C05犬種・猫種別ケア
ラグドールの長毛|毛玉を毎日のケアで防ぐ
ラグドールを腕から下ろしたあと、脇の下に指を入れたら、片側だけ毛が寄って厚くなっていた。反対側は、同じ場所なのに指がすっと通ります。寝床を疑って、背中や横腹を順に触ってみても、そちらはどこも変わりません。ラグドールの毛玉を探すときは、その子が寝ていた場所ではなく、抱かれていた面から見てください。脇の下に入る腕、胸に当たる人の体、お尻を支える手のひら。触れている面と、触れている時間が、ほかの猫とはっきり違います。この記事では、毛玉が左右で違う形になる背景をたどりながら、触れていた面から先に手を入れるという毎日の組み立て方を書きます。
抱き下ろしたあとの、左右で違う手ざわり|ラグドールの毛玉に気づいた経験
気づくきっかけは、たいてい偶然です。抱いていた腕を外して床に下ろし、そのまま何気なく脇の下へ指を入れる。片側だけ、指が途中で止まります。そこだけ毛が寄って、根元の側に小さな芯ができている。反対側の脇の下は、同じように触っても、地肌まですっと指が入ります。同じ一頭の、左右対称のはずの場所です。
はじめは寝床を疑います。マットの毛が硬いのか、こすれる素材なのか。けれど寝床に当たっていた面――背中、横腹、腰のあたりを順に触っていくと、そちらは毛の流れがそろったままです。寝床が原因なら、体重が乗っている面から先に出るはずなのに、そこは何ともありません。順番が合いません。
そこで、抱き上げるときの手の位置を思い出してみます。左腕を前脚のつけ根に差し入れて、右手でお尻を支える。胸はこちらの体に押しつけている。ラグドールと暮らしている方から聞く毛玉の場所は、この3か所とよく重なります。脇の下、胸から前脚のつけ根、後ろ脚のつけ根。腕と手のひらが当たっている面です。そして左腕を使う人なら、左側だけに出ます。左右で違っていたのは、抱き方が毎回同じだったからでした。
ラグドールと暮らしていると、抱き上げている時間が自然に長くなります。膝に乗せる、肩に担ぐ、部屋を移動するときに連れていく。ここで大事なのは、抱かれていた時間の長さそのものより、そのあいだ体の同じ面が同じ向きに押しつけられ続けていることのほうです。寝ているときの猫は、寝返りを打ち、丸まり、伸びます。同じ面が下になり続けることはありません。抱かれているあいだは、面が固定されます。
- 脇の下:抱き上げる腕が入る場所。前脚が動くたびに毛が同じ方向へ寄ります
- 胸から前脚のつけ根:人の服に押しつけられて、毛先だけが向きを変えます
- 後ろ脚のつけ根と内もも:お尻を支える手のひらが、毛の流れと直角に当たります
- あごの下から首の横:肩に担ぐ抱き方をすると、ここが服に触れ続けます
- 腰の片側:利き腕の側だけに出ます。左右差があるときは、まずここを見てください
ラグドールの毛玉ができている場所を並べると、その子がどう過ごしていたかがだいたい分かります。寝床の面に出ていれば、寝ている時間の記録。抱かれる面に出ていれば、腕の中にいた時間の記録です。探す順番を「よく寝る場所」から「よく触れている面」へ入れ替えるだけで、見つかるまでの日数が変わります。左右差があるときは、抱き方が片側に寄っているという合図です。
絹のような長毛と、腕が当たっている面|ラグドールの毛玉ができる背景
ラグドールの被毛は、半分ほど長さのある毛で、細く、なめらかで、手に絹のような感触を返します。下毛が少なく、上毛のほうが主になっている作りを持つ子が多いという点が、長毛の猫の中では特徴的です。毛の量で押し返してくるのではなく、手のひらが沈んでいくような手ざわりになるのは、このためです。抱いたときに体の形がそのまま腕に伝わるのも、間にはさまる下毛の層が薄いからです。
下毛が少ないという作りは、毛玉のでき方も変えます。下毛の厚い猫では、抜けた毛が上毛のあいだに溜まって、内側から詰まっていく形になります。ラグドールの毛玉は、詰まるより先に、こすれて絡む形で始まります。細い毛どうしが同じ方向へ何度も押されると、毛の表面がかみ合って離れなくなる。溜まった量が芯になるのではなく、動かされた回数が芯になります。
