C09シーン別・暮らし
犬と猫の同居、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?
迎えて4日目の夜、犬は廊下のドアの前で寝そべり、猫は本棚の上から動きません。この時点で顔を合わせているのは1日に数秒だけで、それ以上は近づいていません。犬と猫の同居では、この差が最初から出ます。保護犬・保護猫を迎えた家では、そこにもう一つ条件が乗ります。触られることにまだ慣れていない子がいると、人の側の手順も、その子が許す範囲の中でしか進められません。この記事では、なぜ種によって慣れる速さが違うのかを先に整理して、そのあと、直接会わせる前に布でにおいだけを交換していく手順を書きます。
犬と猫で慣れる速さが違う|保護犬・保護猫を迎えた家が、同居の順番を決める前に知っておくこと
犬と猫の同居でつまずくとき、原因はたいてい相性ではなく、速さの差です。犬は動くものに近づいて確かめる動物で、猫は場所のにおいが変わったことを先に受け取る動物です。同じ部屋に2種を置くと、犬はもう確かめ終わっているのに、猫はまだ「部屋が変わった」という段階にいます。犬の側の速さで進めると、猫はずっと追いつけないままになります。
猫にとって、室内のにおいは自分の場所を確かめるための情報です。知らないにおいが増えた部屋は、猫の側からは「知らない場所」に見えます。だから猫は、相手そのものより先に、においの変化に対応しなければなりません。犬は散歩のたびに外のにおいを持ち帰る生活をしているので、においが増えること自体には慣れています。この非対称が、犬と猫の同居のいちばん最初の条件です。
ここに、保護犬・保護猫を迎えた家の条件が重なります。以前どうしていたかは分かりません。だから、推測で組み立てないでください。分かるのは、いま目の前で見えていることだけです。手を伸ばすと体が固くなるか、ごはんを人の見ている前で食べるか、名前を呼んだときに耳が動くか。保護犬・保護猫との同居では、この「いま見えていること」だけを条件にして順番を決めます。
| 犬の側 | 猫の側 | |
|---|---|---|
| 先に受け取るもの | 相手の動きと音 | 室内のにおいの変化 |
| 確かめ方 | 近づいて、鼻を寄せる | 離れた場所から、時間をかけて |
| 落ち着くまでの単位 | 日から週 | 週から月 |
| 進みが止まる合図 | 落ち着かずに歩き回る | 高い場所から降りてこない |
| 人ができること | 距離と時間を区切る | 先に場所を確保しておく |
保護犬・保護猫を迎えた家では、人の側の予定表どおりに進まないことのほうが普通です。3日で終わる家もあれば、3か月かかる家もあります。どちらも遅れではありません。この記事の手順も、日数は目安にすぎません。その子が布に鼻を近づけるかどうか、ごはんを残さず食べているかどうか。この2つが、次の段に進んでいいかどうかを決めます。
布を交換する5つの手順|保護犬と保護猫を会わせる前に、においだけを行き来させる
やることは、布を2枚使うだけです。犬のにおいがついた布を猫の生活圏へ、猫のにおいがついた布を犬の生活圏へ。順番に、少しずつ近づけていきます。直接会わせるより先ににおいを交換しておくと、はじめて姿を見た日が「知らない相手」ではなく「知っているにおいの相手」になります。手を使わないので、触られることに慣れていない子でも進められます。
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手順1|同じ布を2枚用意して、それぞれの寝床に置く
薄手の綿の布か、使い古したタオル地のものを2枚。大事なのは、2枚が同じ素材で、どちらにもまだ何のにおいもついていないことです。片方を犬の寝床に、もう片方を猫の寝床に敷きます。この時点では交換しません。24時間から48時間、そのまま置いて、それぞれのにおいを移します。保護犬・保護猫を迎えた直後は、寝床そのものにまだ慣れていないこともあるので、布を敷いたことでその場所を使わなくなったら、いったん外して翌日にやり直してください。
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手順2|2枚を交換して、相手の生活圏のいちばん端に置く
犬の布を猫の部屋へ、猫の布を犬の部屋へ移します。置くのは、寝床でも食事の場所でもなく、その部屋のいちばん端です。猫なら、いつも通らない壁ぎわ。犬なら、ケージから離れた床の隅。においが室内にあるという状態を作るだけで、この段は十分です。近づいて嗅ぐかどうかは見なくて構いません。24時間そのままにします。
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手順3|3日ごとに、布の置き場所を通り道へ寄せる
端から、その子が毎日通る場所へ、少しずつ移していきます。1回に動かすのは1メートル前後で十分です。通り道に置いても、いつもどおり通るなら次へ進めます。避けて通る、遠回りする、その手前で止まるなら、前の位置に戻して3日待ちます。犬と猫で進む速さが違うので、2枚が同じ日に同じところまで進む必要はありません。片方だけ先に進んで構いません。
