C09シーン別・暮らし

シニア犬と暮らす人が在宅ワークの日で困ること、その手当て

公開日 2022年12月10日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の机のそばで、淡い色の年老いた犬がマットの上で眠っている
寝ている時間が長いことは、手をかけられない理由にはなりません。触らない側にできることがあります。写真:Yaroslav Shuraev/Pexels

在宅ワークの日、朝9時に机に向かってから夕方6時までのあいだに、その子が自分から立ち上がったのは4回でした。水を飲みに1回、外に出たのが2回、体の向きを変えるために1回。残りの時間は、机の足元でずっと眠っています。老犬と暮らしていると、この寝ている時間の長さが一日の大半を占めます。目の前にその子がいるのに、触れる時間のほうが見当たらない。起こしてまでやるべきなのか、それとも起きるのを待つのか。ここでは、在宅ワークの日のペットのケアを、その一点から8つの問いに分けて考えます。

仕事中ずっと足元で寝ています。起こしてまで体に触ったほうがいいですか

基本は、起こさないほうを選んでください。老犬にとって、起こされることのコストは若い頃よりずっと高くなっています。深く眠っているところから立ち上がるまでに時間がかかり、立ったあとも足元が定まるまでにまた時間がいります。そこから寝直して、もとの深さまで戻るのにさらにかかる。5分のケアのために、その子の一日から30分以上を持っていくことがあります。

在宅ワークの日は、この判断が一日に何度も出てきます。目の前で寝ているので、いつでも手が届いてしまうからです。決め方はひとつで、その子が自分から立ち上がるのを待てるかどうかで分けます。待てるものは待つ。待てないものだけ、起こす。老犬と暮らす在宅ワークのケアは、この振り分けができた時点でほとんど決まります。

起こしてよいことと、待つことの分け方
やりたいことどちらにするか
ブラッシング待つ。起き上がったときで足ります
足先や口まわりの拭き取り待つ。歩き出す前の1分に入れます
水皿を洗って入れ替える起こさずにできます
寝床の下の床を拭く起こさずにできます
体の向きを変える起こしません。そっと支えて向きだけ変えます
歩き方や呼吸が気になる起こしてでも確かめてください

最後の行だけが例外です。体調に関わる心配は、待つ理由になりません。それ以外のペットのケアは、すべて後ろにずらせます。在宅ワークの日は、ずらせる時間が一日じゅうあるという意味では、いちばん条件のいい働き方です。

一日にどれくらい寝ていれば、老犬として普通なのか知りたいのですが

一般に、犬は人より睡眠が長く、年齢が上がるほどさらに長くなるといわれます。ただ、何時間なら普通という一本の線は引けません。体格でも、その日の運動量でも、季節でも動きます。12月のように室温が下がる時期は、暖かい場所でまとまって眠る時間が伸びます。だから、平均値と比べても意味がありません。

在宅ワークの日にしかできない測り方があります。寝ている時間の長さではなく、その子が自分から立ち上がった回数を数えることです。一日じゅう同じ室内にいるので、これは在宅の日なら数えられます。水を飲む、外へ出る、寝る場所を移す、体の向きを変える。1日に4回なのか、7回なのか。ペットの一日を数字にするなら、この回数のほうが扱いやすいという理由です。

Note長く寝ていること自体は、問題の合図ではありません

老犬が一日の大半を眠って過ごすのは、めずらしいことではありません。見るのは長さではなく、変わり方のほうです。先週まで6回立っていた子が、今週は2回になった。この落差が意味を持ちます。在宅ワークの日は、その落差に気づける数少ない日です。数えるのは在宅の日だけで構いません。週に2日でも、2週間で4点は取れます。

老犬が寝ているあいだにできる在宅ワークのケアとは、何のことですか

体に触らずに済むもの全部です。ペットのケアというと体に手を当てるものだと考えがちですが、老犬の場合、体の外側にある条件のほうが効いてきます。寝ている時間が長いということは、体が同じ面に長く触れているということだからです。触れている側を整えるのは、その子を起こさずにできます。

