C05犬種・猫種別ケア
メインクーンのケア|毛玉を減らす3つの習慣
メインクーンが前足の内側をなめている時間を、一度だけ数えてみてください。同じ場所に、たっぷり1分は舌が当たっています。そのまま胸、肩、脇腹と進んでいきますが、腰やしっぽのつけ根まで届く前に、たいていは体勢を崩して切り上げます。毛玉ができるのは、この日に回りきらなかった場所です。舌そのものの大きさは、体が大きいからといって大きくなりません。届く面積は同じままで、回らなければならない面積だけが広い。だから1周が終わるまでの日数が延びます。この記事では、1日で1周できる体と、回りきらない体を並べて比べてから、人がどこを代わるかを3つの習慣にまとめます。
舌の大きさは、体に合わせて大きくなりません|メインクーンの毛玉が生まれる条件
猫の毛づくろいは、舌でするブラッシングです。表面にざらついた突起が並んでいて、これが被毛のあいだを通って抜け毛をかき出し、皮脂を毛先まで運びます。道具としてはよくできていますが、大きさが決まっているという一点だけが変えられません。体格の大きい子でも、舌が体に合わせて大きくなるわけではないからです。
メインクーンは、家庭で暮らす猫の中でも体が長く、被毛の面積が広い猫種です。北アメリカの寒い土地で、屋外の仕事を担いながら育ったと言われています。厚い被毛と長い胴は、寒さの中で暮らすために備わったものです。その体を、大きさの変わらない舌が1周する。ここに時間の差が生まれます。
だから、メインクーンの毛玉を「毛づくろいをさぼっている」という話にしないでください。同じ熱心さで毛づくろいをしても、体が広ければ1周にかかる日数が延びます。1日で回りきる体なら、抜けた毛はその日のうちに舌でかき出されます。2日、3日とかかる体では、かき出されるまでのあいだ、抜けた毛が根元に留まったままになります。
留まった毛は、そのまま静かに待っているわけではありません。生えている毛と一緒に体の動きで揺すられ、少しずつ向きを変えながら絡んでいきます。毛玉は、抜けた毛と生えている毛が編み合わさったものです。編み目が細かくなるほど、根元の側から締まります。メインクーンの毛玉が、表面ではなく地肌に近いところに芯を持つのは、この順番で育つからです。
- 舌が届く面積は変わらない:体が大きいほど、1周にかかる日数が延びます
- 被毛が長く、根元の側が密:抜けた毛が外へ出るまでの距離があります
- 抜けた毛が留まる時間が長い:毛玉は、留まった時間の長さでできます
- 換毛期には浮く量だけが増える:1周の速さは変わらないので、差が開きます
- 毛先ではなく根元から締まる:外から見つけたときには、すでに芯があります
よく毛づくろいをする子でも、メインクーンの毛玉はできます。回っている速さの問題ではなく、回らなければならない面積の問題だからです。ここを取り違えると、答えは「もっと自分でやらせる」になってしまいます。面積の話にすると、答えは「回りきらない場所を人が代わる」に変わります。人が手を入れるのは、その子の毛づくろいが届かない場所を代わるという意味です。
1日で1周できる体と、回りきらない体|メインクーンの毛玉を比較する
2つの体を、同じ項目で並べます。片方は、舌が1日のうちに全身を1周し終える体。もう片方は、1周の途中で日をまたぐ体です。比べるのは毛の量でも長さでもなく、抜けた毛が根元に留まっている時間のほうです。メインクーンは後者にあたりますが、これは優劣の話ではありません。手を入れる場所が違うだけです。
1周できる体では、その日に浮いた毛が、その日のうちに舌でかき出されます。根元に残る時間が短いので、抜けた毛は生えている毛と編み合わさる前に外へ出ます。毛玉になる前の段階で、毎日リセットがかかっている状態です。ブラッシングは、この1周を早める補助として働きます。
回りきらない体では、1周が2日、3日と延びます。前の日に浮いた毛が、まだ根元にあるうちに、次の日ぶんの毛が浮いてくる。溜まっていく側と、運び出す側の速さが逆転したところから、毛玉が始まります。この体では、ブラッシングは1周を早める補助ではなく、1周の一部を人が引き受ける作業になります。役割そのものが変わります。
| 1日で1周できる体 | 回りきらない体(メインクーン) | |
|---|---|---|
| 舌が1周する日数 | その日のうち | 2〜3日、換毛期はさらに延びる |
| 抜けた毛が根元にある時間 | 数時間 | 日をまたいで残る |
| 毛玉ができる場所 | できにくい | 1周の終わり側。腰・しっぽのつけ根 |
| 気づくきっかけ | 抜け毛が床に落ちる | 撫でた指が途中で止まる |
| 毛先と根元の状態 | どちらも動く | 毛先は動くが、根元が動かない |
| 人がすること | 1周を早める補助 | 回りきらない区画を代わる |
| 換毛期の変わり方 | 落ちる量が増える | 留まる量が増える |
この比較で大事なのは、メインクーンの毛玉ができる場所が、体のどこでもよいわけではないという点です。毛づくろいは、たいてい前足や顔まわりから始まって、胸、肩、脇腹へと進みます。腰やしっぽのつけ根は、順番として後ろのほうにあります。1周が途中で止まるなら、止まるのはいつも同じあたりです。毛玉が同じ場所に戻ってくるのは、その子の癖ではなく、順番の問題です。
うるおいの側も、同じ順番で薄くなります。皮脂は舌が毛先まで運ぶので、舌が最後まで回らなかった区画では、根元に皮脂が留まったまま、毛先だけが乾いた状態になります。毛先が乾くと静電気が起きやすくなり、毛どうしが寄ってさらに編み目が細かくなる。メインクーンの毛玉が冬に増えたように感じるのは、この重なりが理由のひとつです。