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手順4|食事の場所の近くまで来たら、そこで止めて日数を数える
布が食事の場所の1〜2メートル手前まで来たら、いったん動かすのをやめます。ここで見るのは、ごはんを残さず食べているかどうかだけです。いつもと同じ量を、いつもと同じ時間で食べているなら、布のにおいはもう条件になっていません。残す、食べるのが遅くなる、人がいなくなるまで食べないなら、布を1メートル戻して、また3日数えます。ここが犬と猫の同居でいちばん時間のかかる段です。
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手順5|布に反応が出なくなってから、はじめて姿を見せる
両方の布が食事の場所の近くにあっても生活が変わらない状態になったら、次は姿です。ドアを少しだけ開ける、柵ごしに数秒、が最初の1回です。時間は10秒で足ります。終わったら、そのまま離します。においの交換をここまでやっておくと、この10秒がゼロからの対面になりません。保護犬・保護猫の同居では、この段の前に何週間かけても、あとから取り返せます。
| 布の位置 | 見るところ | 進む/戻す |
|---|---|---|
| 部屋のいちばん端 | その部屋で寝ているか | 寝ていれば1メートル進める |
| 毎日の通り道 | 避けずに通るか | 遠回りするなら端まで戻す |
| 食事の場所の手前 | 残さず食べているか | 残すなら1メートル戻して3日 |
| 寝床のすぐ横 | その寝床を使い続けているか | 使わなくなったら通り道まで戻す |
| 布に近づいて嗅ぐ | そのあと普通に離れるか | 離れるなら、姿を見せる段へ |
同じ布を長く置いたままにすると、においが室内の他のものと混ざって、何を交換しているのか分からなくなります。週に1度、それぞれの寝床に置く新しい布を1枚ずつ用意して、順番に回してください。洗うのは、置いていた期間が終わった布だけです。柔軟剤や香りのついた洗剤を使うと、交換したいにおいの上に別のにおいが乗ります。無香料のもので洗って、しっかり乾かしてから使ってください。
途中で止まったときのやり方|犬と猫の同居で進みが遅くなる3つの場面
手順どおりに進めても、途中で止まります。止まること自体は失敗ではなく、次にどこへ戻すかが決まればいいだけです。よく起きるのは次の3つで、どれも戻し方が違います。
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場面1|布を置いた日から、猫がごはんを残すようになった
布が近すぎます。猫は室内のにおいが増えたことを、場所そのものの変化として受け取ります。食事の場所の近くに知らないにおいがあると、食べる時間が後ろにずれたり、人がいなくなるまで待つようになったりします。布を2メートル戻して、3日そのままにしてください。それで食べ方が戻るなら、次は50センチずつ動かします。日数ではなく、食べ方が戻ったかどうかで判断します。
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場面2|犬が布をくわえて持っていってしまう
犬にとって、布は交換すべきにおいではなく「もの」です。持っていってしまうときは、床ではなく、犬の口が届かない高さに置き替えます。低い棚の上や、柵の外側でも構いません。犬の側は、においが室内にあれば足りるので、床に置く必要はありません。持っていったものを取り返そうとすると、その布自体が取り合いの対象になります。無理に取り上げず、別の布に替えてください。
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場面3|何週間たっても、布に鼻を近づけない
近づかないこと自体は、悪い合図ではありません。見るのは布への反応ではなく、その子の毎日が変わっていないかどうかです。ごはん、水、トイレ、寝る場所。この4つがいつもどおりなら、進んでいます。ただし、進む単位を週から月に切り替えてください。保護犬・保護猫を迎えた家では、ここに数か月かかることがあります。以前どうだったかを推測して理由を作らず、いま起きていることだけを数えてください。
- 戻す幅は、進めた幅の2倍にする:1メートル進めて止まったら、2メートル戻すと落ち着きやすくなります
- 同じ週に、条件を2つ以上変えない:布と寝床の位置を同時に動かすと、どちらが原因か分からなくなります
- 犬と猫で、進む速さをそろえない:片方が3日で進み、片方が3週間かかることは普通です
- 止まった日を記録する:何日目にどこで止まったかが分かると、次の段の目安になります
- 人の予定に合わせて縮めない:来客や連休に合わせて急ぐと、たいてい前の段までまとめて戻ります
