C15組み合わせ提案

寝たきりの子のためのケアセット

公開日 2023年2月8日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の窓ぎわで、淡い色のマットの上に静かに横になっている淡い色の犬
毎日入れ替わっていたのは、上から使うものではなく、下に敷いていた布の枚数のほうでした。写真:Burst/Pexels

寝たきりの日が続いた最初の1週間で、うちが買い足したものは4つあり、そのうち3つは上から使うものでした。スプレー、クリーム、小さいブラシ。残りの1つが、体の下に敷く大きめの布です。1週間たって、実際に毎日出し入れしていたのは、その布のほうでした。上から使う3つは、使った日と使わなかった日があります。布は、1日に2回も3回も替わりました。寝たきりのケアで足りなくなるのは、上から使う道具の種類ではなく、下に敷くものの枚数です。この記事では、上から使うものと下に敷くものを、役割・替える頻度・においの溜まり方という3点で並べて比べます。セットの中身を決めるのは、そのあとで足ります。

数え直すと、上に置くものばかり残っていました|寝たきりのケアで最初に出る違い

寝たきりの日が始まると、まず道具を探します。何を買えばいいか、という探し方をします。そうやって集まってくるものには、はっきりした偏りがあります。ほとんどが「上から使うもの」です。スプレー、ミスト、クリーム、小さいブラシ、拭くもの。どれも、こちらが手に持って、体の上のほうから当てるものです。カートに入れた4つのうち3つがそうだったのは、探し方がそうさせているからです。

1週間たったところで、実際に手が伸びた回数を数えてみると、順番が逆になっていました。上から使う3つには、使った日と使わなかった日があります。下に敷いた布だけは、1日に2回も3回も入れ替わっていました。ここに、寝たきりのケアで最初に出てくる違いがあります。上から使うものは「持っているかどうか」で数え、下に敷くものは「何枚回せるか」で数えます。数え方そのものが別なので、同じリストに並べると、下の側がいつも1行で終わります。

毎日のことで言えば、体の状態を動かしているのは下の側です。体は同じ場所に接し続けていて、その接している時間を切れるのは、下に敷いたものを替える動作だけだからです。上から何を当てても、接している面が同じ布のままなら、その面の条件は元に戻ります。逆に、下を替えれば、上から何も使わなかった日でも条件は動きます。この非対称が、寝たきりのケアのセットを組むときの土台になります。

同じ買い足しでも、上と下では数え方そのものが違う
上から使うもの下に敷くもの
数える単位種類の数枚数と、回せる回数
買うときの気持ち何が足りないかで選ぶ何枚あれば回るかで選ぶ
1日に手が伸びる回数0回の日がある毎日必ず動く
切らすと起きることその工程を飛ばす替えられなくなる
リストに書かれる行数4行にも5行にもなるたいてい1行で終わる

この記事の比べ方をここで決めておきます。比べるのは商品どうしではなく、上から使うものと下に敷くものという2つの役割です。並べる観点は3つ。役割、替える頻度、においの溜まり方。この3つで見ると、どちらを先に増やすかが自然に決まります。寝たきりのケアのセットは、そのあとで組めば足ります。

Note選び方の前に、置き場所を1か所に決めておく

上と下のどちらを増やすにしても、置き場所が離れていると回りません。寝ている場所から手の届く範囲に、上から使うものと替えの布を一緒に置いてください。取りに行くために立ち上がる回数が増えると、替える回数のほうが先に減ります。減るのはいつも、下の側です。上から使うものは思い出したときに使えますが、下を替えるのは、その場に替えがないとできません。置き場所を決めるのは、道具を選ぶより前の作業です。

軸1・上から使うもの|役割ははっきりしているのに、替える対象にならない側

1つめの軸は、上から使うものです。この側の特徴は、役割がはっきりしていることです。被毛をなでるもの、気になる部分になじませるもの、足の裏に塗るもの。何のために使うかを一言で言えます。言えるので、リストに書きやすい。書きやすいので、セットの中で数が増えていくのはいつもこちら側です。

この側で、毎日の中に組み込みやすいのは1つか2つです。残りは「気づいたときに使うもの」になります。それが悪いわけではありません。上から使うものは、そもそも毎日の必須工程として設計されていないからです。被毛の状態が気になった日、皮膚の様子を見たい日、においが気になった日に手が伸びます。だから、種類を増やしても、1日の中の回数は増えません。

もう1つ、この側には限界があります。上から使うものは、床に接している面には届きません。体が乗っているからです。寝返りを打てる子なら時間差で両面が上に来ますが、そうでない子は、こちらが体位を変えないかぎり、下の面はずっと下のままです。上から使うものの守備範囲は、そのとき上を向いている面までです。この線は、道具の性能ではなく姿勢で引かれています。

