C05犬種・猫種別ケア
ポルトガルウォータードッグのケア|毛玉を減らす3つの習慣
ポルトガルウォータードッグの肘の後ろに指を入れると、背中を触ったときとは手ざわりが違います。背中は指がすっと沈むのに、肘の後ろだけが途中で押し返される。30分の散歩なら、その肘は数千歩ぶん折り曲げられています。毛玉ができる場所は、汚れた場所ではなく、その日に何回曲げられたかで決まります。この犬種の毛は伸び続けて、抜けても外へ落ちにくい作りをしています。落ちない毛が、関節が折り曲がるたびに同じ一点へ寄せられていきます。この記事では、よく動く場所とあまり動かない背中を並べて、毛玉のでき方がどう変わるかを書きます。
伸び続ける毛と、曲がり続ける関節|ポルトガルウォータードッグの毛玉が場所を選ぶ条件
ポルトガルウォータードッグの被毛には、下毛がほとんどありません。外側と内側で役割を分けている二層の犬種と違って、一種類の毛が、そのまま伸び続けます。巻きの強い子もいれば、ゆるやかな波を打つ子もいますが、どちらも「ある長さで生え変わって止まる」という区切りを持ちません。放っておけば長くなります。
この作りには、もうひとつの特徴がついてきます。抜けた毛が、外へ落ちにくいことです。抜け毛が床に散らないのは、毛が抜けていないからではなく、抜けた毛が隣の毛に引っかかったまま被毛の中に残るからです。掃除機をかける回数が少なくて済むぶん、外に出ていない毛が、体の上に居続けます。ここがポルトガルウォータードッグの毛玉の材料になります。
材料があるだけでは、毛玉は特定の場所に集まりません。集める力がいります。それが、この犬種のもうひとつの条件である運動量です。ポルトガルの海辺で漁の手伝いをしていた犬種で、体は中型、筋肉がしっかりついていて、一日じゅう動いていられます。動く犬の体には、1日に何千回という単位で折り曲がる場所があります。肘の後ろ、膝の裏、脇の内側、首の付け根、尾の付け根です。
一歩あたり1回として計算すると、30分歩いた日には、肘の後ろで数千回の曲げ伸ばしが起きています。走った日はもっと増えます。折り曲がるたびに、そこの毛は前後から押されて向きを変え、また戻ります。抜けて外に出られない毛が、その動きに乗って一点へ寄せられていく。これが、ポルトガルウォータードッグの毛玉のでき方です。
- 毛は伸び続ける:長さの区切りがないので、絡む余地が増え続けます
- 抜けた毛が外へ落ちない:床ではなく、被毛の中に留まります
- 関節が1日に何千回も折り曲がる:留まった毛を一点へ寄せる力になります
- 曲がる場所は決まっている:肘の後ろ、膝の裏、脇、首と尾の付け根
- 背中はほとんど曲がらない:同じ長さの毛でも、寄せられる力が働きません
泥や砂がついた場所に毛玉ができる、と考えると、手の入れ方は「よく洗う」に寄っていきます。ポルトガルウォータードッグの場合、いちばん汚れるのはお腹の下と脚の先ですが、いちばん毛玉が育つのは肘の後ろと膝の裏です。汚れの分布と毛玉の分布がずれているなら、原因は汚れではありません。曲げ伸ばしの回数のほうを見てください。
よく動く場所と、動かない背中|ポルトガルウォータードッグの毛玉を2つに比較する
同じ一頭の、同じ長さの毛で比較します。比べるのは毛の質ではなく、その場所が1日に何回折り曲げられているかです。ポルトガルウォータードッグでは、この一点だけで毛玉の育ち方が変わります。育つ速さも、芯の中身も、気づける時期も違うので、手の入れ方まで分かれます。
よく動く場所は、肘の後ろ、膝の裏、脇の内側、首の付け根、尾の付け根です。ここでは毛が絶えず押されて向きを変えます。押される向きが毎回わずかにずれるので、留まっていた抜け毛が、周りの毛に何度も巻き込まれます。数日で指に引っかかるかたまりになり、そのまま置くと中心に硬い芯ができます。
あまり動かない背中は、条件がまるで違います。腰の上や肩の上面は、歩いても走ってもほとんど形が変わりません。毛は寝たまま、同じ向きに並んでいます。抜けた毛は同じように留まっているのに、それを寄せる動きがないので、まとまるまでに数週間かかります。だから背中の毛玉は、気づいたときには面のように広がっていることが多くなります。