  1. 寝床の下の床を拭く

    寝ている面そのものではなく、その周囲の床です。抜けた毛と皮脂は、寝床の外側30センチにいちばん溜まります。寝返りのたびに外へ押し出されるからです。仕事の合間に、その子が起きない距離から拭ける範囲だけで足ります。

  2. 水皿を洗って、置き場所を近づける

    立ち上がる回数のうち、水を飲むための1回は減らさないほうがいい回数です。寝ている場所から水皿までの距離を短くすると、その回数が保たれます。ふちのぬめりは毎日落としてください。ここは在宅ワークの日なら、何度でも手が届きます。

  3. 床の硬さと、足がすべる面を見る

    老犬が立ち上がるとき、いちばん力がいるのは最初のひと踏ん張りです。寝床から一歩目を出す場所にすべる床があると、立ち上がる回数そのものが減ります。マットを1枚足すのは、寝ているあいだにできる手当てです。

  4. 室温と、空気の通り道を整える

    12月は、床に近いところほど冷えます。暖房の風が直接当たる場所も避けたいところです。室内の空気を5分入れ替えるのも、その子が寝ている部屋を通らない経路でできます。毎日の習慣にするなら、仕事を始める前の1回だけ決めておくと崩れません。

  5. 同じ角度から1枚だけ写真を撮る

    寝ている姿を、毎日同じ位置から撮ります。触れずにできて、あとから比べられる記録はこれだけです。寝る姿勢の変化は、その場で見ていると分かりません。2週間ぶん並べると、体の向きの偏りや、丸まり方の変化が見えます。

この5つは、どれも起こさずにできます。在宅ワークの日にペットのために使える時間は、じつは寝ているあいだのほうが長いということです。ペットのケアの中身を、触るものと触らないものに一度分けてみてください。体に触るケアだけを数えていると、その時間が全部なかったことになります。

起き上がった、その最初の1分では何をすればいいですか

起き上がって、まだ歩き出す前の1分を使います。この1分は、こちらが立たせているのではなく、その子がもう立っている時間です。老犬のケアで難しいのは、立たせておける時間が短いことでした。自分から立った瞬間なら、その制約が最初から外れています。

入れるものは、多くて2つまでにしてください。順番は下から上です。足先、それからおしりのまわり、口のまわり。1回で全部やろうとせず、1回の起床につき1か所と決めるほうが、一日の合計では多く回ります。在宅ワークの日に立ち上がる回数が4回あるなら、4か所に手が届く計算になります。

起き上がった1分に入れるものの順番
順番場所かける時間
1足先と足の裏20〜30秒
2おしりのまわり20〜30秒
3口のまわりとあごの下20秒
4背中を上から下へ、手のひらで10秒。道具は持ちません

1番の足先だけは、別の枠を用意しておくと楽になります。在宅ワークの日でも、外に出るのは一日2回あります。帰ってきた直後のその子は、こちらが立たせたのではなく、もう自分の足で立っています。玄関で足先を片づけてしまえば、次に起き上がった1分は、おしりや口のまわりに回せます。

その場で使えるのが、桶ひとつでできる足の洗い方です。浅く張ったぬるい湯にmofuwa 入浴シャンプーを薄く溶いて、前足、後ろ足と順に浸ける。擦らないので、片足あたり10秒ほど立っていられれば足ります。軽くすすいで、そのまま拭き取りまで一続きにしてください。12月の玄関は床から冷えるので、湯はぬるめにして、拭き終わるまで止めないほうがいいところです。

Point座らせない、立たせ続けないの2つだけ守ってください

1分を超えそうになったら、途中でやめて構いません。老犬にとっていちばん負担なのは、ケアの内容ではなく、同じ姿勢で待たされる時間のほうです。途中で座り込んだら、そこで終わりにしてください。次に立ったときに続きをやれば、一日の中では同じことです。在宅ワークの日は、その「次」が3時間後ではなく1時間後に来ます。