におい方にも特徴があります。上から使うものを増やしても、においの出どころは動きません。においが出ているのはたいてい接している面で、そこに手が入っていないうちは、上に何を足しても場所が変わらないからです。においを手がかりにして道具を買い足していくと、この側だけが増え続けます。1週間で3つ買った理由も、たどるとここでした。

軸2・下に敷くもの|替えた回数が、そのまま結果として残る側

2つめの軸は、体の下に敷くものです。この側の特徴は、役割を一言で言いにくいことです。体を支えているとも言えるし、水分を受けているとも言えるし、体位を変えるときの取っ手にもなっています。1つのものが3つ以上の役をしているので、リストに書くと「敷くもの」の1行に畳まれます。畳まれた結果、枚数の話が抜けます。

下に敷くものが上の側と決定的に違うのは、替えるという動作が、それ自体で1つの工程になっていることです。上から使うものは、使う・使わないの2択です。下に敷くものは、替える・替えないの2択で、しかも替えた回数が積み上がります。1日に3回替えた日と、1回も替えなかった日では、その面が接していた連続時間がまったく違います。ここが毎日のケアの中身になります。

枚数の考え方は単純です。1日に替えたい回数と、洗って乾くまでの日数を掛けた数が、必要な枚数です。1日2回替えたくて、洗って乾くまでに2日かかるなら、最低4枚。予備を1枚足して5枚です。3枚しかない家では、どんなに気をつけても1日1回に落ち着きます。落ち着いた理由は意識ではなく、枚数のほうです。寝たきりのケアのセットで最初に増やすものが決まるとしたら、ここになります。

においの溜まり方も、この側に集まります。体から出た水分は下へ行くので、においは接している布に残ります。だから、体を拭いてもにおいが変わらない日には、布のほうを替えると変わることがあります。逆に言うと、布を替えているのににおいが変わらない日は、家で足す工程の話ではなくなります。その線については、最後のセクションで書きます。

役割・替える頻度・においの溜まり方で並べる|寝たきりのケアの使い分け

2つの軸を、3つの観点で並べます。ここで見たいのは優劣ではなく、どちらが「毎日動く側」なのかという一点です。動く側が決まると、切らしてはいけないものが決まります。切らしてはいけないものが決まると、セットの中身も自動的に決まります。

上から使うものと、下に敷くものを、3つの観点で並べる
上から使うもの下に敷くもの
役割一言で言える。1つに1つ一言で言えない。1つで3役以上
届く範囲そのとき上を向いている面まで接している面そのもの
替える頻度使う日と使わない日がある1日に1〜3回
切らしたときに起きることその工程を1日飛ばす接している時間が延びる
においの溜まり方においの出どころは動かないにおいがここに残っていることがある
増やしたときに変わるものできることの種類1日に切れる回数
数え方種類で数える枚数と乾くまでの日数で数える
上から使うものと、下に敷くもので、増やしたときに変わるものが違う 上から使うものを増やすと、できることの種類が増えます。下に敷くものを増やすと、1日に接している時間を切れる回数が増えます。同じ買い足しでも、変わる場所が別のところにあります。 どちらが良いかではなく、何が動くかで並べています 上から使うもの 役割を一言で言える 使わない日がある 上の面までしか届かない 増えるのは種類 切らしても1日飛ばせる 下に敷くもの 1つで3役以上をしている 毎日かならず動く 接している面そのもの 増えるのは切れる回数 切らすと替えられない 毎日動いているのは、下の側です
種類が増えるのと、回数が増えるのは、別のことです。

表と図から、使い分けの線が引けます。上から使うものは「気づいたときの持ち駒」、下に敷くものは「毎日の枠」です。持ち駒は、種類が多いほど選択肢が増えます。枠は、枚数が足りないと存在しません。だから先に埋めるのは枠のほうです。持ち駒を10種類そろえても、枠が1日1回しかない家では、その1回に何を使うかを選ぶだけになります。

選び方の順番を、そのまま書きます。①1日に何回替えたいかを決める、②洗って乾くまでの日数を数える、③掛け算した枚数をそろえる、④そのあとで上から使うものを1つか2つ選ぶ。この順番でやると、セットに入る上から使うものは自然に絞られます。枠が決まっているので、その枠の中で片手で使えるものだけが残るからです。逆の順番でやると、うちのように1週間で3つ増えます。

1日に替えたい回数から、必要な枚数を出す(例)
1日に替えたい回数洗って乾くまで必要な枚数予備を入れて
1回1日1枚2枚
1回2日2枚3枚
2回1日2枚3枚
2回2日4枚5枚
3回2日6枚7枚

この表を見ると、枚数が足りない家で起きていることが分かります。「気をつけているのに1日1回しか替えられない」のは、心がけの問題ではなく、乾くまでの日数を数えていないからです。冬は乾きにくいので、同じ枚数でも回せる回数が落ちます。季節で枚数を変える、というのは大げさに聞こえますが、実際には冬に2枚足すだけの話です。

