C15組み合わせ提案
寝たきりの子のためのケアセット
寝たきりの日が続いた最初の1週間で、うちが買い足したものは4つあり、そのうち3つは上から使うものでした。スプレー、クリーム、小さいブラシ。残りの1つが、体の下に敷く大きめの布です。1週間たって、実際に毎日出し入れしていたのは、その布のほうでした。上から使う3つは、使った日と使わなかった日があります。布は、1日に2回も3回も替わりました。寝たきりのケアで足りなくなるのは、上から使う道具の種類ではなく、下に敷くものの枚数です。この記事では、上から使うものと下に敷くものを、役割・替える頻度・においの溜まり方という3点で並べて比べます。セットの中身を決めるのは、そのあとで足ります。
数え直すと、上に置くものばかり残っていました|寝たきりのケアで最初に出る違い
寝たきりの日が始まると、まず道具を探します。何を買えばいいか、という探し方をします。そうやって集まってくるものには、はっきりした偏りがあります。ほとんどが「上から使うもの」です。スプレー、ミスト、クリーム、小さいブラシ、拭くもの。どれも、こちらが手に持って、体の上のほうから当てるものです。カートに入れた4つのうち3つがそうだったのは、探し方がそうさせているからです。
1週間たったところで、実際に手が伸びた回数を数えてみると、順番が逆になっていました。上から使う3つには、使った日と使わなかった日があります。下に敷いた布だけは、1日に2回も3回も入れ替わっていました。ここに、寝たきりのケアで最初に出てくる違いがあります。上から使うものは「持っているかどうか」で数え、下に敷くものは「何枚回せるか」で数えます。数え方そのものが別なので、同じリストに並べると、下の側がいつも1行で終わります。
毎日のことで言えば、体の状態を動かしているのは下の側です。体は同じ場所に接し続けていて、その接している時間を切れるのは、下に敷いたものを替える動作だけだからです。上から何を当てても、接している面が同じ布のままなら、その面の条件は元に戻ります。逆に、下を替えれば、上から何も使わなかった日でも条件は動きます。この非対称が、寝たきりのケアのセットを組むときの土台になります。
| 上から使うもの | 下に敷くもの | |
|---|---|---|
| 数える単位 | 種類の数 | 枚数と、回せる回数 |
| 買うときの気持ち | 何が足りないかで選ぶ | 何枚あれば回るかで選ぶ |
| 1日に手が伸びる回数 | 0回の日がある | 毎日必ず動く |
| 切らすと起きること | その工程を飛ばす | 替えられなくなる |
| リストに書かれる行数 | 4行にも5行にもなる | たいてい1行で終わる |
この記事の比べ方をここで決めておきます。比べるのは商品どうしではなく、上から使うものと下に敷くものという2つの役割です。並べる観点は3つ。役割、替える頻度、においの溜まり方。この3つで見ると、どちらを先に増やすかが自然に決まります。寝たきりのケアのセットは、そのあとで組めば足ります。
上と下のどちらを増やすにしても、置き場所が離れていると回りません。寝ている場所から手の届く範囲に、上から使うものと替えの布を一緒に置いてください。取りに行くために立ち上がる回数が増えると、替える回数のほうが先に減ります。減るのはいつも、下の側です。上から使うものは思い出したときに使えますが、下を替えるのは、その場に替えがないとできません。置き場所を決めるのは、道具を選ぶより前の作業です。
軸1・上から使うもの|役割ははっきりしているのに、替える対象にならない側
1つめの軸は、上から使うものです。この側の特徴は、役割がはっきりしていることです。被毛をなでるもの、気になる部分になじませるもの、足の裏に塗るもの。何のために使うかを一言で言えます。言えるので、リストに書きやすい。書きやすいので、セットの中で数が増えていくのはいつもこちら側です。
- 被毛をなでるもの:上を向いている面の毛の流れを整えるために使います
- 気になる部分になじませるもの:面ではなく点に当てます
- 足の裏に塗るもの:立たない子でも、指のあいだは湿ります
- 拭くための布:上から使う側では、これだけが消耗品です
- ブラシやコーム:横になっている面の毛が押されている場所に入れます
- もつれを起こしにくくするもの:こすれている場所の毛先に薄くのばします
この側で、毎日の中に組み込みやすいのは1つか2つです。残りは「気づいたときに使うもの」になります。それが悪いわけではありません。上から使うものは、そもそも毎日の必須工程として設計されていないからです。被毛の状態が気になった日、皮膚の様子を見たい日、においが気になった日に手が伸びます。だから、種類を増やしても、1日の中の回数は増えません。
もう1つ、この側には限界があります。上から使うものは、床に接している面には届きません。体が乗っているからです。寝返りを打てる子なら時間差で両面が上に来ますが、そうでない子は、こちらが体位を変えないかぎり、下の面はずっと下のままです。上から使うものの守備範囲は、そのとき上を向いている面までです。この線は、道具の性能ではなく姿勢で引かれています。