| よく動く場所 | あまり動かない背中 | |
|---|---|---|
| 場所 | 肘の後ろ・膝の裏・脇・首と尾の付け根 | 背中・腰の上・肩の上面 |
| 1日の曲げ伸ばし | 歩数と同じだけ、何千回の単位 | 姿勢を変えるときだけ |
| 毛玉が育つ速さ | 数日で指に引っかかる | 数週間かけて広がる |
| 形 | こぶし状に丸くまとまる | 面のまま、薄く広がる |
| 気づき方 | 指が引っかかって分かる | 手のひらが滑らなくなって分かる |
| 外からの見え方 | 毛に隠れて、立っていると見えない | 毛の流れが乱れて見える |
| 手を入れる間隔 | 毎日、帰宅後に短く | 週に1回、点検して必要なら |
この比較には続きがあって、ポルトガルウォータードッグでは、よく動く場所ほど毛玉が見えません。肘の後ろは、立っている姿勢では上から毛が垂れて隠れます。膝の裏も同じです。背中はいちばん目に入るので、毛の乱れに気づきやすい。見つけやすい場所と、育ちやすい場所が逆になっています。目で探している限り、手が入るのは遅いほうの毛玉ばかりになります。
どちらを優先するか、という比較ではありません。背中の毛玉を放っておいてよいわけではなく、間隔が違うだけです。関節まわりは毎日短く、背中は週に1回まとめて。この2つを同じ頻度で回そうとすると、時間が足りなくなって、結局どちらも間隔が開きます。ポルトガルウォータードッグの被毛は面積があるので、全身を同じ日に同じ手つきで回す前提は、はじめから外しておいたほうが続きます。
立ったままでは分かりません|関節を曲げて触る、ポルトガルウォータードッグの毛玉の見分け方
どっちの場所に今日手を入れるかを決める前に、確かめ方を変える必要があります。ポルトガルウォータードッグの毛玉は、立たせたまま触っても見つかりません。立っている姿勢では、肘の後ろも膝の裏も毛が伸びた状態になっていて、絡んだ部分が引き伸ばされて隠れるからです。次の順で回してください。
-
床に座らせるか、横に寝かせて、関節が曲がった姿勢をつくる
曲げた姿勢にすると、肘の後ろと膝の裏の毛が寄って、絡んでいる部分だけが盛り上がります。立たせて探すのと、曲げて探すのでは、見つかる数が変わります。抱き上げなくて構いません。休んでいるところへ手を伸ばせば足ります。
-
曲がった内側の谷に、指を2本そろえて入れる
毛を上から押すのではなく、谷の線に沿って指を差し込みます。指が地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返された深さが、そこに寄せられている毛の厚みです。届くなら、その場所の毛玉はまだできていません。
-
引っかかったら、そのかたまりを指でつまんで動かしてみる
つまんだものが皮膚と一緒に動くなら、根元まで巻き込まれています。毛の途中だけで動くなら、表層の絡みです。根元まで巻き込まれた毛玉は、家でほどききろうとしないでください。周りの毛から順に細くしていくところまでが、家でできる範囲です。
-
最後に、背中に手のひらを当てて、毛の流れに沿って滑らせる
ここだけは指ではなく手のひらです。すっと滑れば、その週の背中は手をかけなくて構いません。途中で毛先が寄って束になる感触があれば、面の毛玉が育ち始めています。背中は毎日確かめなくてよい場所です。週に1回、この一往復だけで足ります。
| 確かめたこと | その日にやること |
|---|---|
| 曲げた谷に指が届く/背中も滑る | その日は手を入れなくて構いません |
| 曲げた谷で指が止まる | 関節まわりだけ。谷の線に沿って短く |
| つまむと皮膚ごと動く | 周りの毛をほぐすところまで。無理に引かない |
| 背中で毛先が束になる | 背中を1回。関節まわりは翌日に回す |
