C09シーン別・暮らし
新幹線・飛行機、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?
新幹線に乗る日が3週間後に決まっていても、その子にとってキャリーはまだ「昨日から部屋にある知らない箱」です。ペットと一緒に遠くへ行く話は、ふつう当日の持ち物と乗り換えの段取りから始まります。ところが保護犬・保護猫を迎えたばかりの家では、その手前で一度止まります。キャリーに入ること自体が、まだ練習中だからです。触られることに慣れていない子に、抱き上げて入れる、という手は最初から選べません。この記事では、なぜそこで止まるのかを先に書いて、そのあとに、移動の日から逆算して家でキャリーを触れる場所に変えていく手順を置きます。
移動の日より先に、キャリーの中身が決まっていません|新幹線にペットと乗る前に家でできることの範囲
新幹線でペットと移動する、という話を調べると、出てくるのはたいてい当日のことです。何を持っていくか、いつ水を飲ませるか、どこで休むか。どれも「キャリーに入っている」ことが前提になっています。保護犬・保護猫を迎えて日が浅い家では、この前提のところで一度止まります。入る・入らないが、まだ決まっていないからです。
先に線を引いておきます。乗るときの条件は利用する会社ごとに違うので、必ず事前にその会社の案内で確認してください。この記事で書くのは、家の側でできることだけです。新幹線の日までに、その子とキャリーのあいだで何を進めておけるか。保護犬・保護猫を迎えた家では、ここがいちばん時間のかかる部分になります。
なぜ時間がかかるのかというと、「抱き上げて入れる」という手が最初から使えないからです。触られることに慣れていない子にとって、持ち上げられることも、狭いところへ入れられることも、同じ日に初めて起きる出来事になります。人の側の作業として1分で終わらせられるなら悩みませんが、それをやると、キャリーはその子にとって「連れて行かれる箱」として記憶されます。1回で決まってしまうので、やり直しがききません。
| 誰が決めることか | この記事で扱うか | |
|---|---|---|
| 乗るときの条件・手続き | 利用する会社の案内 | 扱いません。事前に確認を |
| 当日の持ち物と時間配分 | 飼い主が組める | 最後に少しだけ |
| キャリーに入るかどうか | その子が決める | この記事の中心 |
| キャリーの中の布 | 飼い主が用意できる | 扱います |
| 練習をどこまで進めるか | その子の様子が決める | 扱います |
表の3行目だけ、決める人が違います。ここだけは飼い主が決められません。だから、日付から逆算して「今週までにここまで」と決めるやり方が、保護犬・保護猫ではうまく回りません。逆算するのは進み方ではなく、始める時期のほうです。新幹線の日が決まっているなら、少なくとも3週間前、できれば1か月前からキャリーを部屋に出します。
うちに来る前にどんな暮らしだったかは、たいてい分かりません。分からないまま進めて大丈夫です。推し量ろうとすると、目の前で起きていることより想像のほうを見てしまいます。見るのは、今日この部屋でその子がキャリーの何メートル手前にいるか、という事実だけで足ります。新幹線の日までに必要な情報も、それで全部です。
3週間かけて、箱を通り道に変える4つの手順|新幹線とペットの日から逆算する
ここからが手順です。全体で3週間、1手順あたりだいたい5日から7日。目的は「入れるようになること」ではなく、キャリーが部屋の一部として扱われるようになることです。入るかどうかは、その結果として後からついてきます。保護犬・保護猫を迎えた家では、この順番でしか進みません。
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1週目:分解して、底だけを床に置く
上半分と扉を外して、底の部分だけを床に置きます。ふたのない、ただの浅い皿のような形です。置く場所は、その子がいつも通る道の脇。部屋の隅ではありません。近づけようとせず、名前も呼ばず、そこにあることだけを1週間続けます。この週にやることは、置く、それだけです。
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2週目:その子のにおいがついた布を1枚のせる
