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水が苦手な猫と暮らす人のための一人暮らし|5分で終わらせるケア

公開日 2022年12月24日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色のソファで、クリーム色の猫が静かに休んでいる
膝まで来てくれた数分が、その日その子に触れる唯一の時間になることがあります。写真:Lara/Pexels

夜の11時、一人暮らしの部屋で、膝に乗ってきた猫に手を伸ばさないまま、そのまま座っていました。ブラシは手の届く場所にあります。時間もあります。それでも「今日はやめておこう」と思って、そのまま2時間が過ぎました。うちの子は水が嫌いなので、濡らす手はもともと使えません。使えるのは、触る手だけです。そしてこの部屋には、その手がひとつしかありません。二人で暮らしていれば、私が見送っても、もう一人が触るかもしれない。一人暮らしのペットは、そこが0になります。この記事は、水が嫌いな猫と一人暮らしをしていて、「今日はやめておく」が積み上がっていった数か月の話です。

膝まで来た猫に、手を伸ばさなかった夜|一人暮らしでペットのケアが止まる理由

その日は残業でもなく、特別に疲れていたわけでもありませんでした。ただ、ブラシを持ったら猫が逃げるところまで想像がついてしまって、手が止まりました。水が嫌いな猫なので、濡らして落とす手はもともと選べません。だから触る手だけが残っているのですが、その1本を出さない夜が、月に何日かあります。

一人暮らしのペットには、この見送りを引き取る人がいません。家族と暮らしていれば、誰かが台所に立ったついでに背中をなでる、という時間が勝手に発生します。一人暮らしの部屋では、私が触らなかった日は、その子が誰にも触られなかった日になります。これは根性や愛情の話ではなく、家にいる人の数の話です。

水が嫌いな猫と暮らしていると、この事情がもう一段きつくなります。犬なら、散歩から帰ったあとに足先を洗う、というきっかけが毎日ありました。水が嫌いな猫には、その入り口がありません。一日のどこにも「触らざるを得ない場面」が用意されていないので、触るかどうかを毎回ゼロから決めることになります。決める回数が多い行動ほど、見送られやすくなります。

最後の1つが、いちばん見送りを支えてしまいます。猫は自分の被毛を自分でなめて整えるので、人が1日触らなくても、翌朝の見た目は昨日と同じです。変化が見えないので、見送った理由も残りません。ペットのケアを毎日の習慣にしようとしたときに、一人暮らしでいちばん先に崩れるのがここでした。

Note「水が嫌い」というのは、水そのものを嫌っている状態とは限りません

水が嫌いな猫というのは、濡れたあとに自分で元の状態へ戻せないことを避けている状態を指すことが多いと言われます。毛が寝てしまう、体温が下がる、においが変わる。どれも、その子の側からは戻す手立てがありません。だからこそ、水を使わない手のほうを増やしておく意味があります。無理に慣れさせる方向で考えなくて構いません。

見送った日が「少なめ」ではなく0になる|水が嫌いな猫と一人暮らしをするときのケアの考え方

ここからが、数か月かけて分かったことです。一人暮らしのペットのケアは、足し算ではなく掛け算で減ります。二人以上の家では、片方が5割の日でも、もう片方が3割やれば8割になります。一人暮らしでは、私が0の日は、そのまま家全体で0です。週に2日見送れば、その週は7日中5日しか触っていません。

水が嫌いな猫では、この0が起きやすくなります。濡らす、洗う、流すという手が全部使えないので、そもそも選べる手の本数が少ない。手の本数が少ないところから1本引くと、残りの割合はごっそり減ります。犬で同じ日数を見送っても、散歩のたびに足先を拭いているぶん、0にはなりにくいのです。

同じ「週に2日やらなかった」でも、家によって残るものが違います
二人以上で暮らす家一人暮らし
触る人の数2人以上。片方が見送っても残る1人。見送った日はそのまま0
きっかけの数人ごとに違う時間帯がある自分の生活時間の中にしかない
水が嫌いな猫の場合誰かが乾いた手で触る時間が残る触る手が出ない日は、何も起きない
やらなかったことの見え方もう一人が気づくことがある外から見て分かる人がいない
立て直すきっかけ会話の中で戻ることがある自分で決め直すしかない

誤解のないように書いておくと、これは一人暮らしでペットを飼うのが向いていないという話ではありません。一人暮らしの猫にとって、その人は「いちばんよく触る人」ではなく「唯一触る人」です。だから、その人が触った時間は、そのままその子の一日の記録になります。頭数の話でも時間の長さの話でもなく、代わりがいないという1点だけが違います。

そう考えると、毎日のケアで動かすべき場所も変わってきます。やる気を上げる方向ではなく、0が出ない形にする方向です。気合いは月末に必ず切れます。切れたときに0まで落ちない受け皿を、先に作っておくほうが続きました。水が嫌いな猫では、この受け皿が乾いた手でできることの中にしかありません。

Point頻度を上げようとしないでください

一人暮らしで続かないと感じたとき、多くの場合は「毎日やる」と決め直すところから始めてしまいます。けれど、週5日できていた人が毎日に上げようとすると、たいてい週3日まで落ちます。動かすのは上限ではなく下限です。いちばん少ない日に何が残るかを決めておくほうが、ペットの側に届く総量は増えます。

