C05犬種・猫種別ケア

メインクーンのケア|毛玉を減らす3つの習慣

公開日 2022年11月15日|文=mofuwa編集部

淡い色の毛布の上で、大きな長毛の猫がゆったりと横になっている
体の大きさは目に見えますが、舌の大きさは変わりません。差が出るのは、1周にかかる日数のほうです。

メインクーンが前足の内側をなめている時間を、一度だけ数えてみてください。同じ場所に、たっぷり1分は舌が当たっています。そのまま胸、肩、脇腹と進んでいきますが、腰やしっぽのつけ根まで届く前に、たいていは体勢を崩して切り上げます。毛玉ができるのは、この日に回りきらなかった場所です。舌そのものの大きさは、体が大きいからといって大きくなりません。届く面積は同じままで、回らなければならない面積だけが広い。だから1周が終わるまでの日数が延びます。この記事では、1日で1周できる体と、回りきらない体を並べて比べてから、人がどこを代わるかを3つの習慣にまとめます。

舌の大きさは、体に合わせて大きくなりません|メインクーンの毛玉が生まれる条件

猫の毛づくろいは、舌でするブラッシングです。表面にざらついた突起が並んでいて、これが被毛のあいだを通って抜け毛をかき出し、皮脂を毛先まで運びます。道具としてはよくできていますが、大きさが決まっているという一点だけが変えられません。体格の大きい子でも、舌が体に合わせて大きくなるわけではないからです。

メインクーンは、家庭で暮らす猫の中でも体が長く、被毛の面積が広い猫種です。北アメリカの寒い土地で、屋外の仕事を担いながら育ったと言われています。厚い被毛と長い胴は、寒さの中で暮らすために備わったものです。その体を、大きさの変わらない舌が1周する。ここに時間の差が生まれます。

だから、メインクーンの毛玉を「毛づくろいをさぼっている」という話にしないでください。同じ熱心さで毛づくろいをしても、体が広ければ1周にかかる日数が延びます。1日で回りきる体なら、抜けた毛はその日のうちに舌でかき出されます。2日、3日とかかる体では、かき出されるまでのあいだ、抜けた毛が根元に留まったままになります。

留まった毛は、そのまま静かに待っているわけではありません。生えている毛と一緒に体の動きで揺すられ、少しずつ向きを変えながら絡んでいきます。毛玉は、抜けた毛と生えている毛が編み合わさったものです。編み目が細かくなるほど、根元の側から締まります。メインクーンの毛玉が、表面ではなく地肌に近いところに芯を持つのは、この順番で育つからです。

Note毛玉は、その子の性格の話ではありません

よく毛づくろいをする子でも、メインクーンの毛玉はできます。回っている速さの問題ではなく、回らなければならない面積の問題だからです。ここを取り違えると、答えは「もっと自分でやらせる」になってしまいます。面積の話にすると、答えは「回りきらない場所を人が代わる」に変わります。人が手を入れるのは、その子の毛づくろいが届かない場所を代わるという意味です。

1日で1周できる体と、回りきらない体|メインクーンの毛玉を比較する

2つの体を、同じ項目で並べます。片方は、舌が1日のうちに全身を1周し終える体。もう片方は、1周の途中で日をまたぐ体です。比べるのは毛の量でも長さでもなく、抜けた毛が根元に留まっている時間のほうです。メインクーンは後者にあたりますが、これは優劣の話ではありません。手を入れる場所が違うだけです。

1周できる体では、その日に浮いた毛が、その日のうちに舌でかき出されます。根元に残る時間が短いので、抜けた毛は生えている毛と編み合わさる前に外へ出ます。毛玉になる前の段階で、毎日リセットがかかっている状態です。ブラッシングは、この1周を早める補助として働きます。

回りきらない体では、1周が2日、3日と延びます。前の日に浮いた毛が、まだ根元にあるうちに、次の日ぶんの毛が浮いてくる。溜まっていく側と、運び出す側の速さが逆転したところから、毛玉が始まります。この体では、ブラッシングは1周を早める補助ではなく、1周の一部を人が引き受ける作業になります。役割そのものが変わります。

1周にかかる日数で、根元で起きていることが変わります
1日で1周できる体回りきらない体(メインクーン)
舌が1周する日数その日のうち2〜3日、換毛期はさらに延びる
抜けた毛が根元にある時間数時間日をまたいで残る
毛玉ができる場所できにくい1周の終わり側。腰・しっぽのつけ根
気づくきっかけ抜け毛が床に落ちる撫でた指が途中で止まる
毛先と根元の状態どちらも動く毛先は動くが、根元が動かない
人がすること1周を早める補助回りきらない区画を代わる
換毛期の変わり方落ちる量が増える留まる量が増える

