C05犬種・猫種別ケア
日本テリアはなぜ皮膚の乾燥が起きやすいのか。短毛から考える
8月の夕方、日本テリアの背中に指を滑らせたら、肩の後ろでわずかに引っかかりました。その週はよく晴れていて、冷房は28度で入れっぱなし。湿度計は60%を指していて、部屋の数字を見るかぎり乾いてはいません。フケも出ていない。それでも指の滑りだけが、6月の同じ場所と違っていました。日本テリアの乾燥は、夏にも同じ形で起きます。冬に起きるものだと思っていると、この時期の変化は見なかったことになります。この記事では、日本で作られた短毛の犬が、なぜ夏と冬の両方で乾くのかを先に整理し、そのあとで一年のどこで乾いたかを見る手順と、夏と冬で分かれる手を書きます。
日本テリアの乾燥は、冬より先に夏の毎日から始まっています
日本テリアは、日本で作られた犬種です。港町に入ってきた洋犬と、もともと日本にいた犬とのあいだから、日本の暮らしの中で形が決まっていきました。つまりこの犬種は、日本の一年をそのまま浴びる前提で暮らしています。高温多湿の夏と、乾いた冬。性格の違うこの2つの季節を、同じ体で、同じ家の中で通ります。日本テリアの乾燥を考えるときは、まずここを土台に置いてください。
被毛は短く、体に沿って寝ています。手のひらを乗せると、毛の上ではなく地肌の温度がそのまま返ってきます。毛が短いということは、毛と毛のあいだに空気の層を抱えられないということです。長い毛や下毛のある犬種では、外の空気はいったん毛の層で受け止められます。日本テリアでは、その手前の層が薄い。部屋の空気の動きは、ほとんどそのまま地肌に届きます。
皮脂の側も同じです。皮脂は毛をつたって広がりますが、毛が短ければ広がる面積も限られます。出てきた皮脂が、地肌の近くにとどまりやすい代わりに、こすれれば落ちるのも早い。日本テリアの地肌は、うるおいを毛の層に預けておくのではなく、その場で保っている状態に近くなります。だから、部屋の条件が変わると、変化が早く出ます。
ここまでは背景の話です。問題は、その条件が一年に二度、別々の形で来ることです。冬に乾くのは分かりやすい。暖房を入れると室温が上がり、空気に対する水分の割合は下がります。外は冷たく乾いていて、散歩のたびに家の中と外を往復します。見落とされるのは夏のほうです。冷房は部屋を冷やすと同時に、空気から水分を抜いています。しかも風は、床の高さを流れます。
湿度計が60%を指していても、その数字は部屋の平均です。日本テリアがいるのは部屋の平均ではなく、冷房の風が届く床の上です。体高が40センチほどのこの犬種は、その風の中に体をまるごと置いています。しかも夏は、汗ばんだにおいや散歩の汚れが気になって、洗う回数が増えやすい時期でもあります。洗いすぎと風が重なると、冬と同じことが真夏に起きます。
- 肩の後ろから腰にかけて:風が最初に当たる面で、指の滑りが変わりやすい場所です
- 脇腹の上のほう:横になったとき上を向く面で、空気にさらされている時間が長くなります
- 肘の外側:床にこすれるので、皮脂が落ちやすい場所です
- 胸の前:毛の向きが変わる場所で、うるおいの差が手に出やすくなります
- 尾のつけ根:見落とされやすく、変化に気づくのが最後になりがちです
壁に掛けた湿度計は、たいてい人の目の高さにあります。冷たい空気は下にたまり、風は床の近くを流れるので、犬が寝ている高さの条件は、その数字と一致しません。日本テリアの乾燥を見るときは、湿度計を読む前に、その子が寝ている場所へ手のひらを置いてください。風が当たっているかどうかは、数字より手のほうが早く分かります。数字は、あとから確かめるために使います。
一年のどこで乾いたかを書き出す|日本テリアの乾燥を家でできる範囲で確かめる
手を打つ前に、その子がいつ乾くのかを決めておきます。夏に乾く子と、冬に乾く子と、両方の子がいます。どこで乾くかが分からないまま一年じゅう同じ手を続けると、必要のない時期に洗う間隔を空けたり、必要な時期に何もしなかったりします。家でできる確かめ方は、道具も要りません。指と、日付を書ける紙が1枚あれば足ります。
見るのはフケではありません。フケが出るころには、変化はもう何週間か前に始まっています。先に変わるのは、指の滑りです。肩の後ろに指の腹を当てて、腰まで一息に滑らせる。抵抗なく抜けるか、途中でわずかに引っかかるか。日本テリアは被毛が短いので、この差が手にはっきり返ってきます。滑らせるのは同じ場所、同じ向き、同じ強さで。比べられる形にしておくことが大事です。