寝床で使っている布や、その子がよく乗っているタオル地のものを、底の上に1枚のせます。洗いたてのものは使いません。においが自分のものだと、そこは知っている場所になります。乗ったとしても、褒めたり近づいたりしないでください。反応があると、そこは人が来る場所になってしまいます。新幹線の日はまだ2週間先です。急ぐ必要はありません。
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3週目:上半分を戻す。扉はつけない
上半分をかぶせて、キャリーの形に戻します。扉は外したままにするか、開いた状態で固定します。閉じられる可能性がある、という状態を作らないのが要点です。ここで一度、近づかなくなる子がいます。それが普通です。近づかなくなったら、上半分をまた外して2週目へ戻してください。戻ることは失敗ではありません。
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4週目(移動の1週間前):横に人が座る時間を作る
キャリーの1メートルほど横に、飼い主が座ります。触らず、見ず、ただ数分そこにいる。キャリーの近くに人がいても何も起きない、という時間を作るのがこの週の目的です。その子が中に入ったら、そのまま何もしません。出てきても何もしません。ここまでで、家でできることの大半は終わっています。
4つ並べてみると、どれも「やらないこと」で構成されているのが分かると思います。置く、のせる、戻す、座る。手を出す手順が1つもありません。保護犬・保護猫のキャリー練習で人の側が持てる手は、実はこれだけです。触ることに慣れていない子に対して、こちらの手数を増やすほど、その子の側の許容は狭くなります。
移動の日に扉は閉まります。でも、その前に家で何度も閉めて慣らす、という手順は入れません。閉めた回数だけ、キャリーは閉まる場所として覚えられます。3週間かけて作るのは「入っても何も起きない」という記憶のほうです。当日に1回閉まることと、家で10回閉まることでは、その子にとっての意味が違います。
1回の長さではなく、置いておく時間の総量で見る|保護犬・保護猫のキャリー練習でつまずく頻度の決め方
手順そのものより、つまずきやすいのは頻度です。「1日1回、30分がんばる」という形にすると、たいてい2日で止まります。人の側が見張ることになるからで、見られていると、その子はキャリーに近づきません。新幹線の日までの日数を数えるほど、この形になりやすくなります。
| やりがちなこと | 何が起きるか | 代わりに |
|---|---|---|
| 1日1回、まとめて長く見る | 見張られる時間になる | 置きっぱなしにして、見ない |
| 毎日「今日は入った?」と確認する | 近づくと人が来る、と覚える | 週に1度だけ振り返る |
| おやつで中まで誘導する | 入り口が課題として記憶される | 布のにおいだけで足りる |
| 進まない週に手順を戻さない | その場所ごと避けるようになる | 1つ前へ戻す。戻すのは正しい |
| 移動の3日前から急に増やす | 直前だけ条件が変わる | 3週間前から始める。増やさない |
実際に数えるとしたら、回数ではなくキャリーが部屋に出ている時間の総量です。1日24時間そこにあるなら、それが練習になっています。人が関わっている時間はゼロで構いません。保護犬・保護猫のキャリー練習でいちばん働くのは、人が何もしていない時間のほうです。ペットと新幹線に乗る日が決まっていても、この部分は早められません。
進み方には幅があります。3週間で中で寝るようになる子もいれば、1か月たっても底の上に前脚だけ乗せて終わる子もいます。どちらも、進んでいないわけではありません。前脚が乗るところまで来ているなら、当日にキャリーを開けて待つ形が取れます。抱き上げて入れるしかない状態とは、当日の負担がまるで違います。
それから、猫と犬で見るところが少し変わります。犬は人のほうを見て動くことが多いので、飼い主が離れているかどうかが効きます。猫は場所そのものを評価するので、置いた位置が合っているかが効きます。どちらも「その子がその場所をどう思っているか」を見る、という点では同じです。保護犬・保護猫という括りで一つの正解を決めず、目の前の反応で決めてください。
降りたあとにキャリーを片づけない|新幹線でペットと移動した家の、そのあとの毎日
当日のことを少しだけ書いておきます。中に敷く布は、練習で使っていたものをそのまま入れてください。洗いたてに替えると、その子にとっては別の場所になります。3週間かけて作ったにおいの記憶が、当日の朝に消えてしまいます。移動が終わってから洗えば足ります。
