C05犬種・猫種別ケア
コトンドテュレアールのシルキーコート|毛のもつれを毎日のケアで防ぐ
夕方、コトンドテュレアールが部屋を一周して立ち止まったあと、窓から入る光の筋の中に、細かい毛が舞っているのが見えることがあります。その毛は床に落ちきらず、しばらく空中を漂ってから、また被毛の上に戻っていきます。抱き上げて耳の下や胸元に指を入れると、朝には無かった小さなもつれが指に当たる。この犬種のもつれは、寝ていた時間ではなく、動いていた時間のあとに出ます。綿のように軽い毛は、押しつけられるより先に浮いてしまうからです。浮いて、舞って、舞った毛どうしが空中で交差したまま着地する。コトンドテュレアールのもつれは、そこから始まっています。
遊んだあとの床に、綿ぼこりのような毛が舞う|コトンドテュレアールのもつれに気づいた日の経験
朝、寝床から出てきたばかりのコトンドテュレアールを抱き上げても、指はすっと入ります。耳の下も、前脚の付け根も、胸元も、引っかかるところがありません。ところが同じ日の夕方、部屋を走り回って、ソファに飛び乗って、また下りてきたあとに同じ場所を触ると、指が数か所で止まります。数時間のあいだに、その子は寝ていたわけではありません。動いていました。
多くの犬種では、この順番が逆になります。長い時間同じ姿勢で寝ていた側の毛が押しつぶされて、そこがもつれる。だから朝いちばんに寝ていた側を確かめる、という手順が成り立ちます。コトンドテュレアールでは、朝の寝床側より、夕方の遊んだあとのほうが指が止まります。ここが、この犬種のもつれを考えるときの入口になります。
床を見ると、もうひとつ気づくことがあります。走り回ったあとの床には、綿ぼこりのように細かい毛が浮いています。払っても、すぐには床に落ちません。手を近づけると、その毛は手のほうへ寄ってきます。掃除機をかけると、床の上ではなく空中で吸い込まれていく毛があります。コトンドテュレアールの毛は、それくらい軽い。
そして、その舞っている毛の一部は、床には落ちずに戻ります。体の上へ、あるいは隣の毛の上へ。戻ったときに、隣の毛と交差した形で着地することがあります。1回では、指で撫でれば元に戻ります。それが夕方までに何十回とくり返されると、交差したところが噛み合って、指が止まるようになります。もつれに気づいた日の経験をたどっていくと、たいていその日は、よく動いた日です。
- 朝の寝床側より、夕方の遊んだあとに指が止まる:時間の順番が、他の犬種と逆になります
- 床の毛がすぐには落ちない:空中を漂っている時間が長い毛です
- 手を近づけると毛が寄ってくる:軽いぶん、静電気の影響を受けやすくなります
- もつれの場所が日によって動く:寝る向きではなく、その日の動きで変わります
- 1回では戻る。何十回で戻らなくなる:回数が積み上がったところに出ます
この犬種の名前にある「コトン」は、綿という意味です。マダガスカルのトゥリアラという港町の名前と合わせて、綿の毛を持つ犬として呼ばれてきました。実際に触ると、綿という言葉がそのまま手ざわりになっています。1本をつまんで指の腹でこすっても、芯の張りをほとんど感じません。長さのわりに重さがない。この軽さが、コトンドテュレアールのもつれの始まり方を、他の犬種と分けています。
押しつけられたのではなく、浮いて舞った|コトンドテュレアールのもつれができる背景
もつれという言葉から思い浮かぶのは、たいてい「押しつけられて固まったもの」です。体の重さがかかった場所、ハーネスが当たる場所、床とこすれる場所。実際、多くの犬種ではその通りに出ます。コトンドテュレアールでは、圧のかかる場所と、指が止まる場所が一致しません。いちばん体重がかかっている脇腹より、耳の下や胸元のほうが先に絡みます。
理由は、毛の重さにあります。1本の毛が重いと、その毛は下へ垂れたまま動きません。動かない毛は、外から力が加わらないかぎり隣の毛と交わりません。だから圧のかかった場所だけが絡む。ところが1本が軽いと、体が動いたときに起きるわずかな空気の流れだけで、毛のほうが持ち上がります。走る、跳ぶ、頭を振る、体をぶるぶるっと震わせる。そのたびに、毛先が体から離れて空中へ出ます。
空中へ出た毛は、まっすぐ元の場所へ戻るわけではありません。近くの毛と交差した位置で、被毛の上に降ります。降りた瞬間は、ただ重なっているだけです。指で撫でれば離れます。けれど離れないうちに次の動きが起きると、重なったまま、また一緒に持ち上がります。持ち上がって、少しずれて、また降りる。これをくり返すうちに、重なりが巻きに変わります。コトンドテュレアールのもつれは、こうしてできています。
この犬種は、下毛がほとんどない一層の被毛を持っています。抜けた毛が床へ落ちにくく、被毛の中に留まる作りです。留まった抜け毛は、根元でつながっていないぶん、生えている毛よりもさらに軽い。いちばんよく舞うのは、この抜けた毛のほうです。舞う量が多い日ほど、交差する回数が増えます。床に落ちる毛が少ない犬種だから手がかからない、という話にはならないのは、このためです。
| 重さのある毛 | コトンドテュレアールの毛 | |
|---|---|---|
| ふだんの状態 | 下へ垂れて動かない | 動きに合わせて浮く |
| 絡む力の出どころ | 外から加わる圧 | 自分の動きと空気の流れ |