上を増やす前に、下を1枚足す|寝たきりのケアのセットの選び方

ここまでをまとめて、今日やる1つに絞ります。今日足すのは、下に敷くものを1枚だけです。上から使うものは、いま家にあるもので足ります。1枚足すと、1日に替えられる回数が1回増えます。増えた1回が、接している時間をもう一度切ります。寝たきりのケアで、その日のうちに結果が変わるのは、この1枚のほうです。

そのうえで、上から使うものを選ぶ基準も書いておきます。枠の中で使うので、条件は「片手で使えること」と「拭き取りが要らないこと」の2つです。もう片方の手は体を支えているか、布を引く準備をしています。ふたを外して置いておける形かどうかで、1日に手が伸びる回数が変わります。上から使うものは、この2つの条件を満たすものを1つか2つ。ここは枠が決まったあとの作業なので、時間をかけなくて足ります。

洗える日の道具は、別に考えます。上を向いている面には手が届きますが、体が乗っている面には、その子自身の毛づくろいも届きません。寝返りを自分で打てない子は、下になっている面をずっと下のままにしています。ここは人が代わるしかない場所です。mofuwa 入浴シャンプー は、お湯に溶かして、浸かるだけで洗えます。被毛をかき分けて泡を届かせるのではなく、湯そのものを洗浄液にする作りなので、擦らなくても地肌までむらなく届きます。立っていられない子でも、こちらの手は体を支えるほうだけに使えます。全身が難しい日は、桶に入れて足先やお尻まわりだけにする部分洗いもできます。洗った日は、下に敷く布も全部入れ替えて、枚数の数え直しを1からにしてください。寝たきりのケアのセットで、洗う日に使うものはこの1本で足ります。

記録は2行で足ります。その日に下を何回替えたか、そのとき布に何が残っていたか。毎日つけていると、替えた回数と、布の残り方の関係が見えてきます。回数を増やした週に残り方が変わるなら、家でできることの範囲にあります。回数を増やしても変わらないなら、その線の外です。この2行は、動物病院でそのまま見てもらえる形になっています。

Caution皮膚と被毛の変化は、家で判断せずに動物病院へ

接している面の皮膚が赤い、色が変わっている、湿ったまま乾かない、毛が抜けて地肌が見えている、さわると痛がる、においが前と違う、同じ場所をなめ続けている、下を替える回数を増やしても状態が変わらない。こうした変化があるときは、家で手当てをしようとせず、動物病院にご相談ください。床ずれかどうかの判断も、そのあと何をするかも、家では決められません。ケアの道具を替えて数日様子を見る、という進め方が、いちばん時間を使います。敷くものを替えれば治りますという考え方はしないでください。2行の記録を持って、迷ったら早いほうを選んでください。

最後にもう一度だけ書いておきます。寝たきりのケアのセットで、上から使うものと下に敷くものの違いは、性能ではなく、替えられるかどうかです。替えられるのは下だけです。上に何を使うかは、その日の選択でしかありません。下を何回替えられるかは、家にある枚数で決まっていて、選択の余地がありません。だからセットを組むときは、選択の余地がないほうから先に埋めます。上から使うものは、そのあとで1つか2つ。毎日の被毛と皮膚の様子を見る回数も、下を替えるついでに増えていきます。今日足す1枚が、明日の1回になります。

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よくある質問

下に敷くものは、何枚あれば足りますか。
1日に替えたい回数と、洗って乾くまでの日数を掛けて、予備を1枚足した数です。1日2回替えたくて、乾くまでに2日かかるなら5枚になります。枚数が足りないと、どれだけ気をつけていても替える回数のほうが先に落ちます。冬は乾くまでの日数が延びるので、同じ回数を保ちたいなら2枚ほど足してください。枚数を数えるのは、道具を選ぶより前の作業です。
上から使うものは、何を優先して選べばいいですか。
条件は2つで、片手で使えることと、拭き取りが要らないことです。もう片方の手は体を支えているか、布を引く準備をしています。両手が要るものは、セットに入れておいても使われません。種類は2つまでにしておくと、使わない日が出にくくなります。3つ目からは、気づいたときにだけ手が伸びるものになります。
下を替えているのに、においが変わりません。何を足せばいいですか。
足すものを探すより先に、替える回数を1回増やして、2〜3日ぶんの記録を見てください。回数を増やして残り方が変わるなら、家でできる範囲にあります。回数を増やしても変わらない、皮膚が赤い、湿ったまま乾かない、毛が抜けて地肌が見えている、さわると痛がるといったときは、家で手当てをしようとせず動物病院にご相談ください。その日に何回替えたかと、布に何が残っていたかの2行を持っていくと、話が早く進みます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。