C05犬種・猫種別ケア
スパニッシュウォータードッグと暮らすなら知っておきたい、脇や内股の蒸れの話
スパニッシュウォータードッグの脇に手を差し込んで、10秒そのまま置いてから抜いてみてください。手のひらが少し湿っている日と、乾いたまま出てくる日があります。同じ子の、同じ場所です。差をつくっているのは天気ではなく、その被毛がいまどういう状態に置かれているかのほうです。この犬種の巻毛は、そのままふんわり置くことも、房に分けて縄状にまとめることもできます。どちらも自然な姿で、飼い主が選べます。ただし、選んだ状態によって脇や内股に入る空気の量が変わり、蒸れの出方まで変わります。この記事では、その2つの状態を並べて比べます。
1本ずつではなく、房で動く毛|スパニッシュウォータードッグの脇と内股で蒸れが分かれるところ
スパニッシュウォータードッグの被毛は、細かく巻いた毛が体をおおう一層の作りです。指で毛を分けようとすると、1本ずつではなくいくつかの毛がまとまった房の単位で動きます。巻きがからみ合っているので、隣の毛と手をつないだ状態で生えている、と考えると近い。この房という単位が、脇や内股の空気の通り方を決めています。
スペインの南部で、羊やヤギを追い、水辺の作業も手伝ってきた犬種です。強い日ざしと、水に濡れる仕事の両方に対応できる被毛として、この巻きが残りました。巻いた毛は、毛と毛のあいだに小さなすき間をたくさん抱えます。そのすき間が空気を含んでいるあいだは、皮膚の上に風の通り道が残ります。蒸れが起きるのは、そのすき間が押しつぶされたときです。
脇と内股は、体の中でいちばんすき間がつぶれやすい場所です。前脚と胴、後脚と胴が向かい合っていて、立っていても座っていても面と面が近づいています。上から見て開いているように見える場所でも、体の内側では毛どうしが押し合っています。スパニッシュウォータードッグの蒸れが脇と内股に集まるのは、この押し合いに巻毛のすき間が耐えられなくなるからです。
ここで、この犬種にしかない条件が出てきます。巻毛は、そのままふんわり置いておくことも、房に分けて縄状にまとめていくこともできます。どちらも作りものではなく、この毛が自然に取れる姿です。放っておけば房どうしがくっついて面になり、指で分けていけば1本ずつの縄になります。つまり、飼い主が「どちらの状態で暮らすか」を選んでいることになります。選んだ状態が違えば、脇と内股に入る空気の量も変わります。
- 毛は房の単位で動く:1本の毛の話ではなく、束の話になります
- 巻きがすき間を抱えている:そのすき間が、皮膚の上の風の通り道です
- 脇と内股は面が向かい合う:すき間がいちばんつぶれやすい場所です
- 房は、ほどけたままにも縄状にもできる:どちらも自然な姿です
- 選んだ状態で空気の入り方が変わる:蒸れの見方も、そこから分かれます
巻毛のままにしている家庭も、房に分けている家庭もあります。スパニッシュウォータードッグの蒸れを考えるうえで大事なのは、どちらを選んだかではなく、選んだほうの弱点を知っているかどうかです。2つは弱点の出方が逆になっています。片方のやり方をもう片方に当てはめると、脇や内股の湿りに気づくのが遅れます。まず、うちの子がいまどちらの状態なのかをはっきりさせてください。
巻毛のままと、縄状にした状態|スパニッシュウォータードッグの蒸れを2つ比較する
2つの状態を、同じ項目で並べます。比較するのは見た目ではなく、脇と内股で空気がどこを通るか、そして湿りがどこに残るかです。スパニッシュウォータードッグでは、この2点が状態によって入れ替わります。
巻毛のままの状態では、房と房のあいだが開いています。指を入れれば地肌まで届き、風も同じ道を通ります。ただし、この状態は放っておくと勝手に変わります。脇や内股のように面が擦れる場所では、開いていた房どうしが数日でくっついて、平らな面になります。面になったところは風が通りません。巻毛のままを選ぶということは、開いている状態を、手で維持し続けるということです。