止まっているあいだ、人がやることは減りません。減るのは、動かす距離だけです。布は置いたままで、毎日の生活を変えずに続ける。犬と猫の同居で効いてくるのは、進んだ距離ではなく、同じ条件が何日続いたかのほうです。3日で1メートル進んで戻るより、2週間動かさないほうが早く着くことがあります。
毎日の記録が、同居の速さを決める|保護犬・保護猫と暮らす家
記録するのは3つだけです。その日の布の位置、ごはんを残したかどうか、寝た場所。1日1行で足ります。犬と猫でそれぞれ1行ずつ、合わせて2行。カレンダーの隅で構いません。この3つがあると、止まった原因が布なのか、他の理由なのかを後から分けられます。
- 布の位置:動かした日だけ書けば足ります。動かしていない日は「同じ」で構いません
- ごはんの残り:量ではなく「残した/残さない」の2つで十分です
- 寝た場所:寝床を使ったか、別の場所へ移ったか。猫は高い場所へ移ることがあります
- 帰宅後の様子:人が戻ったときにどこにいるか。これは週に2〜3回で構いません
- 触らせてくれた範囲:背中まで、頭まで、まだ手を伸ばせない。無理に更新しなくていい項目です
触れる範囲が広がってきたら、体のケアもその範囲の中から始めます。いきなり全身をやろうとせず、その子がいちばん許してくれる場所の1か所だけです。背中の真ん中と耳のうしろは、その子の舌が回りきらない場所です。犬も猫も、自分で届く範囲は自分で済ませてしまうので、ここだけが人の受け持ちになります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。途中で手を止めても、その場で舐められても、口に入るものが増えません。だから、まだ体に触られることに慣れていない子に、一度で終わらせようとせずに使えます。この記事の手順のなかで言えば、においを交換している最中の家では、香りを1つも足さないことがそのまま条件になります。無香料なので、ここまで交換してきたにおいの上に別の香りが乗りません。布に含ませて、背中を毛の流れに沿ってひとなで。猫の側は、犬より許す範囲が狭いことが多いので、同じ日に同じことをしなくて構いません。
ごはんを2日以上食べない、水を飲まない、下痢や嘔吐が続く、トイレの回数が急に変わった、皮膚が赤い、同じ場所をなめ続けている、耳を気にして頭を振る、目や鼻に汚れが出ている、呼吸が速い。これらは、布の位置を戻して様子を見る話ではありません。迎えたばかりの時期は環境の変化が重なるので、判断を先延ばしにせず、動物病院にご相談ください。迎えた日から何日目か、そのあいだに変えた条件、記録した3行。この3つを持っていくと、環境の話なのか体の話なのかを、その場で分けてもらえます。
犬と猫の同居は、同じ部屋で並んで寝るところまで行かなくても成立します。それぞれが、相手のにおいのある室内で、いつもどおりに食べて、いつもどおりに寝ている。それが同居の完成形の一つです。保護犬・保護猫を迎えた家では、その子が以前どう過ごしていたかは分かりません。だから、目標を先に決めずに始めてください。布を2枚置いて、毎日3行だけ書く。順番を守っているかぎり、進みが遅いことは問題になりません。速さを決めているのは人の側ではなく、その子の側です。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
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商品ページを見るよくある質問
- 先住の猫が、布を置いた日から一度も近づきません。やり方が間違っていますか?
- 近づかないこと自体は、進んでいないという合図ではありません。猫は離れた場所から時間をかけて確かめるので、鼻を寄せる場面が見えないまま次の段へ進むこともあります。見るのは布への反応ではなく、ごはん・水・トイレ・寝る場所の4つがいつもどおりかどうかです。4つが変わっていなければ、そのまま3日ごとに布を通り道へ寄せて構いません。
- 犬と猫で、ごはんの場所は分けたほうがいいですか?
- 分けてください。においを交換する時期に、食事の場所だけは動かさないほうが進みが読めます。食べ方は、布の位置を進めていいかどうかを判断する材料になっているので、そこに別の変化を足すと何が原因か分からなくなります。高さで分けるやり方もあります。猫の食事を台の上に置くと、犬が近づけない場所を室内に一つ作れます。
- 同居が落ち着くまでに、どれくらいの時間がかかりますか?
- その子によって差が大きく、数週間の家も、数か月かかる家もあります。日数で区切らず、段で数えてください。布が部屋の端にある段、通り道にある段、食事の場所の手前にある段、姿を見せる段。いまどの段にいるかが分かっていれば、時間がかかっていても迷いません。予定に合わせて段を飛ばすと、たいてい前の段まで戻ります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
