C05犬種・猫種別ケア
スタッフォードシャーブルテリアのケア|かゆがるしぐさを減らす3つの習慣
ソファの角、テレビ台の脚、こちらの膝。スタッフォードシャーブルテリアが体を押しつける場所は、たいてい決まっています。後ろ脚で首の横を掻くしぐさは、ほとんど見かけません。それなのに、同じ角に同じ側の頬をこすりつける回数だけが、この2週間で増えていました。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、掻くしぐさより先に、こすりつけるしぐさとして出ることがあります。胸が厚く首が太く、体を折りたたむ角度が浅い作りを持っているので、口も後ろ脚も、かゆい場所へ届く範囲が狭くなります。この記事では、掻くしぐさとこすりつけるしぐさを並べて、スタッフォードシャーブルテリアのかゆみをどこで見つけるかを書きます。
口も後ろ脚も届かない|スタッフォードシャーブルテリアが掻かずに体をこすりつける理由
かゆみがあるとき、犬は掻きます。ところがスタッフォードシャーブルテリアと暮らしていると、掻くしぐさをほとんど見ないまま、地肌のほうが荒れているという順番に出会うことがあります。飼い主が気づくきっかけは、たいてい掻く音ではありません。ソファの角、壁の下の巾木、こちらの脚。そこへ体の同じ側を押しつけて、ゆっくり往復する動きのほうです。
この犬種は、体高のわりに体重があります。胸が前後にも左右にも厚く、首が太くて短く、肩から前肢が離れた位置につきます。体を折りたたんで、口を背中や腰へ持っていく動きが取りにくい作りです。後ろ脚を上げて首の横を掻くときも、体を曲げる角度が浅いので、爪先が届く範囲がそのぶん狭くなります。力が足りないのではなく、曲がる角度の話です。
つまり、かゆみが出た場所と、その子が自分で手当てできる場所が一致しないことが多い、ということです。届かない場所にかゆみが出たとき、掻くという動きは選べません。代わりに選ばれるのが、体をものへ押しつけて動かすという方法です。床、ソファ、壁、ケージの柵、そして飼い主の脚。面のあるものなら、何でも道具になります。
この犬種の被毛は短く、なめらかで、体に密着しています。下毛がほとんどないので、被毛が地肌を守るクッションとして働く厚みがありません。そのぶん、かゆみのある場所の地肌は外から見えます。見えるのに気づけないのは、こちらが犬の爪の動きばかりを探しているからです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、音のしない形で出ます。
- 掻く音がしない:かゆみがあっても、爪が地肌に当たる音が出ません
- 同じ側だけを押しつける:左右のどちらかに偏ることが多くあります
- 通り道に決まった角がある:部屋の中で、こすりつける場所が固定されています
- 人の脚を道具にする:甘えているように見える動きが、かゆみの合図のことがあります
- 頬と首の横が多い:後ろ脚も口も、いちばん届きにくい範囲です
スタッフォードシャーブルテリアのかゆみが分かりにくいのは、かゆみが強いからでも弱いからでもありません。自分の口と後ろ脚が届く範囲が、体の作りのぶんだけ狭いというだけです。これを強さの話にすると、答えは「もっとよく見る」になってしまいます。範囲の話にすると、答えは「届かない範囲を先に決めて、そこだけ人が代わる」に変わります。見ている場所が違うと、毎日一緒にいても気づけません。
掻くしぐさと、こすりつけるしぐさ|スタッフォードシャーブルテリアのかゆみに出る違い
2つのしぐさを、同じ項目で並べます。比べるのはかゆみの強さではなく、どこに出るかと、何が残るかです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、このうち後ろのほうの形で出ることが多くなります。前だけを探していると、気づくのが数週間おくれます。
掻くしぐさは、後ろ脚が届く範囲に出ます。耳のうしろ、あご、首の前、脇の下。爪が動くので音が出て、抜けた被毛はその場に落ちます。見つけやすいかわりに、範囲が狭い。この犬種で掻くしぐさが見えたときは、かゆみが後ろ脚の届く範囲に出ている、という意味になります。逆に言えば、掻いていない日にかゆみがないとは限りません。
こすりつけるしぐさは、口も後ろ脚も届かない範囲に出ます。頬、首の横、肩、背中、腰、しっぽのつけね。音は出ません。抜けた被毛は床ではなく、こすりつけた面のほうに残ります。その子を見ていても分からず、部屋のほうを見ると分かる。ここがスタッフォードシャーブルテリアのかゆみで、いちばん見落とされる違いです。
| 掻くしぐさ | こすりつけるしぐさ | |
|---|---|---|
| 使う体の部分 | 後ろ脚の爪、前歯 | 体の面そのもの |
| 出る範囲 | 耳のうしろ、あご、首の前、脇 | 頬、首の横、肩、背中、腰 |
| 音 | 爪が地肌に当たる音が出る | ほとんど音が出ない |
| 残るもの | 抜けた被毛がその場に落ちる | こすった面に被毛と皮脂が残る |
| 気づくきっかけ | その子を見て気づく | 部屋の面を見て気づく |
| 確かめる場所 | 犬の体 | ソファの角、巾木、ケージの柵 |
| 見落としやすさ | 低い | 高い。回数が増えても静かなまま |
