C05犬種・猫種別ケア

ノルウェージャンフォレストキャットはなぜアンダーコートの詰まりが起きやすいのか。ダブルコートから考える

公開日 2022年11月8日|文=mofuwa編集部

明るい窓辺で、長い毛の猫が落ち着いて体を伸ばしている
外から見えている光沢は、上毛が油分をまとっている印です。手を入れる場所は、その内側にあります。

ノルウェージャンフォレストキャットの背中に手のひらを置いて、そのまま毛の流れに沿って滑らせると、ほとんど抵抗のないまま尾のつけ根まで届きます。指の腹には、うっすらと膜のような感触が残ります。上毛の1本1本が、油分をまとっているからです。アンダーコートの詰まりは、この滑りやすさから始まります。ブラシの歯も、手のひらとまったく同じように、この面の上を滑っていきます。歯先は上毛の表面をなぞって、そのまま毛先へ抜けていく。内側で浮いている下毛には、最初から触れていません。この記事では、上毛がなぜ滑るのかを先に書いて、そのあとで、分け目を作ってから下毛に触るという順番を並べます。

上毛が油分をまとって滑る|ノルウェージャンフォレストキャットを毎日とかしても届かない理由

ノルウェージャンフォレストキャットの被毛は二層でできています。外側にあるのが上毛で、長く、しっかりした手ざわりがあり、光を返します。その内側にあるのが下毛で、細く、密で、指でつまむとつぶれます。この二層のうち、外側の上毛だけが油分をまとっています。触ったときに手のひらがすっと滑るのは、毛が細いからではなく、この油分の膜が指との間に入っているからです。

この作りは、この猫種が育った土地の気候から来ています。ノルウェーの森は、冬が長く、雪と冷たい雨が繰り返し降ります。外側の毛が水を弾いて内側へ通さず、内側の細い毛が空気をためて体温を保つ。油分は、その外側の毛が水を弾き続けるために要るものです。余分な脂ではなく、二層の被毛が働くための一部だと考えてください。

ところが、この油分は手入れの側から見ると別の顔を持ちます。ブラシの歯を上毛に当てると、歯先は毛のあいだへ入る前に、油分の膜の上を横へ滑ります。歯は上毛の面に沿って進み、そのまま毛先へ抜けていく。手ごたえは軽く、通ったように感じます。けれど、歯先が下りた深さは上毛の表面までで、その内側にある層には触れていません。ノルウェージャンフォレストキャットのアンダーコートに手が届かない理由は、ここにあります。

同じことが、抜けた下毛の側にも起きています。下毛は季節ごとに根元から浮きますが、外へ出るには上毛のあいだを通らなければなりません。油分をまとった上毛は、浮いてきた細い毛を離さずに張り付かせます。浮いたのに出られない毛が、その場に留まる。留まった毛どうしが集まると、指で押したときに弾力のある面になります。アンダーコートの詰まりと呼んでいるのは、この状態です。

もうひとつ、猫の回だからこそ先に書いておきたいことがあります。ノルウェージャンフォレストキャットは、自分でよく毛づくろいをします。ざらついた舌は、それ自体がこまかい歯の並んだ道具です。ただし、その舌もまた、油分をまとった上毛の面を撫でて通ります。毛づくろいで整っているのは上毛の流れまでで、内側の層は、その子の舌でも同じように素通りされています。人が手を入れるのは、その子の毛づくろいが届いていない場所を代わる、という意味になります。

浮いた下毛が、外へ出られなくなるまで 根元で浮いた下毛は、外へ出るときに上毛のあいだを通ります。上毛は油分をまとっているので、細い毛が張り付いてその場に留まります。 下毛 根元で浮く 上毛 油分の膜 体の外 出る手前 外へ向かって動く 張り付いて止まる 上から通すだけの場合 歯が油分の面を滑る 浮いた毛はその場に残る 分け目を作ってから入れる場合 歯先が層の底に届く 浮いた毛が外へ出る
経路のどこにも、自然にほどける段階がありません。だから入口の側、上毛の面のほうに手を入れます。
Note毛が多いから詰まる、という話ではありません

ノルウェージャンフォレストキャットの被毛には量があります。ただ、アンダーコートの詰まりを決めているのは量ではなく、外側の毛が滑って、道具の歯を内側へ入れないという構造のほうです。量の話にすると、答えは「もっと長い時間ブラッシングする」になります。滑りの話にすると、答えは「歯を入れる前に分け目を作る」に変わります。かけた時間ではなく、歯先が下りた深さのほうを見てください。

分け目を先に作る|ノルウェージャンフォレストキャットのアンダーコートに家でできる順番

ここからが手順です。道具を増やす話ではありません。いま使っているコームやブラシを、上毛の面の上ではなく、開いた分け目の底に置き直すだけです。順番はいつも同じで、上毛を割ってから下毛に触る、この一方向だけです。逆にしないでください。分け目のないところへ歯を入れると、歯は必ず面の上を滑ります。

