C09シーン別・暮らし

ドッグカフェを楽にする、大型犬と暮らす人の毎日の習慣

公開日 2022年10月22日|文=mofuwa編集部

明るい店内の木の床に、体の側面をつけて伏せている大きな犬
席についているあいだ、体でいちばん長く何かに触れているのは、背中ではなく床に接している側です。写真:K/Pexels

ドッグカフェの席についてから帰るまで、その子が立っていた時間は、たぶん5分もありません。注文して、料理が来て、少し話して、会計をする。その40分から60分のあいだ、体はずっと床の上にあります。大型犬は膝にも椅子にも乗らないので、テーブルの下に体の側面をつけて伏せるしかありません。抜け毛とにおいが「その日だけ他人の側の問題になる」のがこの場面の性質ですが、大型犬にはもう一段手前の条件があります。店の床が、そのままその子の体につく、という条件です。この記事では、席についているあいだに体のどこが何に触れているのかと、帰ってからどこへ手を戻すのかを書きます。

席についてからの40分、体は床の上にあります|大型犬がドッグカフェで伏せる時間の背景

ドッグカフェに入って、案内された席につく。そこから先、小さな子には行き先がいくつかあります。カートの中、椅子の上、飼い主の膝。座面の高さに逃げられるので、床にいる時間は短くて済みます。大型犬にはその選択肢がありません。テーブルの下に入り、体を横向きにして、床に伏せる。ドッグカフェで大型犬が取る姿勢は、ほとんどこれ一択です。

この差は、時間で見ると大きくなります。滞在が1時間なら、そのうち立っているのは入店と退店の前後だけです。残りの50分以上、体の側面と腹は、店の床に接し続けています。しかも大型犬は接している面そのものが広い。面積と時間の両方が同時に大きくなるので、床という条件の重みが、体格ごとに変わってきます。

床がどういう場所かも、あわせて見ておきます。ドッグカフェの床は、その日に入店した人の靴の裏が全部通った場所です。前の時間帯にいた子が伏せていた場所でもあります。水がこぼれ、拭かれ、乾いた場所でもあります。掃除が行き届いているかどうかの話ではありません。ドッグカフェという業態そのものが、床を共有する場所として成り立っている、という話です。

同じ1時間の滞在で、体のどこが何に触れているか
床に接している時間触れているもの
背中・首まわりほぼゼロ空気だけ
体の側面(下になる側)50分前後床。体重がかかっている
腹・鼠径部50分前後床。毛が薄く、皮膚が近い
肘・前脚の外側50分前後床。骨が当たって圧が集中する
尾のつけ根・後ろ脚の内側断続的床と、立ち上がるときの摩擦
口まわり数分水の器と、置かれた床

帰ってから多くの方が手を入れるのは、背中と首まわりです。目に入る場所で、触りやすく、ブラシも当てやすい。けれど表を見ればわかるとおり、その日いちばん何にも触れていないのが、まさにその背中です。大型犬とドッグカフェへ行った日は、手を入れる場所そのものを、いつもの毎日のケアからずらす必要があります。

Note「うちの子はおとなしいから大丈夫」とは別の話です

席で騒がない、他の子に近寄らない、というのは行儀の話です。ここで書いているのは、おとなしく伏せているほど床との接触時間が延びるという、姿勢と時間の話です。じっとしていられる子ほど、この条件は強くなります。ドッグカフェで大型犬が褒められる振る舞いと、体につくものの量は、逆方向に動きます。

腹・脇・肘・尾のつけ根|大型犬がドッグカフェから持ち帰るものと、被毛に起きる変化

伏せた姿勢で床に接している場所を、もう少し細かく見ます。体の側面のうち、実際に強く当たっているのは全面ではありません。肘、肩の外側、腰骨、尾のつけ根。骨が出ている場所に圧が集中します。そのあいだの腹と脇は、圧は弱いかわりに、毛が薄くて皮膚が床に近い。条件の質が、2種類に分かれます。