房に分けて縄状にした状態は、逆の性質を持ちます。房が独立しているので、縄と縄のあいだには広い道が残ります。脇を持ち上げれば、その道を風が抜けます。面になってふさがることもありません。そのかわり、1本1本が太くなるので、外側が乾いていても内側に湿りが残る時間が長くなります。触った感触と、中の状態がずれます。スパニッシュウォータードッグの蒸れを縄状の被毛で見るときは、表面の手ざわりを判断材料にできません。
| 巻毛のまま | 房を分けて縄状に | |
|---|---|---|
| 房の様子 | 隣とゆるくつながっている | 1本ずつ独立している |
| 風の通り道 | 房のあいだ。細くて数が多い | 縄のあいだ。太くて数が少ない |
| ふさがり方 | 擦れる場所から面になっていく | 面にはならない |
| 湿りが残る場所 | 面になった房の裏側 | 1本の縄の芯 |
| 外から分かるか | 毛の流れが乱れて見える | 外は乾いて見える |
| 確かめ方 | 指を入れて、地肌まで届くか | つまんで、指の腹で押す |
| 手をかける中身 | 開いた状態を保ち続ける | 乾く時間を長めに取る |
| 脇と内股の要注意 | 座っている時間が長い日 | 濡れた日の、そのあと数時間 |
この比較で見落とされやすいのが、途中の状態がいちばん蒸れやすいことです。縄にしようと分け始めて途中でやめた被毛、あるいは巻毛のままにしていて脇だけ面になってしまった被毛。どちらも、風の道が細いまま数だけ減っている状態です。スパニッシュウォータードッグの脇や内股でいちばん湿りが長引くのは、この中途半端な時期です。どちらかに寄せると決めて、そこから手を組み直してください。
洗いすぎの話も、ここに関わってきます。湿りが気になると洗う回数を増やしたくなりますが、洗う回数が増えるほど、脇と内股が濡れている時間の合計は長くなります。巻毛のままなら面が増え、縄状なら芯が乾ききらないまま次の水が入ります。地肌のうるおいも一緒に減っていきます。スパニッシュウォータードッグの蒸れで先に動かすのは、洗う回数ではなく、乾かし終わるまでの時間のほうです。
うちの子はどっちの状態か|スパニッシュウォータードッグの脇と内股で確かめる見分け方
状態は、飼い主が決めたつもりでも、時間とともに動きます。巻毛のままのつもりで、脇だけ面になっていることがあります。まず、いまどちらに寄っているかを確かめてください。犬を立たせて、片手で体を支え、もう片方の手だけで回します。
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前脚を軽く前へ出させて、脇の内側を開く
抱き上げる必要はありません。片手で肘のあたりを前へ送るだけで、脇の面が離れます。開いた瞬間の30秒が、脇の状態を見られる時間です。スパニッシュウォータードッグの脇は、脚を下ろすとすぐ閉じます。閉じた状態から見ようとしても分かりません。
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開いたところに指を2本入れて、地肌まで届くか確かめる
すっと届くなら、その場所は開いています。途中で押し返されるなら、房どうしがくっついて面になっています。押し返された深さが、そのまま風が入れていない厚みです。内股も同じように、後脚を軽く外へ送って確かめます。
-
届いた場所の房を1つつまんで、指の腹で押す
つぶれて広がるなら、ほどけた巻毛のままです。押しても形が崩れず、1本の束として残るなら、そこはもう縄状になり始めています。同じ子でも、場所によって状態が違うことがあります。脇は縄になりかけ、背中は巻毛のまま、ということが普通に起こります。
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押したときに、指先がひやりとするかを見る
外側が乾いていても、押した瞬間だけ冷たさが伝わることがあります。それは芯に湿りが残っているということです。手のひら全体で撫でて乾いていると判断しないでください。縄状に寄っている場所ほど、この差が出ます。冷たさが残る日は、その日は房を開いたまま風の通る場所で休ませてください。
| 確かめたこと | いまの状態と、次の手 |
|---|---|