この比較で大事なのは、メインクーンの毛玉ができる場所が、体のどこでもよいわけではないという点です。毛づくろいは、たいてい前足や顔まわりから始まって、胸、肩、脇腹へと進みます。腰やしっぽのつけ根は、順番として後ろのほうにあります。1周が途中で止まるなら、止まるのはいつも同じあたりです。毛玉が同じ場所に戻ってくるのは、その子の癖ではなく、順番の問題です。

うるおいの側も、同じ順番で薄くなります。皮脂は舌が毛先まで運ぶので、舌が最後まで回らなかった区画では、根元に皮脂が留まったまま、毛先だけが乾いた状態になります。毛先が乾くと静電気が起きやすくなり、毛どうしが寄ってさらに編み目が細かくなる。メインクーンの毛玉が冬に増えたように感じるのは、この重なりが理由のひとつです。

今日はどこが残ったか|メインクーンで毛づくろいが届かない場所の見分け方

毛玉を探すのではなく、今日の1周がどこで止まったかを探します。探し方の中心は目ではなく指です。抱き上げる必要はありません。膝の上や、寝そべっているところに手を伸ばして、次の順で確かめます。ここでは道具を持たないでください。

  1. 毛の流れに沿って、手のひらを首から腰まで滑らせる

    まず全体の手ざわりを見ます。途中で指が止まる場所があれば、そこを覚えておきます。この段階では止まった場所を触り込まないでください。止まった位置が、その日の1周の終点にあたります。

  2. 止まった場所で、毛の流れと直角に指を1本沈める

    毛を左右に開くのではなく、線を引くように差し込みます。指が地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返される深さが、そのまま留まった毛の厚みです。届くなら、そこは今日の1周に入っていた区画です。

  3. 毛先と根元を、別々につまんで動かす

    同じ場所で、毛先だけをつまんで動かし、次に根元の側をつまんで動かします。毛先は動くのに根元が動かないなら、そこはもう毛玉の段階に入っています。どちらも動くなら、まだ抜けた毛が留まっているだけの状態です。この差で、その日にやることが分かれます。

  4. 腰・しっぽのつけ根・脇の下・後ろ脚の内側を、同じ順で回る

    メインクーンで1周の終わり側になりやすい4か所です。1日で4か所を全部やろうとしないほうが続きます。今日は腰だけ、明日はしっぽのつけ根だけで足ります。人の側の1周も、日をまたいで構いません。

毛づくろいが回ってくる順に、体を3つに分ける 猫の毛づくろいには進む順番があります。前のほうから始まって、後ろへ向かいます。1周が途中で終わる体では、後ろ側の区画がいつも残ります。メインクーンの毛玉が同じ場所に戻るのは、この順番のためです。 残る区画は、その子の癖ではなく順番で決まります 先に回る 前足・胸・顔まわり 毎日、必ず届く 毛玉になりにくい 日による 肩・脇腹・背中 届く日と届かない日 数日おきに残る 残りやすい 腰・しっぽのつけ根 1周の終わり側 毛玉が始まる場所 1周の途中 回りきる手前 人が代わるのは、いちばん右の区画からです
毛玉を探すのではなく、1周がどこで止まったかを探すと、手を入れる場所が決まります。
Point見た目では、残った区画が分かりません

メインクーンの被毛は長く、毛先の流れがそろうので、根元に抜けた毛が留まっていても外からは整って見えます。毛並みがきれいなことは、1周が終わった証明にはなりません。判断は指でします。膝に乗ってきたついでに腰へ指を1本沈める、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。手ざわりの差は、数日で覚えられます。

人がどっちを代わるか|メインクーンの毛玉を減らす3つの習慣

ここからが毎日のケアです。習慣を3つ書きますが、3つを並べて毎日こなす形にはしていません。1日の中で決めることが1つ、1週間の中で決めることが1つ、1年の中で決めることが1つ。単位をずらしてあるので、忙しい週に1つ止まっても、残りの2つは動いたままです。人が代わるのは、その子の舌が回りきらなかった区画のほうです。

  1. 習慣1:1日の中で、後ろ側の1か所だけを代わる

    撫でるついでに、腰かしっぽのつけ根のどちらか1か所を選びます。毛の流れと直角に指で線を引き、その線の底だけをコームで短くすくいます。30秒で終わります。全身を回さないでください。1周の終わり側は、その子の舌が最後に来る場所です。そこを人が先に済ませておくと、その子の1周は前半だけで足りるようになります。逆に、前足や顔まわりまで人が手を出すと、その子がしていた仕事まで取り上げることになります。決める単位は「今日はどっちの区画か」だけです。

  2. 習慣2:1週間の中で、区画を4つに分けて印をつける

    紙でも携帯のメモでも構いません。体を「肩」「背中」「腰」「しっぽのつけ根」の4区画に分けて、その週に手を入れた区画へ印を打ちます。週の終わりに、印のない区画が残っていないかだけを見ます。残っていたら、次の週はそこから始めます。毛玉を数えるのではなく、回った区画を数えるという記録です。メインクーンは面積が広いので、記憶だけで回そうとすると必ず同じ区画に偏ります。1週間という単位にしてあるのは、1日単位だと続かず、1か月単位だと遅すぎるからです。

