C15組み合わせ提案
大型犬のためのケアセット
大型犬の体をひととおり見終わるまでに、自分が何歩動いているかを数えてみたら、片側だけで42歩ありました。使ったスプレーの量は、前の月と変わっていません。増えていたのは歩数のほうでした。道具を取りに戻り、反対側へ回り、また前に戻る。その往復のあいだ、その子は待っています。待たされた時間が長い日ほど、途中で立ち上がって歩き出します。大型犬のケアのセットで先に決めるのは、量ではなく「片手で届くかどうか」です。体が大きいと、片方の手で体を支えたり押さえたりしている時間が長くなり、もう片方の手だけで作業を進めることになります。この記事は、道具を並べる前に、自分が動く回数のほうを数えて組み直した手順の話です。
増えたのは使う量ではなく、自分が歩いた歩数でした|大型犬のケアを毎日続けるときの前提
大型犬のケアを続けていると、道具が足りない気がしてきます。ボトルの減りが早い、布が足りない、もっと大きいブラシが要るのではないか。ところが実際に数えてみると、増えていたのは使う量ではありませんでした。増えていたのは、こちらが動いた回数のほうです。片側を見終わるまでに42歩。反対側へ回るのに、そこからさらに10歩。道具を取りに戻るたびに、往復で6歩から8歩。
量が思ったほど増えないのは、当てる面積と、1回に使う量が比例しないからです。体が2倍でも、1か所に当てる量は同じで、増えるのは「当てる場所の数」のほうです。場所の数が増えると、そのあいだの移動が増えます。移動が増えると、待たされる時間が延びます。大型犬のケアが途中で崩れるのは、量が足りなくなるからではなく、待ち時間のほうが先に限界に来るからです。
| 小柄な子 | 大型犬 | |
|---|---|---|
| 1か所に当てる量 | ほぼ同じ | ほぼ同じ |
| 当てる場所の数 | 少ない | 多い |
| 人が移動する回数 | ほとんど動かない | 毎回まわりを回る |
| 片手がふさがる時間 | 短い | 作業のあいだずっと |
| その子が待つ時間 | 短い | 移動のぶんだけ延びる |
| 途中で立ち上がる回数 | 少ない | 待ち時間に比例して増える |
この表から、大型犬のケアのセットを組むときの条件が1つに決まります。選ぶ基準は「良く効くかどうか」でも「量が多いかどうか」でもなく、その場から動かずに片手で届くかどうかです。届かないものは、そのたびに歩数を足します。歩数が足りない日は、その工程が飛ばされます。飛ばされる工程はいつも同じ場所で、たいてい体の反対側です。
- 道具を取りに戻る:立ち上がって棚まで行き、また戻ります
- 反対側へ回る:体の幅があるぶん、上をまたげません
- ふたを開けるために置き直す:両手が要るものは、いったん手を離します
- 布を替えに行く:面積が広いので、1枚では最後まで持ちません
- その子が動いたあとを追う:待ちきれずに移動すると、こちらも移動します
- 終わったあと片づけに行く:置き場所が遠いと、ここでも往復します
毎日のケアが続かない理由を「時間がない」と説明したくなりますが、実際に減っているのは、動く気力のほうです。1回に50歩動く作業は、5分で終わっても毎日はできません。1回に5歩で終わる作業は、同じ5分でも続きます。大型犬のケアのセットを毎日の中に置きたいなら、削るのは工程の数ではなく、工程と工程のあいだの移動です。移動を削ると、残った工程はそのまま残ります。
体の高さに置いて、届く範囲を4つに割る|大型犬のケアのセットを組む手順と順番
ここからが手順です。3つの決めごとを順に置くと、移動の回数がそのまま減ります。置き場所、片手で開くかどうか、そして届く範囲の分け方。この順番でないと効きません。範囲を先に決めても、道具が遠ければ結局往復するからです。
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1・置き場所を、その子の体の高さに合わせる
棚の上でも、洗面台の上でもありません。その子が立ったとき、あるいは伏せたときの体の高さと同じところに置きます。大型犬なら、床から40センチから60センチくらいの台か、床そのものです。人の腰の高さに置くと、使うたびに視線と体を上げることになり、そのわずかな動きが1回ぶんの移動になります。置き場所を先に下げると、それだけで往復が半分近く減ります。
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2・片手で開くものだけを選ぶ
もう片方の手は、その子の体に置かれています。大型犬では、押さえているというより「そこにいてもらうために触れている」時間が長くなります。手を離すと、その子は自由になったと判断して立ち上がります。だから、ふたを外すのに両手が要るもの、押さえながら回すもの、詰め替えが必要なものは、この段階でセットから外します。外したものは、洗う日のほうへ回してください。
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3・手の届く範囲を4つに分ける