今日はどこが残ったか|メインクーンで毛づくろいが届かない場所の見分け方
毛玉を探すのではなく、今日の1周がどこで止まったかを探します。探し方の中心は目ではなく指です。抱き上げる必要はありません。膝の上や、寝そべっているところに手を伸ばして、次の順で確かめます。ここでは道具を持たないでください。
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毛の流れに沿って、手のひらを首から腰まで滑らせる
まず全体の手ざわりを見ます。途中で指が止まる場所があれば、そこを覚えておきます。この段階では止まった場所を触り込まないでください。止まった位置が、その日の1周の終点にあたります。
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止まった場所で、毛の流れと直角に指を1本沈める
毛を左右に開くのではなく、線を引くように差し込みます。指が地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返される深さが、そのまま留まった毛の厚みです。届くなら、そこは今日の1周に入っていた区画です。
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毛先と根元を、別々につまんで動かす
同じ場所で、毛先だけをつまんで動かし、次に根元の側をつまんで動かします。毛先は動くのに根元が動かないなら、そこはもう毛玉の段階に入っています。どちらも動くなら、まだ抜けた毛が留まっているだけの状態です。この差で、その日にやることが分かれます。
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腰・しっぽのつけ根・脇の下・後ろ脚の内側を、同じ順で回る
メインクーンで1周の終わり側になりやすい4か所です。1日で4か所を全部やろうとしないほうが続きます。今日は腰だけ、明日はしっぽのつけ根だけで足ります。人の側の1周も、日をまたいで構いません。
メインクーンの被毛は長く、毛先の流れがそろうので、根元に抜けた毛が留まっていても外からは整って見えます。毛並みがきれいなことは、1周が終わった証明にはなりません。判断は指でします。膝に乗ってきたついでに腰へ指を1本沈める、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。手ざわりの差は、数日で覚えられます。
人がどっちを代わるか|メインクーンの毛玉を減らす3つの習慣
ここからが毎日のケアです。習慣を3つ書きますが、3つを並べて毎日こなす形にはしていません。1日の中で決めることが1つ、1週間の中で決めることが1つ、1年の中で決めることが1つ。単位をずらしてあるので、忙しい週に1つ止まっても、残りの2つは動いたままです。人が代わるのは、その子の舌が回りきらなかった区画のほうです。
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習慣1:1日の中で、後ろ側の1か所だけを代わる
撫でるついでに、腰かしっぽのつけ根のどちらか1か所を選びます。毛の流れと直角に指で線を引き、その線の底だけをコームで短くすくいます。30秒で終わります。全身を回さないでください。1周の終わり側は、その子の舌が最後に来る場所です。そこを人が先に済ませておくと、その子の1周は前半だけで足りるようになります。逆に、前足や顔まわりまで人が手を出すと、その子がしていた仕事まで取り上げることになります。決める単位は「今日はどっちの区画か」だけです。
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習慣2:1週間の中で、区画を4つに分けて印をつける
紙でも携帯のメモでも構いません。体を「肩」「背中」「腰」「しっぽのつけ根」の4区画に分けて、その週に手を入れた区画へ印を打ちます。週の終わりに、印のない区画が残っていないかだけを見ます。残っていたら、次の週はそこから始めます。毛玉を数えるのではなく、回った区画を数えるという記録です。メインクーンは面積が広いので、記憶だけで回そうとすると必ず同じ区画に偏ります。1週間という単位にしてあるのは、1日単位だと続かず、1か月単位だと遅すぎるからです。
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習慣3:1年の中で、換毛期だけ区画を6つに増やす
春と秋、下毛がまとまって浮く時期だけ、4区画を6区画に割り直します。「肩」「背中」「腰」「しっぽのつけ根」に、「脇の下」と「後ろ脚の内側」を足すだけです。1回にかける時間は増やしません。区画の数だけを増やします。浮く量が増えても、その子の1周の速さは変わりません。増えたぶんを人の側の区画で受けるという考え方です。時期が過ぎたら4区画に戻します。年に2回だけ決めればよいので、忘れても翌年に戻せます。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 今日代わるのは、どっちの区画か | 1日の中。30秒 |
| 習慣2 | その週に印のない区画が残っていないか | 1週間の中 |
| 習慣3 | 区画を4つのままにするか、6つに割るか | 1年の中。春と秋だけ |