| 絡み始める場所 | 圧のかかる面 | 毛がよく舞う場所 |
| 出やすい時間帯 | 長く寝ていたあと | よく動いたあと |
| 最初の状態 | 押されて平らになる | 交差して重なる |
| 戻せる時間 | 潰れた形が残る | 重なっているうちは指で戻る |
| 季節の影響 | 湿ると寝て、重くなる | 乾くと帯電して、舞う量が増える |
場所の話もしておきます。コトンドテュレアールで指が止まりやすいのは、耳の下、あごから胸元にかけて、前脚の付け根の外側、そして尾のまわりです。どれも、その子が動いたときにいちばん風を受ける場所です。頭を振れば耳の下の毛が舞い、走れば胸元の毛が後ろへ流れ、尾を振ればその毛が扇のように動きます。もつれの場所は、体の重さの分布ではなく、空気の当たり方に沿って並んでいます。
静電気も、この背景の一部です。乾いた季節、フリースの敷物や服から離れた瞬間に、毛が全体に広がって見えることがあります。広がった毛は、隣の毛から離れているのではなく、離れたまま別の毛に引き寄せられています。離れた場所どうしがくっつくので、交差の回数が一気に増えます。コトンドテュレアールのもつれが冬に増えたと感じるとき、増えているのは毛の量ではなく、舞って交差する回数のほうです。
動いている時間のほうを整える|コトンドテュレアールのもつれを防ぐ考え方
原因が「舞って交差すること」だとすると、手を入れる場所も変わります。変えられるのは、毛が舞う量と、交差してから噛み合うまでの時間の2つです。毛の細さも軽さも、この犬種の作りなので変わりません。コトンドテュレアールのもつれを毎日のケアで防ぐという言い方の中身は、この2つを動かすことになります。
まず、時間のほうから。交差したばかりの毛は、まだ重なっているだけです。指を通せば、道具がなくても離れます。噛み合って巻きに変わるまでには、次の動きが何度も加わる必要があります。つまり、よく動いたあとの数分が、いちばん軽い力で戻せる時間です。夜になってから思い出して道具を持つより、遊びが終わって水を飲んでいるあいだに指を入れるほうが、はるかに早く終わります。
次に、舞う量のほうです。こちらは、その子の動きを減らすという話ではありません。減らすのは、被毛の中に留まっている抜け毛と、毛を帯電させている材質のほうです。抜け毛は舞いやすさが段違いなので、被毛の中から出ていくぶんだけ交差が減ります。服や敷物の素材は、着せている家庭・使っている家庭だけの条件になりますが、変えられるものの中では効きが早い部類です。
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遊びが終わった直後の3分に、指だけで通す
道具を取りに行かなくて構いません。耳の下、胸元、前脚の付け根の外側の3か所に、指を熊手のようにして入れ、毛の流れに沿って抜きます。この時点なら、まだ重なっているだけです。指が止まったら、その場所を覚えておいて、落ち着いてから道具を当ててください。3分が取れない日は、1か所だけでも構いません。
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服を脱がせた直後に、必ず一度手を入れる
服を着せている家庭では、脱がせた瞬間がいちばん毛が広がります。摩擦で帯電したまま、毛が離れた位置に張り付いているからです。脱がせてそのまま放すと、広がった状態のまま次の動きが始まります。脱がせたら、その場で背中から胸元へ手のひらを一往復。それだけで、張り付きの多くは落ち着きます。
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乾いた季節は、触れている素材を1つだけ入れ替える
寝床の敷物、抱くときのひざ掛け、着せている服。全部を変えるのではなく、いちばん長く触れているものを1つだけ、綿のものに替えてみてください。2週間で、舞う量が変わったかどうかは指で分かります。何も変わらなければ、次の1つを替える。まとめて替えると、何が効いたのか分からなくなります。
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週に1回、抜けた毛を被毛の外へ出す日をつくる
コトンドテュレアールは抜け毛が床に落ちません。落ちないぶん、被毛の中に残ります。週に1回、体の下側から順に、毛を分けながら道具を通して、留まっている毛を外へ運び出してください。この日は時間をかけて構いません。舞う材料そのものを減らす日なので、毎日の3分とは役割が違います。
| 場面 | そのあとにやること |
|---|---|
| 部屋を走り回った/来客ではしゃいだ | 3分以内に、3か所へ指を通す |
| 体をぶるぶるっと振った | そのまま胸元に手のひらを一往復 |
| 服やハーネスを外した | 外した場所で、すぐ一往復 |
| 風の強い日に外を歩いた | 帰宅後、耳の下と尾のまわりを先に |
| 乾いた日に敷物の上で寝ていた | 起きたときに、体の下側から |
| 何日か手を入れられなかった | その日は指ではなく、道具を使って層ごとに |
