C09シーン別・暮らし

サロン通いをしている人のための車でのおでかけ|5分で終わらせるケア

公開日 2022年10月29日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの入る車内で、シートに落ち着いて座っている淡い色の犬
同じシートに、状態のまったく違う毛が1日に2回乗ります。取り返せないのは、2回めのほうです。写真:Valeria Boltneva/Pexels

トリミングの予約を入れた日、行きも帰りも車で30分かかるとします。行きの車で毛がどうなろうと、このあと洗ってもらうので何も失いません。問題は帰りです。今日いちばん整った状態の犬を乗せて、シートに座らせて、30分走る。整えてもらった直後に、いちばん毛がつぶれる場所へ乗せているという順番になっています。犬との移動を「行き帰りで1回」と数えていると、この2回めの性質の違いが見えません。この記事では、サロンからの帰り道の車で被毛に何が起きているのかと、降りる前の5分をどこに置くかを書きます。

同じシートに、1日2回、別の状態の毛が乗ります|トリミングの日の車での移動が持つ背景

トリミングに通っていると、車での移動は月に1度か、6週に1度の決まった予定になります。犬を乗せて、預けて、迎えに行って、また乗せて帰る。同じ日に、同じシートへ、2回乗せています。ところがこの2回は、乗せている毛の状態がまるで違います。ここを1つの「移動」として数えているあいだは、帰り道が手つかずのまま過ぎていきます。

行きの車に乗るのは、数週間ぶんの生活が乗った毛です。散歩で乗ったもの、寝床でついたにおい、根元で寝てしまった毛。このあとサロンで一度リセットされるので、行きの車で何が起きても取り返せます。シートに毛が寝ようが、においが移ろうが、30分後には洗われています。行きの車は、失うものがない移動です。

帰りの車は逆です。乗せているのは、その日いちばん整った状態の犬です。地肌まで乾かされ、毛が根元から立ち上がり、流れがそろっている。トリミングで作られた状態は、次の予約までの4〜6週間で少しずつ落ちていきますが、その落ち方がいちばん急なのは、実は帰りの30分です。そして帰りの車には、リセットの機会がもうありません。

同じ車の同じシートでも、行きと帰りで条件が反転する
行きの車帰りの車
乗せている毛の状態数週間ぶんが乗った状態その日いちばん整った状態
毛の立ち方すでに根元で寝ている根元から立ち上がっている
湿り乾いている地肌はきれいに乾かされた直後
このあと起きること洗ってもらえる何もない。そのまま数週間
崩れたときの取り返し取り返せる次の予約まで戻らない
手を入れる価値ほとんどないこの日でいちばん高い

そう考えると、犬とトリミングに通う人にとって、車での移動でいちばんもったいない時間がはっきりします。サロンの帰り道です。ここに5分を置けるかどうかで、次の予約までの4〜6週間の見え方が変わってきます。逆に言えば、行きの車での手入れは、ほとんど省いて構いません。

Noteトリマーの仕上げが甘い、という話ではありません

帰宅したときの状態がサロンで見たときと違うのは、腕の問題ではありません。サロンの仕上げは、店を出た瞬間がいちばん高い位置にあります。そこから先は、飼い主の側の条件です。車での移動を挟むなら、その条件のうち最初の1つが、シートと体が接している30分だということになります。

乾かしきったばかりの毛が、シートでいちばん寝やすい理由|車の中の30分で起きること

トリミングの仕上げで何をされているかというと、毛を根元から起こしてから乾かす、という作業です。風を当てながら、毛の向きをそろえて、地肌まで乾かす。仕上がった直後の被毛は、根元に空気の層がある状態です。ふわりと見えるのはこの層のおかげで、艶が出ているように見えるのも、そろった毛が光を同じ向きに返しているからです。

トリミングの直後だけに存在するこの状態が、車のシートといちばん相性が悪い。理由は3つあります。体重、摩擦、そして温度です。座らせた瞬間に体重で空気の層がつぶれ、走行中の振動で座面と毛がこすれて向きが崩れ、閉じた車内で温度が上がって、乾ききっていた毛に湿りが少し戻ります。どれか1つではなく、30分のあいだ3つが同時に働いています。

3つのうち、いちばん見落とされているのが温度です。犬を乗せた車内は、人だけが乗っているときより早く温度が上がります。サロンで完全に乾かしてもらった毛が、帰りの車の中でわずかに湿りを戻す。そこで毛が寝ると、寝た形のまま乾き直します。玄関で降ろしたときに「なんだかもう崩れている」と感じるのは、この乾き直しが済んだあとだからです。

同じことは、犬の側から見るとこう言えます。サロンで整えられた状態は、体が動いていないあいだのほうが崩れます。散歩で歩いているときは毛が風で動きますが、車のシートに座っているあいだは、同じ面が同じ場所に押しつけられ続けます。移動距離ではなく、同じ姿勢でいた時間のほうが効いてきます。

Point距離が長いより、信号が多いほうが条件は強くなります

揺れと停止が多い道では、体が座面の上で細かく動きます。動くたびに毛がシートをこすります。高速で30分と、下道で30分では、同じ時間でも毛の崩れ方が違います。サロンからの帰りだけでも道を変えられるなら、それは立派な手の1つです。犬に何もさせずに条件を1つ減らせます。

崩れるのは全体ではなく、座面に触れていた面だけ|車から降りた犬に出る変化

帰宅して玄関で降ろしたとき、全体がぼんやり崩れて見えることがあります。ただ、実際に手で触っていくと、崩れているのは限られた場所だけです。座面に触れていた面と、帯が当たっていた線です。それ以外は、サロンを出たときの状態がだいたい残っています。この区別がつくと、帰宅後にやることが一気に減ります。