| 指が地肌まで届く/押すとつぶれる | 巻毛のまま。開きを保てています |
| 指が途中で止まる/押すとつぶれる | 巻毛のままで、面になりかけ。分け直します |
| 指が届く/押しても崩れない | 縄状に寄っています。乾く時間を長めに |
| 押すと指先がひやりとする | 芯に湿りあり。開いたまま風を通します |
| 脇と背中で結果が違う | 場所ごとに状態が違います。脇に合わせます |
脇と内股は、脚を下ろした瞬間に閉じます。毎日長く見る必要はなく、脚を前へ送って開いた30秒のあいだに、指が届くかどうかだけを見れば足ります。抱き寄せたついでに片脇、翌日はもう片方、というくらいで回ります。スパニッシュウォータードッグは巻毛で外から地肌が見えないので、目で確かめようとすると時間ばかりかかります。指のほうが早く分かります。
選んだ状態で変わる条件と、蒸れが出やすい時期
どちらの状態で暮らすかが決まると、日々の手の入れ方の条件が決まります。同じ「脇と内股のケア」という言葉でも、中身が別のものになります。ここでは、状態ごとに何を毎日の条件にするかを分けて書きます。
巻毛のままを選んだ場合、毎日の条件は「開いた状態を戻す」ことです。脇と内股は擦れるので、放っておけば面に寄っていきます。指を熊手のようにして、房と房のあいだに入れ、根元から毛先の方向へ抜く。これを片側3〜4回。道具を持たなくてもできるので、休んでいるときに手を伸ばすだけで済みます。ブラッシングというより、指で房を分け直す作業です。
房を分けて縄状にしている場合、毎日の条件は「乾く時間を先に確保する」ことです。濡れた日は、拭いた直後ではなく、そこから数時間の予定を空けておきます。脇と内股は面が閉じるので、そのあいだ体を横にして休ませ、脚のあいだに風が入る姿勢を作ります。地肌が湿ったまま面が閉じる時間を短くするのが、この状態での中心になります。
| 巻毛のまま | 房を分けて縄状に | |
|---|---|---|
| 毎日の条件 | 指で房を分け直す | 乾く時間を先に取る |
| 1回にかける時間 | 片側30秒ほど、回数を多く | 1日1回。長めに風を通す |
| 湿度が高い時期 | 面になる速さが上がる | 芯が乾ききらない日が続く |
| 乾燥する時期 | 静電気で房どうしが寄る | 縄が細くなり、絡みやすい |
| 換毛期 | 抜けた毛が房の中に残る | 抜けた毛が芯に巻き込まれる |
| いちばん見たい時期 | 梅雨から夏。座る時間の長い日 | 秋の雨。濡れたあとの数時間 |
時期の話をもう少し具体的にします。湿度が上がる梅雨から夏にかけては、どちらの状態でも脇と内股の乾きが遅くなります。ただし遅くなる理由が違います。巻毛のままなら、房がくっつく速さが上がって道がふさがるからです。縄状なら、芯まで乾く時間そのものが伸びるからです。同じ季節でも、手を入れる場所が違います。前者は分け直す回数を増やし、後者は乾かす時間を延ばします。
換毛期も見ておきます。スパニッシュウォータードッグは抜けた毛が外へ落ちにくく、被毛の中に残ります。巻毛のままなら房のあいだに溜まり、縄状なら芯へ巻き込まれます。どちらも、溜まった毛が空気の道を細くします。春と秋は、脇と内股で指が止まる回数が増えていないかを、いつもより1回多く確かめてください。
指が押し返される場所へ、無理に手を差し込むと、皮膚ごと引っぱることになります。脇と内股の皮膚は薄くてたるんでいて、房と一緒に持ち上がります。1回で全部を開こうとせず、外側の房から順に分けて、届いたところまでで終わりにしてください。翌日にもう1列進めるほうが、結果として早く開きます。嫌がる、声を出すというときは、その日はそこで止めてください。
脇と内股に手が入るのは、脚を前へ送って面が離れているあいだだけです。閉じてしまえば、そこに何を置いたかは外から確かめられません。だから、開いている数十秒のうちに置ききれるものを選ぶことになります。mofuwa スキンケアミストが使う場所として挙げているのは、かゆがっている箇所、フケの出ている地肌、指のあいだ、目のまわり、口のまわりの5か所です。これだけ広いのは、中身が電解水だけで、体の場所ごとに処方を分ける必要がないからです。脇を開いた手を、そのまま内股へ移せます。コットンに取って、地肌の見えている線にそって当てたら、房はすぐ戻さないでください。開いたまま風を通しておくところまでが一続きです。
