C12Q&A・豆知識

低刺激とは?誰にとって低刺激なのか

公開日 2022年10月28日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色のブランケットの上に落ち着いて寝そべっているクリーム色の猫
表示の言葉そのものより、その裏で誰を対象に何を調べたかのほうが手がかりになります。写真:Yori H/Pexels

ボトルの正面に「低刺激」と印刷されていて、裏の成分表を最後まで読んでも、その4文字がどの成分から来ているのかは書かれていません。低刺激とは、刺激が起きにくいように設計した、という意味です。定義としてはそれだけで、刺激が起きないという保証ではありません。そして、この言葉にはもう1つ抜けているものがあります。主語です。誰にとって低刺激なのかが、たいてい書かれていません。人の肌なのか、犬なのか、猫なのか。健康な皮膚なのか、荒れている皮膚なのか。試験があるのなら、誰を対象に、どういう条件で調べたのか。この記事は、低刺激という表示を疑ってかかる話ではありません。言葉の代わりに何を読めばいいのか、という話です。成分の名前を一つずつ見てきた一連の記事の、締めにあたる回になります。

低刺激とは、刺激が起きにくいように設計したという意味です

定義を先に置きます。低刺激とは、刺激が起きにくいように設計した、という意味です。ここで語られているのは、つくり手が何を目指したかであって、使った結果どうなるかではありません。設計の話と、結果の話は別です。この2つが同じ言葉の中に同居しているところに、この言葉の読みにくさがあります。

では、そもそも刺激とは何を指すのでしょうか。皮膚の側で言えば、赤みが出る、かゆがる、しみるような反応が出る、といった変化のことです。刺激は、ものの側だけで決まりません。同じものを同じ量つけても、皮膚の状態が違えば反応も変わります。乾いているとき、こすれた直後、洗ったばかりのとき。条件が動くと、結果も動きます。だから、ものの側だけを見て「刺激がない」と言い切ることは、そもそもできません。

低刺激という言葉が答えていないことを、並べてみます。

5つとも、言葉のほうには入っていません。低刺激とは、答えではなく、設計の方向を示す言葉です。方向が書いてあるだけなので、どこまで進んだのかは別に確かめる必要があります。この記事の残りは、その確かめ方の話になります。

Note「低刺激」は、法律で定義が決まっている表示ではありません

医薬品のように、名乗るための基準が1つに決まっている言葉ではありません。だから、つくり手ごとに中身が違います。これは「いいかげんだ」という意味ではなく、「言葉だけでは比べられない」という意味です。ある会社は人の皮膚での試験を根拠にしているかもしれませんし、別の会社は配合を絞ったことを指しているかもしれません。どちらも嘘ではありません。ただ、同じ4文字が違うものを指している以上、表示の横並びでは判断できません。

「低刺激」に主語がない背景|誰にとってかが書かれないまま広がった理由

この言葉は、もともと人向けの化粧品の文脈で使われてきたものとされています。人の肌を対象にした試験の枠組みがあり、その周辺で使われていた言い方が、犬や猫のためのものにも広がってきた——そういう経緯があると考えられます。言葉だけが先に移り、対象のほうは移らなかった。主語が抜けている背景には、この移動があります。

人向けの製品でも、「すべての方に刺激が起きないわけではありません」という但し書きが、低刺激という表示のそばに小さく添えられていることがあります。あの一文は、表示の限界を書いたものです。つくり手の側は、言葉が保証にならないことを知っています。知っているから、断りを添えています。読む側がそこまで読むかどうかが、分かれ目になります。

犬や猫のためのものになると、話はもう一段ややこしくなります。皮膚の厚さや被毛の条件が人とは違うとされていて、人を対象にした試験の結果を、そのまま重ねることができません。さらに、犬と猫でも条件が違います。猫は自分の体をなめて手入れをする時間が長く、塗ったものが口に入る前提で考える必要があります。