圧がかかると何が変わるかというと、毛の立ち方です。ふだん被毛は根元から立ち上がっていて、そのあいだに空気の層があります。体重で押しつけられているあいだ、この層がつぶれます。つぶれた状態で床のものが当たると、毛の表面ではなく、毛の内側の層まで入ります。これが、大型犬のドッグカフェで起きる変化のうち、外から見えにくいほうです。

においも同じ経路をたどります。ドッグカフェの空気には、料理のにおいと、その日そこにいた子たちのにおいがあります。空気の中のにおいは被毛の表面につくので、玄関で拭けばだいぶ落ちます。ところが床から入ったにおいは、圧がかかった面の内側にあります。帰宅して数時間たってから、寝床のあたりで気づくのはこちらです。被毛の表面ではなく、内側から遅れて出てきます。

ここまで並べると、大型犬とドッグカフェの組み合わせで手を入れる場所が、はっきりしてきます。全部が体の下側です。ふだんの毎日のケアで背中と首まわりに時間を配っているなら、ドッグカフェの日だけは配分を反転させることになります。上から下へ順にやっていくと、いちばん条件が強い場所が最後に来て、たいてい途中で終わります。

Point帰ってすぐ、体の下側を1周だけ見てください

大型犬は体重で持ち上げられないので、腹側を見るには自分がしゃがむか、その子に立ってもらうしかありません。玄関で立ったまま、体の下へ手を滑らせて1周する。これだけで、湿っている場所と、毛が寝たまま戻っていない場所がわかります。ドッグカフェから帰った直後は、まだ床の跡が残っているので、いちばん見つけやすいタイミングです。

2回め3回めで手が前の晩から帰宅後へ移る|大型犬とドッグカフェを重ねた経験の順番

初めて大型犬をドッグカフェへ連れて行く前の晩、たいてい手はこちらに寄ります。念入りにブラッシングして、抜け毛を落として、においを気にして、当日の朝にもう一度整える。他人の側に迷惑をかけないように、という気持ちが全部「行く前」に集まります。これは自然な順番ですが、2回め3回めと重ねると、配分が変わっていきます。

2回めで気づくのは、前の晩にどれだけ整えても、席で伏せた時点でその状態が終わっている、ということです。毛の流れはそろえた側から寝ますし、床に接した面はその場でつきます。前の晩の手は、店に入るまでの状態しか作れません。ドッグカフェで大型犬に起きることの大半は、席についたあとに起きています。

3回めあたりで、手の置き場所が動きます。前の晩は抜け毛を落とす一回で終わらせて、そのぶん帰宅後に時間を残す。この入れ替えができると、同じ総量の手で、届く場所が変わります。経験として積み上がるのは技術ではなく、どこに時間を置くかという配分のほうです。

  1. 1回め:前の晩に8割、帰ってから2割

    抜け毛を落とし、においを気にして、朝にもう一度手を入れる。帰ってきたら足だけ拭いて終わり。いちばん手をかけているのに、いちばん届いていない配分です。大型犬は面積が広いぶん、前の晩の作業そのものが長くなるので、帰宅後に体力が残りません。

  2. 2回め:席で伏せた瞬間を見ている

    テーブルの下に入って体を横にした時点で、前の晩に整えた面が床についた。それを見て、順番が違うと気づきます。この気づきがないまま5回10回と通うと、毎回ドッグカフェの前の晩が重い日になり、そのうち行く回数のほうが減ります。

  3. 3回め:前の晩を1つに減らす

    前の晩は抜け毛を落とす一回だけ。朝の手は入れません。整えるのではなく、落ちるものを先に落としておくだけです。店で床につくことが前提なら、行く前の状態を高くしても意味が薄い。大型犬の場合、この一回で体力も温存できます。

