C05犬種・猫種別ケア
ブリティッシュショートヘアと暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話
ブリティッシュショートヘアの背中を1回だけ撫でて、手のひらを返してみてください。何もしていなかった床にはほとんど毛がないのに、手のひらには薄い層ができています。短くて密な毛が体から立ち上がっているので、根元で抜けた毛が倒れず、そのままの向きで留まっているからです。ブリティッシュショートヘアの抜け毛は、抜けた時点では出てきません。手が触れて、はじめて外へ出ます。だから、その日に目に入る量は、実際に抜けた量ではなく、その日に何回触ったかを映しています。この記事では、触る前と触ったあとを並べて比べ、量が動いたのがどちらの理由かを見分けるところまで書きます。
抜けた毛が、立ったまま残ります|ブリティッシュショートヘアの抜け毛が床に落ちない条件
ブリティッシュショートヘアの被毛は、短く、密で、体から垂直に立ち上がります。手のひらを載せて離すと、押された毛がすぐに戻って形が消えます。この、押しても戻る短い毛の集まりが、プラッシュと呼ばれる被毛です。長毛の猫のように毛が寝ていないので、外から見ると体の輪郭がはっきりして、面が均一に見えます。
この作りは、この猫種が育ったイギリスの気候から来ています。雨が多く、気温の下がる土地で体温を保つには、毛を長く伸ばすより、短い毛を密に立てて空気の層をつくるほうが向いています。密度そのものが防寒の仕組みなので、1本1本は短くても、面積あたりの本数は多くなります。ブリティッシュショートヘアの抜け毛を考えるときは、ここが出発点になります。
問題は、毛が抜けたあとに起きます。長い毛なら、抜けたあと自重で倒れて、外側へ滑り出ていきます。短くて立った毛は、抜けても倒れる先がありません。周りの毛が同じ密度で立っているので、抜けた毛は隣の毛にはさまれたまま、根元の側にとどまります。向きも立ったままです。だから床にも家具にも落ちません。
その子の毛づくろいも、この面の上を通ります。舌のざらつきは表面の毛先に届きますが、立った毛のあいだにはさまっている毛までは、なかなか外へ出せません。毛づくろいをよくしている子でも、体の内側には抜けた毛が残ります。人が手を入れるのは、足りないぶんを補うというより、その子の舌が出しきれない場所を代わるという意味になります。
この状態で人の手が触れると、はさまっていた毛がまとめて外へ出ます。撫でた1回で手のひらに層ができるのは、その1回で抜けたからではありません。それまでに溜まっていたぶんが、その1回で外へ出ただけです。ブリティッシュショートヘアの抜け毛が「急に増えた」と感じられるとき、増えているのは抜けた量ではなく、外へ出た量のほうです。
- 毛が短く、体から立ち上がっている:抜けても倒れる先がありません
- 面積あたりの本数が多い:隣の毛にはさまれて、その場に留まります
- 抜けた毛が根元の側に残る:床に落ちないので、外からは見えません
- その子の舌は毛先まで届く:はさまった毛は、舌でも出しきれません
- 人の手が触れると、まとめて出る:目に入る量は、触った回数で動きます
短毛の猫と暮らしていると、掃除の手間で抜け毛の量をはかりがちです。けれどブリティッシュショートヘアでは、抜けた毛が床へ出るまでの経路そのものが詰まっています。床がきれいでも、体の内側には溜まっています。判断は床ではなく、手のひらに載る量でしてください。1日1回、同じ場所を同じ回数だけ撫でると、比べられる数字になります。
触る前と触ったあと|ブリティッシュショートヘアの抜け毛の量を比較する
同じ1日の、同じ猫を、2つの状態で並べます。片方は誰も触っていない状態。もう片方は、手かブラシが1度通ったあとの状態です。比べるのは抜けた量ではなく、外へ出た量のほうです。この2つを分けて見ないかぎり、ブリティッシュショートヘアの抜け毛は多いのか少ないのか、判断がつきません。
触る前の状態では、抜けた毛は立った毛のあいだにはさまっています。外から見える毛並みは整っていて、光の返り方も変わりません。床にも、寝床にも、着ている服にもほとんど付きません。この日の抜け毛は「少なかった」と記録されますが、実際に抜けた本数は分かっていません。ただ、まだ体の上にあるというだけです。
触ったあとの状態では、はさまっていた毛が外へ出ます。出てくる量は、前回触ってから何日たったかに比例します。3日ぶりに撫でれば3日ぶんが出ます。同じ子を同じ強さで撫でても、間隔が違えば手のひらに載る量は変わります。「今日は多い」と感じた日の多くは、この間隔が開いた日です。
| 触る前 | 触ったあと | |
|---|---|---|
| 抜けた毛のありか | 立った毛のあいだ、根元の側 | 手のひら、ブラシ、床 |
| 外から見た毛並み | 整って見える | 一時的に毛先が乱れる |
| 床や服に付く量 | ほとんど付かない | その場でまとめて付く |
| 量を決めているもの | 実際に抜けた本数 | 前に触ってからの日数 |
| 換毛期の変わり方 | 溜まる量が増える | 1回で出る量が増える |
| 判断に使えるか | 使えない(見えていない) | 使える(回数をそろえれば) |
