C05犬種・猫種別ケア

スタッフォードシャーブルテリアのケア|かゆがるしぐさを減らす3つの習慣

公開日 2022年5月3日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの入る部屋で、明るい色の床に短い毛の犬が落ち着いて伏せている
体を押しつけていた面のほうに、その子が自分では届かない場所の記録が残ります。写真:3194556/Pixabay

ソファの角、テレビ台の脚、こちらの膝。スタッフォードシャーブルテリアが体を押しつける場所は、たいてい決まっています。後ろ脚で首の横を掻くしぐさは、ほとんど見かけません。それなのに、同じ角に同じ側の頬をこすりつける回数だけが、この2週間で増えていました。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、掻くしぐさより先に、こすりつけるしぐさとして出ることがあります。胸が厚く首が太く、体を折りたたむ角度が浅い作りを持っているので、口も後ろ脚も、かゆい場所へ届く範囲が狭くなります。この記事では、掻くしぐさとこすりつけるしぐさを並べて、スタッフォードシャーブルテリアのかゆみをどこで見つけるかを書きます。

口も後ろ脚も届かない|スタッフォードシャーブルテリアが掻かずに体をこすりつける理由

かゆみがあるとき、犬は掻きます。ところがスタッフォードシャーブルテリアと暮らしていると、掻くしぐさをほとんど見ないまま、地肌のほうが荒れているという順番に出会うことがあります。飼い主が気づくきっかけは、たいてい掻く音ではありません。ソファの角、壁の下の巾木、こちらの脚。そこへ体の同じ側を押しつけて、ゆっくり往復する動きのほうです。

この犬種は、体高のわりに体重があります。胸が前後にも左右にも厚く、首が太くて短く、肩から前肢が離れた位置につきます。体を折りたたんで、口を背中や腰へ持っていく動きが取りにくい作りです。後ろ脚を上げて首の横を掻くときも、体を曲げる角度が浅いので、爪先が届く範囲がそのぶん狭くなります。力が足りないのではなく、曲がる角度の話です。

つまり、かゆみが出た場所と、その子が自分で手当てできる場所が一致しないことが多い、ということです。届かない場所にかゆみが出たとき、掻くという動きは選べません。代わりに選ばれるのが、体をものへ押しつけて動かすという方法です。床、ソファ、壁、ケージの柵、そして飼い主の脚。面のあるものなら、何でも道具になります。

この犬種の被毛は短く、なめらかで、体に密着しています。下毛がほとんどないので、被毛が地肌を守るクッションとして働く厚みがありません。そのぶん、かゆみのある場所の地肌は外から見えます。見えるのに気づけないのは、こちらが犬の爪の動きばかりを探しているからです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、音のしない形で出ます。

Noteかゆみの強さではなく、届く範囲の話です

スタッフォードシャーブルテリアのかゆみが分かりにくいのは、かゆみが強いからでも弱いからでもありません。自分の口と後ろ脚が届く範囲が、体の作りのぶんだけ狭いというだけです。これを強さの話にすると、答えは「もっとよく見る」になってしまいます。範囲の話にすると、答えは「届かない範囲を先に決めて、そこだけ人が代わる」に変わります。見ている場所が違うと、毎日一緒にいても気づけません。

掻くしぐさと、こすりつけるしぐさ|スタッフォードシャーブルテリアのかゆみに出る違い

2つのしぐさを、同じ項目で並べます。比べるのはかゆみの強さではなく、どこに出るかと、何が残るかです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみは、このうち後ろのほうの形で出ることが多くなります。前だけを探していると、気づくのが数週間おくれます。

掻くしぐさは、後ろ脚が届く範囲に出ます。耳のうしろ、あご、首の前、脇の下。爪が動くので音が出て、抜けた被毛はその場に落ちます。見つけやすいかわりに、範囲が狭い。この犬種で掻くしぐさが見えたときは、かゆみが後ろ脚の届く範囲に出ている、という意味になります。逆に言えば、掻いていない日にかゆみがないとは限りません。