記録するのは3つだけです。日付と、触った場所と、指の滑りを3段階で書いた印。すっと抜けたら丸、少し引っかかったら三角、明らかに止まったらバツ。週に1回で構いません。2か月も続ければ、その子が夏型なのか冬型なのか、あるいは両方なのかが見えてきます。日本テリアの乾燥は季節と結びついているので、記録が季節をまたぐまでは判断を急がないほうが確実です。
| 夏に乾くとき | 冬に乾くとき | |
|---|---|---|
| 部屋で起きていること | 冷房が空気から水分を抜いている | 暖房で室温が上がり、湿度が下がる |
| 体に当たっているもの | 床を流れる冷たい風 | 室内と屋外の温度差の往復 |
| 重なりやすい習慣 | 汚れが気になり、洗う回数が増える | 乾かす時間が延び、冷えるまでが長い |
| 見つかりにくい理由 | 湿度計の数字が高い | 冬は乾くものだと思って、記録しない |
| 先に手を入れる場所 | 寝ている位置と、風の通り道 | 洗ったあとの数分と、帰宅後の数分 |
日本テリアの被毛は短いので、毛を分けなくても地肌が見えます。ただし、部屋の照明の下では色の差が分かりません。週に1回の記録をとるときだけ、窓のそばへ連れていって、自然光の下で見てください。指の滑りで気づいた場所と、目で見て気になる場所がずれているなら、そのずれ自体が手がかりになります。撮っておいた写真と比べると、記憶より正確です。
夏は風、冬は温度差|日本テリアの乾燥で手を分ける手順
記録がとれたら、そこから手を選びます。順番は、環境をいじる手が先で、体に触れる手が後です。逆にすると、風が当たり続けている場所で拭いたりなじませたりを続けることになり、手数だけが増えます。日本テリアの乾燥に効いてくる条件のうち、いちばん大きいのは部屋の側です。次の5つを、上から順に回してください。
-
手順1:寝ている場所に手のひらを置いて、風が当たっているか確かめる
夏なら冷房の吹き出し口から、冬なら暖房と窓から。人が立って感じない風でも、床の高さでは流れています。手のひらを30秒置いて、冷たさが動くかどうかを見てください。動くなら、その場所が乾燥の出どころです。ここを飛ばして先へ進むと、あとの4つはすべて手数の話になります。
-
手順2:冷房や暖房は消さず、寝床のほうを風の通り道から外す
温度設定を変える必要はありません。動かすのは寝床のほうで、50センチずらすだけで風の当たり方は変わります。風向きの羽根を上に向ける、サーキュレーターを壁に当てて風を回す、という手もあります。日本テリアは寒がりな子が多いので、暖かい場所を取り上げる形にはしないでください。
-
手順3:洗う間隔を、季節で決め直す
夏は汚れとにおいが気になって、間隔が詰まりがちです。洗いすぎは、地肌のうるおいを皮脂ごと持っていきます。夏に間隔を詰めるなら、そのぶん風の当たらない場所を用意してからにしてください。冬は逆に、乾かしきるまでの時間が延びます。洗ったあと体が冷えている時間は、温度差がもう一度加わっている時間です。
-
手順4:外から戻ったあとの数分を決めておく
冬の散歩は、乾いた冷たい空気の中を歩いて、暖かい部屋に戻る往復です。戻ってすぐ暖房の前に置かない。玄関で足を拭いて、部屋の温度に体がなじむまでの数分を挟むだけで、往復の落差はゆるみます。ここは道具も要らず、日本テリアと暮らすなら毎日できることです。
-
手順5:ブラッシングを、毛を整える作業から地肌を確かめる作業に変える
短毛のこの犬種では、毛の流れをそろえる必要はほとんどありません。柔らかいラバー製の道具か、目の細かい獣毛のブラシで、1か所10往復まで。目的は毛ではなく、皮脂を毛先まで動かすことと、地肌の手ざわりを毎日確かめることです。強くかけると、短い毛では地肌に直接当たります。力ではなく回数で足りる作業です。
手順1と2で風を外したあとに、はじめて体の側へ手を置きます。日本テリアは毛の層が薄いので、置いたものが毛のあいだで止まらず、そのまま地肌の高さに届きます。届くかどうかより、届いたあとにどれだけとどまるかのほうが問題になります。mofuwa スキンケアミストに使われている電解水は、水の浸透を精製水と比べた調査で35倍、うるおいが続いた時間が40分という数値が出ています(調査機関:株式会社きれいテストラボ。一般的な化粧水は約2分とされています)。いずれも決められた条件下で測られた値で、家庭で同じ結果になることを約束するものではありません。ガーゼを一枚湿らせて、風が当たっていた肩の後ろから腰までを、毛の流れに沿ってなでる。被毛が短いぶん、含ませる量はごく少なくて足ります。乾燥した皮膚に塗れば元に戻りますという話ではありません。戻すのは部屋の条件のほうで、これは条件が戻るまでのあいだ、地肌の側を空白にしないための手です。