この比較から、ブリティッシュショートヘアの抜け毛でやることが1つ決まります。量をはかりたいなら、触る回数と場所を先に固定することです。毎日同じ時間に、背中を3往復だけ。手のひらに載った量を見る。これだけで、日ごとの比較ができるようになります。回数をそろえない日の量は、比べる材料になりません。
増えたのは抜けた側か、触った側か|ブリティッシュショートヘアの抜け毛はどっちで動いたか
「最近、抜け毛が増えた」と感じたときに、まず分けるのはこの2つです。体の側で抜ける量が増えたのか、生活の側で触る回数が増えたのか。どっちなのかで、次にやることが変わります。順番に確かめてください。道具はいりません。
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この1週間で、触る回数が変わっていないか思い出す
在宅の日が増えた、来客が多かった、ひざに乗る時間が延びた。回数が増えていれば、外へ出る量はそれだけで増えます。体の側では何も変わっていない可能性があります。ここで思い当たるなら、次の手順で確かめます。
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24時間、背中に触らない日をつくる
撫でない、ブラシを入れない、抱き上げない。翌日に、背中を3往復だけ撫でます。この3往復で出た量が、24時間ぶんの溜まりです。ブリティッシュショートヘアでは、これがいちばん近い実測になります。数えなくて構いません。手のひらの層の厚みを覚えてください。
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同じことを、1週間おいてもう一度やる
条件をそろえた2回を比べます。2回目のほうが明らかに厚ければ、抜けた側が動いています。変わらなければ、増えたのは触った回数のほうです。1回だけでは判断できません。同じ場所、同じ往復数で、2回そろえてください。
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毛先と根元を、別々につまんで動かす
抜けた側が動いているとき、根元の手ざわりも一緒に変わります。毛先は動くのに根元が動かない場所があれば、そこは溜まったまま固まりかけています。短毛でも、密度が高い場所では起こります。脇の下、後ろ脚のつけ根、しっぽの下側から確かめてください。
| 確かめた結果 | 次にやること |
|---|---|
| 2回とも同じ厚み。触る回数が増えていた | 何も変えなくて構いません。回数を固定して見続けます |
| 2回目のほうが厚い。時期が春か秋 | 換毛期の入り口です。触る回数のほうを先に増やします |
| 2回目のほうが厚い。時期が春でも秋でもない | 季節の区切りと合いません。s5の項目を見てください |
| 根元が動かない場所がある | その場所だけ、指で線を引いて底からすくいます |
立った毛から抜け毛を出すのに、力はいりません。押しつけると、抜けた毛より先に、生えている毛の根元と地肌が動きます。短毛は毛先で力を逃がせないので、そのぶん地肌に伝わります。歯先が地肌に当たらない角度で軽く当て、往復の数だけを増やしてください。うるおいの側から見ても、地肌をこすらないほうが安定します。
春と秋に何が変わるのか|ブリティッシュショートヘアの抜け毛が動く時期
換毛期には、抜ける本数が増えます。ただしブリティッシュショートヘアでは、増えたぶんが外へ出る経路は変わりません。立った毛の密度は同じままなので、増えた毛はやはり根元の側にはさまります。時期によって変わるのは、1回触ったときに出てくる量のほうです。
この時期の見分け方は、床ではなく手のひらでします。同じ場所を同じ往復数で撫でて、手のひらの層が厚くなってきたら、その時期に入っています。床に毛が目立ち始めてからでは、体の側にはかなり溜まっています。短毛の猫では、床の様子が遅れて動くと考えてください。
室内で暮らしている子では、春と秋がはっきり分かれないこともあります。照明のついている時間や室温が一年を通して大きく変わらない家では、抜ける量が年間を通してゆるやかに続く形になります。この場合も、やることは同じです。同じ場所を同じ往復数で撫でて、厚みの変化だけを追ってください。暦ではなく、手のひらのほうが早く教えてくれます。
| 時期 | 手のひらに出る量 | 変えるところ |
|---|---|---|
| ふだんの時期 | 薄い層が均一に付く | 1日1回、背中を3往復 |
| 春・秋の入り口 | 同じ往復数で層が厚くなる | 1日2回に分ける。強さは変えない |
| 換毛期のなか | 1回目と2回目で厚みが違う | 脇の下・後ろ脚のつけ根を足す |
| 空気が乾く時期 | 毛先が寄って、手に絡む | 静電気が起きにくい素材のブラシに替える |
空気が乾く時期には、もうひとつ別のことが起きます。毛先が乾くと静電気が起きて、抜けた毛が手やブラシではなく、周りの毛に引き寄せられます。外へ出そうとしているのに、逆に体の上へ戻ってしまう状態です。ブリティッシュショートヘアは毛が短いので、絡まった塊にはなりにくいのですが、根元の側に留まる時間は延びます。この時期だけは、道具の素材を見直す価値があります。