こすりつけるしぐさは、口も後ろ脚も届かない範囲に出ます。頬、首の横、肩、背中、腰、しっぽのつけね。音は出ません。抜けた被毛は床ではなく、こすりつけた面のほうに残ります。その子を見ていても分からず、部屋のほうを見ると分かる。ここがスタッフォードシャーブルテリアのかゆみで、いちばん見落とされる違いです。

同じかゆみでも、しぐさが変わると見る場所が変わります
掻くしぐさこすりつけるしぐさ
使う体の部分後ろ脚の爪、前歯体の面そのもの
出る範囲耳のうしろ、あご、首の前、脇頬、首の横、肩、背中、腰
音爪が地肌に当たる音が出るほとんど音が出ない
残るもの抜けた被毛がその場に落ちるこすった面に被毛と皮脂が残る
気づくきっかけその子を見て気づく部屋の面を見て気づく
確かめる場所犬の体ソファの角、巾木、ケージの柵
見落としやすさ低い高い。回数が増えても静かなまま
掻くしぐさと、こすりつけるしぐさ スタッフォードシャーブルテリアは胸が厚く首が太いので、口と後ろ脚が届く範囲が狭い作りを持っています。届く範囲のかゆみは掻くしぐさに、届かない範囲のかゆみはこすりつけるしぐさに分かれます。 同じかゆみが、出た場所によって2つの形に分かれます 掻くしぐさ 後ろ脚と前歯が届く範囲 耳のうしろ・あご・首の前 爪の音が出る その子を見ていれば気づける こすりつけるしぐさ 口も後ろ脚も届かない範囲 頬・首の横・肩・背中・腰 音がほとんど出ない 部屋の面を見ると分かる こすりつけた面に残った被毛が、いちばん早い手がかりです
見ている場所が違うと、同じかゆみでも気づける日が変わります。

この2つは、どちらが重いという関係ではありません。かゆみが出た場所が違うだけです。ただ、飼い主が気づくまでの時間には差が出ます。掻くしぐさは音で気づけます。こすりつけるしぐさは、回数が2倍になっても部屋は静かなままです。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみで日数がかかるのは、この静かさのほうです。

確かめ方は簡単です。その子がいつも体を押しつけている角を、指で軽くなぞってください。短い被毛が数本、同じ向きにそろって残っていれば、そこは掻く代わりに使われている場所です。皮脂がついて、面がうっすら曇っていることもあります。どこがかゆいのかを犬に聞くことはできませんが、面のほうは何日ぶんかの記録を持っています。

習慣1|スタッフォードシャーブルテリアの体を二分する線の選び方

ここから毎日の話です。習慣を3つ挙げますが、3つとも毎日やること、にはしません。最初に一度だけ決めることが1つ、毎日やることが1つ、1年のうち2つの時期だけ変えることが1つ。決める単位をそれぞれ変えてあるので、忙しい週に習慣2だけが残っても崩れません。

習慣1は、最初に一度だけ決めます。その子の体を、自分で届く範囲と、届かない範囲の2つに分けるという作業です。犬種の平均ではなく、目の前の一頭で測ります。同じスタッフォードシャーブルテリアでも、胸の厚みと首の長さで線の位置は変わるからです。所要時間は1週間、といっても、見ているだけで手は動かしません。

  1. 後ろ脚を上げて掻いた場所を、1週間だけ書き留める

    紙でも携帯のメモでも構いません。掻いた場所と日付だけ。1週間で3〜4か所しか出ないはずです。そこが、その子が自分で届く範囲です。かゆみが出てもある程度は自分で手当てできるので、人が毎日触る場所ではありません。

  2. 口が回る先を、おやつを使わずに確かめる

    その子が自分から前肢や脇腹をなめるとき、首がどこまで回るかを見ます。首を回して背中の中央まで口が届く子は、この犬種では多くありません。届いた場所までが、口の側の線です。無理に体を曲げさせて確かめないでください。