| どこも指が止まらない日が続く | 間隔を1日延ばして様子を見て構いません |
同じポルトガルウォータードッグでも、坂道や階段の多いコースを歩いた日は、膝の裏の曲げ伸ばしが増えます。平らな道を長く歩いた日は肘の後ろのほうです。その日にいちばん使った関節が、その日にいちばん毛が寄っている場所になります。帰ってきたときに、どこを使ってきたかを思い出せば、触る場所は2か所に絞れます。全身を回す必要はありません。
帰宅後3分・1か所ごと・週1回|ポルトガルウォータードッグの毛玉を減らす3つの習慣
ここからが毎日のケアの話です。3つのうち、毎日の欄に入るのは1つだけにしてあります。残りの2つは、毛玉1か所ごとと、1週間ごとの担当です。1日の中で時刻を決めるものが1つ、1か所ごとに手の向きを決めるものが1つ、1週間の中で日を決めるものが1つ。粒度をずらしてあるので、忙しい週があっても3つ同時には止まりません。
-
習慣1:帰宅後3分を、よく動いた関節だけに使う
散歩から帰った直後は、その日いちばん曲げ伸ばしが起きた直後です。毛が寄せられたばかりで、まだ絡み合っていません。この3分で触るのは、肘の後ろと膝の裏の2か所だけ。座らせて関節を曲げ、谷の線に沿って指かコームを短く通します。全身をやろうとすると3分では終わらないので、はじめから2か所に決めておきます。時間の長さではなく、時刻を固定するのがこの習慣の中身です。
-
習慣2:1か所ごとに、外側から中心へ向かって細くする
毛玉を見つけたら、中心にいきなり道具を当てないでください。かたまりの外周の毛を、周りの毛から1本ずつ外していく。外周が減ると、かたまりは小さくなります。それを何周かくり返して、最後に中心が残ります。中心から引くと、周りの毛まで巻き込んで、絡みは大きくなります。ポルトガルウォータードッグの毛は伸び続けるぶん長いので、1回の動きで扱う範囲を狭くしたほうが結果として早く終わります。
-
習慣3:週に1回、背中を点検する日を決める
背中は毎日触らなくて構いません。そのかわり、曜日を決めて手のひらを一往復させます。滑れば終わり、束になっていたらその日だけ道具を持つ。「毎日全身」をやめて、「毎日は関節、週1回は背中」に組み替えるのがこの習慣です。ポルトガルウォータードッグは面積があるので、背中まで毎日となると数日で続かなくなります。週1回に固定したほうが、間隔が読めます。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 触る時刻と、触る2か所 | 1日の中(帰宅直後) |
| 習慣2 | 外周から中心へ、という手の向き | 毛玉1か所ごと |
| 習慣3 | 背中を点検する曜日 | 1週間の中 |
道具についても書いておきます。ポルトガルウォータードッグの毛は伸び続けるので、長さを短く整えている子と、長さを残している子では、同じ場所でも絡む速さが変わります。長さを残しているなら、歯の長いコームで谷の線をなぞる回数を増やす。短く整えているなら、指で確かめるだけの日が増えます。道具を増やす前に、確かめる姿勢を変えるほうが先です。立たせたまま何本のブラシを使っても、曲げないと絡みは出てきません。
帰宅後3分は、mofuwa グルーミングスプレーを持つと手が動かしやすくなります。散歩から戻った肘の後ろと膝の裏に、関節を曲げた姿勢のまま毛の流れに沿って吹きかけ、そのまま指かコームを通します。毛の滑りがそろうので、その日に寄せられた毛を、寄せられたその日のうちに散らしておけます。舐めても問題のない基準でつくられているので、量を気にせず、脚の内側でも毎日使えます。ブラッシングスプレーとしても働くため、伸び続けるこの犬種の長い毛を、静電気の起きにくい状態で梳かせます。グルーミングスプレーは毛の流れをそろえる向きで使い、できているかたまりを湿らせたまま放置しないようにしてください。
