないという合図です。面が薄くなって、指が半分だけ通るようになれば、あと数日で終わります。数がゼロになるのは、いちばん最後です。数だけを見ていると、何も変わっていないように見える期間が長くなります。

3つ目は、季節と一緒に動く変化です。草の丈が伸びる時期には帯が上がり、刈られたあとには下がります。換毛期には、同じ帯の中で芯だけが硬くなります。季節と合っている動き方なら、記録として正しく読めています。逆に言えば、季節と合わない動き方が出たときは、別の見方をしたほうがいい、ということです。

Caution外側の硬い毛の下を、見てもらったほうがいいとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、被毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。ひとつでも見つかったら、その帯が床から何センチか、気づいてから何日たったかを控えて、動物病院で毛の下を診てもらってください。プチバセットグリフォンバンデーンは外側の毛が硬いので、上から見ても、なでても、下の様子までは分かりません。帯の中から手を入れる順番は、そのあいだも変えずに続けてください。

相談やトリミングの前には、床からの高さ、いつからか、その週に通った場所の3つをメモしてください。この3つがあると、外で引っかかった記録として説明がつくもつれなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に無理にほどこうとすると、もとの形が分からなくなります。開ききれなかったものは、そのまま連れて行ってください。

プチバセットグリフォンバンデーンと暮らすうえで、硬い被毛と低い体高は変えられません。茨の中を進むためにそなえた作りで、そこを削れば、この犬種がこの犬種である理由も一緒に削れます。変えられるのは、引っかかったものが毛の中に残っている時間と、散歩で通る場所の高さのほうです。床からの高さで書く。帯の中から手を入れる。根元を固定してから緩める。プチバセットグリフォンバンデーンのもつれで動かせるのは、そこです。もつれは失敗の記録ではなく、その子が今日どこを歩いたかの記録です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。