  3. 習慣3:1年の中で、換毛期だけ区画を6つに増やす

    春と秋、下毛がまとまって浮く時期だけ、4区画を6区画に割り直します。「肩」「背中」「腰」「しっぽのつけ根」に、「脇の下」と「後ろ脚の内側」を足すだけです。1回にかける時間は増やしません。区画の数だけを増やします。浮く量が増えても、その子の1周の速さは変わりません。増えたぶんを人の側の区画で受けるという考え方です。時期が過ぎたら4区画に戻します。年に2回だけ決めればよいので、忘れても翌年に戻せます。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1今日代わるのは、どっちの区画か1日の中。30秒
習慣2その週に印のない区画が残っていないか1週間の中
習慣3区画を4つのままにするか、6つに割るか1年の中。春と秋だけ

その区画を毎日きれいにしておきたいときは、mofuwa のグルーミングスプレーを使ってください。直接吹きかけず、布に含ませてから、腰やしっぽのつけ根を毛の流れに沿ってなでるように拭きます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、習慣1で指を沈める前に、毛先が乾いて静電気が起きるという条件のほうを外しておけます。還元水100%で無香料・アルコールフリー、清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめて毛づくろいをする猫でも量を気にせず使えます。メインクーンは被毛が厚く、湯を張って洗うと乾きに時間がかかる猫種です。洗う日と洗う日のあいだをこの1本で受け持たせると、毛どうしが寄りにくい状態のまま日をつなげます。締まっている毛玉に含ませたまま置かないでください。

すでにできている毛玉については、扱いを分けてください。根元をつまんで動かない毛玉を、家でほどききろうとしないでください。毛玉は周りの毛に引っぱられて締まっているので、外側から引くと、締まる向きに力が加わります。できることは、毛玉の周囲を少しずつ緩めて、それ以上大きくしないところまでです。動かない毛玉は、トリミングや動物病院で相談してください。

Cautionはさみを毛玉に入れないでください

毛玉は地肌に近いところに芯があり、外から見えている以上に皮膚を巻き込んでいることがあります。持ち上げてから根元を切ると、毛と一緒に皮膚をつまんでいる場合があります。メインクーンは被毛が長いぶん、毛玉と地肌の境目が外から見えません。家で切らずに、そのまま連れて行ってください。前の晩に無理をすると、もとの状態が分からなくなります。

1周の遅れでは説明がつかない毛玉に気づいたとき

ここまでは、体の広さと1周にかかる日数で説明のつく毛玉の話でした。区画を分けて回していても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次に挙げる変わり方は、区画の回し方の話として片づけないほうが安全です。

Caution1周の順番では説明がつかないところに出ている変化

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、毛づくろいの回数が目に見えて減った、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、区画の数を増やす前に動物病院にご相談ください。メインクーンは被毛が長いので、地肌の変化が外から見えないまま進むことがあります。指が止まる区画が1周の前半なのか後半なのかまで分かると、そこで話が早く進みます。

相談の前には、指が止まる区画、いつからか、その週に印を打てた区画の数の3つをメモしてください。習慣2の記録がそのまま使えます。この3つがあると、体の広さで説明のつく毛玉なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。ほどききれなかった毛玉は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。

メインクーンと暮らすうえで、毛が抜けること自体はなくなりません。厚い被毛は、この猫が寒い土地で暮らすためにそなえた作りだからです。減らせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が根元に留まっている時間のほうです。その子の舌は、今日も前のほうから回り始めます。回りきらない後ろ側を、人が先に済ませておく。メインクーンの毛玉で動かせるのは、そこです。

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よくある質問

メインクーンは、毎日ブラッシングしないと毛玉ができますか?
毎日、全身を回す必要はありません。決めるのは回数ではなく区画です。その子の毛づくろいは前のほうから始まるので、腰やしっぽのつけ根が最後まで残ります。1日1か所、後ろ側の区画だけを代わってください。前足や顔まわりは、その子の1周に任せて構いません。人が全部やると、その子がしていた仕事まで取り上げることになります。
よく毛づくろいをしているのに、毛玉ができるのはなぜですか?
熱心さではなく、回らなければならない面積で決まるからです。舌の大きさは体に合わせて大きくなりません。同じ速さで回っていても、体が広ければ1周が終わるまでに日数がかかり、そのあいだ抜けた毛が根元に留まります。毛玉は、その留まった時間の長さでできます。その子の性格や努力の話ではありません。
できてしまった毛玉は、家でほどいてもいいですか?
毛先をつまんで動くうちなら、周りを少しずつ緩めるところまでは家でできます。根元をつまんで動かない毛玉は、周りの毛に引っぱられて締まっているので、外から引くと締まる向きに力が加わります。はさみも入れないでください。地肌と毛玉の境目が外から見えないため、皮膚を一緒につまむことがあります。そのままトリミングか動物病院で相談してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。