毛玉の下には皮膚があります。関節の内側は皮膚がたるんでいて、毛玉と一緒につまむと持ち上がります。かたまりを根元で切ろうとすると、皮膚のほうを切ります。家で扱うのは、外周をほぐして小さくするところまでにしてください。ほどききれない毛玉は、そのままの状態でトリミングサロンや動物病院に見てもらったほうが安全です。前の晩に無理をすると、もとの状態が分からなくなります。
曲げ伸ばしの回数では説明がつかない毛玉と、そのとき持って行く3つの記録
ここまでは、伸び続ける毛と関節の動きで説明のつく毛玉の話でした。習慣を回していても、次のような変わり方をするときは、被毛の条件の外に理由があるかもしれません。ブラッシングの回数を増やす方向へ進む前に、いちど手を止めてください。
- 散歩に行けていない週なのに、関節まわりが詰まる:曲げ伸ばしの回数と合わない増え方です
- いつも同じ片側だけに戻る:ハーネスの当たり、寝る向き、かばっている脚がないかを見てください
- その場所を気にしている:なめる、かじる、床にこすりつける。毛玉より先に皮膚のほうを見ます
- ほぐしたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で道具を置いてください
- 毛が根元から抜けて地肌が見えている:抜けにくいはずの被毛で起きているなら、別の見方が要ります
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、歩き方が変わった、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。ポルトガルウォータードッグは毛が長く伸びるぶん、地肌の変化が外から見えません。指が止まる場所が1週間で2か所から4か所に増えたなら、その数を持って行ってください。
相談に行くときは、毛玉の場所、いつから気づいたか、その週にどれくらい歩いたかの3つを持って行ってください。この3つがあると、曲げ伸ばしの回数で説明のつく毛玉なのか、それとも別の理由があるのかを、その場で切り分けてもらえます。ほどききれなかったかたまりは、無理に触らずそのまま連れて行くほうが、状態が伝わります。
ポルトガルウォータードッグと暮らすうえで、毛が伸び続けることも、よく動くことも変わりません。どちらも、この犬種が海辺で仕事をするためにそなえた条件です。減らせるのは毛の量ではなく、寄せられた毛が同じ場所に留まっている時間のほうです。よく動く場所は毎日、動かない背中は週に1回。曲げた姿勢で確かめて、外周から細くする。ポルトガルウォータードッグの毛玉で動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- ポルトガルウォータードッグは抜け毛が少ないと聞きました。それでも毛玉はできますか?
- 床に抜け毛が散らないのは、毛が抜けていないからではなく、抜けた毛が隣の毛に引っかかって被毛の中に残るからです。外へ出ていない毛が体の上に居続けるので、材料としてはむしろ多く残ります。そこへ関節の曲げ伸ばしが加わると、一点に寄せられて毛玉になります。掃除の手間が少ないことと、被毛の中が空いていることは別の話です。
- 運動量を減らせば毛玉は減りますか?
- そういう方向には進めないでください。曲げ伸ばしの回数は毛玉の材料を寄せる力ですが、運動そのものはこの犬種にとって欠かせないものです。減らすのは動く量ではなく、寄せられた毛が留まっている時間のほうです。よく動いた日ほど、帰宅後に肘の後ろと膝の裏へ3分だけ手を入れる、という組み方にしてください。
- 毛玉が見つからない日も、毎日ブラシを通したほうがいいですか?
- 曲げた姿勢で指が地肌まで届く日は、道具を持たなくて構いません。手を入れる場所を毎日探すことと、毎日ブラシを通すことは同じではありません。確かめる習慣だけ毎日にしておくと、必要な日にだけ道具が出るようになります。間隔が空きすぎているかどうかは、指が止まる回数で分かります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