  1. 乾いた手のひらで、毛の流れに沿って1往復させる

    はじめに、その日の滑りを確かめます。手のひらが最後まで止まらずに進むなら、上毛の面はいつもどおりです。途中で引っかかる、毛先どうしが寄って束になっているなら、その日はまず上毛の流れを戻すところまでで終わりです。束になっている面に歯を入れても、下毛へは届きません。

  2. 毛の流れと直角に、指を1本立てて分け目を作る

    上毛を左右に押し開くのではなく、指を1本立てて、線を引くように差し込みます。開いた線の底に地肌が見えるか、途中で毛に埋まって見えないか。見えないなら、そこが留まった下毛の層です。ノルウェージャンフォレストキャットは上毛が長いので、指を寝かせると線が閉じます。立てたまま保ってください。

  3. 分け目の底に、コームの歯を寝かせて置く

    上から差し込まず、開いた線に沿って横から入れます。歯先が地肌に当たらない角度で寝かせ、線の底の毛だけを短くすくい上げます。1回ですくうのは、線1本ぶんの層だけです。ここで力を入れると、留まった毛ではなく生えている毛のほうが動きます。抵抗が出たら、その場所は今日の底です。

  4. 分け目の線を、1cmずつずらしていく

    1本の線が終わったら、その線を1cmだけ上へずらして、また指で開きます。同じことを3〜4回くり返せば、手のひらぶんの一帯に届きます。面をまとめて開こうとしないでください。線を細かく引くほど、歯先が下りる深さは安定します。ノルウェージャンフォレストキャットのアンダーコートに手が入るのは、この線の中だけです。

  5. 終わったら、上毛の流れを元に戻す

    分け目を開いたままにしないでください。最後に毛の流れに沿ってひと撫でして、上毛を寝かせ直します。上毛が寝ていることが、水と冷えを受け止める側の仕事です。ここまでを1か所ぶんとして、今日はこれで終わりにして構いません。

同じ道具でも、分け目のあるなしで届く深さが変わります
面の上から通す分け目の底から入れる
歯先が下りる深さ上毛の表面まで上毛の下、層1枚ぶん
手ごたえ軽い。すっと抜ける途中で止まる場所がある
取れてくる毛上毛に載っていた抜け毛内側に留まっていた下毛
見た目の変わり方すぐ整って見えるその場では変わらない
翌日の状態同じ場所がまた詰まる指が地肌まで届く
1回にかかる時間全身を早く回れる1か所ずつ。全身は回らない

手を入れる場所には順番があります。ノルウェージャンフォレストキャットで先に詰まるのは、首まわり、脇の下、後ろ脚のうしろ側の飾り毛、しっぽのつけ根の4か所です。どれも上毛が長く、その子の舌が最後に回ってくる場所です。1日で4か所を全部やろうとせず、今日は首まわりだけ、明日は脇の下だけ、と割り当てるほうが続きます。

Point見た目では、届いたかどうかが分かりません

上毛が長く、油分で流れがそろうので、内側に下毛が留まっていても外からは整って見えます。毛並みがきれいなことは、アンダーコートが通っている証明にはなりません。判断は指でします。膝に乗ってきたついでに首まわりへ線を1本引く、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。手ざわりの差は、数日で覚えられます。

回数を上げても、滑る面は滑ったままです|ノルウェージャンフォレストキャットとブラッシングの頻度

詰まりに気づいたとき、いちばん手を出しやすいのが頻度です。毎日を2回にする、1回を10分にする。けれど、歯が面の上を滑っているのなら、滑る回数が増えるだけです。ノルウェージャンフォレストキャットのアンダーコートで頻度が効いてくるのは、分け目を作る手順が入ってからです。順番が先、回数が後になります。

手を出しやすい3つと、代わりに動かす場所
やりがちなことそのとき起きていること代わりに変える場所
回数を1日2回に増やす面の上を滑る回数が2倍になる1回の中で、分け目を1本引く
力を入れて押し込む留まった毛ではなく地肌が持ち上がる歯を寝かせて、横から入れる
先に濡らして滑りを取る上毛が水を弾くので表面だけ湿る乾いた状態のまま線を開く
全身を一度に回そうとするどこも表面だけで終わる1日1か所に区切る
洗う回数を増やす油分と一緒に地肌のうるおいも減る洗う日を増やさず、線の数を増やす

洗う回数について、もう少し書いておきます。上毛の油分が留まった毛をまとめているのは確かです。けれど、そこから「洗えば減る」へは進めないでください。ノルウェージャンフォレストキャットは被毛の面積が広く、二層あるぶん、地肌まで乾かしきるのに時間がかかります。濡れた下毛が乾ききらないまま上毛の下に残ると、詰まりの側は前よりも動かなくなります。洗う頻度を上げる前に、乾いた状態で分け目が作れているかを見てください。