ここに、触れている面の話が重なります。人の腕や服が当たっている面では、毛は一方向へ押され続けます。しかも押している相手は毎回同じ服で、同じ角度です。ニットやフリースのように表面に細かい起伏がある布は、絹のような毛先をよくつかまえます。空気が乾いて静電気が起きやすい季節は、毛先が布のほうへ引き寄せられるので、同じ抱き方でも寄り方が強くなります。
そしてもう一つ、抱かれているあいだは、その子が毛づくろいをしていません。猫は本来、毛の向きが乱れればその場で舐めて直します。腕の中にいる時間は、乱れた毛が乱れたまま置かれる時間です。下ろされたあとに舐めるとしても、脇の下や後ろ脚のつけ根は舌が回りにくく、あごの下から首の横は舌が届きません。乱れやすい面と、自分では直しにくい面が、ちょうど重なっています。
換毛期になると、この重なりが効いてきます。緩んで抜けかけた毛は、まず毛の流れに沿って外へ出ようとします。けれど押しつけられている面では、外へ出る前に横向きに倒されて、隣の毛と絡みます。抜ける量が増えたのに床の毛が思ったほど増えない時期は、その分が体の上に残っていることがあります。ラグドールの毛玉が春と秋に急に増えたように見えるのは、量そのものより、留まる場所ができているからです。
同じ抱き方が、毎日同じ面をこすります|ラグドールに毛玉が戻る理由
一度ほどいた場所に、また同じ形で毛玉が戻ってくる。ラグドールと暮らしていると、これがいちばん腑に落ちない出来事だと思います。戻ってくる理由は、ほどき方が足りなかったからではなく、条件が何も変わっていないからです。同じ腕を、同じ角度で、同じ服のまま差し入れている。ほどいた翌日から、また同じ面が同じ方向へ押されます。
毛玉ができる速さを決めているのは、こすれの強さではありません。同じ向きに、何回押されたかです。強く1回こするより、弱く毎日20回のほうが、毛は確実にかみ合います。抱き上げる回数は、多くの家庭で1日に何度もあります。そのたびに、腕は同じ場所へ入ります。数を減らす話ではなく、向きを散らす話になります。
変えられる条件は、実はいくつもあります。どれも小さなことです。
- 抱く向きを、日によって左右で入れ替える:同じ面に当たる回数が半分になります
- 腕を差し入れる高さを少しずらす:脇の下の奥ではなく、胸の前寄りに変えるだけで当たる毛が変わります
- 肩に担ぐ抱き方と、腕に抱える抱き方を混ぜる:あごの下と後ろ脚のつけ根に、交互に休みが入ります
- 抱く前に、当たる面をひとなでする:毛の流れをそろえてから押すと、倒れる向きがそろいます
- 冬は、表面に起伏の少ない服の日をつくる:静電気で毛先が引き寄せられる回数が減ります
抱く回数そのものを減らす必要はありません。ラグドールの毛玉を減らすために、その子と過ごす時間を削るのは、順番が逆です。変えるのは面と向きです。左で抱いた日は、右側の脇の下の毛は一日休んでいます。休んでいるあいだに、その子自身が舐めて向きを直せる場所もあります。人が意識して散らすのは、その余地をつくるためです。
もう一つ、戻り方には順番があります。ほどいた直後の毛は、まだ毛先の向きがそろっていません。そろっていない毛は、次に押されたときにいちばん絡みやすい状態です。だからほどいた日は、その面を使わない抱き方に替えてください。一日おくだけで、毛は自分の流れに戻ります。ほどく作業と、抱き方を替える作業は、同じ日にセットで行うものだと考えてください。
触れていた面から先に手を入れる|ラグドールの毛玉を毎日のケアで防ぐ考え方
毎日のケアの組み立ては、時間を増やす方向ではありません。順番を、抱き下ろした直後に寄せる。それだけです。ブラッシングの時間を別に取ると、その子が乗り気でない時間に始めることになります。抱かれていた直後は、体が伸びていて、人の手が体に触れていることにすでに慣れている状態です。同じ姿勢のまま、触れていた面へ手を入れられます。