降りたあと、どこでキャリーから出すかを先に決めておきます。宿でも実家でも、静かで、扉が閉まる部屋を1つ。着いた場所でいきなり開けず、部屋に入ってから開ける。開けたあとは、こちらから出そうとしません。出てくるまでキャリーを置いたままにしておけば、その子にとってそこは戻れる場所として残ります。ペットと新幹線で移動した日ほど、戻れる場所があるかどうかが効きます。
- 布は替えない:練習で使っていたものを、そのまま当日も使います
- 出すのは部屋に入ってから:着いた直後の玄関先では開けません
- 出てくるまで置いておく:キャリーを戻れる場所として残します
- 帰ってからも片づけない:家に戻ったら、また通り道の脇に置きます
- 体に触るのはいちばん最後:移動の直後にまとめて手入れをしません
最後の項目について補足します。長い移動のあとは、毛が寝ていたり、におうように感じたりします。そこで全身を洗うと、その日1日でその子に起きたことが多すぎます。まずは布を替えて、体は乾いた布で軽く拭くところまで。皮膚の状態を見るのは翌日で構いません。保護犬・保護猫を迎えたばかりの家では、触る回数そのものが条件になるので、手を足さないという選択に価値があります。
背中の中ほどと首の後ろは、犬も猫も自分の口が届きにくい場所です。長い移動のあとに毛が寝たまま残るのも、におうように感じるのも、たいていこの帯のあたりです。猫は着いた先で毛づくろいを再開しますが、届くのは前脚とわき腹から先までで、背中の中ほどは自分では戻せません。ここだけは、人が代わることになります。
mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。その子に直接吹きかけるのではなく、布に含ませてから、背中を毛の流れに沿って1回なでてください。音と風が出ないので、触られることに慣れていない子に、その日はひとつも新しい条件が増えません。含ませた布から口へ回る量を数えなくていいことが、毛づくろいを再開したばかりの子に使える理由です。移動の翌日に被毛が寝たままの場所だけ、そこに手を入れる。毎日全身を扱う必要はありません。
水を飲まない、食べない状態が半日以上続く、下痢や嘔吐がある、呼吸が速いままもとに戻らない、同じ場所をなめ続けている、皮膚が赤い、じくじくしている、触ると痛がる、隠れたまま2日以上出てこない。いずれかに当てはまるときは、様子を見ずに動物病院にご相談ください。移動の前に一度受診して、その子の状態を診てもらっておくと、当日に何を見ればよいかも分かります。迎えて日が浅いうちは、そちらの順番のほうが安心です。
そして、キャリーは片づけないでください。移動が終わったからしまう、というのを1回やると、次の機会にまた3週間が要ります。通り道の脇に置いたままにしておけば、それは箱ではなく家具になります。新幹線でペットと移動した経験が次に生きるのは、当日の段取りではなく、この置きっぱなしの毎日のほうです。保護犬・保護猫を迎えた家で積み上がるものは、たいていこういう形をしています。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- キャリーの練習を始める前に、短い距離で乗り物に慣らしたほうがいいですか?
- 順番としては逆です。キャリーが安心できる場所になっていない段階で乗り物に乗せると、揺れと音がキャリーの記憶に足されます。まず家でキャリーが通り道になるところまで進めて、そのあとに移動の距離を短いところから足していくほうが、戻る場面が少なくて済みます。
- 練習が思ったほど進まないまま、移動の日が来てしまいました。どうすればいいですか?
- 進んだところまでで組み直します。前脚が乗る程度でも、キャリーを開けて床に置いて待つ形が取れます。抱き上げるしかないときは、体全体を支えて、頭からではなく後ろ足の側から入れます。その日は移動そのものが目的なので、練習の続きをやろうとしないでください。
- キャリーの中で鳴き続けます。声をかけたほうがいいですか?
- 声をかけると、鳴いたときに人が来るという形になります。落ち着いているタイミングで一度だけ短く声を出して、鳴いているあいだは何もしないほうが、結果として早く静かになります。上から布を1枚かけて視界を狭くすると、それだけで落ち着く子もいます。呼吸が速いままのときは、途中で一度止まって様子を見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