におい方にも特徴があります。上から使うものを増やしても、においの出どころは動きません。においが出ているのはたいてい接している面で、そこに手が入っていないうちは、上に何を足しても場所が変わらないからです。においを手がかりにして道具を買い足していくと、この側だけが増え続けます。1週間で3つ買った理由も、たどるとここでした。
軸2・下に敷くもの|替えた回数が、そのまま結果として残る側
2つめの軸は、体の下に敷くものです。この側の特徴は、役割を一言で言いにくいことです。体を支えているとも言えるし、水分を受けているとも言えるし、体位を変えるときの取っ手にもなっています。1つのものが3つ以上の役をしているので、リストに書くと「敷くもの」の1行に畳まれます。畳まれた結果、枚数の話が抜けます。
- 接している時間を切る:替えた瞬間に、その面の条件がいったんゼロに戻ります
- 水分を受ける:体から出た水分が、どこへ行ったかが目で分かります
- 体位を変えるときの取っ手になる:持ち上げずに、布ごと向きを変えられます
- においの居場所になる:においは体ではなく、布に残っていることがあります
- 記録の代わりになる:どこが湿ったかが、そのまま形として出ます
- すべりを決める:体を動かすときの重さが変わります
下に敷くものが上の側と決定的に違うのは、替えるという動作が、それ自体で1つの工程になっていることです。上から使うものは、使う・使わないの2択です。下に敷くものは、替える・替えないの2択で、しかも替えた回数が積み上がります。1日に3回替えた日と、1回も替えなかった日では、その面が接していた連続時間がまったく違います。ここが毎日のケアの中身になります。
枚数の考え方は単純です。1日に替えたい回数と、洗って乾くまでの日数を掛けた数が、必要な枚数です。1日2回替えたくて、洗って乾くまでに2日かかるなら、最低4枚。予備を1枚足して5枚です。3枚しかない家では、どんなに気をつけても1日1回に落ち着きます。落ち着いた理由は意識ではなく、枚数のほうです。寝たきりのケアのセットで最初に増やすものが決まるとしたら、ここになります。
においの溜まり方も、この側に集まります。体から出た水分は下へ行くので、においは接している布に残ります。だから、体を拭いてもにおいが変わらない日には、布のほうを替えると変わることがあります。逆に言うと、布を替えているのににおいが変わらない日は、家で足す工程の話ではなくなります。その線については、最後のセクションで書きます。
役割・替える頻度・においの溜まり方で並べる|寝たきりのケアの使い分け
2つの軸を、3つの観点で並べます。ここで見たいのは優劣ではなく、どちらが「毎日動く側」なのかという一点です。動く側が決まると、切らしてはいけないものが決まります。切らしてはいけないものが決まると、セットの中身も自動的に決まります。
| 上から使うもの | 下に敷くもの | |
|---|---|---|
| 役割 | 一言で言える。1つに1つ | 一言で言えない。1つで3役以上 |
| 届く範囲 | そのとき上を向いている面まで | 接している面そのもの |
| 替える頻度 | 使う日と使わない日がある | 1日に1〜3回 |
| 切らしたときに起きること | その工程を1日飛ばす | 接している時間が延びる |
| においの溜まり方 | においの出どころは動かない | においがここに残っていることがある |
| 増やしたときに変わるもの | できることの種類 | 1日に切れる回数 |
| 数え方 | 種類で数える | 枚数と乾くまでの日数で数える |
表と図から、使い分けの線が引けます。上から使うものは「気づいたときの持ち駒」、下に敷くものは「毎日の枠」です。持ち駒は、種類が多いほど選択肢が増えます。枠は、枚数が足りないと存在しません。だから先に埋めるのは枠のほうです。持ち駒を10種類そろえても、枠が1日1回しかない家では、その1回に何を使うかを選ぶだけになります。
選び方の順番を、そのまま書きます。①1日に何回替えたいかを決める、②洗って乾くまでの日数を数える、③掛け算した枚数をそろえる、④そのあとで上から使うものを1つか2つ選ぶ。この順番でやると、セットに入る上から使うものは自然に絞られます。枠が決まっているので、その枠の中で片手で使えるものだけが残るからです。逆の順番でやると、うちのように1週間で3つ増えます。
| 1日に替えたい回数 | 洗って乾くまで | 必要な枚数 | 予備を入れて |
|---|---|---|---|
| 1回 | 1日 | 1枚 | 2枚 |
| 1回 | 2日 | 2枚 | 3枚 |
| 2回 | 1日 | 2枚 | 3枚 |
| 2回 | 2日 | 4枚 | 5枚 |
| 3回 | 2日 | 6枚 | 7枚 |
この表を見ると、枚数が足りない家で起きていることが分かります。「気をつけているのに1日1回しか替えられない」のは、心がけの問題ではなく、乾くまでの日数を数えていないからです。冬は乾きにくいので、同じ枚数でも回せる回数が落ちます。季節で枚数を変える、というのは大げさに聞こえますが、実際には冬に2枚足すだけの話です。
上を増やす前に、下を1枚足す|寝たきりのケアのセットの選び方