いつも同じ向きで寝ています。下側になる面だけが気になります

老犬が同じ向きで長く寝ていると、下になっている側は空気が通りません。体温と湿りがその面に閉じこもり、毛が寝たまま、皮脂が広がりにくい状態が続きます。ひじ、腰の横、胸の外側。床に当たっている出っぱりのところから順に、手ざわりが変わっていきます。左右で毛の流れが違って見えたら、たいていはこれです。

手当ては2つに分かれます。ひとつは、寝ているあいだに向きだけ変えること。抱き上げず、支えて向きを入れ替えるだけなら、起こさずにできることがあります。もうひとつは、起き上がった1分のうち1回を、下側になっていた面に使うことです。手のひらで毛を起こすように、上から下へなでる。道具は要りません。室内で一日を過ごす老犬ほど、この面の入れ替えが要ります。

Note寝床の布の側からも見てください

下側になる面のにおいが強くなったと感じたときは、体ではなく布のほうを先に確かめてください。同じ面が同じ場所に何時間も当たっているので、皮脂は体より先に布へ移ります。週に1回、布を替える曜日を決めておくと、体の側の変化と布の側の変化を分けて見られるようになります。

在宅ワークの日でも、毎日やらなくていいことはどれですか

全身のブラッシングです。これは毎日やらなくて構いません。むしろ、老犬に対して毎日の全身ブラッシングを習慣にすると、立たせる時間だけが一日ぶん増えます。家にいる時間が長いほど「今日もやろう」と思ってしまうので、在宅ワークの日にこそ、先に外しておいたほうがいい項目です。

代わりに、体を4つに分けます。前半身、後ろ半身、しっぽとおしりのまわり、顔まわり。1日1エリアだけにして、週の中で1周させてください。1回あたり1分で終わるので、起き上がった1分にそのまま入ります。毛が長い子でも、4日で全身に一度は手が入る計算です。合計の時間は毎日やるより短くなり、その子が立っている時間は4分の1になります。

毎日やるものと、間隔を空けていいものの分け方
毎日間隔を空ける
体に触るケア起き上がった1分に1か所全身のブラッシングは4日で1周
寝床まわり床を拭くのは気づいたときで可布を替えるのは週1回
食器と水皿ふちのぬめりは毎日つけ置きは週1回
室内の空気5分の換気を1回寝床の位置の見直しは月1回
記録立ち上がった回数と写真1枚見返すのは2週間ごと

毎日やることを減らすのは、手を抜くためではありません。老犬と暮らす在宅ワークの日で足りなくなるのは、飼い主の時間ではなく、その子が立っていられる時間のほうだからです。そちらを配り直すのが、この分け方の目的です。

一日じゅう家にいる日なら、洗ってあげたほうがいいですか

在宅ワークの日は時間があるので、洗う日に選びたくなります。ただ、老犬にとっての洗う日の負担は、かかる時間ではありません。洗っているあいだと乾かしているあいだ、ずっと立っていなければならないことのほうです。時間がある日を選んでも、その負担は変わりません。

だから、洗う日を決めるときに見るのは、こちらの予定ではなく、その週にその子がどれくらい立てていたかです。立ち上がった回数がいつもの幅の中にある週にしてください。回数が落ちている週は、洗う日を後ろにずらします。在宅ワークの日は候補が多いので、ずらせます。

洗い方の側でも、立っている時間は短くできます。ふつうのシャンプーで地肌まで届かせるには、被毛をかき分けて泡を押し込み、そこを手で動かす必要があります。擦っているあいだ、その子は立ったまま、じっと待っています。老犬にとって重いのは、洗剤の中身よりもこの姿勢の時間のほうです。

mofuwa 入浴シャンプーは、湯そのものを洗浄液にします。溶かした湯に浸かると、被毛をかき分けなくても、全身が同じ濃さの湯に浸ります。擦る工程がなくなるぶん、こちらの手は体を支える側に回せます。浴槽に浅く湯を張れば、座った姿勢のまま浸かれます。立ち続けられない子でも、支えるのは体の重みだけで、洗うための力はいりません。すすぎが軽く済むので、浴室にいる時間そのものも短くなります。