その区画を毎日きれいにしておきたいときは、mofuwa のグルーミングスプレーを使ってください。直接吹きかけず、布に含ませてから、腰やしっぽのつけ根を毛の流れに沿ってなでるように拭きます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、習慣1で指を沈める前に、毛先が乾いて静電気が起きるという条件のほうを外しておけます。還元水100%で無香料・アルコールフリー、清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめて毛づくろいをする猫でも量を気にせず使えます。メインクーンは被毛が厚く、湯を張って洗うと乾きに時間がかかる猫種です。洗う日と洗う日のあいだをこの1本で受け持たせると、毛どうしが寄りにくい状態のまま日をつなげます。締まっている毛玉に含ませたまま置かないでください。
すでにできている毛玉については、扱いを分けてください。根元をつまんで動かない毛玉を、家でほどききろうとしないでください。毛玉は周りの毛に引っぱられて締まっているので、外側から引くと、締まる向きに力が加わります。できることは、毛玉の周囲を少しずつ緩めて、それ以上大きくしないところまでです。動かない毛玉は、トリミングや動物病院で相談してください。
毛玉は地肌に近いところに芯があり、外から見えている以上に皮膚を巻き込んでいることがあります。持ち上げてから根元を切ると、毛と一緒に皮膚をつまんでいる場合があります。メインクーンは被毛が長いぶん、毛玉と地肌の境目が外から見えません。家で切らずに、そのまま連れて行ってください。前の晩に無理をすると、もとの状態が分からなくなります。
1周の遅れでは説明がつかない毛玉に気づいたとき
ここまでは、体の広さと1周にかかる日数で説明のつく毛玉の話でした。区画を分けて回していても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次に挙げる変わり方は、区画の回し方の話として片づけないほうが安全です。
- 換毛期でもない時期に、急に指が止まる区画が増えた:季節の区切りと合わない変わり方です
- 毛玉が、1周の前半にあたる場所にできている:前足まわりや胸は、順番として先に回る区画です
- 毛づくろいの時間そのものが短くなった:回る速さではなく、回る回数のほうが変わっています
- 同じ場所ばかりをなめる、噛む:毛玉より先に、地肌のほうを見てください
- 毛玉をほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、毛づくろいの回数が目に見えて減った、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、区画の数を増やす前に動物病院にご相談ください。メインクーンは被毛が長いので、地肌の変化が外から見えないまま進むことがあります。指が止まる区画が1周の前半なのか後半なのかまで分かると、そこで話が早く進みます。
相談の前には、指が止まる区画、いつからか、その週に印を打てた区画の数の3つをメモしてください。習慣2の記録がそのまま使えます。この3つがあると、体の広さで説明のつく毛玉なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。ほどききれなかった毛玉は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。
メインクーンと暮らすうえで、毛が抜けること自体はなくなりません。厚い被毛は、この猫が寒い土地で暮らすためにそなえた作りだからです。減らせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が根元に留まっている時間のほうです。その子の舌は、今日も前のほうから回り始めます。回りきらない後ろ側を、人が先に済ませておく。メインクーンの毛玉で動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- メインクーンは、毎日ブラッシングしないと毛玉ができますか?
- 毎日、全身を回す必要はありません。決めるのは回数ではなく区画です。その子の毛づくろいは前のほうから始まるので、腰やしっぽのつけ根が最後まで残ります。1日1か所、後ろ側の区画だけを代わってください。前足や顔まわりは、その子の1周に任せて構いません。人が全部やると、その子がしていた仕事まで取り上げることになります。
- よく毛づくろいをしているのに、毛玉ができるのはなぜですか?
- 熱心さではなく、回らなければならない面積で決まるからです。舌の大きさは体に合わせて大きくなりません。同じ速さで回っていても、体が広ければ1周が終わるまでに日数がかかり、そのあいだ抜けた毛が根元に留まります。毛玉は、その留まった時間の長さでできます。その子の性格や努力の話ではありません。
- できてしまった毛玉は、家でほどいてもいいですか?
- 毛先をつまんで動くうちなら、周りを少しずつ緩めるところまでは家でできます。根元をつまんで動かない毛玉は、周りの毛に引っぱられて締まっているので、外から引くと締まる向きに力が加わります。はさみも入れないでください。地肌と毛玉の境目が外から見えないため、皮膚を一緒につまむことがあります。そのままトリミングか動物病院で相談してください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