その場に座るか立つかして、動かずに手が届く範囲を確かめます。大型犬の体は、1か所に立ったまま全部には届きません。だから前と後ろ、上側と下側の4つに分けます。右側から見て、前の上・前の下・後ろの上・後ろの下。反対側に回ると、同じ4つがもう1組できます。合計8区画です。番号を決めておくと、その日どこまでやったかが言葉で残ります。
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4・区画ごとに終わらせてから、次へ移る
順番は、区画の中で完結させることです。ブラシを全身にかけてから布で全身を拭く、という進め方をすると、そのたびに全周を回ることになります。1区画の中で、ブラシも布も終わらせてから隣へ移ります。同じ工程数でも、移動の回数が半分以下になります。大型犬のケアの順番は、工程の順番ではなく区画の順番で決めます。
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5・移る前に、道具を自分の足元へ動かす
区画を移るときは、道具も一緒に動かします。置いたまま移動すると、次の区画から手が届かず、取りに戻ることになります。小さいかごか、浅い箱を1つ用意して、そこにまとめて入れておくと、片手で持って移れます。ここまでやると、1回のケアで動く回数は、区画の数と同じになります。8区画なら8回です。42歩は、だいたい10歩前後まで落ちます。
| 区画 | 含まれる場所 | その区画で終わらせること |
|---|---|---|
| 前の上 | 首・肩・背中の前半分 | ブラシ、布でひと往復、首輪の下 |
| 前の下 | 胸・前足・脇の下 | ブラシ、指のあいだ、爪の周り |
| 後ろの上 | 背中の後ろ半分・腰 | ブラシ、布でひと往復 |
| 後ろの下 | 内もも・後ろ足・尾のつけ根 | ブラシ、指のあいだ、皮膚の様子 |
| 反対側の4区画 | 同じ4つを逆側で | 同じ内容。翌日に回してもよい |
区画に分けると、毎日のケアの意味も変わります。8区画を全部やる日を作らなくてよくなるからです。今日は右の後ろの2区画、明日は左の前の2区画。4日で一巡します。全部やろうとすると週に1回になりますが、2区画ずつなら毎日置けます。被毛の状態も皮膚の様子も、毎日どこか2区画を見ているほうが、週に1回の全身より気づく回数が多くなります。
両手が要る道具が1つ混ざると、そこで途切れます|大型犬のケアのやり方でつまずく3か所
手順どおりに組んでも、実際にやると3か所でつまずきます。3つとも、原因は同じで、片手がふさがっていることを忘れて選んだものがセットに混ざっているからです。大型犬のケアのやり方が崩れるのは、たいていこの3か所です。
| つまずく場所 | 何が起きているか | その場での直し方 |
|---|---|---|
| 両手が要るものが混ざる | 手を離した瞬間に立ち上がります | 始める前にふたを外し、開けたまま箱に入れる |
| 布が途中で足りなくなる | 面積が広いので1枚では持ちません | 区画の数だけ用意する。最低でも上下で2枚 |
| 区画の途中で立たれる | 待ち時間が、その子の限界を超えています | 区画を半分に割る。1区画を2回に分ける |
3つのうち、いちばん多いのは3つ目でした。立たれるのは、飽きたからではなく、こちらが1区画に置いている時間が長いからです。大型犬の1区画は、小柄な子の全身くらいの面積があります。同じ「1区画」という言葉でも、かかる時間が違います。時計を見ながら、1区画90秒を超えたら半分に割ってください。割ると区画の数は増えますが、動く回数は増えません。同じ場所で2回に分けるだけだからです。
もう1つ、大型犬に特有のつまずきがあります。体重を預けてこられることです。横向きに寝ている子の上側をやっていると、こちらの手や膝に体重をかけてきます。その状態で無理に体位を変えようとすると、こちらの腰に来ます。1区画終わったところでいったん手を離し、その子が自分で姿勢を変えるのを待つほうが早いです。待っているあいだに、次の区画の道具を足元へ動かしておけます。
- ふたと注ぎ口:片手で開いて、片手で閉められるか
- 持ったときの重さ:片手で持ったまま10秒使えるか
- 置いたときの安定:床に置いて、手を離しても倒れないか
- 布の枚数:区画の数だけ、足元の箱に入っているか
- 箱の大きさ:片手で持って移れる大きさか
- 1区画の時間:90秒を超えていないか。超えたら割ります
区画で分けて見ていると、同じ場所を続けて見ることになるので、変化に気づきやすくなります。皮膚が赤い、被毛が薄くなっている、地肌が見えている、さわると痛がる、においが前と違う、同じ場所をなめ続けている、左右で明らかに差がある、立ち上がるときに時間がかかるようになった。こうした変化があるときは、ブラシの回数を増やしたり道具を替えたりして様子を見ずに、動物病院にご相談ください。大型犬は体が大きいぶん、家では全体を一度に見渡せません。どの区画に、いつから、どのくらいの間隔で出ているか。区画の番号で書いた記録があれば、そのまま持っていってください。迷ったときは、早いほうを選んでください。
今日は右の後ろ半分だけ|大型犬のケアのセットを1区画に縮める