低刺激という言葉が、どこで主語を落とすか
場面本来なら書かれるべき主語実際の表示
人向けの製品から言葉が移ったとき人の皮膚を対象にした「低刺激」だけが残る
犬猫向けに書き直されたときどちらの動物を想定したか犬猫共通として書かれる
皮膚の状態を問わず並べたとき健康な皮膚を対象にした状態の条件が消える
部位を限らずに書いたとき体のどこに使う想定か全身に使えるように読める

誤解のないように書いておきます。主語を書いていない表示が、まぎらわしいと言いたいわけではありません。限られた面積のラベルに、対象と条件と試験の中身を全部書くことは、現実には難しい。だから短い言葉になります。問題は表示の側にあるというより、短い言葉を、そのまま結論として受け取ってしまう読み方のほうにあります。読み方は、こちらで変えられます。

この記事で書きたいのは、そこから先です。低刺激という言葉を見たときに、何を追加で探しにいけばいいのか。その手順が決まっていれば、言葉の意味が会社ごとに違っていても困りません。理由は単純で、比べる対象が、言葉から条件に移るからです。

表示の裏にある試験の対象を読む|低刺激の考え方と、明日から変わる見え方

見るべきものは3つです。誰を対象に、どういう条件で、誰が調べたか。この3つがそろって初めて、その言葉が何を指しているかが決まります。逆に言えば、3つのうち1つでも書かれていなければ、その表示は判断材料にはなりません。使ってはいけないという意味ではなく、判断に使えないという意味です。

言葉として読むか、条件として読むか 同じ「低刺激」という表示でも、言葉のまま受け取るか、その裏の条件を探しにいくかで、手元に残る情報が変わります。 表示そのものは、どちらの読み方でも変わりません 言葉として読む 低刺激と書いてある やさしそう、と受け取る 他社の表示と横に並べる 書いていない製品は避ける 手元に印象が残る 条件として読む 誰を対象に調べたか探す どの部位に使う想定か見る 外部で調べたのかを見る 但し書きの一文まで読む 手元に条件が残る 条件が書かれていない表示は、悪い表示ではなく、比べられない表示です
残るのは印象か、確かめられる条件か、という違いです。

3つを、もう少し具体的に開きます。対象は、人か、犬か、猫か。そして健康な皮膚か、荒れている状態か。条件は、どこに、どれだけの量を、どのくらいの回数、どれくらいの時間つけたのか。調べた人は、自社の中で確かめたのか、外部の検査機関に出したのか。どれも、その気になれば商品ページや同梱の説明に書ける情報です。書いてあるかどうかを見にいくところまでが、読む側の仕事になります。

具体例を1つ挙げます。目のまわりに使えるかどうかは、低刺激という表示では決められません。目に関する刺激を調べる試験を通っているかどうかで見ます。それが書かれていないなら、目のまわりには使わない。この線の引き方は、言葉の解釈をしなくて済むぶん、家で確実に運用できます。肉球、口のまわり、耳のふち。部位ごとに条件が変わるので、部位が書かれているかどうかは、そのまま判断材料になります。

家で確かめられること
見るところ何が分かるか書かれていないときの扱い
使ってよい部位の表示つくり手が想定した範囲書かれた範囲の外では使わない
対象の動物犬用か、猫用か、共通かなめる前提の子には慎重に
成分の並び何が中心になっているか分からないまま広い面に使わない
試験の有無と、調べた場所外部の目が入っているか自社の確認かどうかを分けて読む
但し書きの一文つくり手が引いている限界限界の記載がないほうが気になります

この読み方に切り替えると、明日から売り場の見え方が変わります。正面の大きな文字ではなく、裏面の小さな文字を先に読むようになるからです。低刺激と書いていない製品のほうが、条件を細かく書いていることもあります。逆に、書いてあっても条件が一切ない製品もあります。どちらが良い悪いではなく、手元に条件が残るほうを選べる、というだけのことです。