ここまでをまとめて、今日やる1つに絞ります。今日足すのは、下に敷くものを1枚だけです。上から使うものは、いま家にあるもので足ります。1枚足すと、1日に替えられる回数が1回増えます。増えた1回が、接している時間をもう一度切ります。寝たきりのケアで、その日のうちに結果が変わるのは、この1枚のほうです。
そのうえで、上から使うものを選ぶ基準も書いておきます。枠の中で使うので、条件は「片手で使えること」と「拭き取りが要らないこと」の2つです。もう片方の手は体を支えているか、布を引く準備をしています。ふたを外して置いておける形かどうかで、1日に手が伸びる回数が変わります。上から使うものは、この2つの条件を満たすものを1つか2つ。ここは枠が決まったあとの作業なので、時間をかけなくて足ります。
洗える日の道具は、別に考えます。上を向いている面には手が届きますが、体が乗っている面には、その子自身の毛づくろいも届きません。寝返りを自分で打てない子は、下になっている面をずっと下のままにしています。ここは人が代わるしかない場所です。mofuwa 入浴シャンプー は、お湯に溶かして、浸かるだけで洗えます。被毛をかき分けて泡を届かせるのではなく、湯そのものを洗浄液にする作りなので、擦らなくても地肌までむらなく届きます。立っていられない子でも、こちらの手は体を支えるほうだけに使えます。全身が難しい日は、桶に入れて足先やお尻まわりだけにする部分洗いもできます。洗った日は、下に敷く布も全部入れ替えて、枚数の数え直しを1からにしてください。寝たきりのケアのセットで、洗う日に使うものはこの1本で足ります。
- 下を先に数える:替えたい回数 × 乾くまでの日数 + 予備1枚
- 置き場所を1か所にする:寝ている場所から手が届く床の上
- 上は2つまでにする:3つ目からは、使わない日が出ます
- 片手で開くものだけ入れる:ふたを外して置いておくのも手です
- 布は上の面と下の面で分ける:混ぜると、においの出どころが分からなくなります
- 冬は2枚足す:乾くまでの日数が延びるぶんです
記録は2行で足ります。その日に下を何回替えたか、そのとき布に何が残っていたか。毎日つけていると、替えた回数と、布の残り方の関係が見えてきます。回数を増やした週に残り方が変わるなら、家でできることの範囲にあります。回数を増やしても変わらないなら、その線の外です。この2行は、動物病院でそのまま見てもらえる形になっています。
接している面の皮膚が赤い、色が変わっている、湿ったまま乾かない、毛が抜けて地肌が見えている、さわると痛がる、においが前と違う、同じ場所をなめ続けている、下を替える回数を増やしても状態が変わらない。こうした変化があるときは、家で手当てをしようとせず、動物病院にご相談ください。床ずれかどうかの判断も、そのあと何をするかも、家では決められません。ケアの道具を替えて数日様子を見る、という進め方が、いちばん時間を使います。敷くものを替えれば治りますという考え方はしないでください。2行の記録を持って、迷ったら早いほうを選んでください。
最後にもう一度だけ書いておきます。寝たきりのケアのセットで、上から使うものと下に敷くものの違いは、性能ではなく、替えられるかどうかです。替えられるのは下だけです。上に何を使うかは、その日の選択でしかありません。下を何回替えられるかは、家にある枚数で決まっていて、選択の余地がありません。だからセットを組むときは、選択の余地がないほうから先に埋めます。上から使うものは、そのあとで1つか2つ。毎日の被毛と皮膚の様子を見る回数も、下を替えるついでに増えていきます。今日足す1枚が、明日の1回になります。
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商品ページを見るよくある質問
- 下に敷くものは、何枚あれば足りますか。
- 1日に替えたい回数と、洗って乾くまでの日数を掛けて、予備を1枚足した数です。1日2回替えたくて、乾くまでに2日かかるなら5枚になります。枚数が足りないと、どれだけ気をつけていても替える回数のほうが先に落ちます。冬は乾くまでの日数が延びるので、同じ回数を保ちたいなら2枚ほど足してください。枚数を数えるのは、道具を選ぶより前の作業です。
- 上から使うものは、何を優先して選べばいいですか。
- 条件は2つで、片手で使えることと、拭き取りが要らないことです。もう片方の手は体を支えているか、布を引く準備をしています。両手が要るものは、セットに入れておいても使われません。種類は2つまでにしておくと、使わない日が出にくくなります。3つ目からは、気づいたときにだけ手が伸びるものになります。
- 下を替えているのに、においが変わりません。何を足せばいいですか。
- 足すものを探すより先に、替える回数を1回増やして、2〜3日ぶんの記録を見てください。回数を増やして残り方が変わるなら、家でできる範囲にあります。回数を増やしても変わらない、皮膚が赤い、湿ったまま乾かない、毛が抜けて地肌が見えている、さわると痛がるといったときは、家で手当てをしようとせず動物病院にご相談ください。その日に何回替えたかと、布に何が残っていたかの2行を持っていくと、話が早く進みます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