老犬や体の大きな子と暮らす家では、洗う頻度より、1回あたりの立ち時間のほうを先に見てください。在宅ワークの日なら、湯を張るところから乾かし終わりまでを、会議の入っていない時間帯にまとめて置けます。入浴シャンプーを使う日は、そのあいだの姿勢を決めておくところまでが準備です。洗ったあとに乾かす時間も、同じ考え方で短くしていきます。

Point洗った日は、そのあとの2時間を空けておく

在宅ワークの日に洗うなら、洗い終わりを会議の直前に置かないでください。老犬は、体力を使ったあとに寝直す時間が要ります。洗ったあと2時間は、静かに寝られる状態にしておく。この2時間を確保できる日が、その週の洗う日です。時間があることより、そのあとが空いていることのほうが条件になります。

寝ている時間が急に増えました。年齢のせいと考えて大丈夫ですか

急に、というところが引っかかります。年齢による変化はゆっくり進むので、週の単位ではっきり分かるほどの落差は、年齢だけでは説明がつきにくいところです。在宅ワークの日にその子をずっと見ていると、こうした落差にいちばん早く気づけます。気づけるということは、判断も早くできるということです。

Caution迷ったときは、動物病院にご相談ください

寝ている時間が急に増えた、立ち上がりにくくなった、水を飲む量が変わった、地肌が赤い、においの質が変わった、触ると痛がる。ひとつでも当てはまるときは、家でのペットのケアを増やす前に動物病院にご相談ください。老犬の変化は、年齢のせいと片づけられがちなところです。在宅ワークの日に記録していた立ち上がった回数と、同じ角度で撮った写真があれば、そのまま相談の材料になります。

相談に行く日も、在宅ワークの日を選べるなら選んでください。移動と待合でその子が立っている時間があるので、帰宅後にゆっくり寝られる時間が要ります。帰宅後すぐに会議が入っていると、その時間が削られます。予定を決める段階から、老犬の一日の側で組んでおくということです。

起きている時間は一日に3時間しかない|在宅ワークで残った疑問を、老犬の睡眠の側から並べ直す

8つの答えを、一日の側に置き直します。老犬が一日に自分から立ち上がる回数を4回とすると、そのうちケアに使えるのは1回1分。合計4分です。一方、寝ている時間は十数時間あります。この数字の差が、そのまま在宅ワークの日の組み方になります。

在宅ワークの一日を、その子の状態で3つに分けたとき
その子の状態そこでやることこちらの都合で動かせるか
寝ている(一日の大半)床、水皿、室温、記録。体には触らない動かせます
立ち上がった直後(1分×4回)1回1か所だけ。下から上へ動かせません。待つだけです
起きて動いている(合計で数時間)外に出る、食べる、飲むこちらは合わせる側です

この表の右の列が要点です。在宅ワークの日にこちらが決められるのは、寝ているあいだにやることだけです。体に触るケアの側は、その子が立った瞬間にしか動かせません。だから、決められる側を厚くしておく。床、水皿、室温、記録。ここが整っていると、1分×4回が薄くても、一日としては回ります。

毎日のペットの習慣としては、次の3つだけ残せば足ります。仕事を始める前に室内の空気を5分入れ替えること。その子が立ち上がった回数を正の字で数えること。同じ角度から写真を1枚撮ること。どれも、その子を起こさずにできます。体に触るケアは、この3つの上に乗せるものと考えてください。

在宅ワークとペットのケアがぶつかるように感じるのは、こちらの時間割の側で組もうとするからです。老犬の一日は、寝ている時間と、数回の立ち上がりでできています。その形に合わせて組み直すと、やることはむしろ減ります。そして減ったぶんの余裕が、立ち上がる回数が落ちた週に気づく力になります。

Product

mofuwa 入浴シャンプー

mofuwa 入浴シャンプー

400ml / 3,410円(税込)

浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。