換毛期については、頻度ではなく線の本数で調整します。ふだんは1か所につき3〜4本の分け目で足ります。春と秋、下毛がまとまって浮く時期だけ、同じ1か所で線を6〜8本に増やします。1本あたりにかける時間は変えません。滑る面に対して、開く場所の数だけを増やすという考え方です。時期が過ぎたら、本数も元へ戻します。

Caution固まった面を、その日のうちにほどききらないでください

指が途中で止まる場所へ、歯を上から強く入れると、留まった下毛ではなく、生えている上毛と地肌を一緒に引っぱることになります。面は1回で終わらせなくて構いません。線を1本開いて、出せたぶんだけ外へ運ぶ。嫌がる、体をよじる、声を出すというときは、その日はそこで止めてください。翌日にもう1本ぶん進めるほうが、結果として早く終わります。

毎日きれいにしておきたい、という側の一手は、線を引く前に入ります。mofuwa のグルーミングスプレーは、乾いたままの上毛に使う道具です。直接吹きかけず、布に含ませてから、首まわりやしっぽのつけ根のように上毛の長い場所を、毛の流れに沿ってなでてください。上毛の表面に載っている抜け毛やほこりが先に減るので、次に指を立てたときに線が閉じにくくなります。ブラッシングスプレーでもあるため、乾いた季節に毛先が広がる日ほど、分け目を開く側が楽になります。舐めても問題のない基準でつくられているので、猫でも量を気にせず使えます。

洗う日と、そのあいだの日で、使うものを分けておくと決めやすくなります。洗う日は mofuwa のモイストシャンプー、あいだの日はグルーミングスプレーです。モイストシャンプーはアミノ酸系の洗浄成分を少なく抑えたうえで、原料の水に電解水を使っているので、洗い上がりがごわつかず、トリートメントの工程が要りません。二層の被毛を地肌まで乾かしきるだけで時間がかかる猫種なので、浴室にいる時間が1工程ぶん短くなるのは、飼い主の手間より先に、その子の側の話です。あいだの日は乾いたまま済むほうを使って、線を引く前の面をそろえておきます。

滑りでは説明がつかない詰まりに気づいたとき|線を開いても同じ場所が戻る場合

ここまでは、上毛の油分と滑りで説明のつく詰まりの話でした。分け目を作って線を開いていても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、道具や毎日のケアの話として片づけないほうが安全です。

Caution線を開いたときに、地肌の側を見てもらう目印

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、毛づくろいの回数そのものが減った、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、線の本数を6〜8本に増やす前に、動物病院にご相談ください。ノルウェージャンフォレストキャットは上毛の下が外から見えないので、変化が進んでから気づくことがあります。首まわり・脇の下・後ろ脚のうしろ側・しっぽのつけ根の4か所は上毛の下が見えないので、同じ場所が3日で戻るなら、その週のうちに見てもらってください。

相談やトリミングの前に確かめておくコツを3つ書きます。指が止まる場所はどこか、いつからそうなのか、その日に使った道具は何か。この3つをメモしておくと、被毛の作りで説明のつく詰まりなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に頑張って手を入れないでください。どこまでが留まった毛だったのかが分からなくなります。出しきれなかった面は、そのまま連れて行って構いません。

ノルウェージャンフォレストキャットと暮らすうえで、下毛が浮くこと自体はなくなりません。二層の被毛は、この猫が雪と冷たい雨の中で体温を保つためにそなえた作りだからです。減らせるのは浮く量ではなく、浮いた毛が上毛の内側に留まっている時間のほうです。滑る面には、先に線を引く。線の底から、層1枚ぶんだけ外へ運ぶ。ノルウェージャンフォレストキャットのアンダーコートで動かせるのは、そこです。

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よくある質問

ブラシは軽く通るのに、内側だけが詰まっているのはなぜですか?
上毛が油分をまとっているので、歯先が毛のあいだへ入る前に面の上を滑るからです。軽く通ったという手ごたえは、歯が上毛の表面をなぞった証拠であって、下毛に届いた印ではありません。指を1本立てて分け目を作り、その線の底に歯を置き直してください。届いた日は、途中で止まる場所が手に伝わります。
ノルウェージャンフォレストキャットは、自分で毛づくろいをしていても手を入れる必要がありますか?
その子の舌も、人の手やブラシと同じ面を滑っています。毛づくろいで整っているのは上毛の流れまでで、内側に留まった毛には届いていません。人が手を入れるのは、足りないところを補うというより、その子の舌が届かない場所を代わる、という意味になります。首まわりや後ろ脚のうしろ側から始めてください。
換毛期には、ブラッシングの頻度をどれくらい上げればいいですか?
回数より、1か所で開く分け目の本数を増やしてください。ふだん3〜4本のところを、春と秋だけ6〜8本にします。1本あたりの時間は変えません。頻度だけを上げると、上毛の面を滑る回数が増えるだけで、内側の層は前と同じ場所に留まります。時期が過ぎたら本数も元へ戻して構いません。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。