  3. 2つの線の外側を、そのまま「届かない範囲」とする

    後ろ脚の線と口の線、どちらにも入らなかった場所が残ります。頬から首の横、肩、背中、腰、しっぽのつけねのあたりが残る子が多くなります。ここがスタッフォードシャーブルテリアのかゆみで、人が代わる範囲です。

  4. 残った範囲を3つに区切って、名前をつける

    「首の横」「背中」「腰」のように、口に出せる名前にします。名前があると順番が固定できます。毎日全身を触るのではなく、区切った3つを1つずつ回すほうが続きます。体格があるぶん、全身を毎日というやり方は現実的ではありません。

線の選び方は、犬種の平均ではなくその子で決めます
確かめること線の引き方
後ろ脚で掻いた場所1週間ぶんを書き留めて、その外側を届かない範囲にする
口が回る先自分からなめている場所の先端までを、口の線にする
どちらにも入らない場所人が毎日代わる範囲。3つに区切って名前をつける
体格が大きい子区切りを4つに増やし、1日1か所ずつ回す
子犬から成犬になる時期体が変わるので、そこだけ線を引き直す
Point線は一度決めたら、しばらく動かしません

毎回引き直すと、その日の気分で範囲が変わります。スタッフォードシャーブルテリアの体の作りは、数か月で変わるものではありません。子犬から成犬になる時期と、体重が目に見えて変わったときだけ引き直せば足ります。線が固定されていると、かゆみが線の内側に出たのか外側に出たのかが、その場で分かります。この判断が毎日30秒の中身を決めます。

習慣2と習慣3|スタッフォードシャーブルテリアで、手のひらとブラシの使い分けを決める

習慣2は毎日です。習慣1で区切った「届かない範囲」を、1日1か所だけ、手のひらでなぞります。指先ではなく手のひらです。こすりつけるしぐさは面の刺激なので、こちらも面で当てます。指先で押すと点になり、その子が角に求めていた当たり方とは別のものになります。

  1. 習慣2:毎日30秒、届かない範囲を1か所だけ手のひらでなぞる

    首の横なら首の横だけ。毛の流れに沿って、往復ではなく一方向に、ゆっくり5回。手のひらが引っかかる場所、その子が体を寄せてくる場所。そこが今日のかゆみの場所です。30秒で終わるので、抱き寄せたついでに回せます。スタッフォードシャーブルテリアは人に体を預ける子が多いので、この30秒は嫌がられにくい手順です。

  2. 習慣2の続き:引っかかった場所だけ、ブラシに持ち替える

    毎日ブラシを使う必要はありません。手のひらでなぞって何もなければ、その場所は今日はそれで終わりです。引っかかった場所だけ、先の丸いブラシで毛の流れに沿って数回。短い被毛なので力はいりません。ブラッシングの時間を長くするより、当てる場所を絞るほうが結果が出ます。

  3. 習慣3:湿度が動く5月と10月に、当てる時間を変える

    回数は増やしません。変えるのは、手のひらを当てている時間の長さのほうです。湿度が下がっていく時期は、なぞる速さを落として、1か所につき10秒だけ長く当てます。この時期だけは、布にグルーミングスプレーを含ませてから当てると、乾いた被毛が引っかかりにくくなります。地肌のうるおいが減ると、同じかゆみでもこすりつける回数が増えることがあります。時期が過ぎたら、元の30秒に戻してください。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1届く範囲と届かない範囲を分ける線最初に一度だけ
習慣21か所ずつの手のひらと、ブラシの使い分け毎日30秒
習慣3手のひらを当てている時間の長さ1年のうち5月と10月

洗いすぎについても書いておきます。こすりつける回数が増えると、洗って落とせば止まるのではないか、と考えたくなります。ただ、スタッフォードシャーブルテリアは下毛がほとんどないぶん、洗う回数を増やすと地肌のうるおいのほうが先に減ります。うるおいが減った皮膚では、かゆみが出やすい条件がそろいます。洗う回数を動かす前に、届かない範囲へ毎日手が入っているかどうかを見てください。順番はそちらが先です。