手順1と2を飛ばして、なじませる作業だけを毎日増やす。日本テリアの乾燥でいちばん多いつまずきがこれです。床の上に風が流れているかぎり、地肌の条件は毎日リセットされます。まず風の通り道から寝床を外し、そのうえで手を足す。順番が逆だと、手をかけているのに変わらないという時間が何週間も続きます。1つ動かしたら、2週間は同じやり方を続けて、指の滑りで比べてください。
洗う頻度を落としても地肌が戻らないとき
ここまでは、季節と部屋の条件で説明のつく乾燥の話でした。説明がつくというのは、条件を1つ動かせば、2週間ほどで指の滑りが変わるということです。洗う頻度を落とし、寝床を風から外し、それでも同じ場所が戻らないときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、頻度や湿度の話として片づけないほうが安全です。
- 季節が変わって条件がゆるんだのに、同じ場所だけ戻らない:春と秋は、いちばん条件が楽な時期です
- いつも同じ一か所に限って出る:首輪の下、ハーネスの当たる面、寝床の縁を思い出してください
- 左右で手ざわりがはっきり違う:寝る向きや、体を寄せている面が関係していることがあります
- 粉のようなものが急に増えた:日単位で増えるなら、部屋の乾きの速さとは合いません
- その場所をなめる、かく、床にこすりつける:乾燥より先に、皮膚のようすを見てください
- 地肌が赤い、においがある、毛が薄くなってきた:家でできる範囲を越えています
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄くなって地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、洗う頻度やブラッシングの回数を調整する前に、動物病院にご相談ください。日本テリアは被毛が短く、地肌がそのまま見えます。見えることは、家で判断してよいという意味ではありません。迷ったら、早いほうを選んでください。
動物病院で相談するときは、いつから乾いているか、どの季節に始まったか、この2週間で何を1つ変えたかの3つを持っていってください。週に1回つけていた記録の紙が、そのまま使えます。冷房を入れはじめた週や、洗う間隔を変えた日を書き添えておくと、季節の条件で説明のつく乾燥なのかどうかを、その場で切り分けてもらいやすくなります。前の晩に念入りに洗っていくと、もとの地肌が分からなくなります。当日はいつもどおりで構いません。
日本テリアと暮らすうえで、日本の夏と冬をなくすことはできません。この犬種の体は、その両方を通る前提でできています。動かせるのは季節ではなく、その季節に部屋の中で何が起きているかのほうです。夏は風、冬は温度差。原因が入れ替わるなら、手も入れ替える。一年のどこで乾いたかを紙に残しておけば、次の年は同じ時期に、同じ手から始められます。日本テリアの乾燥で続けられるのは、そういう形のケアです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 日本テリアは、冬より夏のほうが乾きやすいのですか?
- その子によります。夏型と冬型のどちらもいて、両方に出る子もいます。だからこそ、一年のどこで指の滑りが変わったかを記録しておく意味があります。冷房を入れはじめる5月から6月と、暖房を入れる11月から12月に、同じ場所を同じ向きでなぞって比べてください。2か月も続ければ、その子がどちらの型かが見えてきます。
- 短毛なので、ブラッシングはしなくても大丈夫ですか?
- 毛の流れをそろえる目的ならほとんど必要ありませんが、地肌の手ざわりを確かめる作業としては続けてください。日本テリアは被毛が短いぶん、変化が手にそのまま返ってきます。柔らかいラバー製の道具で1か所10往復ほど、力ではなく回数で足ります。強くかけると、短い毛では道具が地肌に直接当たります。
- 加湿器を置けば、日本テリアの乾燥は落ち着きますか?
- 部屋の湿度は上がりますが、犬がいるのは部屋の平均ではなく床の上です。冷たい空気や風がその高さを流れていれば、条件は変わりません。加湿器を置くなら、寝ている場所の近くに置いて、寝床が風の通り道から外れているかを先に確かめてください。数字ではなく、その場所に手のひらを置いて判断するほうが確実です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