空気の通り方では説明がつかない湿り
ここまでは、巻毛の状態で説明のつく蒸れの話でした。状態を選んで、毎日の条件を回していても、次のような変わり方をするときは別の見方が要ります。分け直す回数を増やす方向へ進む前に、いちど手を止めてください。
- 濡れていない日が続いているのに、脇が湿っている:外から入った水では説明がつきません
- 片側の脇だけ、いつも先に湿る:寝る向き、かばっている脚、当たっているものを見てください
- 開いたときのにおいが、前と変わった:においの質の変化は、湿りの量より早く出ることがあります
- 地肌の色が変わっている、じくじくしている:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 脇や内股をなめる、かじる、床にこすりつける:被毛より先に皮膚のほうを見ます
- 触ると嫌がる、脚を出させると声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においが強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、脚をかばって歩く、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまるときは、家での手入れを増やす前に動物病院にご相談ください。スパニッシュウォータードッグの脇と内股は、閉じているあいだ外から見えません。迷ったら早いほうを選んでください。
相談に行くときは、いま被毛をどちらの状態にしているか、いつからその状態か、最後に濡れたのはいつかの3つを伝えてください。巻毛のままと縄状では、地肌に届く空気の量が違います。この情報があると、被毛の条件で説明のつく湿りなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に無理に開こうとせず、そのままの状態で連れて行くほうが伝わります。
スパニッシュウォータードッグと暮らすうえで、脇と内股が閉じることも、巻毛がすき間を抱えることも変わりません。どちらも、この犬種が日ざしと水の両方の中で働くためにそなえた作りです。選べるのは、その被毛をどちらの状態で置くかと、脇に空気が入っている時間をどれだけ確保するかのほうです。巻毛のままなら開きを保ち、縄状なら乾く時間を先に取る。スパニッシュウォータードッグの蒸れで動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 巻毛のままと縄状、どっちが蒸れにくいですか?
- どちらかが優れている、という比較にはなりません。巻毛のままは風の道が細くて数が多く、擦れる場所からふさがっていきます。縄状は道が太くて数が少なく、ふさがりませんが、1本の芯が乾くまでに時間がかかります。手のかかり方が違うだけです。決め手になるのは、開きを保つ手間と、乾く時間を待つ手間のどちらが暮らしに合うかのほうです。
- 途中まで房を分けた状態でやめてもいいですか?
- その状態がいちばん風の道が少なくなります。房が半分つながったまま太くなるので、道の数は減っているのに、1本ずつは乾きにくい。脇と内股で湿りが長引くのは、この時期がいちばん多くなります。どちらかに寄せると決めて、脇と内股だけでも先にそろえてください。全身を一度に変える必要はありません。
- 脇が湿っていたら、その日は洗ったほうがいいですか?
- 洗う方向には進めないでください。洗えばその日の濡れている時間が増えて、地肌のうるおいも一緒に減ります。まずは脚を前へ送って脇を開き、風の通る場所で休ませてください。それで手のひらが乾いて出てくるなら、外から入った水ではなく、閉じていた時間の問題です。開ける時間を増やすほうが先になります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