この2つは、どちらが重いという関係ではありません。かゆみが出た場所が違うだけです。ただ、飼い主が気づくまでの時間には差が出ます。掻くしぐさは音で気づけます。こすりつけるしぐさは、回数が2倍になっても部屋は静かなままです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみで日数がかかるのは、この静かさのほうです。
確かめ方は簡単です。その子がいつも体を押しつけている角を、指で軽くなぞってください。短い被毛が数本、同じ向きにそろって残っていれば、そこは掻く代わりに使われている場所です。皮脂がついて、面がうっすら曇っていることもあります。どこがかゆいのかを犬に聞くことはできませんが、面のほうは何日ぶんかの記録を持っています。
習慣1|スタッフォードシャーブルテリアの体を二分する線の選び方
ここから毎日の話です。習慣を3つ挙げますが、3つとも毎日やること、にはしません。最初に一度だけ決めることが1つ、毎日やることが1つ、1年のうち2つの時期だけ変えることが1つ。決める単位をそれぞれ変えてあるので、忙しい週に習慣2だけが残っても崩れません。
習慣1は、最初に一度だけ決めます。その子の体を、自分で届く範囲と、届かない範囲の2つに分けるという作業です。犬種の平均ではなく、目の前の一頭で測ります。同じスタッフォードシャーブルテリアでも、胸の厚みと首の長さで線の位置は変わるからです。所要時間は1週間、といっても、見ているだけで手は動かしません。
-
後ろ脚を上げて掻いた場所を、1週間だけ書き留める
紙でも携帯のメモでも構いません。掻いた場所と日付だけ。1週間で3〜4か所しか出ないはずです。そこが、その子が自分で届く範囲です。かゆみが出てもある程度は自分で手当てできるので、人が毎日触る場所ではありません。
-
口が回る先を、おやつを使わずに確かめる
その子が自分から前肢や脇腹をなめるとき、首がどこまで回るかを見ます。首を回して背中の中央まで口が届く子は、この犬種では多くありません。届いた場所までが、口の側の線です。無理に体を曲げさせて確かめないでください。
-
2つの線の外側を、そのまま「届かない範囲」とする
後ろ脚の線と口の線、どちらにも入らなかった場所が残ります。頬から首の横、肩、背中、腰、しっぽのつけねのあたりが残る子が多くなります。ここがスタッフォードシャーブルテリアのかゆみで、人が代わる範囲です。
-
残った範囲を3つに区切って、名前をつける
「首の横」「背中」「腰」のように、口に出せる名前にします。名前があると順番が固定できます。毎日全身を触るのではなく、区切った3つを1つずつ回すほうが続きます。体格があるぶん、全身を毎日というやり方は現実的ではありません。
| 確かめること | 線の引き方 |
|---|---|
| 後ろ脚で掻いた場所 | 1週間ぶんを書き留めて、その外側を届かない範囲にする |
| 口が回る先 | 自分からなめている場所の先端までを、口の線にする |
| どちらにも入らない場所 | 人が毎日代わる範囲。3つに区切って名前をつける |
| 体格が大きい子 | 区切りを4つに増やし、1日1か所ずつ回す |
| 子犬から成犬になる時期 | 体が変わるので、そこだけ線を引き直す |
毎回引き直すと、その日の気分で範囲が変わります。スタッフォードシャーブルテリアの体の作りは、数か月で変わるものではありません。子犬から成犬になる時期と、体重が目に見えて変わったときだけ引き直せば足ります。線が固定されていると、かゆみが線の内側に出たのか外側に出たのかが、その場で分かります。この判断が毎日30秒の中身を決めます。
習慣2と習慣3|スタッフォードシャーブルテリアで、手のひらとブラシの使い分けを決める
習慣2は毎日です。習慣1で区切った「届かない範囲」を、1日1か所だけ、手のひらでなぞります。指先ではなく手のひらです。こすりつけるしぐさは面の刺激なので、こちらも面で当てます。指先で押すと点になり、その子が角に求めていた当たり方とは別のものになります。
-
習慣2:毎日30秒、届かない範囲を1か所だけ手のひらでなぞる
首の横なら首の横だけ。毛の流れに沿って、往復ではなく一方向に、ゆっくり5回。手のひらが引っかかる場所、その子が体を寄せてくる場所。そこが今日のかゆみの場所です。30秒で終わるので、抱き寄せたついでに回せます。スタッフォードシャーブルテリアは人に体を預ける子が多いので、この30秒は嫌がられにくい手順です。
-
習慣2の続き:引っかかった場所だけ、ブラシに持ち替える
毎日ブラシを使う必要はありません。手のひらでなぞって何もなければ、その場所は今日はそれで終わりです。引っかかった場所だけ、先の丸いブラシで毛の流れに沿って数回。短い被毛なので力はいりません。ブラッシングの時間を長くするより、当てる場所を絞るほうが結果が出ます。
-
習慣3:湿度が動く5月と10月に、当てる時間を変える
回数は増やしません。変えるのは、手のひらを当てている時間の長さのほうです。湿度が下がっていく時期は、なぞる速さを落として、1か所につき10秒だけ長く当てます。この時期だけは、布にグルーミングスプレーを含ませてから当てると、乾いた被毛が引っかかりにくくなります。地肌のうるおいが減ると、同じかゆみでもこすりつける回数が増えることがあります。時期が過ぎたら、元の30秒に戻してください。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 届く範囲と届かない範囲を分ける線 | 最初に一度だけ |
| 習慣2 | 1か所ずつの手のひらと、ブラシの使い分け | 毎日30秒 |