Point最初に使う日は、範囲と量のほうを条件にします

どんな表示のものでも、初めて使う日にやることは同じです。狭い範囲から、1日1か所。背中の一部など、その子が気にしにくい場所で始めて、その日と翌日の様子を見ます。全身に広げるのは、そのあとです。表示を読む作業は、この手順を省くためのものではありません。省けないからこそ、条件のほうを確かめておく価値があります。

mofuwaが「低刺激です」と書かない理由|確かめたことと、そこから言えないこと

最後に、自分たちの話を書きます。mofuwa は「低刺激です」と一言で書きません。書かないのは、その一言が、ここまで見てきたとおり主語も条件も持たないからです。代わりに書けるのは、何を確かめたか、という事実のほうです。以下は、確かめた内容と、その条件です。

並べたうえで、ここから言えないことも書いておきます。上の5つのどれをもってしても、「すべての子に刺激が起きません」とは言えません。皮膚の状態はその子ごとに違い、季節でも変わります。同じ製品でも、合う日と合わない日があります。試験は条件を決めて行うもので、家の毎日には条件がありません。そこに橋を架けられると書いてしまうと、それはもう試験の話ではなくなります。

だから、次のような書き方はしません。

低刺激なので、どんな皮膚の子にも安心して使えます 試験を通っているので、刺激が起きることはありません

どちらも、読む側にとっては分かりやすい一文です。ただ、条件を落として言い切ると、確かめた内容そのものの意味が薄くなります。試験は、言い切るために行うものではなく、どこまで言えるかを決めるために行うものだと考えています。低刺激という言葉を使わないのも、同じ理由からです。

確かめたことと、そこから言えること・言えないこと
確かめたこと言えること言えないこと
清涼飲料水の規格基準をクリアした成分成分がその基準を満たしている口に入れるためのものである、とは言えない
30〜60秒後に生菌が検出されなかった(試験条件下・検査機関による)その条件でそういう結果が出た家のどんな場面でも同じ結果になる、とは言えない
特許5253483(三室ダブルイン型 電解分解技術)技術として登録されている体に対する結果が証明された、とは言えない
8つの成分を使っていないその8つが入っていない入っていないから刺激が起きない、とは言えない
Caution皮膚に変化が出たときは、製品の表示を読み直す前に相談してください

赤みが出た、かゆがる回数が増えた、同じ場所をなめ続ける、脱毛やフケが増えた、触ると痛がる。こうした変化があるときは、使っているものの表示を読み比べる前に、動物病院にご相談ください。いつから、どこに、何を使っていたかをメモして持っていくと、切り分けが早く進みます。低刺激という言葉は、変化が出たあとの判断には使えません。使えるのは、いつ何をしたかという記録のほうです。

成分の名前を一つずつ見てきた記事は、ここでいったん締めになります。共通していたのは、入っている・入っていないでは読めないということでした。役割があり、設計上の折り合いがあり、確かめた条件がある。低刺激とは、その3つをまとめて1語に押し込んだ言葉です。押し込まれたものを開いて読むと、表示は判断の材料に変わります。

毎日のケアの中でできることは、表示を読み終えたあとにも残ります。体を拭かれた子は、人の手が離れた数分後に、自分で同じ場所へ口を持っていきます。内股も、脇も、肉球も、拭いたあとに舐めにいける場所です。表示を何度読み比べても、この順番だけは変わりません。だから家で先に決まるのは、刺激が弱いかどうかより、舐めたときに何が口に入るのかのほうです。

mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。成分表を1行ずつ追わなくても、口に入る前提でつくられているかどうかは、この一点で決まります。初めて使う日は、この記事で見てきた3つ(対象・条件・調べた人)と同じ順番で、狭い範囲から。内股を五百円玉ぐらいの面積だけなじませて、翌日に皮膚の色と被毛の様子を見る。洗う日は、その日のうちに乾かしきる。肉球のように硬くなりやすい場所は、少量ずつ。どれも、製品の側の言葉ではなく、その子の側の条件で決める作業です。

低刺激という言葉を探す作業は、売り場を出たところで終わります。狭い範囲から始めて翌日に見る、という手順のほうは、次に買うものが変わっても残ります。半年ぶん続けると、その子が何に反応しやすいかが、表示の言葉ではなく自分の記録として手元に貯まります。低刺激かどうかをその子について言えるのは、そのときになってからです。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。