車から降りたあと、場所ごとに何が起きているか
場所何が起きているか戻せるか
腰・尾のつけ根体重が集中して、根元から寝ている戻せる。毛の流れに沿って起こす
後ろ脚の外側座面とこすれて向きがずれている戻せる
脇腹の下側つぶれたまま温度で乾き直している半分戻る。時間はかかる
ハーネスの帯の下線状に跡がついている戻せる。線に直角に手を入れる
首まわりほとんど触れていないそもそも崩れていない
背中の上側空気に触れていただけ触らなくてよい

この表で言いたいのは、手を入れる場所は5か所もないということです。全身をもう一度整え直そうとすると、犬のほうも「今日はもう十分だ」という顔をします。サロンで長時間立っていたあとに、家でまた同じことをされるからです。崩れた場所だけを、崩れた向きに戻す。トリミングでできた状態のうち、残っている部分には触りません。これなら、その子の負担も少なくて済みます。

もう1つ、車での移動そのものが苦手な犬もいます。移動中に口が乾く、よだれが出る、体が硬くなる。そういう子は、帰り道の30分で首元と胸のあたりが湿ります。この場所は毛が寝るだけでなく、湿りが残ります。座面の話とは別に見てください。乾いた布で押さえるように水分を取ってから、毛の流れを戻します。

なお、車を降りたあとに崩れが見つかっても、それをサロンに持ち込まないでください。次の予約のときに「前回すぐ崩れた」と伝えると、トリマーは仕上げの方法を変えます。崩れたのは車の中で起きたことで、仕上げの内容とは別の話です。伝えるなら、片道何分の車での移動があるか、という事実のほうを伝えると、道具や仕上げの相談がかみ合います。

降りる前の3分と、降りてからの2分|サロンに通う人が車での移動で積み上げる経験

ここからが実際の手です。合計5分、内訳は車を降りる前に3分、降りてから2分。車の中で終わらせるぶんを先に置くのが要点です。家に入ってからやろうとすると、荷物を置いて、手を洗って、という間に犬のほうが自分のペースに戻ってしまいます。移動の続きとしてやってしまうほうが、結果として早く終わります。

  1. 行く前:シートに布を1枚敷いておく

    行きの車に乗せるときに、座面へ1枚敷いておきます。目的は車の汚れ対策ではなく、帰りの車で毛がつかまる相手を、布の目の細かいものに替えておくことです。編み目の粗い布ほど毛をつかみます。行きにやっておかないと、預けてから慌てます。

  2. 降りる前・1分:座っていた面を、毛の流れに沿って起こす

    エンジンを止めたら、車内でそのまま。腰、尾のつけ根、後ろ脚の外側を、手のひらで毛の流れに沿ってなでます。道具は要りません。寝てから時間がたっていないうちなら、手のひらだけで戻ります。家に着くまで待つと、そのぶん乾き直しが進みます。

  3. 降りる前・2分:ハーネスの跡と、湿った場所を先に

    帯を外したら、跡がついた線に対して直角に、指を入れて毛を起こします。首元と胸が湿っているようなら、乾いた布で押さえて水分を取ります。湿りだけは、あとに回すと戻りません。ここまでで3分です。

  4. 降りてから・2分:全身ではなく、下側だけ通す

    玄関で足先を拭いたら、脇腹の下側と腹側を1周だけ手で通します。背中と首まわりには触りません。今日いちばん触れていない場所を、今日いちばん触らない。この割り切りができると、犬の側も5分で終わることを覚えます。

座面の話とは別に、首元と胸には手を入れておきたい理由があります。ここは、その子が自分では見えない場所です。前足でこすることはできても、湿りが残っているかどうかも、毛の流れが戻ったかどうかも、犬の側からは確かめようがありません。車の中で口が乾いた子ほど、自分のよだれがついた首元のまま家に帰ることになります。

mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。首元と胸は、家に着いたあと前足をなめた口がそのまま触れにいく場所なので、口に入るものと同じ基準でつくられていることが、車に積みっぱなしにしておける条件になります。使うのは、乾いた布で水分を取ったあと、帯の跡がついた線に沿って一往復するときだけです。次の予約までの4〜6週間、同じ手を帰り道の車の中で繰り返します。トリミングから帰ったその日に全身を洗い直すのは、せっかく乾かしてもらった地肌をもう一度濡らすことになります。

通っている人の経験として積み上がるのは、たいていこの2つです。1つは、行きの車では何もしなくていいと分かること。もう1つは、帰りの5分を車の中に置くと決めてしまうこと。どちらも技術ではありません。犬に新しいことを覚えさせる必要もありません。移動という同じ枠の中で、手を置く位置を後ろへずらしただけです。

Caution崩れではなく、皮膚の変化に見えるとき

トリミングから帰ったあと、特定の場所を続けてなめる、皮膚が赤い、ぽつぽつしたものが出ている、じくじくしている、触ると痛がる、毛が根元から抜けて地肌が見えている、においが日ごとに強くなる。こうした変化は、車のシートでの毛の崩れとは別のものです。手入れの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。移動が苦手で、車のたびに体調を崩す場合も、相談する価値があります。

最後に。犬とトリミングに通う暮らしで動かせる時間は、そう多くありません。サロンでの時間はトリマーのもの、家での毎日のケアは長い時間をかけて積み上げるもの。そのあいだにある帰り道の30分だけが、まだ誰も手を入れていない時間です。車での移動は避けられませんが、降りる前の3分をそこへ置くことはできます。次の予約までを決めているのは、案外この5分です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。