-
下ろす前に、腕が入っていた面へ手のひらを当てる
床に下ろしてしまうと、その子は歩いていきます。抱いたまま、腕を抜いた手でそのまま脇の下をなでてください。毛の流れに沿って、2〜3回で足ります。押されて倒れていた毛先が、この時点なら手のひらで起き上がります。ここで起こしておくと、次に押されたときに絡みません。
-
指を1本、毛の流れと直角に沈める
なでるだけでは、根元の側の芯は分かりません。脇の下、後ろ脚のつけ根、あごの下。この3か所に指を垂直に入れて、地肌まで通るかを見ます。押し返された深さが、そのまま溜まっている厚みです。すっと通る場所は、その日は何もしなくて構いません。ラグドールの毛玉は、見た目には表れません。指のほうが早く気づきます。
-
止まった場所だけ、根元を押さえて毛先から解く
指が止まった場所には、根元を親指と人差し指ではさんで支えてから、毛先の側だけを少しずつ動かします。根元を支えないと、引く力が皮膚まで届きます。その日に動かすのは芯の半分までと決めて、そこで手を離してください。細い毛は、無理に引くと途中で切れて、切れた毛がまた芯になります。
-
ほどいた面は、翌日は使わない抱き方に替える
左の脇の下をほどいたなら、翌日は右腕で抱く。あごの下をほどいたなら、肩に担ぐのを一日休む。ほどいた直後の毛は、いちばん絡みやすい状態です。一日休ませて毛先の向きが戻ってから、また同じ抱き方に戻して構いません。ケアと抱き方は、別々の話ではなく続きの話です。
季節による調整は一つだけです。春と秋、抜けた毛が体の上に留まりやすい時期は、抱き下ろしたあとのひとなでを1日2回に増やしてください。1回を長くするより、回数を分けるほうが、絹のような毛には向きます。空気が乾いてうるおいが減る時期は、静電気で毛先が散りやすくなるので、乾いたブラシをいきなり当てないでください。手のひらでなでてから、必要な場所にだけ道具を使います。
抱き下ろした直後のひとなでを、そのまま毎日のケアにできるのが mofuwa のグルーミングスプレーです。猫に直接吹きつけず、手のひらか布に含ませてから、脇の下と後ろ脚のつけ根を毛の流れに沿ってなでてください。押されて倒れていた毛先の滑りがそろうので、次に腕が入ったときに毛どうしがかみ合いにくくなります。舐めても差し支えのない基準(清涼飲料水の規格基準)でつくられているので、毛づくろいで口に入ることを気にせず、当てたい面にだけ使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、乾いた季節に道具を当てる前のひと通りとしても、同じ1本で足ります。しっとりするほど含ませると乾くまで気にして舐めにいくので、手のひらが湿る程度で足ります。
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、同じ場所をなめ続けて毛が薄くなっている、触ると痛がる、これまで抱かれるのを嫌がらなかった子が急に嫌がるようになった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、毛をほどく前に、動物病院にご相談ください。芯が皮膚を引っぱっている状態のときは、家でほどこうとするより、そのまま連れて行くほうが安全です。前の晩に無理に触ると、元の状態が分からなくなります。
ラグドールと暮らすうえで、抱かれている時間が長いこと自体は変えるものではありません。変えられるのは、同じ面が同じ向きに押され続けている、その一点だけです。抱き下ろした直後に、腕が当たっていた面をひとなでする。指を3か所だけ沈めて、止まったところを覚えておく。ほどいた面は翌日休ませる。ラグドールの毛玉を毎日のケアで防ぐという言い方の中身は、道具でも時間でもなく、この順番のことです。触れていた面から先に手が入るようになれば、毛玉は探すものではなくなります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