| 習慣3 | 手のひらを当てている時間の長さ | 1年のうち5月と10月 |
洗いすぎについても書いておきます。こすりつける回数が増えると、洗って落とせば止まるのではないか、と考えたくなります。ただ、スタッフォードシャーブルテリアは下毛がほとんどないぶん、洗う回数を増やすと地肌のうるおいのほうが先に減ります。うるおいが減った皮膚では、かゆみが出やすい条件がそろいます。洗う回数を動かす前に、届かない範囲へ毎日手が入っているかどうかを見てください。順番はそちらが先です。
同じ角へ同じ場所を毎日往復させると、かゆみのあった場所に、こすれた跡が重なります。そうなると、もとのかゆみがどこから出ていたのか分からなくなります。よく使われている角には、当面のあいだ布や毛布をかけて面を変えてください。しぐさを止めるためではなく、跡を重ねないためです。触ると嫌がる、声を出す、その場所だけ触らせないというときは、その日は手を止めて、場所と日付だけ書き留めてください。
毎日30秒の手を、グルーミングスプレーで整えてから入れる日をつくってください。布に含ませて、首の横や肩のようにその子の口も後ろ脚も届かない範囲を、毛の流れに沿ってなでるように拭いていきます。短い被毛の滑りがそろって、手のひらが引っかかる場所と、そうでない場所の差が分かりやすくなります。舐めても問題のない基準でつくられているので、口が回る範囲に近い首の横でも量を気にせずに使えます。こすれた跡が残っている場所へ、強く押し当てないでください。
こすりつける場所が、時期の変わり目と関係なく同じところに戻るとき
ここまでは、届く範囲と届かない範囲で説明のつくかゆみの話でした。線を引いて毎日30秒を回していても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、体の作りの話として片づけないほうが安全です。
- 湿度が動く時期でもないのに、こすりつける回数が増えた:季節の区切りと合わない変わり方です
- いつも同じ一か所だけが戻る:首輪、ハーネス、寝床の縁など、毎日同じ場所に当たっているものを思い出してください
- 後ろ脚が届く範囲まで掻くようになった:かゆみの出ている範囲が広がったという意味です
- こすりつけたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 短い被毛が、面に前より多く残るようになった:抜ける量のほうが変わっています
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、被毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。どれか1つでも当てはまるときは、毎日30秒の回数を増やすより先に、動物病院にご相談ください。スタッフォードシャーブルテリアは被毛が短く地肌が近いので、変化が外からよく見えます。こすりつけている面と、その場所に気づいた日を一緒に伝えると、切り分けが早く済みます。
見てもらう日の前には、こすりつけている場所、いつからか、部屋の中のどの面かの3つをメモしてください。この3つがあると、届かない範囲の話として説明がつくかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りに拭いたり洗ったりすると、もとの状態が分からなくなります。手を加えず、そのまま連れて行ってください。
スタッフォードシャーブルテリアと暮らすうえで、胸が厚く体が硬いという作りは変わりません。肩幅も首の太さも、この犬種が持っている形です。変えられるのは、その作りのせいで自分では届かない範囲に、人の手が毎日入るかどうかのほうです。掻くしぐさだけを探していると、かゆみは静かなまま日数が過ぎます。部屋の面を見て、線を引いて、1日1か所。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみで動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- スタッフォードシャーブルテリアが人の脚に体をこすりつけるのは、甘えているからではないのですか?
- 甘えている動きと重なるので、見分けがつきにくいところです。目安になるのは向きと場所です。甘えているときは体の側面をまるごと寄せてきますが、かゆみのときは同じ側の同じ場所だけを、往復させるように押しつけます。頬、首の横、肩、腰のように、その子の口も後ろ脚も届かない範囲が続くようなら、いちど手のひらでなぞってみてください。
- 被毛が短いので、ブラッシングはしなくてもいいですか?
- 毎日長い時間をとる必要はありません。ただ、抜けた短い被毛は密着した被毛の中に残りやすく、そのまま地肌に当たり続けます。手のひらでなぞって引っかかった場所だけ、先の丸いブラシで数回通せば足ります。時間の長さではなく、当てる場所を絞るほうがこの犬種には合っています。
- 洗う回数を増やせば、こすりつける回数は減りますか?
- 減らないことのほうが多いところです。下毛がほとんどない被毛なので、洗う回数を増やすと地肌のうるおいが先に減ります。うるおいが減った皮膚では、かゆみが出やすい条件がそろってしまいます。洗う回数を動かす前に、届かない範囲へ毎日手が入っているかどうかを見てください。それでも変わらないときは、動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