Cautionこすりつけている角を、そのままにしないでください

同じ角へ同じ場所を毎日往復させると、かゆみのあった場所に、こすれた跡が重なります。そうなると、もとのかゆみがどこから出ていたのか分からなくなります。よく使われている角には、当面のあいだ布や毛布をかけて面を変えてください。しぐさを止めるためではなく、跡を重ねないためです。触ると嫌がる、声を出す、その場所だけ触らせないというときは、その日は手を止めて、場所と日付だけ書き留めてください。

毎日30秒の手を、グルーミングスプレーで整えてから入れる日をつくってください。布に含ませて、首の横や肩のようにその子の口も後ろ脚も届かない範囲を、毛の流れに沿ってなでるように拭いていきます。短い被毛の滑りがそろって、手のひらが引っかかる場所と、そうでない場所の差が分かりやすくなります。舐めても問題のない基準でつくられているので、口が回る範囲に近い首の横でも量を気にせずに使えます。こすれた跡が残っている場所へ、強く押し当てないでください。

こすりつける場所が、時期の変わり目と関係なく同じところに戻るとき

ここまでは、届く範囲と届かない範囲で説明のつくかゆみの話でした。線を引いて毎日30秒を回していても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、体の作りの話として片づけないほうが安全です。

Cautionこすれた跡ではなく、地肌の側が動いているとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、被毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。どれか1つでも当てはまるときは、毎日30秒の回数を増やすより先に、動物病院にご相談ください。スタッフォードシャーブルテリアは被毛が短く地肌が近いので、変化が外からよく見えます。こすりつけている面と、その場所に気づいた日を一緒に伝えると、切り分けが早く済みます。

見てもらう日の前には、こすりつけている場所、いつからか、部屋の中のどの面かの3つをメモしてください。この3つがあると、届かない範囲の話として説明がつくかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りに拭いたり洗ったりすると、もとの状態が分からなくなります。手を加えず、そのまま連れて行ってください。

スタッフォードシャーブルテリアと暮らすうえで、胸が厚く体が硬いという作りは変わりません。肩幅も首の太さも、この犬種が持っている形です。変えられるのは、その作りのせいで自分では届かない範囲に、人の手が毎日入るかどうかのほうです。掻くしぐさだけを探していると、かゆみは静かなまま日数が過ぎます。部屋の面を見て、線を引いて、1日1か所。スタッフォードシャーブルテリアのかゆみで動かせるのは、そこです。

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よくある質問

スタッフォードシャーブルテリアが人の脚に体をこすりつけるのは、甘えているからではないのですか?
甘えている動きと重なるので、見分けがつきにくいところです。目安になるのは向きと場所です。甘えているときは体の側面をまるごと寄せてきますが、かゆみのときは同じ側の同じ場所だけを、往復させるように押しつけます。頬、首の横、肩、腰のように、その子の口も後ろ脚も届かない範囲が続くようなら、いちど手のひらでなぞってみてください。
被毛が短いので、ブラッシングはしなくてもいいですか?
毎日長い時間をとる必要はありません。ただ、抜けた短い被毛は密着した被毛の中に残りやすく、そのまま地肌に当たり続けます。手のひらでなぞって引っかかった場所だけ、先の丸いブラシで数回通せば足ります。時間の長さではなく、当てる場所を絞るほうがこの犬種には合っています。
洗う回数を増やせば、こすりつける回数は減りますか?
減らないことのほうが多いところです。下毛がほとんどない被毛なので、洗う回数を増やすと地肌のうるおいが先に減ります。うるおいが減った皮膚では、かゆみが出やすい条件がそろってしまいます。洗う回数を動かす前に、届かない範囲へ毎日手が入っているかどうかを見てください。それでも変わらないときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。