最後に、今日やることを1つに絞ります。今日やるのは、右の後ろの2区画だけです。全身は見ません。反対側にも回りません。その場に座って、届く範囲でブラシと布を終わらせて、それで終わりにします。2区画なら、動く回数は2回です。全部やろうとすると、始める前に42歩ぶんの見積もりが立ってしまい、その日は結局やらずに終わります。
記録は2行で足ります。その日にやった区画の番号と、そこで気づいたこと。4日で一巡するので、1週間ぶん並べると、どの区画を飛ばしがちかが見えます。飛ばしている区画は、たいてい体の反対側の下半分です。移動の回数がいちばん多い場所だからです。分かったら、その区画から始める日を1日作ってください。順番を固定するより、飛ばしている場所を先に置くほうが早く埋まります。
- 区画に番号をつける:右前上、右前下、右後上、右後下。左も同じ
- 1日2区画にする:4日で一巡します
- 1区画90秒で切る:終わっていなくても切ります
- 箱ごと足元へ動かす:道具は置いたままにしません
- 飛ばした区画を書く:やらなかったことも1行残します
- 反対側は翌日に回す:1日で全周しようとしないでください
使うものについても書いておきます。条件は片手で使えることと、その場から動かずに済むことの2つだけです。mofuwa グルーミングスプレー は、区画ごとに布へ取ってから使えるので、区画を移るときも箱ごと動かせます。気になる部分だけになじませたい日は mofuwa スキンケアミスト、足元の区画では mofuwa 肉球クリーム。長い被毛がこすれる区画には mofuwa 毛玉予防ジェル を薄くのばしておくと、翌日その区画に入れるブラシの回数が減ります。どれも片手で出せる形なので、区画ごとのセットにそのまま入ります。
洗う日の側も、同じ考え方で組めます。大型犬を洗う日にいちばん増えるのは、水の量ではなく、その子のまわりを回る回数です。泡立てて、ごしごしして、すすぐ。この3つは、どれも被毛をかき分けて地肌まで泡を届かせるための工程で、そのために全周を回っています。地肌は、その子の毛づくろいが最後まで届かない場所でもあります。mofuwa 入浴シャンプー は、泡を届かせる工程を置かず、湯そのものを洗浄液にします。全周を回らなくても、浸かった範囲は同じだけ洗われます。浸かってもらっているあいだは、こちらが区画を回る必要がありません。区画で割るというこの記事のやり方が、いらなくなる日が洗う日です。しっかり洗いたい日に mofuwa モイストシャンプー を使う場合も、右半分と左半分で2日に分ける、という組み方ができます。洗う日と、区画で回す日の配分も、量ではなく移動の回数から決めてください。セットは、そこまで決まってから中身の話になります。
体が大きいのだから道具も大きいほうがいい、と考えると、片手で持てないものが増えます。大型犬のケアで効くのは、道具を大きくすることではなく、区画を小さくすることです。大きいブラシに替えると1回で広い面積をやれますが、そのぶん片手では扱いにくくなり、両手が要る場面が増えます。両手が要る場面が1つ増えるたびに、手を離すことになり、その子が立ち上がります。小さいものを、区画の数だけ回すほうが続きます。
大型犬のケアのセットは、量で決めるものではありません。置き場所を体の高さに下げて、片手で開くものだけを選び、届く範囲を4つに割る。決まるのはこの3つで、あとは区画の順番に回るだけです。体が大きいと増えるのは、使う量ではなく自分が移動する回数のほうでした。移動が減ると、待たされる時間が減ります。待たされる時間が減ると、その子が途中で立ち上がらなくなります。今日は右の後ろの2区画。それだけで、明日また同じ場所から始められます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 大型犬のケアは、毎日どのくらい時間をかければいいですか。
- 時間より、区画の数で決めるほうが続きます。セットの中身より先に、1日に回る区画の数を決めてください。1区画90秒、1日2区画なら3分ほどです。全身を1回で見ようとすると15分近くかかり、そのうち半分は自分が移動している時間になります。4日で一巡する組み方にしておくと、毎日同じ3分で回ります。区画の番号を書いておけば、途中で止めた日も翌日に続けられます。
- 体が大きいぶん、スプレーやクリームは多めに使ったほうがいいですか。
- 1か所に当てる量は、体の大きさで変える必要はありません。増えるのは当てる場所の数のほうです。多めに出すと乾くまでの時間が延びて、その子が待つ時間も延びます。区画ごとに、いつもと同じ量を当てるほうが、結果として全体は早く終わります。減りが早いと感じるのは、量ではなく回数が増えているためです。
- ケアの途中で立ち上がってしまいます。押さえたほうがいいですか。
- 押さえるより、区画を半分に割ってください。立ち上がるのは、1区画に置いている時間がその子の待てる時間を超えているからです。90秒を超えていたら、同じ場所を2回に分けます。区画の数は増えますが、動く回数は変わりません。立ち上がり方そのものが前と変わった、立つまでに時間がかかるようになったというときは、待ち時間の話とは分けて、動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