いちばん小さい段をつくる|一人暮らしのペットのケアで、水が嫌いな猫に起きた変化

やったのは、ひとつだけです。「やる」と「やらない」の2択をやめて、あいだに2段はさみました。それまで私の頭の中には、ブラシを持って全身を通す日と、何もしない日の2つしかありませんでした。だから、全身を通せない日は自動的に何もしない日になっていました。

  1. いちばん上の段:ブラシを持って、背中から腰まで通す

    体調も時間もある日です。実際には週に2〜3日しかありません。この段を毎日の基準にすると、残りの4日が全部0になります。ここは「できたら上出来」の位置に置いておきます。水が嫌いな猫なので、この日も水は使いません。

  2. 2段め:布を1枚持って、1か所だけ拭く

    首のうしろか、しっぽの付け根のどちらか1か所です。場所を毎回選ばないように、2か所のうちから選ぶ形にしておきます。時間にして30秒ほど。乾いた布でも、柔らかい布を軽く湿らせたものでも構いません。水が嫌いな猫でも、面で当てるぶんには逃げないことが多いです。

  3. 3段め:手のひらを背中に置いて、5往復なでる

    道具を一切持ちません。ここが、いちばん小さい段です。この段があるだけで、0の日がほとんど消えました。膝に乗ってきたときにその場で終わるので、立ち上がる必要もありません。皮膚のほうに何か起きていないかは、この5往復のあいだに手のひらで分かります。

  4. 落ちてもいい、と先に決めておく

    3段めまで落ちた日を、失敗として数えないことにしました。一人暮らしでは、落ちた日を責める人も、励ます人も自分しかいません。だから、落ちた先を用意しておくほうが実際的です。3段めで触った日も、その子にとっては「今日は誰かが触った日」になります。

水が嫌いな猫にとって、この3段はどれも同じ質のことをしています。濡らさない、押さえつけない、その場から動かさない。3つが共通しているので、いちばん上の段からいちばん下の段へ落ちても、その子の側から見ると「いつもの流れが短くなっただけ」に見えます。ここが崩れると、段を下げたときに別の作業になってしまい、猫のほうが警戒します。

3つの段は、どれも水を使いません
段持つものかかる時間その日に届くもの
1段めブラシ5分ほど抜けた毛が外へ出る
2段め布1枚30秒ほど1か所だけ、表面の汚れが動く
3段め何も持たない10秒ほど皮膚と被毛の状態が手のひらに残る

2段めで持つ布に含ませるのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。首のうしろを、毛の流れに沿ってなでるように拭きます。面で当てるぶんには逃げないという2段めの性質に、そのまま乗る道具です。直接吹きかけずに布へ移してから当てると、霧と音を嫌う子でも残ります。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準をクリア)でつくられているので、拭いたあとにその子が自分でなめても量を気にしなくてよく、30秒のあいだ手を止めずに済みます。

毎日きれいにしておきたい、というところから作られたものなので、週に2〜3日しかない1段めの日を待たなくていい。これが一人暮らしではいちばん大きいところです。被毛の側をグルーミングスプレーが、地肌の側をスキンケアミストが受け持ちます。3段めの手のひらで根元のべたつきに気づいた日は、地肌の側から手を入れる、という選び方ができます。どちらも水で流す工程がないので、水が嫌いな猫と一人暮らしをしていても、選べる段の数がこれ以上減りません。

ひと月後に残っていたのは、手を置くだけの日でした|水が嫌いな猫と一人暮らしをした経験

ひと月たって振り返ると、1段めができた日は8日でした。2段めが9日、3段めが11日、何もできなかった日が2日。始める前は、月の半分近くが0だったので、そこが2日まで減りました。1段めの回数はほとんど増えていません。増えたのは、いちばん小さい段の日です。

猫の側にも、少し変わったことがありました。以前は私がブラシに手を伸ばした時点で部屋を出ていたのが、手のひらだけで近づく日が挟まるようになってから、その場に残る時間が長くなりました。水が嫌いな猫にとって、人が近づいてくることと、濡らされることが、頭の中で別のことになったのだと思います。これは道具を持たない日を作ったことの副産物でした。

もうひとつ、思っていなかった変化があります。毎日その子の背中に手を置いていると、いつもと違う手ざわりに気づく日が出てきます。被毛が根元でべたつく、同じ場所だけ薄い、なでると体を引く。以前は、こうした変化を見つけるのはブラシを持った週2〜3日だけでした。いまは毎日、手のひらのほうから情報が入ってきます。

Caution手のひらで気づいた変化は、そのまま動物病院で話してください

皮膚が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。一人暮らしでは、気になる変化を話す相手が家の中にいません。迷った時点で相談してよい、と決めておくほうが早く動けます。いつから、どこが、どんな手ざわりだったか。この3つを覚えていれば、そのまま診察で使えます。

水が嫌いな猫と一人暮らしをしていると、ケアの話はどうしても「どうやって濡らすか」に寄っていきます。でも、実際に効いたのは道具でも技術でもなく、触らない日を作らないための、いちばん小さい段のほうでした。膝に乗ってきた10秒に手を置く。それだけの日でも、その子にとっては誰かが触ってくれた一日になります。一人暮らしのペットにとって、それを用意できるのは、家の中でひとりだけです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。