道具の素材を見直すのと同じ列で、毛先の側からも手が打てます。mofuwa グルーミングスプレーはブラッシングスプレーとしても使えるようにつくられているので、ブラシを入れる前の一手として置けます。直接吹きかけず、布に含ませてから、背中や脇の下を毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。毛先の乾きがそろった状態でブラシを通せるので、外へ出た毛が周りの毛に引き寄せられて体の上へ戻る、という往復が減ります。地肌までびしょびしょにする必要はありません。
グルーミングスプレーの出番が、この猫種でいちばんはっきりするのは、毎日の3往復の前です。猫も体から脂を出すので、昨日きれいにしても、今日また面に載ります。短い毛が密に立っているぶん、それは表面ではなく毛のあいだに残ります。アルカリ電解水なので、余分な皮脂と油は乳化して浮きます(deck p16)。清涼飲料水の規格基準をクリアしているため、なめてしまう子でも量を気にせず使えます。1日1回、背中を3往復するその前に、布で一度なでる。毎日きれいにしておきたいという側に手が届くのは、ここです。
時期に気づいた日に、いきなり1日5回に増やす必要はありません。触られる時間が急に延びると、その子のほうが場所を移して、触れる機会そのものが減ります。1回3往復を、1日2回に分けるところから始めてください。ブリティッシュショートヘアは自分から長く撫でられるのを好まない子もいます。回数より、続くかどうかのほうを優先してください。
触った回数では説明がつかない抜け毛に気づいたとき
ここまでは、立った毛と、触る回数で説明のつく抜け毛の話でした。回数と場所を固定して比べてもなお、量の増え方が説明できないときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、触った回数の話に戻さないでください。
- 春でも秋でもない時期に、手のひらの層が急に厚くなった:季節の区切りと合わない変わり方です
- 触っていないのに、床に毛が目立つようになった:立った毛が保持できなくなっている可能性があります
- 地肌が見える場所ができた:短毛でも、密度が下がると輪郭の変化として出ます
- 左右で毛の厚みが違う:寝る向きや、体を寄せている面が関係していることがあります
- 同じ場所ばかりをなめる、噛む:抜け毛より先に、地肌のほうを見てください
- 毛づくろいの回数そのものが減った:出る量ではなく、その子の動きが変わっています
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、毛づくろいの回数が目に見えて減った、元気や食欲が落ちている。ひとつでも思い当たるなら、3往復の回数を増やすより先に、動物病院で地肌を見てもらってください。ブリティッシュショートヘアは毛が密なので、地肌の変化が外から見えにくいまま進むことがあります。床がきれいなままでも体の側では進んでいることがあるので、判断は遅らせないでください。
相談の前には、いつから量が変わったか、そのとき触る回数を変えていないか、どの場所で根元が動かないかの3つをメモしてください。手のひらの層の厚みを比べた2回ぶんがあれば、それも一緒に伝えてください。立った毛のあいだに留まっているだけの抜け毛なのかどうかは、この3つがあればその場で切り分けてもらえます。
ブリティッシュショートヘアと暮らすうえで、毛が抜けること自体はなくなりません。短い毛を密に立てる被毛は、この猫が雨と冷えの多い土地で体温を保つためにそなえた作りだからです。減らせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が立った毛のあいだに留まっている時間のほうです。床を見ずに、手のひらを見る。回数と場所を固定して比べる。ブリティッシュショートヘアの抜け毛で動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 短毛なのに、ブラッシングは必要ですか?
- 短いことと、抜けた毛が外へ出ることは別です。ブリティッシュショートヘアの毛は体から立ち上がっているので、抜けても倒れる先がなく、隣の毛にはさまったまま根元の側に残ります。その子の舌は毛先まで届きますが、はさまった毛までは出しきれません。人が手を入れるのは、その出口を代わるという意味になります。1日1回、背中を3往復から始めてください。
- 床に毛が落ちていないので、抜け毛は少ないほうだと思っていました。
- 床は判断材料になりません。抜けた毛が床へ出るまでの経路そのものが詰まっているので、体の上に溜まっていても床はきれいなままです。判断は、同じ場所を同じ往復数で撫でたときに手のひらに載る量でしてください。24時間触らない日をつくって、翌日に3往復だけ撫でると、その1日ぶんの溜まりに近い量が出ます。
- 撫でるたびに毛が出るので、撫でる回数を減らしたほうがいいですか?
- 減らす必要はありません。出る量は前回触ってからの日数に比例するので、回数を減らすと1回で出る量が増えるだけです。総量は変わりません。むしろ回数を固定したほうが、日ごとの比較ができるようになります。1日1回、同じ場所を同じ往復数、と決めてください。ブリティッシュショートヘアの抜け毛は、はかり方を先に決めるところから始まります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