  4. 4回め以降:帰宅後の順番が体の下側から始まる

    玄関で足を拭いたら、次は背中ではなく腹側です。伏せていた面から先に手を入れて、最後に背中と首まわりで整える。下から上へ。ドッグカフェの日だけ、毎日のケアの順番をひっくり返す、という形に落ち着きます。

席の選び方も、経験で変わる部分です。大型犬はテーブルの下に体が収まりきらないので、通路にはみ出す前提で場所を選ぶことになります。壁際なら片側が塞がれて、伏せる向きが決まります。向きが決まると、床に接する側も毎回同じ側になります。これは悪い話ではなく、帰ってから見る場所が固定できる、という意味です。毎回どちらを下にしていたかを覚えておくと、手を入れる場所が半分になります。

席を立つ前に半分終わっている|大型犬とドッグカフェへ行く日の考え方

ここまでを一本にまとめると、大型犬とドッグカフェの日の考え方は、次の一行になります。床に接していた面から手を入れて、そのあと見える場所を整える。順番がこれだけ変わると、同じ時間でも届く場所が違ってきます。ドッグカフェで大型犬が持ち帰るものは、そのほとんどが体の下側にあるからです。

実際の手順としては、玄関を上がる前に足先、上がってすぐに腹と脇、そのあと肘と尾のつけ根、最後に背中です。乾いた布で先に表面を落としてから、必要な場所だけ湿らせた手を入れます。濡らす場所を決めてから濡らす、という順にすると、大型犬でも5分から10分で終わります。全身を同じ強さで扱おうとすると、面積のぶんだけ終わりません。

腹・脇・肘・尾のつけ根は、その子が自分では届かない場所です。大型犬は体を丸めても口が回りきらず、伏せているあいだ床に押しつけられていた面ほど、自分の毛づくろいが入りません。ここだけは人が代わる場所だと考えてください。乾いた布を毛の流れに沿ってなでるように当てて、圧で寝ていた毛を起こしながら、床に接していた側を一周します。

その週に洗う日をつくるなら、選ぶ基準も変わります。mofuwa モイストシャンプーは、洗浄成分をアミノ酸系だけにして量も減らし、減らしたぶんを原料の水に使った電解水が埋めています。落としすぎないぶん洗い上がりがごわつかないので、あとから戻すためのトリートメントの工程が要りません。大型犬は工程が1つ増えるだけで、浴室にいる時間が10分単位で延びます。ドッグカフェへ行った日の夜に洗うなら、その1工程ぶんを、脇と鼠径部を乾かしきる時間のほうへ回してください。

ドッグカフェの日と、そうでない日で、手の置き場所を変える
ふだんの日ドッグカフェの日
前の晩とくに何もしない抜け毛を落とす一回だけ
出かける前散歩の支度手を足さない
帰宅直後足先を拭く足先→腹→脇→肘→尾のつけ根
最後に背中を軽く通す背中と首まわりで整えて終わり
翌日に見る場所とくになし脇の下と鼠径部が乾いているか

翌日に一度だけ見てほしいのが、脇の下と鼠径部です。伏せているあいだ閉じていて、風が通っていなかった場所だからです。翌日になっても湿っている、赤みが出ている、その子が気にしてなめている。このどれかがあるときは、床の条件で説明できる範囲を超えています。ドッグカフェの回数を減らす前に、そこを見てください。

Caution早めに動物病院へ相談したほうがよいとき

同じ場所を続けてなめている、皮膚が赤い、じくじくしている、においが日ごとに強くなる、触ると痛がる、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。大型犬は体の下側が自分の目に入りにくく、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったときは早いほうを選んでください。

最後に一つ。ここまで床の話ばかり書きましたが、ドッグカフェへ行くこと自体を減らす提案はしていません。大型犬にとって、一緒に外で座っていられる場所は多くありません。減らせるのは行く回数ではなく、床に接していた面が手つかずのまま夜を越える時間のほうです。席を立ったあとに何をするかを決めておけば、その日の半分はもう終わっています。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。