コトンドテュレアールの毛は白くて細いので、正面から見ても舞っているかどうか分かりません。窓からの光を横から受ける位置に立つと、空中の毛が線になって見えます。その子が動いたあと、どのくらいの量が浮いているのかが目で確かめられます。舞う量が多い日は、もつれが増える日です。日によって違うことが分かると、毎日同じだけ手をかける必要はない、という判断ができるようになります。
洗う回数を増やす方向へは進めないでください。洗ったあとの被毛は、乾ききるまでのあいだ静電気を持ちませんが、乾いた直後がいちばん軽くなって舞います。回数を増やすほど、その「乾いた直後」の回数も増えます。コトンドテュレアールのもつれで先に動かすのは、洗う頻度ではなく、動いたあとに手が入るまでの時間のほうです。
遊んだあとの3分に指を通すとき、グルーミングスプレーを布に含ませて、耳の下と胸元を毛の流れに沿って一方向になでてください。滑りがそろった面では、重なっているだけの毛が、指の動きに合わせて素直に離れます。この犬種でとくに効きが大きいのは、静電気の側です。ブラッシングスプレーとしても使えるので、乾いた季節に毛が広がって、離れた毛どうしが引き合っている状態を、道具を入れる前にそろえられます。舞う量が多い日ほど、先に手に取るものです。
量を気にしなくていいことも、この場面では大きいところです。舐めても問題のない基準でつくられているので、胸元でも口のまわりでも、足りなければ足せます。電解水と余分な皮脂や油が乳化するので、風の強い日に外を歩いたあとの汚れも、同じ一往復の中で拭き取れます。毎日きれいにしてあげたい、を毎日やれる形にしているのが、グルーミングスプレーの役割です。噛み合ってしまった場所へ直接吹きかけて、そのまま置くことはしないでください。
舞う毛が減ると、指の通り方が変わる|コトンドテュレアールと暮らして起きる変化
この組み方に変えて2週間ほど経つと、いくつか気づくことがあります。最初に変わるのは、もつれの数ではなく、指が止まる深さです。これまで根元の近くで止まっていたものが、毛先の側で止まるようになります。交差したまま何度も持ち上がる回数が減ったので、巻きが根元まで進む前に離れているということです。
次に変わるのが、場所です。毎日3か所へ指を通していると、そのうち耳の下と胸元では止まらなくなり、前脚の付け根の外側だけが残ります。残った場所は、その子がいちばんよく動かしている場所です。コトンドテュレアールでは、この残り方が個体ごとに違います。よく跳ぶ子は前脚の付け根、頭をよく振る子は耳の下、尾をよく振る子は尾のまわりが残ります。
床に落ちる毛の量も、少しだけ変わります。週に1回、被毛の中に留まっていた毛を外へ出すようになると、掃除で拾う毛が増えたように感じることがあります。これは抜ける量が増えたのではなく、これまで体の上に残っていたぶんが出てきているだけです。その量が落ち着いてくると、日々の舞う量も減っていきます。手ざわりでいうと、抱き上げたときに指が沈む深さが、以前より深くなります。
| 時期 | 気づく変化 |
|---|---|
| 数日 | 遊んだあとに指を入れる動作が習慣になる |
| 1週間 | 指が止まる位置が、根元から毛先の側へ移る |
| 2週間 | 3か所のうち、残る場所が1か所に絞られる |
| 3〜4週間 | 抱き上げたときに、指が沈む深さが変わる |
| 季節が変わる頃 | 乾く時期に舞う量が増え、頻度を戻す判断ができる |
変わらないこともあります。コトンドテュレアールの毛が細くて軽いことは変わりません。だから、手を入れる間隔が空けば、また同じ場所から戻ってきます。これは後退ではなく、そういう作りの被毛だということです。旅行や来客で数日空いた週は、再開した日に指ではなく道具を持って、層ごとに分けて通してください。空いた日数のぶんだけ、噛み合いが進んでいます。
指が根元で止まり、つまむと皮膚ごと動く場所は、家でほどききろうとしないでください。コトンドテュレアールの皮膚は薄く、細い毛でも束になれば強く引っぱられます。外側の毛から順に少しずつ細くして、届いたところまでで終わりにしてください。1日で終わらせる必要はありません。嫌がる、声を出すというときは、その場で手を止めて、翌日にもう一列だけ進めるほうが早く終わります。
そして、被毛の話として片づけないほうがよい変化もあります。地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。白い被毛は地肌の色の変化が見えやすい一方で、毛量に隠れて気づくのが遅れることもあります。指が止まる場所といつからかを控えて、そのまま見てもらってください。
コトンドテュレアールと暮らしていると、この犬種の毛が「押されて絡む」ものではないことが、だんだん手で分かるようになります。走った日は増え、静かに過ごした日は増えない。乾いた日は増え、湿った日は落ち着く。もつれの量は、その日その子がどれだけ動いたかの記録のようなものです。動きを減らすのではなく、動いたあとの数分に手を入れる。コトンドテュレアールのもつれで動かせるのは、そこです。
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mofuwa グルーミングスプレー
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特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
